デンマーク渡航前の予防接種:必要性と基本情報
デンマークはEU加盟国で医療水準が高く、公衆衛生が優れています。しかし日本から渡航する際には、感染症リスクや渡航中の予期せぬ感染に対応するため、一定の予防接種を検討する必要があります。本記事では、薬剤師の視点から必要・推奨される予防接種を詳細に解説します。
デンマーク(Denmark)はスカンジナビア半島に位置し、首都コペンハーゲン(Copenhagen)を擁する北欧の先進国です。年間の日本人渡航者数は観光・留学・ビジネスを合わせて相当数に上ります。現地の衛生環境は良好ですが、日本と異なる感染症サーベイランス体制・ワクチン接種プログラムが存在するため、日本での定期接種歴の確認と渡航前の補完的接種が重要となります。
特に2019年以降、欧州全土で麻疹(Measles)の散発的アウトブレイクが継続報告されており、2023年にはWHOヨーロッパ地域事務局が麻疹の再感染拡大に関する警告を発出しています。先進国だからといって油断せず、出発前の免疫状態の確認と必要な補完接種を行うことが推奨されます。
また、デンマークでは夏季に野外フェスティバルや自転車旅行(コペンハーゲン市内のサイクリング文化)が盛んです。屋外活動による擦り傷・外傷のリスクがあることから、破傷風の免疫状態確認も重要度が高い案件です。
薬剤師メモ: デンマークは感染症発生率が低い先進国ですが、日本で定期接種していないワクチン(例:髄膜炎菌、帯状疱疹)の接種を検討する価値があります。渡航期間や年齢、既往歴により優先度が変わるため、出発の4〜6週間前に渡航医学外来で相談することをお勧めします。
デンマーク渡航者に必須・推奨される予防接種一覧
必須レベル:ほぼ全渡航者が検討すべき
| ワクチン名 | 感染症 | 必要性 | 接種回数 | 有効期間 |
|---|---|---|---|---|
| 麻疹・風疹(MR) | 麻疹・風疹 | 必須 | 2回※1 | 終生 |
| 破傷風トキソイド | 破傷風 | 必須 | 3回以上※2 | 10年(追加) |
| ポリオ(IPV) | ポリオ | 必須 | 3〜4回※1 | 終生 |
| B型肝炎 | B型肝炎 | 推奨 | 3回 | 15〜45年(目安) |
※1 日本での定期接種歴を確認し、不足分を補充
※2 成人での基礎免疫完了後、10年ごとの追加免疫が推奨
推奨レベル:年齢・職業・渡航スタイルで判断
| ワクチン名 | 感染症 | 対象者 | 接種回数 | 費用目安 |
|---|---|---|---|---|
| 髄膜炎菌(4価) | 侵襲性髄膜炎菌感染症 | 18〜25歳・医療従事者・長期滞在者 | 1〜2回 | 8,000〜12,000円 |
| 帯状疱疹(組換えサブユニット) | 帯状疱疹 | 50歳以上・免疫低下者 | 2回 | 22,000〜45,000円 |
| Tdap(三種混合追加) | 百日咳・ジフテリア・破傷風 | 10年以上未追加者 | 1回 | 4,500〜8,000円 |
| 日本脳炎 | 日本脳炎 | 不要※3 | ― | ― |
| 黄熱病 | 黄熱病 | 不要※4 | ― | ― |
※3 デンマークは日本脳炎の感染リスクなし
※4 黄熱病流行地域への経由がない限り不要。他国経由の場合は当該国の要件確認が必須
薬剤師メモ: 髄膜炎菌ワクチンは血清群A・C・W・Y群に対応する4価ワクチン(一般名:髄膜炎菌4価ポリサッカライドジフテリアトキソイド結合型ワクチン)が標準的に使用されています。日本国内で承認・流通している製品があるため、渡航医学外来や旅行クリニックに問い合わせてください。また、肺炎球菌感染症(Streptococcus pneumoniae)に対するワクチン(多価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチンまたは結合型ワクチン)は65歳以上や慢性疾患患者に推奨されます。
ワクチンの薬学的解説:機序・免疫誘導・副作用
不活化ワクチンと生ワクチンの違い
予防接種ワクチンは大きく「生ワクチン(弱毒化生ワクチン)」と「不活化ワクチン」に分類されます。渡航前接種を計画する上で、この分類の理解は接種スケジュール策定に直結するため重要です。
生ワクチン(Live Attenuated Vaccine)
弱毒化した病原体(ウイルス・細菌)を用い、体内で限定的に増殖させることで強力な細胞性免疫・液性免疫を誘導します。麻疹・風疹混合(MR)ワクチン、水痘ワクチン、おたふくかぜワクチンが代表例です。免疫誘導効果は高く、通常1〜2回の接種で終生免疫に近い保護が得られます。
薬学的注意点として、生ワクチンは免疫不全者・妊婦への投与が原則禁忌です。また接種後に弱毒化病原体が増殖するため、接種後2〜4週間は他の生ワクチンとの同時接種を避ける(または同日接種とする)必要があります。ただし同日接種は問題ありません。
不活化ワクチン(Inactivated/Subunit Vaccine)
病原体を不活化(加熱・化学処理)したもの、あるいは病原体の一部(サブユニット)を有効成分とします。ポリオ(IPV)・破傷風トキソイド・B型肝炎・百日咳・髄膜炎菌ワクチンがこれに該当します。免疫原性を高めるため、アジュバント(免疫補助剤)として水酸化アルミニウムやリン酸アルミニウムが添加されている製品が多く、これが接種部位の局所反応(疼痛・腫脹・硬結)の一因となります。
複数回の接種(初回免疫+追加免疫)が必要な場合が多い点、妊婦・免疫不全者にも比較的安全に使用できる点が特徴です。
各ワクチンの作用機序・免疫持続期間
麻疹・風疹混合(MR)ワクチン
麻疹ウイルスはRNA一本鎖ウイルス(パラミクソウイルス科)で、気道上皮のCD46・SLAMを受容体として感染します。弱毒化麻疹ウイルス株(日本ではタカハシ株またはSchwarz株)が用いられ、接種後に中和抗体(主にIgG)および長期記憶B細胞・T細胞が誘導されます。2回接種後の血清陽性率は99%以上とされ、実質的に終生免疫が得られます。
風疹ウイルス(トガウイルス科)も同様に弱毒化株(日本ではTO-336株等)が使用され、HA阻止抗体価が防御の指標となります。先天性風疹症候群(CRS)予防の観点から、特に妊娠を考慮する年齢層では接種前の抗体価確認が推奨されます。
破傷風トキソイド
破傷風菌(Clostridium tetani)が産生する神経毒素(テタノスパスミン)をホルマリン処理して無毒化したトキソイドが有効成分です。テタノスパスミンは末梢神経シナプスのGABA作動性ニューロンに作用して抑制性シナプス伝達を遮断し、痙性麻痺を引き起こします。トキソイド接種により抗毒素抗体(中和抗体)が誘導され、毒素の神経毒性を中和します。
抗体価は接種後5〜10年で防御レベル(0.1 IU/mL)以下に低下する場合があり、10年ごとの追加接種が標準的に推奨されます。屋外活動の多い渡航先では特に重要です。
B型肝炎ワクチン
B型肝炎ウイルス(HBV)のS抗原(HBsAg)を組換えDNA技術で酵母(Saccharomyces cerevisiae)に産生させたサブユニットワクチンです。0・1・6ヶ月の標準3回接種後、HBs抗体価(10 mIU/mL以上)が防御の指標となります。血清転換率は健康成人で90〜95%程度ですが、40歳以上・肥満・喫煙者・免疫不全者では応答率が低下する場合があります。
免疫応答不良者(Non-Responder)に対しては追加接種(3〜4回目)を行い、抗体価を再確認します。有効期間は個人差が大きく15〜45年と幅があるため(目安)、長期渡航者は事前の抗体価確認が合理的です。
帯状疱疹(組換えサブユニット)ワクチン
帯状疱疹(Herpes Zoster)は水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)が加齢や免疫低下に伴う細胞性免疫の減弱により再活性化して発症します。組換えサブユニットワクチン(有効成分:VZV糖タンパクE・gE)は、免疫増強アジュバントAS01Bシステム(MPL+QS-21を配合)と組み合わせることで、70歳以上でも90%超の予防効果が報告されています。2回接種(1回目から2〜6ヶ月後に2回目)が必須であり、長期に渡り強固な細胞性免疫が維持されます。
副作用プロファイルの比較
| ワクチン | 局所反応 | 全身反応 | 重篤反応(稀) |
|---|---|---|---|
| MRワクチン | 接種部位発赤・腫脹 | 発熱・発疹(接種後5〜12日) | アナフィラキシー、血小板減少性紫斑病 |
| 破傷風トキソイド | 疼痛・硬結(アルミアジュバントによる) | 軽度発熱 | アナフィラキシー(稀) |
| B型肝炎 | 注射部位疼痛 | 疲労感・頭痛 | アナフィラキシー(極稀) |
| 帯状疱疹(組換え) | 疼痛・腫脹(発現率80%以上) | 疲労感・筋肉痛・頭痛(比較的高頻度) | アナフィラキシー(極稀) |
| 髄膜炎菌(4価) | 注射部位疼痛・発赤 | 頭痛・倦怠感 | アナフィラキシー(稀) |
薬剤師メモ: 帯状疱疹(組換えサブユニット)ワクチンはアジュバントの作用により局所・全身副反応の発現率が他のワクチンと比べて高い傾向があります。接種後1〜2日の体調不良を見込んで、接種日翌日に重要な予定を入れないことを患者さんにお伝えすることが実務上重要です。
ワクチンの薬物相互作用・禁忌・注意事項
免疫抑制薬との相互作用
メトトレキサート・シクロスポリン・生物学的製剤(TNF-α阻害薬など)を使用している患者では、ワクチンの免疫原性が低下する可能性があります。特に生ワクチン(MRワクチンなど)は免疫抑制状態では接種禁忌となる場合があるため、必ず担当医への確認が必要です。
不活化ワクチンは免疫抑制中でも接種自体は可能ですが、免疫応答が十分得られない可能性があることを患者に説明し、可能であれば免疫抑制薬の開始前に接種を完了させる計画が望まれます。
抗体製剤(免疫グロブリン)との相互作用
輸血や免疫グロブリン製剤(IVIG)の投与後は、受動免疫によって生ワクチン(MRなど)の免疫原性が干渉される場合があります。IVIGの高用量投与後は、3〜11ヶ月の間隔を空けてからMRワクチンを接種することが推奨されています(用量に依存)。
卵アレルギーとワクチン
一部のワクチン製造に鶏卵が使用されていますが、現行の組換えタンパク質系ワクチンや不活化ポリオワクチン(IPV)は卵を培養基としておらず、卵アレルギーは問題になりません。インフルエンザワクチン(鶏卵培養型)では従来、卵アレルギー患者への慎重投与が求められてきましたが、最新ガイドラインでは軽度〜中等度の卵アレルギーであれば通常通り接種可と整理されています。重篤な卵アレルギー(アナフィラキシー既往)のある方は、医師の監督下での接種が推奨されます。
ワクチン同時接種の原則
日本のワクチン接種指針では、複数の不活化ワクチン同士、および不活化ワクチンと生ワクチンの組み合わせは、それぞれ異なる部位に同日接種することが可能です。生ワクチン同士を同日接種しない場合は、28日以上の間隔を空ける必要があります。これは生ワクチンが体内で増殖する際に互いの免疫応答を干渉する可能性があるためです。
薬剤師メモ: 渡航前の限られた時間で複数ワクチンを接種する場合、「同日複数部位接種」を活用することで計画が効率化できます。渡航医学外来では1回の受診で4〜5種類の同時接種が行われることも珍しくありません。接種後の副反応部位の識別のため、左右の腕に異なるワクチンを割り振り記録することが実務上のポイントです。
予防接種スケジュール策定のポイント
渡航時期から逆算したスケジュール
渡航出発まで4週間以上ある場合(推奨)
生ワクチンと不活化ワクチンの組み合わせが可能で、最も余裕のある計画が立てられます。B型肝炎の標準スケジュール(0・1・6ヶ月)は6ヶ月を要するため、長期留学・就労渡航者は少なくとも6〜7ヶ月前から計画を開始することが理想的です。短期渡航(3ヶ月未満)では0・1ヶ月の2回接種でも一定の保護効果(約75〜80%の血清転換率)が得られますが、完全な3回完了スケジュールが望ましいとされています。
帯状疱疹(組換えサブユニット)ワクチンは1回目から最短2ヶ月後に2回目を接種できるため、出発2〜3ヶ月前に1回目を接種することで渡航前に2回完了が可能です。
渡航出発まで2〜3週間の場合
不活化ワクチン(破傷風・B型肝炎1回目・髄膜炎菌など)の接種が中心となります。生ワクチン(MRなど)は接種後2週間の抗体誘導期間を考慮すると、ギリギリのタイミングでも接種の意義はあります。B型肝炎は初回接種のみでも次回接種まで抗原提示の記憶が形成されるため、渡航後に帰国してから2回目・3回目を継続することを前提に、まず1回目を開始することが推奨されます。
渡航出発が迫っている場合(1週間以内)
渡航医学外来での個別相談を最優先とします。破傷風・ポリオなど基礎免疫確認を優先し、緊急性の低いワクチンは帰国後の接種計画に組み込むことで対応します。麻疹については渡航先での流行状況を確認した上で、接種の是非を医師と相談します。
薬剤師メモ: 複数のワクチン同時接種は安全ですが、生ワクチンと不活化ワクチンを同日接種する場合、同一注射部位への接種は避け、異なる部位(腕など)に接種します。28日以上の間隔が必要な生ワクチン同士の場合、同日接種すれば問題ありません。
年齢別・渡航目的別の接種優先度マトリクス
| 対象者 | 最優先 | 推奨 | 検討 |
|---|---|---|---|
| 20〜30代・短期観光(1週間以内) | MR確認・破傷風確認 | B型肝炎1回目 | 髄膜炎菌 |
| 20〜30代・長期留学(6ヶ月以上) | MR・ポリオ・破傷風・B型肝炎(3回完了) | 髄膜炎菌・Tdap | 水痘確認 |
| 40〜50代・ビジネス渡航(反復) | MR・破傷風・B型肝炎 | Tdap・肺炎球菌 | 帯状疱疹(組換え) |
| 50歳以上・長期滞在 | MR・破傷風・B型肝炎・帯状疱疹(組換え) | 肺炎球菌・Tdap | ― |
| 妊婦(渡航前) | 破傷風(Td・Tdapは医師判断)※不活化のみ | ― | MR接種不可(生ワクチン) |
| 医療従事者・現地ボランティア | MR・B型肝炎・髄膜炎菌・破傷風 | Tdap・水痘 | 帯状疱疹 |
予防接種実施施設と費用の目安
国内での接種方法と費用
| 施設 | 特徴 | 費用相場 | 予約 |
|---|---|---|---|
| 渡航医学外来(Travel Clinic) | 渡航リスク評価・個別スケジュール立案 | ワクチン代+診察料2,000〜5,000円 | 要(1〜2週間前) |
| 一般内科・小児科 | 定期接種対応・比較的入手しやすい | ワクチン代+診察料1,500〜3,000円 | 要 |
| 企業健診センター | 出張予防接種対応 | ワクチン代+実施料800〜2,000円 | 要 |
| 空港隣接クリニック | 直前渡航対応(成田・羽田・関西) | ワクチン代+診察料2,000〜5,000円 | 要(当日対応も有) |
渡航医学外来は「感染症専門医」や「渡航医学認定医」が在籍し、目的地・渡航期間・個人リスク因子を総合評価した接種計画を立案します。費用は割高になる場合がありますが、個別対応の質と情報の正確性の観点から、初めての欧州長期渡航や複数のワクチンが必要な場合には利用価値が高いと言えます。
主要ワクチンの単価(参考)
| ワクチン | 単価(税込・目安) | 備考 |
|---|---|---|
| MR(麻疹・風疹混合) | 6,000〜9,000円 | 定期接種歴があれば不要の場合も |
| B型肝炎(1回分) | 5,000〜7,000円 | 3回完了で15,000〜21,000円 |
| 不活化ポリオ(IPV) | 8,000〜12,000円 | 追加接種のみの場合 |
| 破傷風トキソイド | 3,000〜5,000円 | 10年以内なら不要の場合も |
| Tdap(3種混合追加) | 4,500〜8,000円 | 破傷風・ジフテリア・百日咳 |
| 髄膜炎菌(4価) | 8,000〜12,000円 | 1回接種が一般的 |
| 帯状疱疹(組換えサブユニット、2回分) | 22,000〜45,000円 | 2回完了が必須 |
| 肺炎球菌(多価ポリサッカライドまたは結合型) | 7,000〜13,000円 | 65歳以上は自治体助成対象の場合あり |
費用はすべて目安であり、施設・地域・時期により変動します。複数ワクチンを接種する場合の総額は、20,000〜70,000円(目安)になることも珍しくありません。
薬剤師メモ: 帯状疱疹(組換えサブユニット)ワクチンは2回接種が必須で、1回目から2〜6ヶ月後に2回目を接種します。予防効果は90%以上と高く、50歳以上の長期渡航者に強く推奨されます。一部の健康保険組合では費用補助の対象となっている場合があるため、所属先の福利厚生担当部署に事前確認することをお勧めします。
デンマーク到着後の医療対応と留意点
渡航先での医療アクセス
デンマークの医療制度は公的健康保険(Danmarks nationale sygesikring)が基本ですが、観光客や短期滞在者は原則として利用できません。EU市民はEHIC(European Health Insurance Card)で一定の公的医療サービスを受けられますが、日本国籍者はこれに該当しないため、以下の対応が必要です。
- 民間保険への加入:渡航前に海外旅行保険(医療特約付き)に加入。キャッシュレス対応の保険はコペンハーゲンでも利用可能なクリニックがあります。
- 医療機関の情報収集:コペンハーゲン市内には英語対応の私立クリニック(Privatlæge)や救急病院(Rigshospitalet等)があります。在デンマーク日本大使館のウェブサイトで医療機関リストが公表されています。
- 薬局(Apotek)での対応:処方箋医薬品はApotek(デンマーク語で薬局)でのみ調剤・購入可能です。Apotekは全国展開しており、コペンハーゲン中央駅近くの店舗は夜間・休日も営業しています。市販薬(OTC薬)はApotekのほか、スーパーマーケットでも限定品目が購入可能です。
現地薬局での会話例:
-
I need something for a fever.(アイ ニード サムシング フォー ア フィーバー) -
Do you have prescription medicine for this?(ドゥ ユー ハヴ プレスクリプション メディスン フォー ディス?) -
I am allergic to penicillin.(アイ アム アラジック トゥ ペニシリン)
渡航先での感染症リスクと現地対策
デンマークにおける主な感染症リスクとして以下が挙げられます:
ライム病(ライムボレリア症):デンマーク南部や北部のユトランド半島ではマダニ(Ixodes ricinus)の生息が確認されており、春〜秋の野外活動時に注意が必要です。ワクチンは現在EU圏での一般流通がないため(研究段階の製品はある)、防虫対策(忌避剤・長袖着用・DEET含有スプレー等)が予防の基本となります。
インフルエンザ:デンマークの冬季(11〜3月)はインフルエンザシーズンと重なります。出発前に季節性インフルエンザワクチンを接種しておくことが推奨されます。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19):デンマークは公的な接種義務や入国要件を2023年以降緩和していますが、最新の外務省・厚生労働省情報を出発前に確認してください。
既往症・アレルギー情報の準備
- 英文の健康診断書(過去のワクチン接種記録含む)を携行。「Yellow Card(国際予防接種証明書)」形式で整備しておくと現地医療機関でも活用しやすい。
- アレルギー体質、服用中の医薬品をメモして所持。
- 卵アレルギーがある場合はワクチン選択時に申告(一部ワクチンは鶏卵を培養基に使用)。
- 長期滞在者は、常用薬の3ヶ月分以上を日本で準備し、各薬剤の成分名・規格・用法を記載した英文書類と処方箋のコピーを携行することが推奨されます。デンマークでは薬剤師(Farmaceut)の業務範囲が広く、成分名(一般名)を提示することで同一成分の現地製品を案内してもらえる場合があります。
薬剤師メモ: デンマークでは医薬品の処方箋は電子処方箋(e-recept)が主流で、処方箋を持参しても日本の処方箋は現地では使用できません。常用薬(血圧降下薬・糖尿病治療薬・抗凝固薬など)が途中で不足した場合は現地の医師を受診して処方してもらう必要があります。海外旅行保険の「治療費補償」が適用されるケースが多いため、保険証書と医療機関連絡先を常に携行してください。
よくある質問と回答
Q1. 妊娠中や授乳中でもワクチン接種できますか?
妊娠中は生ワクチン(MR・水痘など)は禁忌であり、接種できません。不活化ワクチン(インフルエンザ・B型肝炎など)は比較的安全とされており、リスク・ベネフィットを考慮した上で接種可能なものもあります。Tdap(3種混合追加)は妊娠27〜36週での接種が百日咳の母子免疫誘導の観点から推奨されている国もありますが、日本では産科医との相談が必須です。授乳中は全ワクチンについて概ね接種可能とされていますが、詳細は産科医・渡航医学外来で個別に相談してください。
Q2. 子ども(乳幼児)の予防接種はどうすればよいですか?
定期接種スケジュールに加え、渡航先リスクに応じて追加接種を検討します。B型肝炎・ポリオ・MRは強く推奨されます。乳幼児は月齢によって接種可能なワクチンの種類・回数が異なるため、かかりつけ小児科医と渡航医学外来での連携相談が必須です。なお、1歳未満の乳児へのMRワクチン接種は麻疹流行地への渡航前に例外的に推奨される場合がありますが、接種歴として定期接種にカウントされないため帰国後の定期接種継続が必要です。
Q3. 予防接種後、副反応が出た場合の対応は?
軽度な局所反応(腫脹・疼痛・発赤)や微熱は接種後24〜48時間以内に多く現れ、通常2〜3日で自然消失します。解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン・イブプロフェン等)で対症療法が可能ですが、接種前の予防投与は免疫応答を低下させる可能性があると指摘されているため、副反応が出てから対処することが望ましいとされています。重篤な反応(アナフィラキシー・高熱39℃以上が3日以上継続・意識障害)がある場合は直ちに医療機関を受診してください。接種施設では通常15〜30分の経過観察を行います。
Q4. ワクチンの有効性はどれくらい続きますか?
ワクチンの免疫持続期間は種類・個人差によって大きく異なります。麻疹・風疹(MR)は2回完了で実質終生免疫に近い保護が得られます。破傷風は10年ごとの追加接種が標準的な推奨です。B型肝炎は基礎免疫完了後15〜45年(目安)とされていますが、40歳以上や免疫抑制状態では早期に抗体価が低下する場合があります。帯状疱疹(組換えサブユニット)ワクチンは接種後7年以上の有効性が臨床試験で確認されており、長期的な保護が期待されています。渡航期間が長い場合や免疫状態に不安がある場合は、接種前に抗体価測定(麻疹・風疹・B型肝炎)を行うことで、不要な重複接種を避けることができます。
Q5. デンマーク側でワクチン接種を受けることはできますか?
デンマークの公衆衛生ワクチンプログラムはデンマーク国民・永住者向けであり、短期渡航の日本人が公費で接種を受けることは一般的にできません。コペンハーゲン市内のPrivatlæge(私立診療所)では自費接種が可能なものもありますが、費用・入手可能なワクチン品目はデンマーク国内の規制に依存します。渡航前に日本での接種を完了させることが費用・安心感ともに合理的です。
まとめ
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デンマーク渡航前に必須: MR(麻疹・風疹)・破傷風・ポリオ・B型肝炎は基本。定期接種歴を確認し、不足分を補充する
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推奨接種: 18〜25歳の髄膜炎菌ワクチン・50歳以上の帯状疱疹(組換えサブユニット)ワクチン・10年以上未追加のTdapを検討
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薬学的要点: 生ワクチンと不活化ワクチンの分類を理解し、同日接種・免疫抑制薬との相互作用・妊婦への禁忌を正確に把握することが安全な接種計画の基礎となる
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スケジュール: 出発4〜6週間前から渡航医学外来で相談。帯状疱疹・B型肝炎は完全完了に数ヶ月を要するため早めの計画を
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費用: ワクチン1種類あたり3,000〜12,000円程度。複数接種の場合は総額20,000〜70,000円(目安)
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現地対応: 海外旅行保険(医療特約付き)への加入を必須とし、在デンマーク日本大使館・コペンハーゲン市内の英語対応医療機関の情報を渡航前に把握しておく
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確認先: 最新情報は厚生労働省検疫所ホームページ(FORTH)・デンマーク大使館・CDCの渡航者向けページで常に確認してください
参考文献・情報源
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厚生労働省検疫所(FORTH)「デンマーク」渡航情報ページ
https://www.forth.go.jp/destination/country/europe/denmark/ -
WHO. International Travel and Health – Vaccine-preventable diseases.
https://www.who.int/ith/vaccines/en/ -
CDC (Centers for Disease Control and Prevention). Travelers' Health – Denmark.
https://wwwnc.cdc.gov/travel/destinations/traveler/none/denmark -
国立感染症研究所. 「麻疹ワクチン接種に関する情報(2023年)」
https://www.niid.go.jp/niid/ja/measles-top.html -
厚生労働省. 予防接種情報(ワクチンの種類・接種スケジュール)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/vaccine/ -
European Centre for Disease Prevention and Control (ECDC). Vaccine Schedule – Denmark.
https://vaccine-schedule.ecdc.europa.eu/Scheduler/ByCountry?SelectedCountryId=10 -
日本渡航医学会. 「渡航前ワクチン接種のガイドライン」
https://www.jstah.umin.ne.jp/
監修: 薬剤師(博士(薬学))