イスラエルでアレルギーになったら|現地で買える薬と薬局での買い方を薬剤師が解説
イスラエルは地中海性気候と砂漠性気候が混在する独特の自然環境を持ち、日本人渡航者がアレルギー症状を経験しやすい国の一つです。花粉・砂塵・食物・水質など複数の誘因が重なりやすく、「旅行中に突然くしゃみと目のかゆみが止まらなくなった」という訴えは珍しくありません。幸い、イスラエルの薬局アクセスは良好(pharmacyAccess: easy)であり、第2世代抗ヒスタミン薬を中心とした有効なOTC薬が広く流通しています。本記事では、博士(薬学)取得・薬剤師の立場から、原因の解説・重症度判定・現地での薬の入手方法・医療機関情報・帰国後の注意点まで、実践的かつ正確な情報をお届けします。
1. イスラエルでアレルギーになる原因
気候と植生がもたらす高い花粉濃度
イスラエルは国土が狭いながらも、北部の地中海性湿潤気候から南部ネゲヴ砂漠の乾燥気候まで多様な気候帯が混在します。この多様性が、複数種類の花粉が重なって飛散する「花粉カスケード現象」を生み出します。
- オリーブ花粉(3月〜5月):地中海沿岸全域に自生するオリーブ樹は、イスラエル最大の花粉発生源です。アレルゲン性が非常に高く、初めてオリーブ花粉に暴露された日本人旅行者でも急性の感作反応が起こることがあります。テルアビブやエルサレムでは春先に花粉濃度が著しく上昇します。
- イネ科花粉(4月〜6月):日本のカモガヤと同じイネ科植物が広く分布しており、日本で花粉症を持つ方はイスラエルでも症状が悪化しやすいです。
- 糸杉(サイプレス)花粉(11月〜1月):イスラエルでは冬に糸杉の花粉が飛散し、冬期渡航者の鼻炎・結膜炎の主因になります。日本ではほとんど遭遇しない種類のため、既存の薬が効きにくく感じるケースもあります。
砂塵と乾燥空気
ネゲヴ砂漠および隣接するシナイ半島からの砂塵が、春から夏にかけてハムシン(砂嵐)として内陸部に侵入します。砂漠由来の微粒子はPM2.5以下のサイズになることもあり、気道粘膜に直接沈着してアレルギー性鼻炎・咳の誘発因子になります。また年間降水量が非常に少ない内陸部では相対湿度が20〜30%台まで低下することがあり、鼻腔・眼の乾燥が炎症を悪化させます。
食物アレルギーの新規誘発
中東料理に使われるごまペースト(タヒニ)はごまアレルギーの代表的な誘発食品です。ごまアレルギーは日本でも増加傾向にあり、フムス、ファラフェル、シャクシュカなどイスラエルの定番料理には多量のタヒニが含まれます。また、ピスタチオ・クルミ・アーモンドなど中東産ナッツ類は日本のものと異なる品種・処理方法のため、日本では症状のなかった方でも反応することがあります。ザクロジュースも初回摂取でアレルギー反応を示した事例が報告されています(詳細は後述の参考文献参照)。
水道水の水質
イスラエルの水道水は世界有数の硬水であり、カルシウムとマグネシウムの含有量が非常に多いです。硬水への皮膚暴露は、もともと皮膚バリア機能が低下している方(アトピー素因)において皮膚炎症や湿疹様皮疹を悪化させることが知られています。シャワーや洗顔で皮膚が赤くなる、かゆくなるといった症状は水質が一因の可能性があります。
ホテル・室内環境
リゾートホテルや旧市街の宿泊施設では、エアコンフィルターに蓄積したハウスダストや真菌(カビ)胞子が室内に循環することがあります。乾燥した外気と過度に冷やされた室内の温度差も、鼻粘膜への刺激になります。
2. 重症度判定チェックリスト
アレルギー症状は軽症から生命に関わるアナフィラキシーまで幅広く、適切な重症度判定が対処法の選択に直結します。以下のチェックリストで現在の状態を確認してください。
🔴 緊急受診(今すぐ救急車 101番)
以下の症状が1つでもあれば、ただちに救急対応が必要です。
- 喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒュー音)がある、または息が吸いにくい
- 唇・舌・のどが腫れている、声がかすれている、飲み込みにくい
- 顔全体が急速に赤く腫れてきた
- 全身に蕁麻疹が数分のうちに広がっている
- 強いめまい・立ちくらみで立っていられない
- 冷汗・意識が遠くなる感覚・失神
- 胸痛・強い動悸・呼吸時の胸部圧迫感
- 激しい腹痛・繰り返す嘔吐・下痢が同時に起きている
これらはアナフィラキシーのサインです。エピネフリン自己注射薬(エピペン)を携帯している場合は迷わず使用し、使用後も必ず救急搬送を受けてください。
🟡 準緊急(当日中に医師・薬剤師に相談)
- 市販の抗ヒスタミン薬を服用しても2〜3時間で改善しない
- 目の充血・腫脹が強く、視力に影響している
- 顔や手足に浮腫(むくみ)が出ている
- 発熱(38℃以上)を伴うアレルギー様症状(感染症との鑑別が必要)
- 皮膚に水疱や滲出液を伴う発疹が出ている
- 妊娠中・授乳中・乳幼児・高齢者でのアレルギー症状
- 既知のアレルギーで通常より反応が強い
🟢 経過観察(OTCで対処可能)
- くしゃみ・鼻水・鼻づまりのみで全身症状なし
- 目のかゆみ・流涙のみ
- 皮膚の軽度のかゆみ・じんましんで範囲が限られている
- 過去に同様のアレルギー症状があり、抗ヒスタミン薬で改善した経験がある
- 呼吸・循環に問題なし
3. 現地薬局で買えるOTC薬
イスラエルの薬局(ヘブライ語:בֵּית מִרְקַחַת / Beit Mirkahat)は都市部・観光地を中心に広く分布しており、医師の処方箋なしに購入できる抗アレルギー薬が充実しています。以下の表は実在が確認されている成分・製品を中心にまとめています。なお価格は目安であり、為替・店舗により変動します(1シェケル≒約40〜45円、2024年時点の概算)。
第2世代抗ヒスタミン薬(OTC主力)
| ブランド名 | 有効成分(一般名) | 規格 | 1日用量の目安 | 価格目安 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| Claritine(クラリティン) | ロラタジン | 10mg/錠 | 1錠×1回 | 概ね60〜90シェケル/30錠 | 食事の影響を受けにくい、眠気少ない |
| Zyrtec(ジルテック) | セチリジン塩酸塩 | 10mg/錠 | 1錠×1回(夜推奨) | 概ね70〜110シェケル/30錠 | 国際的に広く流通する代表的製品 |
| Allegra(アレグラ) | フェキソフェナジン塩酸塩 | 120mgまたは180mg/錠 | 規格により異なる | 概ね100〜160シェケル | 眠気が最も少ない、鼻症状に有効 |
| セチリジン・ジェネリック各種 | セチリジン塩酸塩 | 10mg/錠 | 1錠×1回 | 概ね40〜60シェケル/30錠 | Tevaなどイスラエル国内製薬会社製 |
| ロラタジン・ジェネリック各種 | ロラタジン | 10mg/錠 | 1錠×1回 | 概ね40〜60シェケル/30錠 | 同上 |
薬剤師からのポイント:Tevaはイスラエル発祥の世界最大級のジェネリック医薬品メーカーです。イスラエル国内でTeva製のジェネリックは品質が高く、ブランド品と同等の効果が期待できます。コスト重視の方にはジェネリックを積極的に勧めます。
点眼薬・点鼻薬(アレルギー性結膜炎・鼻炎に)
| 剤形 | 主な有効成分 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 抗ヒスタミン点眼薬 | ケトチフェン等 | 目のかゆみ・充血に局所作用 | コンタクト装用中は使用前に外す |
| 生理食塩水点眼薬 | 塩化ナトリウム | 花粉・砂塵の洗い流しに有効 | 副作用なし、頻回使用可 |
| ステロイド点鼻薬 | フルチカゾン等 | 鼻づまりに最も有効 | 薬剤師に相談の上購入を |
| 生理食塩水点鼻薬 | 塩化ナトリウム | 鼻腔洗浄・加湿 | 副作用なし、乳幼児にも使用可 |
ステロイド点鼻薬はイスラエルでは一部OTCで入手できますが、初めて使用する場合は必ず薬剤師にご相談ください。長期連用は医師の管理下での使用が望ましいです。
注意:避けるべき成分・製品
**第1世代抗ヒスタミン薬(クロルフェニラミン、プロメタジン配合製品)**は強い眠気・認知機能低下・口渇を引き起こし、運転中や観光中には適しません。パッケージに "may cause drowsiness" または "Diphenhydramine / Chlorpheniramine / Promethazine" と記載されている製品はご注意ください。
プソイドエフェドリン(Pseudoephedrine)配合の鼻炎薬は血圧上昇・動悸リスクがあり、高血圧・心疾患・甲状腺疾患のある方は使用しないでください。
4. 現地語での症状表現・薬局での買い方フレーズ
イスラエルの薬局スタッフは英語を話せる方が多いですが、ヘブライ語での一言が信頼関係を築くきっかけになります。
英語・ヘブライ語フレーズ一覧
| 日本語 | 英語フレーズ(カタカナ発音) | ヘブライ語(音訳) | 発音ガイド |
|---|---|---|---|
| アレルギーがあります | I have allergies.(アイ ハヴ アレルジーズ) | יש לי אלרגיה | Yesh li alergiah(イェシュ リー アレルギア) |
| 抗ヒスタミン薬をください | I need an antihistamine.(アイ ニード アン アンチヒスタミン) | אני צריך אנטיהיסטמין | Ani tzarich antihistamin(アニ ツァリク アンチヒスタミン)※男性 |
| 目がかゆいです | My eyes are itchy.(マイ アイズ アー イッチー) | עיניי מגרדות | Einai megardot(エイナイ メガルドット) |
| 鼻が詰まっています | My nose is congested.(マイ ノーズ イズ コンジェステッド) | האף שלי סתום | Ha-af sheli satum(ハアフ シェリ サトゥム) |
| くしゃみが止まりません | I can't stop sneezing.(アイ キャント ストップ スニージング) | אני מתעטש כל הזמן | Ani mit'atesh kol hazman(アニ ミタテシュ コル ハズマン) |
| 眠くならない薬はありますか | Do you have a non-drowsy antihistamine?(ドゥ ユー ハヴ ア ノン ドラウジー アンチヒスタミン?) | יש לכם אנטיהיסטמין שלא מנמנם? | Yesh lachem antihistamin shelo menamen?(イェシュ ラヘム アンチヒスタミン シェロ メナメン?) |
| ジェネリックはありますか | Do you have a generic version?(ドゥ ユー ハヴ ア ジェネリック ヴァージョン?) | יש לכם גנרי? | Yesh lachem generi?(イェシュ ラヘム ゲネリ?) |
| 妊娠中でも使えますか | Is this safe during pregnancy?(イズ ディス セーフ デュアリング プレグナンシー?) | זה בטוח בהריון? | Ze batu'ach be-herayon?(ゼ バトゥアフ ベヘライオン?) |
| 子どもに使えますか | Is this safe for children?(イズ ディス セーフ フォー チルドレン?) | זה מתאים לילדים? | Ze matim leyeladim?(ゼ マティム レイェラディム?) |
薬局での典型的な会話例
薬局のカウンターに立ったら、まず以下のように始めると薬剤師がスムーズに対応してくれます。
あなた: "Excuse me, I have allergies and I'm looking for an antihistamine. I prefer something non-drowsy." (エクスキューズ ミー、 アイ ハヴ アレルジーズ アンド アイム ルッキング フォー アン アンチヒスタミン。 アイ プリファー サムシング ノン ドラウジー。)
薬剤師から聞かれることへの答え方:
- "How long have you had symptoms?"(どのくらい症状が続いていますか?) → "Since yesterday." または "For about 2 days."(シンス イエスタデイ / フォー アバウト トゥー デイズ)
- "Do you have any other medical conditions?"(他に持病はありますか?) → "No, I'm otherwise healthy." または "I have high blood pressure."(ノー / アイ ハヴ ハイ ブラッド プレッシャー)
5. イスラエルの医療事情
医療水準と医療体制
イスラエルの医療水準は世界的に高く、特に都市部(テルアビブ、エルサレム、ハイファ)の病院・クリニックは最先端の設備を持ちます。医師・薬剤師の多くが英語に堪能であり、医療機関でのコミュニケーションは比較的容易です。
主要な医療機関
| 施設名 | 場所 | 特徴 |
|---|---|---|
| Hadassah Medical Center(ハダサー医療センター) | エルサレム(アイン・カレム地区) | 世界的な研究機関、救急対応可 |
| Sheba Medical Center(シェバ医療センター) | テルアビブ郊外(テルハショメル) | イスラエル最大規模、国際患者部門あり |
| Tel Aviv Sourasky Medical Center(イキロフ病院) | テルアビブ市内 | アクセス良好、救急24時間 |
| Rambam Health Care Campus(ランバム医療センター) | ハイファ | 北部最大の医療拠点 |
外来クリニック・緊急医療
観光客向けのプライベートクリニックがテルアビブ、エルサレム、エイラットなど主要都市に存在します。急患対応は "Urgent Care Clinic"(アージェント ケア クリニック)として機能しており、アレルギー症状程度であれば待ち時間が比較的短いです。
費用と海外旅行保険
イスラエルの私立医療機関は費用が高額になることがあります。海外旅行保険に必ず加入し、クレジットカードの付帯保険の内容も渡航前に確認してください。処方薬の費用は保険適用外の場合、軽症でも数百〜数千シェケルになることがあります。
救急・緊急連絡先
| 機関 | 番号 | 備考 |
|---|---|---|
| 救急(Magen David Adom) | 101 | イスラエル赤十字相当、英語対応可 |
| 警察 | 100 | — |
| 消防 | 102 | — |
| 在イスラエル日本国大使館 | +972-3-695-7292 | テルアビブ(平日09:00〜17:00) |
| 大使館緊急連絡先 | +972-54-490-8484 | 緊急時24時間 |
日本語対応について
日本語を話す医師・スタッフが在籍する医療機関は現時点では限定的です。加入している保険会社の日本語緊急デスク(24時間対応のことが多い)を通じて医療機関を紹介してもらう方法が、言語面での不安を最小化する最善策です。渡航前に保険証書と緊急連絡先をスマートフォンに保存しておくことを強く推奨します。
6. 薬剤師の視点:渡航前準備・持参推奨OTC・現地入手のリスク
渡航前に準備すべき3つのこと
① 既往アレルギーの記録を英文で持参する
「スギ花粉・ダニアレルギーがある」「ごまアレルギーがある」といった情報を英語で記載したメモ(アレルギーカード)を携帯してください。食物アレルギーがある場合は特に重要で、レストランでの注文時にも役立ちます。
② エピネフリン自己注射薬(エピペン)を携帯する(対象者のみ)
過去にアナフィラキシーを経験したことがある方、または強いナッツ・ごまアレルギーを持つ方は、渡航前にアレルギー専門医に相談し、エピネフリン自己注射薬の処方を受けてください。イスラエルでも入手可能ですが、医師の処方が必要であり観光中に緊急入手するのは困難です。
③ 服用中の薬のリストを英語で作成する
βブロッカー(血圧薬の一種)を服用中の方はアナフィラキシー時にエピネフリンが効きにくくなることがあります。抗うつ薬・睡眠薬・抗不安薬などと抗ヒスタミン薬の相互作用について、渡航前にかかりつけ薬剤師に確認してください。
日本から持参推奨のOTC薬
イスラエルでは基本的に同成分の薬が入手できますが、慣れ親しんだ製品を持参することで万一の際も迷わず対処できます。
| 日本の製品名 | 有効成分 | 特徴 | 持参目安 |
|---|---|---|---|
| アレグラFX | フェキソフェナジン塩酸塩60mg | 第2世代、眠気少ない、日本最多販売 | 1〜2週間分 |
| クラリチンEX | ロラタジン10mg | 1日1回、食事の影響なし | 1〜2週間分 |
| コンタック鼻炎Z | セチリジン塩酸塩10mg | 1日1回、夜間服用向き | 1〜2週間分 |
| ザジテンAL鼻炎錠 | ケトチフェンフマル酸塩(相当量) | 皮膚アレルギーにも対応 | 1週間分 |
持参時の税関・入国注意点:イスラエル入国時、個人使用の範囲(概ね1〜3ヶ月分)のOTC薬は持ち込み可能です。液体・ジェル状の薬品は機内持ち込みの液体制限(100ml以下)に従ってください。薬品は英語の成分表示または英文のパッケージが確認できる形で携帯することを推奨します。
現地入手に関する薬剤師からの注意
現地のジェネリック薬は品質が高く問題ありませんが、以下の点に注意してください。
- 成分濃度の確認:日本のアレグラFX(60mg)とイスラエルのAllegra(120mgまたは180mg規格)では濃度が異なります。購入前に必ず規格を確認し、日本での用量と異なる場合は薬剤師に相談してください。
- 添加物・着色料の違い:製品によってはラクトース(乳糖)が添加剤として含まれる場合があります。乳アレルギーがある方はパッケージの成分表を確認するか薬剤師にお尋ねください。
- 観光地・空港の薬局価格:空港内・観光地付近の薬局は割高になる傾向があります。市街地のチェーン薬局の方が適正価格で入手できます。
7. 帰国後の観察ポイント
アレルギー症状が帰国後も続く場合
帰国後2週間以内に症状が自然に改善する場合は、イスラエルでの環境(花粉・砂塵・食物)が原因である可能性が高く、特別な追加対応は不要なことが多いです。
受診を検討すべき症状・状況
- 帰国後2週間以上症状が続く:日本で感作が成立した可能性があり、アレルギー専門医でのIgE検査(血液検査)を推奨します。
- 帰国後に発熱(38℃以上)を伴うアレルギー様症状:感染症(特にデング熱、ウエストナイル熱など節足動物媒介感染症)との鑑別が必要です。渡航歴を必ず医師に伝えてください。
- 皮膚症状が帰国後に悪化した場合:疥癬(ヒゼンダニ感染)が一部の宿泊施設で感染するケースがあります。激しい夜間のかゆみ・指間・腋下の発疹が特徴的で、アレルギーとの鑑別が重要です。
- 目の症状が帰国後も改善しない場合:細菌性・ウイルス性結膜炎はアレルギー性結膜炎と症状が類似します。目やにが増える、目が充血して痛みがある場合は眼科受診を優先してください。
輸入感染症との見分け方チェックポイント
| チェック項目 | アレルギーの特徴 | 感染症を疑う特徴 |
|---|---|---|
| 発熱 | 通常なし | 38℃以上の発熱を伴うことが多い |
| 症状の発現タイミング | 花粉・食物・環境因子への暴露後すぐ | 暴露(蚊に刺される等)から数日〜2週間後 |
| 全身倦怠感 | 軽微 | 強い疲労・関節痛・頭痛を伴う |
| 皮膚症状 | 蕁麻疹・かゆみが主 | 発疹が体幹から広がる、点状出血を伴う |
| 抗ヒスタミン薬への反応 | 数時間で改善傾向 | 改善しない |
帰国後に感染症が疑われる場合は、必ず渡航歴をかかりつけ医・感染症内科に伝えてください。ウエストナイル熱はイスラエル・中東地域で報告があります。
帰国後の経過記録のすすめ
- 渡航中に何を食べたか、どの地域を訪れたか、いつ症状が出たかをメモしておくと、帰国後のアレルギー科受診時に非常に役立ちます。
- 特に新規の食物(タヒニ、ピスタチオ等)を食べた後に症状が出た場合は、その食品名を記録しておきましょう。日本でのIgE検査で特異的なアレルゲンを特定できます。
8. まとめ:イスラエルでのアレルギー対処フローチャート
症状発生
↓
🔴 呼吸困難・顔面腫脹・意識障害?
→ YES → 今すぐ 101(救急)
→ NO ↓
🟡 抗ヒスタミン薬で改善しない・発熱・強い浮腫?
→ YES → 当日中に医師受診
→ NO ↓
🟢 軽度のくしゃみ・鼻水・目のかゆみ
→ 現地薬局でセチリジン / ロラタジン / フェキソフェナジン購入
→ 改善しなければ薬剤師・医師に相談
✅ 現地ですぐ買える:Zyrtec(セチリジン)またはClaritine(ロラタジン)が入手しやすく、1日1回で24時間効果が続きます。Tevaのジェネリックも品質十分で安価です。
✅ 薬局での伝え方:英語で "I need a non-drowsy antihistamine."(アイ ニード ア ノン ドラウジー アンチヒスタミン) と言えばほぼ確実に通じます。
✅ 日本から持参推奨:アレグラFX・クラリチンEX・コンタック鼻炎Zのいずれか1〜2週間分を持参すると最も安心です。
✅ 帰国後:2週間以上症状が続く、または発熱を伴う場合はアレルギー科・感染症内科を受診し、渡航歴を必ず伝えてください。
参考文献
-
World Health Organization (WHO). "Pollen Allergy." WHO Official Website. https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/allergens(参照日:2024年)
-
Centers for Disease Control and Prevention (CDC). "West Nile Virus — Israel." CDC Travel Health. https://wwwnc.cdc.gov/travel/destinations/traveler/none/israel(参照日:2024年)
-
外務省. 「イスラエル国 感染症・衛生情報」外務省海外安全情報. https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_098.html(参照日:2024年)
-
Israel Ministry of Health (MoH). "Allergy and Asthma Information." Israeli Government Health Portal. https://www.gov.il/en/departments/ministry_of_health(参照日:2024年)
-
Bousquet J, et al. "Allergic Rhinitis and its Impact on Asthma (ARIA) 2008 update." Allergy. 2008;63(Suppl 86):8-160. https://doi.org/10.1111/j.1398-9995.2007.01620.x
-
EAN (European Academy of Allergy and Clinical Immunology). "EAACI Food Allergy and Anaphylaxis Guidelines." https://www.eaaci.org(参照日:2024年)
-
独立行政法人国立国際医療研究センター. 「海外渡航者のための感染症情報」. https://www.ncgm.go.jp/pressrelease/2020/20200903_1.html(参照日:2024年)
免責事項
本記事は博士(薬学)取得・薬剤師の資格を持つ執筆者が、一般的な薬学情報・医療情報の提供を目的として作成したものです。本記事の情報は特定個人の診断・治療・処方を目的とするものではありません。アレルギー症状の診断・治療の判断は必ず医師が行うものであり、本記事の内容をもって医師の診断に代替することはできません。掲載している薬品の価格・規格・入手可能性は執筆時点の情報をもとにした目安であり、現地での状況・為替変動・時期によって異なる場合があります。海外渡航中の健康管理については、渡航前にかかりつけ医・薬剤師にご相談の上、海外旅行保険に必ず加入してください。
監修:薬剤師(博士(薬学))