WHO2025年成果報告:グローバルヘルスの進展状況
世界保健機関(WHO)は2026年4月に2025年度成果報告書を発表し、「トリプルビリオン」目標達成に向けた進展を報告しました。
主要な成果指標
以下の3つの目標について、2018年比での改善が示されています:
- 必須保健サービスの拡大:5億6700万人が経済的負担なく基本保健サービスを利用可能(2024年比+1億3600万人)
- 感染症対策強化:6億9800万人が保健危機から強化された保護を享受(2024年比+6100万人)
- 健康・福祉の向上:17億5000万人がより健康的な生活を実現(2024年比+3億人)
注目すべき進展領域
ワクチン接種では、HPV単回接種スケジュール導入により、2019年の17%から2024年の31%へ全世界的なカバー率が拡大。抗菌薬耐性監視体制(GLASS)の整備、精神保健緊急支援システムのカバー率28%から48%への拡大、パンデミック協定と国際保健規則の改正採択など、技術的リーダーシップが機能した領域で成果が顕著です。
課題と限定的な進捗
報告書は以下の点に警告を発しています:
- 121個の出力指標のうち約50%が未達成
- 糖尿病管理、麻しん監視、金銭的保護などで格差が継続
- ポリオ根絶や複雑な緊急対応ではいまなお課題が残存
- 資金制約と人的資源不足が実装を減速
2030年のSDG目標達成には依然として軌道修正が必要な状態です。
薬剤師メモ
渡航者にとっては、HPV単回接種スケジュールの推進やワクチンカバー率向上が朗報です。ただし地域差が大きく、訪問予定国の実際のワクチン供給体制は個別に確認が必要。また抗菌薬耐性の監視強化は、渡航先での不適切な抗菌薬使用リスク認識につながります。現地医療機関での処方内容に疑問がある際は、国際的な治療ガイドライン参照を薦めています。