カナダで病院・薬局を使うには|救急911・州医療制度とPharmacyの使い方を薬剤師が解説

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カナダで病院・薬局を使うには|救急911・州医療制度とPharmacyの使い方を薬剤師が解説

カナダへの渡航を予定している方が抱える不安の一つが「現地で病気やケガをしたらどうしよう」という懸念です。実は、カナダは先進国の中でも医療水準が高く、適切な知識があれば安心して対応できます。本記事では、薬剤師の視点から現地の医療事情、受診方法、保険の活用法を詳しく解説します。


カナダの医療制度の基礎知識

公的医療制度と民間医療の二層構造

カナダの医療制度は、連邦政府が管轄する「Medicare」という公的医療保険が主軸です。ただし、これはカナダの永住者・市民が対象で、観光客や短期滞在者は対象外です。

制度 対象 特徴
Medicare(公的) 永住者・市民 基本的な医療は無料。ただし薬剤費は自己負担
民間保険 誰でも加入可能 観光客・出張者向けの旅行保険も豊富
医療機関の民営化 限定的 検査・専門医は民間施設で有料

カナダのMedicareは1984年に制定された**カナダ医療法(Canada Health Act)**に基づいており、「包括性・普遍性・移送可能性・公共管理・アクセス可能性」の5原則が定められています。しかし、薬剤費(処方箋医薬品)はMedicareの対象外であることが多く、カナダ国民でも薬代の大部分は民間保険や自己負担でまかなっています。この「処方薬の公的保障の欠如」は長年の政策課題であり、2024年現在も一部の薬剤を対象としたナショナル・ファーマケア(National Pharmacare)法が議論・段階施行中です。

渡航者の立場からは、Medicareに一切頼れないという前提で旅行保険の準備が欠かせません。医療費が極めて高額になるカナダでは、無保険受診はトロントやバンクーバーのような大都市でも全額自費となり、軽い処置でも数百カナダドル(以下CAD)の請求が届きます。

州による医療水準の違い

カナダは10の州と3つの準州から構成され、医療制度は各州で管轄されます。特にトロント(オンタリオ州)、バンクーバー(ブリティッシュ・コロンビア州)、モントリオール(ケベック州)といった都市部は医療施設が充実しており、英語対応も容易です。

州によって医療提供体制には差があります。下記の表は主要都市・州の概況です。

州・準州 主要都市 特徴
オンタリオ州 トロント、オタワ 英語診療が充実。大学病院が多い
ブリティッシュ・コロンビア州 バンクーバー、ビクトリア アジア系人口が多く日本語対応薬局もある
ケベック州 モントリオール、ケベックシティ 公用語はフランス語。英語対応は都市部のみ
アルバータ州 カルガリー、エドモントン 石油資本で医療予算は比較的潤沢
北部準州 ホワイトホース等 医療施設が限られ、重症時は都市部へ搬送

ケベック州では公式言語がフランス語のため、英語のみの渡航者は初期コミュニケーションで困る場面があります。事前に翻訳アプリや簡単なフランス語フレーズを用意しておくと安心です。また北部・僻地(ユーコン準州、ノースウェスト準州、ヌナブト準州)では高度医療が受けられないケースがあり、航空機搬送が必要になることもあります。


現地で体調を崩した場合の対処フロー

軽度の症状:薬局(Pharmacy)での相談

風邪や軽い下痢など軽度の症状には、薬局での相談が最初の一歩です。カナダの薬剤師は診断権が強く、医師の処方箋なしに多くの医薬品を販売できます。

主要な薬局チェーン:

  • Shoppers Drug Mart(全国展開、最大手。調剤から化粧品まで幅広く取り扱う)
  • Rexall(西カナダを中心に展開)
  • Walmart Pharmacy(大型スーパー内の調剤コーナー)
  • London Drugs(ブリティッシュ・コロンビア州などで展開)

薬剤師メモ カナダの薬局では「OTC医薬品」と「処方箋医薬品」の区分が日本と異なります。例えばイブプロフェン(規格は製品により異なる)や第二世代抗ヒスタミン薬の多くは薬剤師に相談することでOTCとして購入可能です。ただし、オピオイド系鎮痛薬(コデインリン酸塩配合製剤を含む)は原則として医師の処方が必須となりました。かつてはカナダで薬剤師の監督下に低濃度コデイン製剤がOTCで入手できた時代もありましたが、現在は規制強化により処方箋が必要です。

薬局の薬剤師に相談する際は次のような英語フレーズが役立ちます。

  • I have a cold. Do you have any medicine for it?(アイ ハヴ ア コールド。 ドゥ ユー ハヴ エニー メディシン フォー イット?)
  • I have a fever of about 38 degrees.(アイ ハヴ ア フィーバー オブ アバウト サーティーエイト ディグリーズ)
  • I'm allergic to aspirin.(アイム アレルジック トゥ アスピリン)
  • Do you have a Japanese-speaking staff?(ドゥ ユー ハヴ ア ジャパニーズ スピーキング スタッフ?)

薬剤師はHealth Canada(日本の厚生労働省に相当)が定める専門職であり、症状の聞き取りと適切な医薬品の提案・禁忌確認を行う法的権限を持ちます。「何を飲めばよいかわからない」場合でも、遠慮なく声をかけましょう。

中等度の症状:ウォークイン・クリニックの利用

「風邪が治らない」「突然の頭痛」など軽度では済まない場合は、**ウォークイン・クリニック(Walk-in Clinic)**がおすすめです。予約不要で気軽に受診でき、待ち時間は通常1~2時間程度(混雑時はそれ以上になる場合あり)。

ウォークイン・クリニックの特徴:

  • 予約不要・即日受診可能
  • 診察料金:目安として$50~$150 CAD程度(保険適用状況により変動)
  • 診察後に処方箋が発行され、その足で近隣薬局で購入可能
  • 大都市では「Walk-in Clinic」とGoogle Mapで検索するとすぐ見つかる
  • 一部クリニックではオンライン予約も可能で待ち時間の短縮が期待できる

受診時には、保険証・パスポート・症状メモを持参してください。症状のメモは日本語で書いたものを翻訳アプリで英語化しておくと伝達がスムーズです。

薬剤師メモ ウォークイン・クリニックは初診・急性疾患の相談には最適ですが、継続的な治療が必要な場合や血液検査・画像診断が必要な場合は、別途検査施設への紹介状(Referral)が必要になることがあります。また、一部のクリニックはテレメディシン(Telehealth)を提供しており、スマートフォンのビデオ通話で医師の診察を受けることも可能です。旅行保険の中にはテレメディシン費用をカバーするものもあるため、事前に確認しておきましょう。

重度の症状:救急車(911)と病院

胸痛、激しい頭痛、意識障害、外傷などの緊急時は直ちに911番通報してください。カナダ・アメリカ共通の緊急電話番号で、24時間365日オペレーターが対応します。日本語通訳サービスが利用できる場合もあります。

症状 対応
胸痛・息切れ 911通報 → ER受診
激しい頭痛・神経症状 911通報 → ER受診
重大な外傷 911通報 → ER受診
中毒・重篤なアレルギー反応 911通報 → ER受診
意識障害・けいれん 911通報 → ER受診
高熱が下がらない・呼吸困難 911通報またはER直接受診

カナダの主要病院(大都市):

  • Toronto General Hospital(トロント)
  • Vancouver General Hospital(バンクーバー)
  • McGill University Health Centre(モントリオール)
  • University of Alberta Hospital(エドモントン)

911通報時は次のフレーズを参考にしてください。

  • I need an ambulance. My address is __.(アイ ニード アン アンビュランス。 マイ アドレス イズ __) ※住所は事前にメモしておく
  • I have chest pain.(アイ ハヴ チェスト ペイン)
  • My friend is unconscious.(マイ フレンド イズ アンコンシャス)

薬剤師メモ カナダのER(Emergency Room)は日本の救急外来とは異なり、**トリアージ(重症度分類)**に基づいて診察順が決まります。生命の危険がない場合は数時間待機が生じることも珍しくなく、軽症であればウォークイン・クリニックを優先する方が時間・費用ともに効率的です。救急搬送自体にも費用が発生する場合があり(金額は州によって異なる)、旅行保険の救急搬送補償条件を渡航前に確認しておくことを強く推奨します。


症状別・薬局での対処法と医薬品

風邪・インフルエンザ

症状 推奨医薬品(成分名) 代表的ブランド名 薬学的補足
発熱・頭痛 アセトアミノフェン(Acetaminophenアセトアミノフェン Tylenolタイレノール COX非選択的・解熱中枢作用
発熱・関節痛 イブプロフェン(Ibuprofenイブプロフェン Advilアドビル COX-1/2阻害・胃粘膜保護注意
咳(乾性) デキストロメトルファン臭化水素酸塩(DXM) Robitussinロビタシン DM 中枢性鎮咳。延髄咳嗽中枢を抑制
鼻づまり キシロメタゾリン塩酸塩点鼻薬 Otrivin 局所α2刺激・血管収縮作用
喉の痛み セチルピリジニウム塩化物含有トローチ等 Strepsilsストレプシルス 消毒・鎮痛作用

薬剤師メモ(薬学的解説) アセトアミノフェンの薬理機序: 視床下部の体温調節中枢に作用し解熱効果を発揮します。プロスタグランジン合成阻害も関与しますが、末梢でのCOX阻害作用は弱く、胃腸障害リスクはイブプロフェンと比べて低いとされます。ただし肝代謝(CYP2E1・グルクロン酸抱合・硫酸抱合)を受けるため、1日最大用量(成人3,000mg/日が安全目安)を超えないことが重要です。アルコールとの併用は肝毒性を増強します。

イブプロフェンの注意点: NSAIDsに分類され、COX-1/COX-2を非選択的に阻害することでプロスタグランジン産生を抑制します。胃粘膜保護作用のあるプロスタグランジンも減少するため、空腹時服用は避けてください。腎機能低下者・消化性潰瘍の既往者には特に注意が必要です。

アセトアミノフェンとイブプロフェンの併用: カナダのガイドラインでは、一般的に成人が短期的に交互服用(alternating)することを容認する場合もありますが、自己判断での組み合わせは過量服用リスクを高めます。どちらかを選択して用法・用量を守るのが基本です。

DXM(デキストロメトルファン)の注意: 延髄の咳嗽中枢を抑制する中枢性鎮咳薬です。MAO阻害薬との併用はセロトニン症候群を引き起こす危険性があり、併用禁忌です。また高用量で解離症状(精神症状)が現れることがあるため、用量厳守が重要です。

消化器症状(下痢・嘔吐)

渡航者下痢症は、大腸菌(ETEC)やジアルジアなどが原因となるケースが多く、カナダでも生水・生魚介類・不衛生な食品により発症することがあります。

症状 推奨医薬品(成分名) 使用法の目安 注意点
急性下痢(非感染性疑い) ロペラミド塩酸塩(Loperamideロペラミド 1回2mg、最大16mg/日 μオピオイド受容体作動薬
腸内環境の改善 整腸薬(プロバイオティクス) 製品に準じる カナダの薬局で入手可
吐き気 ジンジャー(生姜)サプリ、ジメンヒドリナート 製品に準じる 乗り物酔いにも有効
脱水予防 経口補水液 適宜補給 Pedialyte等がドラッグストアで購入可能

薬剤師メモ(薬学的解説) ロペラミドの薬理機序: 腸管壁のμ(ミュー)オピオイド受容体に作動し、腸管蠕動運動を抑制することで腸通過時間を延長します。加えて、腸管上皮での水・電解質の吸収を促進します。血液脳関門をほとんど通過しないため、通常用量では中枢抑制作用を示しません。ただし、細菌性下痢(血便・高熱を伴う場合)には使用を避けてください。腸管運動を抑制することで毒素が排出されず病態が悪化する可能性があります。その場合は速やかに医師を受診してください。

2日以上下痢が続く、血便・粘血便がある、38.5℃以上の高熱を伴ういずれかに該当する場合は、抗菌薬が必要な感染症の可能性があります。自己判断で市販薬を継続せず、ウォークイン・クリニックを受診してください。

アレルギー症状

カナダは北米最大のカバノキ・ブタクサ花粉圏に位置し、特に春季(3月下旬~5月)と秋季(8月下旬~10月)に花粉症症状が悪化しやすい環境です。

アレルギー症状 推奨成分名 代表的ブランド名 眠気の程度
鼻炎・くしゃみ セチリジン塩酸塩(Cetirizineセチリジン Reactine 軽度あり
鼻炎・くしゃみ ロラタジン(Loratadineロラタジン Claritinクラリチン ほぼなし
鼻炎・くしゃみ フェキソフェナジン塩酸塩(Fexofenadine) Allegraアレグラ ほぼなし
目のかゆみ(軽度) ナファゾリン塩酸塩含有点眼薬等 製品により異なる 該当なし
軽度の皮疹 ヒドロコルチゾン0.5~1%クリーム 成分名で選択 該当なし

薬剤師メモ(薬学的解説) 第二世代抗ヒスタミン薬の特徴: セチリジン・ロラタジン・フェキソフェナジンはいずれも末梢H1受容体拮抗薬で、第一世代(ジフェンヒドラミン等)と比較して血液脳関門の通過性が低く眠気が少ないとされています。ただしセチリジンは第二世代の中では比較的眠気を生じやすいため、運転・作業が必要な場面にはロラタジンやフェキソフェナジンが適しています。半減期はロラタジン約12時間、セチリジン約9~11時間、フェキソフェナジン約14時間です。

ヒドロコルチゾンクリームについて: OTCで購入できる低濃度(0.5~1%)製品は、軽度の接触性皮膚炎・虫刺されに使用可能です。ただし顔面・皮膚折り畳み部(腋窩・鼠径部)や感染皮疹への使用は禁忌・慎重投与です。1週間以上の継続使用は皮膚萎縮のリスクがあるため、改善しない場合は皮膚科受診を。

重度のアレルギー反応(アナフィラキシー): 喉の腫れ、呼吸困難、急激な血圧低下を伴う場合は生命の危機であり、直ちに911を呼んでください。エピネフリン自動注射器(EpiPen)の処方を受けている方は必ず携帯し、使用後も必ず救急受診が必要です。


処方箋の取得と医薬品購入

受診後の処方箋フロー

  1. 医師から処方箋を受け取る → 紙またはデジタル処方箋(電子処方箋は州によって普及度が異なる)
  2. 薬局に提出 → Shoppers Drug Martなどの大手薬局がおすすめ。24時間営業の店舗も存在する
  3. 薬剤師から薬学的管理説明を受ける → 用法・用量・副作用・飲み合わせ(Drug Interaction)の確認
  4. 会計・購入 → 保険証を提示することで直接請求(ダイレクトビリング)が可能な場合がある

処方箋医薬品の費用目安(保険なし自己負担の場合):

  • 抗菌薬(例:アモキシシリン):目安$20~$50 CAD程度
  • 短期処方の鎮痛薬:目安$30~$80 CAD程度
  • 抗アレルギー薬(処方品):目安$30~$70 CAD程度

※金額は薬局・地域・製品によって大きく異なります。あくまで目安としてください。

ジェネリック医薬品の活用

カナダの薬局ではジェネリック医薬品(Generic Drug)の取り扱いが充実しており、先発医薬品(Brand-name Drug)よりも費用が抑えられる場合が一般的です。医師に Can you prescribe a generic version?(キャン ユー プリスクライブ ア ジェネリック バージョン?) と依頼すれば、ジェネリック処方に切り替えてもらえます。

薬剤師メモ カナダのジェネリック医薬品はHealth Canada(連邦保健省)の審査を経て承認されており、先発品と同等の有効成分・用量・剤形・品質基準を満たすことが要件です(生物学的同等性試験による確認)。有効成分・用量・投与経路が同一である限り、治療効果は先発品と同等と考えられます。ただし賦形剤(添加物)は異なる場合があり、添加物アレルギーがある方は薬剤師に成分全体を確認してもらうことを推奨します。


保険の選択と活用法

観光客向け旅行保険の必須性

カナダの医療費は極めて高額で、保険なしで受診した場合、外来診察だけで相当な自己負担が発生します(金額は州・施設・処置内容で大幅に異なります)。入院が必要になれば医療費は数日で数万CADに達することも珍しくありません。旅行保険への加入は必須です。

推奨される旅行保険の選択基準

確認項目 チェックポイント 薬剤師コメント
医療費補償上限額 できる限り高額なものを選ぶ カナダの医療費の高さを考慮して余裕のある補償額を
薬剤費(処方箋) カバーされるか確認 処方抗菌薬・鎮痛薬なども対象か確認
OTC医薬品 補償対象外が多い 基本的に自己負担と考えておく
歯科治療 別途特約が必要な場合あり 海外の歯科治療は高額
救急搬送費用 別建て or 含まれるか確認 航空機搬送になると高額になる
既往症の扱い 告知義務・除外条件の確認 慢性疾患がある場合は必ず確認
キャッシュレス対応 提携病院リストの確認 現地払い不要で安心

保険請求の手順

  1. 受診前に保険会社の緊急連絡先に電話(可能であれば受診前に相談・承認を得る)
  2. 受診時に保険証・証書をデジタル・紙で提示
  3. 医師・薬局から請求書(Invoice)と領収書(Receipt)を必ず入手
  4. 保険会社指定の方法で請求書類を提出(アプリ・メール・郵送)
  5. 審査後、指定口座に返金 ※処理期間は保険会社により異なります

薬剤師メモ 日本の海外旅行保険の多くは「キャッシュレス対応(Direct Billing)」を推奨しており、提携医療機関では現地での立替払いが不要になります。事前に保険会社の提携病院・クリニックリストをスマートフォンに保存しておきましょう。現地で受診先を選ぶ際の参考になります。また、薬局での処方薬購入についても保険適用になる場合があるため、薬局でも保険証を提示してみましょう。領収書・処方箋のコピーは必ず手元に残してください。


カナダ渡航時に持参すべき医薬品・衛生用品

持参を推奨する医薬品

医薬品(成分名) 代表的な日本製品例 用途 持ち込みルール
アセトアミノフェン含有製剤 タイレノールA 🛒(市販品) 解熱・鎮痛 個人使用分は制限なし
イブプロフェン含有製剤 イブA錠 🛒 解熱・鎮痛 個人使用分は制限なし
整腸薬(ビフィズス菌等含有製剤) ビオフェルミン等 消化器不調 制限なし
塩酸ロペラミド含有製剤 ロペミンS等 急性下痢 個人使用分は制限なし
第二世代抗ヒスタミン薬 アレグラFX 🛒 花粉症・アレルギー 制限なし
目薬(防腐剤少量品) 製品により異なる 疲れ目・ドライアイ 制限なし(機内は100ml以下)
虫刺され用薬(ヒドロコルチゾン含有) 市販の虫刺され薬 かゆみ・炎症 制限なし

薬剤師メモ:カナダへの医薬品持ち込みルール(重要)

  • 処方箋医薬品(向精神薬・麻薬以外): 通常は3ヵ月分以内なら医師の英文証明書(処方箋コピー含む)を携帯すれば持ち込み可能とされています。ただし最新の税関・入国規制はカナダ国境サービス庁(CBSA)の公式サイトで必ず確認してください。
  • 向精神薬・麻薬(例:ベンゾジアゼピン系・オピオイド系): Health Canadaへの事前申請が必要な場合があります。申請なしの持ち込みは没収・法的問題につながる可能性があります。
  • 液体・ジェル系製剤: 国際線機内持ち込みの場合、100ml以下の容器に入れてジッパー付き透明袋に収納(航空会社・IATA共通ルール)。
  • 注射薬(インスリン等): 医師の証明書・処方箋を必ず携帯し、シリンジと共に機内持ち込みが可能ですが、事前に航空会社に確認を推奨します。
  • 大麻(Cannabis): 日本では麻薬取締法で厳しく規制されています。カナダ国内では合法化されていますが、日本から持ち込む・持ち帰ることは絶対に禁止です。

その他の衛生用品

  • 使い捨てマスク(N95またはサージカルマスク)
  • 速乾性アルコール手指消毒ジェル(Hand Sanitizer、アルコール濃度60%以上推奨)
  • 絆創膏(バンドエイド等)・包帯・ガーゼ・テープ
  • 使い捨て手袋
  • 虫よけスプレー(DEETディートまたはイカリジン含有製品。カナダの夏は蚊・ブヨが多い)
  • 日焼け止め(SPF30以上推奨。カナダは夏の紫外線が強い)

よくある質問と回答

Q1: カナダで処方箋は日本と共通か?

A: いいえ。カナダの処方箋は日本で発行されたものとは法的に互換性がありません。日本で処方されている薬を現地で継続する場合は、十分な量を日本から持参するか、現地の医師に診察を受けて改めて処方箋を発行してもらう必要があります。英文の処方内容証明書(医師発行)があれば、現地医師との情報共有がスムーズになります。


Q2: 日本語を話せる医師・医療機関はあるか?

A: バンクーバーやトロントなど日本人コミュニティが多い都市では、日本語対応の医療機関が存在します。在カナダ日本国大使館・各地の日本領事館のウェブサイトに「医療機関リスト」が掲載されているため、渡航前に確認しておくと安心です。また、医療通訳サービスを提供している大病院もあります。


Q3: 常用薬がある場合の渡航準備は?

A: 常用薬は滞在日数分+予備(遅延・延泊を考慮して1週間程度)を持参してください。英文の処方内容証明書(医師のサインと薬品名・用量・用途が記載されたもの)を用意し、常に携帯すると税関・現地医師への説明がスムーズです。向精神薬・麻薬については前述の持ち込みルールを必ず確認してください。


Q4: 薬局でコミュニケーションが取れるか不安

A: 大手薬局チェーンでは基本的に英語が通じます。症状を正確に伝えるために翻訳アプリ(Google翻訳等)の活用が効果的です。また、薬の名前は成分名(一般名)で検索・表示すると世界共通で通じやすくなります。以下のフレーズを参考にしてください。

  • I'm looking for something for a stomachache.(アイム ルッキング フォー サムシング フォー ア ストマックエイク)
  • I have a prescription from my doctor. Can you fill this?(アイ ハヴ ア プリスクリプション フロム マイ ドクター。 キャン ユー フィル ディス?)
  • Are there any side effects I should know about?(アー ゼア エニー サイド エフェクツ アイ シュッド ノウ アバウト?)

渡航前チェックリスト(薬剤師推奨)

渡航前に以下の項目を確認・準備しておくことで、現地でのトラブルを最小限に抑えることができます。

準備項目 確認内容 優先度
旅行保険の加入 医療費補償・薬剤費・救急搬送を確認 ★★★
常用薬の持参 滞在日数+予備7日分 ★★★
英文処方証明書 かかりつけ医に依頼 ★★★
薬のアレルギー情報 英語・フランス語のメモを作成 ★★★
緊急連絡先メモ 保険会社・大使館・家族 ★★★
基本的な救急フレーズ 英語フレーズの準備 ★★
現地日本領事館の住所・電話 州別に確認 ★★
市販薬の基本セット 鎮痛薬・整腸薬・絆創膏等 ★★
ワクチン接種確認 渡航先・季節性インフルエンザ ★★
水・食事の注意点 生水・生食材のリスク確認

参考文献・情報源

  1. Health Canada – Drug and Health Products: https://www.canada.ca/en/health-canada/services/drugs-health-products.html

  2. Government of Canada – Travelling with medication: https://www.canada.ca/en/health-canada/services/drugs-health-products/cannabis/information-medical-practitioners/travelling-cannabis.html

  3. CDC – Traveler's Health: Canada: https://wwwnc.cdc.gov/travel/destinations/traveler/none/canada

  4. WHO – International travel and health: https://www.who.int/travel-advice

  5. 外務省 – 海外安全情報(カナダ): https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_049.html

  6. PMDA – 医薬品・医療機器の海外持ち込みについて(参考): https://www.pmda.go.jp/

  7. カナダ国境サービス庁(CBSA) – What you can bring to Canada: https://www.cbsa-asfc.gc.ca/travel-voyage/ttd-vdd-eng.html


監修: 薬剤師(博士(薬学))

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免責事項:本記事は渡航者向けの医薬品情報提供を目的とした薬剤師監修コンテンツです。 診断・治療に関する判断は医師の診察を受けた上で行ってください。 最新の規制・感染症情報は外務省・厚生労働省・現地大使館の公式情報を必ずご確認ください。

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