イギリス滞在中に発熱が起こりやすい理由
気候と感染症の観点から
イギリスは北緯51〜60度に位置する西岸海洋性気候の国です。一年を通じて湿度が高く、秋冬(10月〜3月)は日照時間が極端に短くなり、気温も0〜10°C前後まで低下します。この時期はインフルエンザウイルスおよびRSウイルスの流行期と完全に重なるため、渡航者が感染リスクに晒される機会が増えます。
また、イギリス特有の気候として「予測不能な寒暖差」が挙げられます。夏季でも一日の中で10°C以上の気温変化が生じることがあり、薄着で外出して急に冷えるというパターンで体調を崩す日本人旅行者が後を絶ちません。2022年夏はロンドンで40°Cを超える記録的猛暑が観測され、熱中症による発熱・意識障害が急増した事例も報告されています。このように「夏だから安心」という感覚は禁物です。
感染経路の多様性
ロンドン地下鉄(チューブ)は世界最古の地下鉄網であり、換気が不十分な車両も多く存在します。混雑した車両内での飛沫感染リスクは、通常の屋外環境より明らかに高くなります。加えて、観光地(大英博物館、バッキンガム宮殿周辺等)は年間を通じて国際的な旅行者が密集するため、様々な地域のウイルスが持ち込まれる環境です。
食文化の面では、パブでのシェアフード(フィッシュ&チップス、パイ類)や朝食ビュッフェなど、食事を介した消化器感染症(サルモネラ・カンピロバクター等)による発熱も起こりえます。カンピロバクター腸炎はイギリスで最も報告件数の多い食中毒の一つであり、発熱・下痢・腹痛を伴うのが特徴です。
渡航者特有の免疫低下要因
長距離フライトによる睡眠不足・低湿度環境(機内湿度は概ね10〜20%)・時差ボケは、自然免疫機能を一時的に低下させます。日本からロンドンまで直行便で約12〜14時間のフライトとなるため、到着直後から2〜3日は免疫応答が低下した状態が続きます。この「渡航直後の脆弱期」に冷たい雨に打たれたり、不慣れな食事をとったりすることが発熱の引き金になることがあります。
重症度判定チェックリスト
発熱時に最初に行うべきは「今すぐ受診が必要か、薬局で対処できるか」の判断です。以下のチェックリストを参考にしてください。
🚨 レベル1:今すぐ救急受診(A&E/999番通報)
以下のうち1つでも該当する場合は、市販薬による自己処置を試みず、直ちに救急外来(A&E:Accident & Emergency)を受診してください。
- 体温が40°C以上を計測した
- 意識が朦朧とする、会話が成立しない
- 首が痛くて顎が胸につかない(項部硬直:髄膜炎の疑い)
- 皮膚に圧迫しても消えない紫・赤の斑点が出現した(髄膜炎菌性敗血症の疑い)
- 呼吸が速い・浅い・苦しい(呼吸数が目安で1分間に25回以上)
- 痙攣(けいれん)を起こした
- 脈が非常に速い(目安で1分間に120回以上)または不整
- 尿が出ない・極端に少ない(脱水・敗血症の疑い)
- 直近2週間以内にマラリア流行地域を訪問した
⚠️ レベル2:準緊急(NHS 111電話相談または当日中にGP/クリニック受診)
- 体温が39°C以上で、解熱薬を服用しても38°C以下に下がらない
- 発熱が3日(72時間)以上継続している
- 発熱に加えて強い頭痛、眼球の痛みがある
- 排尿時の痛み・血尿(尿路感染・腎盂腎炎の疑い)
- 喉の痛みが非常に強く、飲み込みが困難
- 渡航前から慢性疾患(糖尿病・心臓病・免疫抑制状態)がある
- 妊娠中である
- 1歳未満の乳児が発熱している
✅ レベル3:経過観察(薬局OTC薬で対処可能)
- 体温が37.5〜38.9°Cの範囲で、全身状態は比較的良好
- 軽度の頭痛・鼻水・喉の違和感・倦怠感を伴う
- 水分摂取ができており、嘔吐・下痢がない
- 発熱開始から24〜48時間以内
- 上記レベル1・2に該当する項目がない
目安体温の変換(°C→°F):イギリスの一部医療機関では華氏を使用することがあります。38°C=100.4°F、39°C=102.2°F、40°C=104°Fと覚えておくと便利です。
現地薬局で買えるOTC薬(表形式)
イギリスの主要薬局チェーンは Boots(全国約2,200店舗)、Superdrug(全国約800店舗)、Lloyds Pharmacy(調剤中心)です。大手スーパーのTesco・Sainsbury's・Asda内の薬局コーナーでも購入できます。OTC薬は処方箋不要で、棚から直接取るか、Pharmacy カウンターで薬剤師に相談して購入します。
| ブランド名 | 有効成分(一般名) | 用法・用量(成人) | 価格目安 | 入手可能な薬局 |
|---|---|---|---|---|
| Paracetamol 500mg(各社ブランド品) | パラセタモール(アセトアミノフェン)500mg/錠 | 1回1〜2錠、4〜6時間ごと、1日最大8錠(4,000mg) | £1.5〜4 | Boots、Superdrug、Tesco、Sainsbury's |
| Nurofen 200mg | イブプロフェン200mg/錠 | 1回1〜2錠、4〜6時間ごと、1日最大6錠(1,200mg) | £3〜5 | Boots、Superdrug、薬局全般 |
| Nurofen Express Liquid Capsules 200mg | イブプロフェン200mg(液体充填カプセル) | 1回2カプセル、4〜6時間ごと、1日最大6カプセル | £4〜7 | Boots、Superdrug |
| Lemsip Max All in One Liquid | パラセタモール1,000mg+フェニレフリン12.5mg+グアイフェネシン400mg | 1回1袋(湯に溶かして服用)、4〜6時間ごと、1日最大4袋 | £3〜5 | Boots、Superdrug、Tesco |
| Sudafed Congestion & Headache Relief | パラセタモール500mg+フェニレフリン6.1mg | 1回2錠、4〜6時間ごと、1日最大8錠 | £4〜6 | Boots、Superdrug |
| Beecham All-in-One(液剤) | パラセタモール650mg+フェニレフリン10mg+グアイフェネシン200mg/15mL | 1回15mL、4〜6時間ごと | £4〜6 | Boots |
| Boots own brand Ibuprofen 400mg | イブプロフェン400mg/錠 | 1回1錠、6〜8時間ごと、1日最大3錠(1,200mg) | £2〜4 | Boots |
薬剤師からの選び方ガイド
パラセタモール(アセトアミノフェン)を選ぶべき人 胃が弱い方、空腹時での服用が必要な方、腎機能に不安がある方、妊婦(妊娠中はパラセタモールのみが使用可能)、アスピリン過敏症の方に適しています。イギリスでは最も広く使われる解熱鎮痛薬です。
イブプロフェンを選ぶべき人 炎症を伴う発熱(扁桃炎・気道炎症など)、筋肉痛・関節痛を伴う場合、体温をより速やかに下げたい場合に適しています。ただし必ず食後または食事と一緒に服用することで胃への刺激を軽減できます。胃潰瘍の既往がある方、腎機能低下がある方は使用を避けてください。
Lemsip Max のような複合感冒薬を選ぶ際の注意 パラセタモールが1,000mg含有されているため、同時に別のパラセタモール製品を服用すると過量摂取になります。「今日すでにパラセタモールを飲んだかどうか」を必ず確認してから使用してください。高血圧・心疾患・甲状腺疾患がある方はフェニレフリン(鼻充血除去薬)を避けるべきです。
現地語(英語)での症状表現・薬局での買い方フレーズ
イギリスは英語圏のため言語バリアは最小限ですが、正確に症状を伝えることで薬剤師から最適なアドバイスが得られます。
症状説明フレーズ
| 日本語 | 英語(声に出して使う表現) | カタカナ発音 |
|---|---|---|
| 熱があります | I have a fever.(アイ ハヴ ア フィーバー) | アイ ハヴ ア フィーバー |
| 体温は38.5度です | My temperature is 38.5 degrees Celsius.(マイ テンパラチャー イズ サーティエイト ポイント ファイヴ ディグリーズ セルシアス) | マイ テンパラチャー イズ〜 |
| 昨日から熱があります | I've had a fever since yesterday.(アイヴ ハド ア フィーバー シンス イエスタデイ) | アイヴ ハド ア フィーバー シンス イエスタデイ |
| 頭痛もあります | I also have a headache.(アイ オールソウ ハヴ ア ヘドエイク) | アイ オールソウ ハヴ ア ヘドエイク |
| 全身がだるいです | I feel very tired and achy.(アイ フィール ヴェリー タイヤード アンド エイキー) | アイ フィール ヴェリー タイヤード アンド エイキー |
| 喉が痛いです | I have a sore throat.(アイ ハヴ ア ソア スロウト) | アイ ハヴ ア ソア スロウト |
| 鼻水が出ます | I have a runny nose.(アイ ハヴ ア ラニー ノウズ) | アイ ハヴ ア ラニー ノウズ |
薬局カウンターでの質問・購入フレーズ
| 日本語 | 英語 | カタカナ発音 |
|---|---|---|
| 解熱鎮痛薬が欲しいです | I'd like something for fever and pain.(アイド ライク サムシング フォー フィーバー アンド ペイン) | アイド ライク サムシング フォー フィーバー アンド ペイン |
| アスピリンを含まないものをお願いします | Could I have one without aspirin, please?(クッド アイ ハヴ ワン ウィズアウト アスピリン プリーズ) | クッド アイ ハヴ ワン ウィズアウト アスピリン プリーズ |
| 胃が弱いので胃に優しいものを | I have a sensitive stomach. Which is gentler?(アイ ハヴ ア センシティヴ ストマック ウィッチ イズ ジェントラー) | アイ ハヴ ア センシティヴ ストマック ウィッチ イズ ジェントラー |
| 妊娠中です | I'm pregnant.(アイム プレグナント) | アイム プレグナント |
| これは子どもに使えますか | Is this safe for children?(イズ ディス セーフ フォー チルドレン?) | イズ ディス セーフ フォー チルドレン |
| 他の薬と一緒に飲んでも大丈夫ですか | Can I take this with other medications?(キャン アイ テイク ディス ウィズ アザー メディケイションズ) | キャン アイ テイク ディス ウィズ アザー メディケイションズ |
| 用法を教えてください | How should I take this?(ハウ シュッド アイ テイク ディス?) | ハウ シュッド アイ テイク ディス |
薬局スタッフから聞かれる可能性のある質問と返答
| 質問(英語) | 意味 | 返答例 |
|---|---|---|
| Are you allergic to any medicines? | 薬アレルギーはありますか | No, none. / I'm allergic to aspirin. |
| Are you taking any other medications? | 他に服用している薬はありますか | No, nothing. / I take medicine for blood pressure. |
| How long have you had the fever? | 発熱はいつからですか | Since this morning. / For about two days. |
| Is it for yourself? | ご自身のためですか | Yes, for me. / No, for my child. |
| Do you have any other symptoms? | 他に症状はありますか | Just a headache. / I also have a cough. |
イギリスの医療事情
NHS(国民保健サービス)の仕組みと外国人の利用
イギリスの医療制度の中核はNHS(National Health Service)です。イギリス国民は原則無料で医療を受けられますが、短期滞在の外国人旅行者(6か月未満の滞在)は有料となります。ただし、救急外来(A&E)は国籍・ビザの種類を問わず誰でも受診できます(事後的に費用請求が来る場合があります)。
GPサージェリー(General Practice:かかりつけ医クリニック)は通常、登録制のため旅行者が即日受診することは困難です。急を要さない症状の場合は以下を活用してください。
渡航者が利用しやすい医療機関・相談窓口
| 種別 | 名称・概要 | 利用法 |
|---|---|---|
| 電話相談(無料) | NHS 111 | 24時間対応、電話で症状を伝えると適切な受診先を案内してくれる |
| 救急外来 | A&E(Accident & Emergency) | 重篤な症状の場合。最寄り病院は NHS 111 または Google Maps で検索 |
| 民間クリニック | Boots Pharmacy ウォークインサービス | 軽症の診察が可能な店舗あり、要確認 |
| 私立クリニック | Harley Street Medical Area(ロンドン) | 日本語通訳サービスを提供しているクリニックも存在する |
| 緊急・警察 | 999番 | 生命の危機に関わる救急・警察・消防 |
| 非緊急警察 | 101番 | 軽微な事件 |
日本語対応が期待できる医療機関
ロンドン市内には日本人向けの医療サービスを提供するクリニックが複数存在しています。ただし、施設の営業状況・日本語対応の継続可否は変動するため、以下の経路から最新情報を確認してください。
- 在英国日本国大使館の公式ウェブサイト(医療機関リストを公開)
- ジェトロ・ロンドンが発行する在留邦人向け生活情報
海外旅行傷害保険に加入している場合、保険会社のアシスタンスデスクを通じて日本語対応医療機関の紹介を受けることができます。渡航前に保険会社の緊急連絡先を必ずスマートフォンに登録しておいてください。
処方薬について
NHS や私立クリニックで診察を受けると処方箋が発行されます。処方箋を持って Boots や Superdrug の Pharmacy カウンターで調剤してもらうことができます。処方薬の費用はイングランドでは1品目あたり概ね£9〜10程度(2024年時点の目安)が患者負担となります(スコットランド・ウェールズ・北アイルランドでは異なる制度)。
避けるべき成分・薬剤の選択で気をつけること
アスピリンを避ける理由
イギリスの薬局ではアスピリン(Aspirin 300mg)が比較的入手しやすい環境にあります。しかしウイルス感染による発熱時にアスピリンを使用するとReye症候群(ライ症候群)のリスクがあります。Reye症候群は特に16歳以下の小児に起こりやすい急性脳症・肝機能障害ですが、成人でも報告例があります。発熱の自己治療にはパラセタモールまたはイブプロフェンを選択してください。
イブプロフェンを避けるべき人
- 胃潰瘍・消化性潰瘍の既往がある方
- 腎機能低下・腎臓病がある方
- 心疾患(特に心不全、虚血性心疾患)がある方
- 妊娠後期(28週以降)の方
- アスピリン過敏性喘息の方
パラセタモールの過量摂取に注意
パラセタモールは安全性が高い薬ですが、1日4,000mgを超えると肝障害を起こす可能性があります。複合感冒薬(Lemsip Max等)にもパラセタモールが含まれているため、同日に複数の製品を服用する際は合計量を必ず計算してください。アルコールを習慣的に多量に飲む方は1日2,000mgを上限とすることが推奨されます。
薬剤師の視点:渡航前準備・持参推奨OTC・現地入手のリスク
渡航前に準備すべきこと
海外旅行傷害保険への加入は最優先事項です。イギリスでの救急病院受診・入院は日本円換算で数十万円以上の費用が発生することがあります。クレジットカード付帯保険の補償範囲を事前に確認し、不足があれば単独の旅行保険に加入してください。
体温計は渡航前に購入して持参することを推奨します。デジタル体温計は機内持込み可能(液体制限に関係なく、一般的には問題なし)です。現地でも購入できますが、単位が°Fの製品が多い場合があり、°C表示のものを探す手間が生じます。
日本から持参を推奨するOTC医薬品
| 目的 | 成分名 | 日本での代表的な製品例 |
|---|---|---|
| 解熱・鎮痛 | アセトアミノフェン | タイレノールA(1錠300mg)、各社アセトアミノフェン製品 |
| 解熱・鎮痛・抗炎症 | イブプロフェン | イブA錠(200mg)、ナロンエースT(200mg配合)等 |
| 胃腸保護 | ファモチジン等のH2ブロッカー | ガスター10(10mg)等 |
| 下痢止め | ロペラミド塩酸塩 | ストッパ下痢止めA(2mg)等 |
| 経口補水 | 経口補水塩 | OS-1(液体・ゼリー)、経口補水塩ORS等 |
※製品名は一例であり、同成分の他製品でも代用できます。購入の際は薬剤師に相談してください。
持参する際の注意事項
医薬品を海外に持参する際は個人使用目的の範囲内とし、原則として1〜2か月分程度が目安とされます(外務省・厚生労働省の案内に基づく一般的な考え方)。医薬品は元の箱と添付文書を保持したまま持参することで、空港での確認作業がスムーズになります。
麻薬・向精神薬(睡眠薬の一部等)をイギリスへ持ち込む場合は、日本・イギリス双方の規制を確認し、必要に応じて医師が作成した英文処方箋・診断書を用意する必要があります。一般的な解熱鎮痛薬(パラセタモール、イブプロフェン)については特別な申請は不要です。
現地入手における実際のリスク
イギリスは**医薬品規制庁(MHRA:Medicines and Healthcare products Regulatory Agency)**による厳格な管理体制が整っており、公式薬局チェーン(Boots、Superdrug等)で購入する限り品質面の問題はほぼありません。ただし以下の点には注意が必要です。
- インターネット通販での購入は避ける:MHRA登録のない非公式サイトでは偽造品のリスクがあります。
- ナイトクラブ・観光地周辺での非公式販売:医薬品として販売されていても規制対象外の場合があります。
- 一部製品は薬剤師との対面販売(Pharmacy-only):棚に置かれていなくても、カウンターで相談すれば購入できる製品があります。
帰国後の観察ポイント:輸入感染症の見分け方
帰国後も発熱が続く・再燃した場合
イギリスから帰国後2〜3週間以内に発熱が再燃または持続する場合は、自己判断で市販薬を服用し続けるのではなく、医療機関(できれば感染症科・渡航外来のある施設)を受診してください。その際、必ず渡航歴をお伝えください。
注意すべき輸入感染症(イギリス渡航後)
イギリスは衛生状態が良好な先進国ですが、以下の点に注意が必要です。
| 疾患・状態 | 渡航との関連 | 主な症状・受診目安 |
|---|---|---|
| インフルエンザ | 流行期(10月〜3月)の渡航 | 高熱、全身筋肉痛、急激な発症。帰国後5日以内に発症 |
| COVID-19 | 変異株の流行状況による | 発熱、咳、倦怠感。帰国後1〜2週間以内 |
| 溶連菌感染症 | 冬季の集団生活・観光地 | 39°C以上の急熱、喉の強い痛み、扁桃膿瘍 |
| カンピロバクター腸炎 | パブ・ビュッフェでの食事 | 発熱+下痢(水様〜血性)、腹痛。食後2〜5日で発症 |
| マラリア(経由地リスク) | アフリカ等の流行地経由 | 帰国後2週間以内の高熱(周期性の場合あり)。要緊急受診 |
帰国後に必ず受診すべき症状
- 帰国後2週間以内に38°C以上の発熱が続く
- 発熱とともに**黄疸(皮膚・眼球の黄変)**が出現した
- 発熱とともに皮膚の発疹が出現した
- 発熱に意識障害・けいれんを伴う
- 発熱とともに関節の腫れ・激しい関節痛がある
受診の際は「○月○日から○月○日までイギリスに滞在していた」という渡航歴を必ず医師に伝えてください。これにより、適切な検査・診断が受けられます。日本国内で輸入感染症に詳しい医療機関を探す際は、**JATSS(日本渡航医学会)**の認定施設リストや、**感染症情報センター(NIID:国立感染症研究所)**のウェブサイトが参考になります。
よくある質問(FAQ)
Q. パラセタモールとイブプロフェンを同時に服用しても良いですか?
A. 異なる作用機序を持つ薬であるため、医学的には交互使用(アルタネーション)が行われる場合があります。ただし自己判断での併用・交互服用は、服用スケジュールの混乱による過量摂取リスクが生じます。薬局で薬剤師に相談の上で指示に従うことを推奨します。
Q. 子ども(6歳)の発熱にイギリスで入手できる薬はありますか?
A. 小児用パラセタモール懸濁液(Calpol 120mg/5mL など)が薬局で購入できます。年齢・体重に応じた用量は製品添付文書に記載されています。12歳未満の小児にはイブプロフェンの使用も可能ですが、2歳未満または体重7kg未満の乳児への使用は医師への相談が必要です。アスピリンは16歳未満に使用しないでください。
Q. アルコールを飲んだ後に解熱薬を飲んでも大丈夫ですか?
A. パラセタモールとアルコールは肝臓で代謝の競合が起こるため、飲酒後のパラセタモール服用は肝毒性リスクを高める可能性があります。イブプロフェンは胃腸刺激を増強します。発熱時はアルコールを控え、十分な水分補給を行ってください。
参考文献
-
National Health Service (NHS). "Paracetamol for adults." NHS UK. https://www.nhs.uk/medicines/paracetamol-for-adults/(2024年参照)
-
National Health Service (NHS). "Ibuprofen for adults." NHS UK. https://www.nhs.uk/medicines/ibuprofen-for-adults/(2024年参照)
-
NHS 111 online. https://111.nhs.uk/(2024年参照)
-
Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA). "Buying medicines online." GOV.UK. https://www.gov.uk/guidance/buying-medicines-online(2024年参照)
-
World Health Organization (WHO). "Influenza (Seasonal) Fact Sheet." https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/influenza-(seasonal)(2024年参照)
-
Public Health England / UK Health Security Agency (UKHSA). "Weekly national flu reports." https://www.gov.uk/government/collections/weekly-national-flu-reports(2024年参照)
-
外務省海外安全情報「英国」. https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_018.html(2024年参照)
-
厚生労働省検疫所(FORTH)「英国の感染症情報」. https://www.forth.go.jp/(2024年参照)
-
Centers for Disease Control and Prevention (CDC). "United Kingdom – Traveler's Health." https://wwwnc.cdc.gov/travel/destinations/traveler/none/united-kingdom(2024年参照)
-
国立感染症研究所(NIID)「感染症発生動向調査」. https://www.niid.go.jp/niid/ja/survei/2085-idwr.html(2024年参照)
免責事項
本記事は一般的な医薬品情報・医療情報の提供を目的としており、特定の個人への医学的診断・治療方針の決定を行うものではありません。記載された薬剤情報(用量・禁忌・価格等)は執筆時点の情報に基づくものであり、最新の情報と異なる場合があります。発熱に限らず体調の異変を感じた際は、自己判断のみに頼らず医師・薬剤師への相談を優先してください。海外での医療機関受診に際しては、加入している海外旅行傷害保険の補償内容を事前に確認されることを強くお勧めします。
監修:薬剤師(博士(薬学))