WHOが乳幼児向けマラリア治療薬を初承認
2026年4月24日、世界保健機関(WHO)は乳幼児向けマラリア治療薬の承認を発表しました。承認されたアルテメテル・ルメファントリンは、体重2~5kgの新生児・乳幼児を対象とした初の専用製剤です。
治療薬について
従来、乳幼児のマラリア患者は年長児向け製剤で治療されており、用量誤りや副作用、毒性リスクがありました。今回の承認により:
- 国際基準の品質・安全性・有効性を満たすことが確認
- 公的部門での調達が可能に
- マラリア流行地域のアフリカで毎年出生する約3000万人の乳児に朗報
新しい診断テスト
同月14日、WHOは**3種類の新しい迅速診断テスト(RDT)**も承認しました。背景には深刻な問題があります:
従来のHRP2ベース検査の課題:
- マラリア原虫(P.falciparum)の一部株がHRP2遺伝子を喪失
- 検査では「見えない」状態になり、偽陰性が発生
- ホルンオブアフリカでは症例の最大80%が見落とされていた
- 治療遅延、重症化、死亡に至るケースも
新しい検査の特徴:
- pf-LDH(別のタンパク質)をターゲット
- 原虫が容易に排出できない標的
- HRP2検査の信頼性が低下している地域で推奨
WHOは、HRP2欠失により5%以上の症例が見落とされている国では、代替RDTへの切り替えを推奨しています。
現況と課題
2024年の統計によると:
- マラリア患者数:約2億8200万人
- 死亡者数:約61万人(2023年比で増加)
- 2000年以降、23億人の感染を予防し、1400万人の生命を救済
一方、薬剤耐性、殺虫剤耐性、診断失敗、国際開発援助の減少など多くの課題が進行中です。
薬剤師メモ
マラリア治療薬の適切な投与量決定は体重測定が重要です。乳幼児向け専用製剤の登場は、医療者の用量計算負担を軽減し、投与誤差を減らす意義があります。また、診断テストの見落としは未治療のリスクとなるため、流行地域での渡航時は現地医療機関の推奨検査法を確認することが重要です。