ポルトガルでアレルギーになったら|現地で買える薬と買い方を薬剤師が解説
ポルトガルは温暖な地中海性気候と豊かな自然を持つ国ですが、日本とは異なる植生・食文化・建築様式により、渡航者がアレルギー症状を発症するリスクは決して低くありません。「旅行中に急に鼻水が止まらなくなった」「目がかゆくて観光どころではない」という経験をされる方は毎年多くいます。本記事では博士(薬学)取得・薬剤師の立場から、原因の解説から現地OTC薬の具体的な購入方法まで、渡航前後に役立つ情報を網羅的にお伝えします。
ポルトガルでアレルギーになる原因
気候・植生が生む独特のアレルゲン環境
ポルトガルは北部の湿潤な大西洋性気候から南部アルガルヴェの乾燥した地中海性気候まで、国土の中で多様な気候帯が混在しています。この気候的多様性が、花粉の飛散時期を長期化・複雑化させる大きな要因です。
春(3〜5月) はイネ科植物の花粉が最も多く飛散する時期です。特にアレンテージョ地方の広大な平野部や北部のミーニョ地方では、広大な牧草地・農地から大量の花粉が放出されます。日本のスギ花粉症に慣れた渡航者でも、ポルトガルのイネ科花粉は異なるアレルゲンタンパク質を持つため、新たに感作されるケースがあります。
オリーブ花粉はポルトガル特有のリスクです。ポルトガルはオリーブオイルの主要産地であり、南部を中心に広大なオリーブ農園が広がっています。オリーブの開花時期(5〜6月)には大量の花粉が飛散し、日本ではほぼ接触しないアレルゲンであるOle e 1タンパク質に対して反応が出やすいとされています。初渡航者ほど未感作のため、予想外の発症リスクがあります。
秋(8〜10月) にはブタクサ(Ambrosia)やヨモギ属(Artemisia)の花粉が増加します。リスボン近郊やポルト都市圏など、都市化された地域でもこれらの雑草花粉は高濃度で観測されます。
建築・生活環境によるハウスダスト・ダニ
ポルトガルの旧市街(リスボンのアルファマ地区、ポルトのリベイラ地区など)は石造り・タイル張りの歴史的建築物が多く、これらの建物は通気性が低く湿度が高くなりやすい構造です。ダニ(ヤケヒョウヒダニ・コナヒョウヒダニ)はこのような湿潤環境を好むため、古い宿泊施設やゲストハウスではダニアレルゲン濃度が高い場合があります。Airbnbなどで築年数の古い物件を選んだ場合はとくに注意が必要です。
食文化による食物アレルギーリスク
ポルトガル料理は新鮮な海産物を多用します。バカリャウ(塩タラ)はすべての料理に入っているといっても過言ではなく、甲殻類(エビ・カニ)、二枚貝も頻繁に使われます。魚介類アレルギーを持つ方は食材表示が読めない環境での外食リスクが高まります。また、パスタ類・焼き菓子(パステル・デ・ナタなど)に含まれるナッツ類(アーモンド、ピーナッツ)も潜在的なアレルゲンです。
水質・大気汚染の影響
ポルトガルの水道水は地域によってカルシウム・マグネシウム含有量(硬度)が異なります。硬水に慣れていない日本人は、皮膚への刺激によりアトピー性皮膚炎が悪化したり、既存の鼻粘膜炎症が増悪したりするケースがあります。リスボン都市圏では自動車交通量による窒素酸化物・粒子状物質(PM2.5)の影響も無視できません。
重症度判定チェックリスト
渡航中に症状が出た際、自分でどの程度の対応が必要かを判断するための基準です。
🚨 レベル1:緊急受診(直ちに112へ電話または救急へ)
以下の症状が1つでもある場合は、OTC薬を使う前にすぐに救急対応が必要です。
- 呼吸困難、息を吸うたびにゼーゼーと音がする(喘鳴)
- 喉・舌・口唇が急速に腫れている(血管浮腫)
- 顔面蒼白、強い動悸、めまいで立っていられない
- 意識がぼんやりする、失神しそう
- 蕁麻疹が全身に急速に広がっている
- 嘔吐・腹痛が突然強く起こり、皮膚症状も伴っている
これらはアナフィラキシーの典型的な症状です。ポルトガルの救急番号は 112 です。エピペン(アドレナリン自己注射)を処方されている方は直ちに使用してください。
⚠️ レベル2:準緊急(24〜48時間以内に医療機関受診)
- OTC抗ヒスタミン薬を2日間服用しても改善しない
- 発熱(37.5℃以上)を伴うアレルギー様症状
- 目の充血・かゆみに加えて、目の痛みや視力の低下がある
- 鼻水が黄色または緑色で、顔面(ほお骨・額)の痛みを伴う
- 皮膚の発疹が水疱化している、または急速に広がっている
- 喘息の既往がある患者で、夜間に強い咳が止まらない
これらは感染症の合併(副鼻腔炎、角膜炎など)や喘息発作の可能性があり、抗菌薬や吸入薬などOTC以上の対応が必要になり得ます。
✅ レベル3:経過観察(OTC薬で対応可能)
- くしゃみ・鼻水・目のかゆみのみで全身症状がない
- 症状が特定の場所(屋外、特定の部屋)にいるときだけ悪化する
- 発熱がなく、食欲・体力は維持されている
- 過去に同様の季節性アレルギーの既往がある
- 症状が軽度で日常生活にほぼ支障がない
この状態であれば、次のセクションで紹介するOTC薬の使用が適切な選択肢です。
現地薬局で買えるOTC薬
ポルトガルの薬局(Farmácia)では、処方箋なしで幅広い抗アレルギー薬を購入できます。下記の製品は実際にポルトガル国内で流通が確認されている製品または有効成分です。価格は目安であり、店舗・地域・ジェネリックの有無によって変動します。
主要OTC抗アレルギー薬一覧
| ブランド名 | 有効成分(一般名) | 用法用量 | 価格目安 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|---|
| Zirtec / Zyrtec | セチリジン塩酸塩 10mg | 1日1回10mg | €3〜5/箱(10錠) | ポルトガル全土で最も入手しやすい第二世代抗ヒスタミン薬。眠気が比較的少ない |
| Clarityn | ロラタジン 10mg | 1日1回10mg | €4〜6/箱(7〜10錠) | 中枢神経移行性が低く眠気が出にくい。運転・観光中の服用に適する |
| Telfast | フェキソフェナジン塩酸塩 120mg / 180mg | 120mg 1日2回、または180mg 1日1回 | €6〜9/箱 | 第二世代の中でも眠気が最も少ない。QT延長リスクがなく心臓への安全性が高い |
| Aerius | デスロラタジン 5mg | 1日1回5mg | €5〜8/箱 | ロラタジンの活性代謝物。効果発現が速やかとされる |
| Avamys | フルチカゾンフランカルボン酸エステル点鼻液 | 各鼻孔に1スプレー、1日1回 | €8〜11/本 | 鼻噴霧ステロイド。くしゃみ・鼻閉・鼻水に対する局所効果が高く全身吸収が少ない |
| Flixonase / Flixotide nasal | フルチカゾンプロピオン酸エステル点鼻液 | 各鼻孔に2スプレー、1日1回 | €7〜10/本 | Avamysと同様の局所ステロイド。長期管理にも使用される |
| アレルギー性結膜炎用点眼薬(成分名:ケトチフェンまたはアゼラスチン配合) | ケトチフェンまたはアゼラスチン | 1回1〜2滴、1日2〜4回 | €5〜8/本 | 目のかゆみ・充血に対応。ブランド名は店舗によって異なるため、薬剤師に「anti-histaminic eye drops(アンタイ ヒスタミニック アイ ドロップス)」と伝えて確認を |
薬局チェーンについて: ポルトガルの薬局は独立経営が多いですが、Farmácias Portuguesas加盟店(白十字マークが目印)はほぼ全国にあります。大都市ではWellsやHolon等の薬局チェーンも展開しています。
OTC薬選択のポイント(薬剤師の視点)
主症状が鼻水・くしゃみ・目のかゆみのみであれば、第二世代抗ヒスタミン薬(セチリジン、ロラタジン、フェキソフェナジン)のいずれかを1日1回服用するのが基本です。運転する予定がある方や日中の活動を優先したい場合はロラタジンまたはフェキソフェナジンが特に適しています。
鼻閉(鼻づまり)が主体の場合は、抗ヒスタミン薬単独では効果が不十分なことがあります。点鼻ステロイド(Avamys等)を追加すると改善が得られやすいです。ただし点鼻ステロイドの効果発現には数日かかるため、急性症状への即効性は期待しないようにしてください。
目の症状が強い場合は、抗ヒスタミン内服薬に加えて抗ヒスタミン系点眼薬を併用するのが効果的です。血管収縮薬(テトラヒドロゾリン等)配合の充血除去系点眼薬は連続5日以内の使用にとどめてください。長期使用により反跳性充血(使用中止後に充血が悪化する状態)が起こります。
現地語での症状の伝え方・薬局での買い方
薬局での基本フレーズ一覧
| 日本語 | ポルトガル語 | 英語(カタカナ発音付き) |
|---|---|---|
| アレルギーがあります | Tenho alergia. | I have allergies.(アイ ハヴ アラジーズ) |
| 花粉症です | Tenho rinite alérgica. | I have hay fever.(アイ ハヴ ヘイ フィーバー) |
| 目がかゆいです | Tenho comichão nos olhos. | My eyes are itchy.(マイ アイズ アー イッチー) |
| 鼻水が止まりません | Tenho corrimento nasal. | I have a runny nose.(アイ ハヴ ア ラニー ノーズ) |
| くしゃみが続きます | Estou a espirrar muito. | I keep sneezing.(アイ キープ スニージング) |
| 喉がかゆいです | Tenho comichão na garganta. | My throat is itchy.(マイ スロート イズ イッチー) |
| 処方箋なしの抗ヒスタミン薬はありますか | Tem anti-histamínico sem receita? | Do you have antihistamines without a prescription?(ドゥ ユー ハヴ アンタイヒスタミンズ ウィズアウト ア プリスクリプション?) |
| 眠くなりにくい薬が欲しい | Quero um medicamento sem sonolência. | I'd like a non-drowsy one.(アイド ライク ア ノン ドロウジー ワン) |
| ジェネリック薬はありますか | Tem medicamento genérico? | Do you have a generic version?(ドゥ ユー ハヴ ア ジェネリック ヴァージョン?) |
| これを飲み合わせても大丈夫ですか | Posso tomar este com outros medicamentos? | Is this safe to take with other medicines?(イズ ディス セーフ トゥ テイク ウィズ アザー メディスィンズ?) |
薬局での実践的な手順
- 薬局(Farmácia)を探す:ポルトガルの薬局は緑色または白色の十字マーク(Cruz Verde)が目印です。夜間や日曜日に閉まっている店舗が多いため、ホテルのフロントに「最寄りの開いている薬局」を事前に確認しておくと安心です。
- カウンターで薬剤師に声をかける:ポルトガルの薬局は対面販売が基本で、薬剤師(Farmacêutico)が必ず常駐しています。英語対応できる薬剤師も都市部では多いです。
- 症状を伝える:上記フレーズを使って症状・持病・現在服用中の薬を伝えましょう。
- ジェネリックを確認する:ポルトガルではジェネリック(medicamento genérico)が充実しており、先発品の半額程度で購入できることがあります。
避けるべき成分・注意が必要な薬
第一世代抗ヒスタミン薬(鎮静性)
クロルフェニラミン(Chlorphenamine)、プロメタジン(Phenergan)、ジメチンデン(Fenistil)などの第一世代抗ヒスタミン薬は、ポルトガルの薬局でも入手可能です。これらは強い眠気・集中力低下・口渇・尿閉を引き起こすため、旅行中の服用は原則推奨しません。見分け方のポイントは「Com sonolência(眠気あり)」という表記です。高齢者では転倒リスク、お子さんでは逆に興奮・不眠を起こすことがあります。
血管収縮薬配合の点鼻薬
オキシメタゾリン(Oxymetazoline)やキシロメタゾリン(Xylometazoline)配合の点鼻薬は急性鼻閉に即効性がありますが、連続使用は3日以内が原則です。それを超えると反跳性鼻閉(薬剤性鼻炎)を起こし、薬なしでは鼻が詰まった状態が続く依存状態になります。アレルギー性鼻炎の長期管理には点鼻ステロイドの方が適切です。
偽造品・路上販売品への注意
ポルトガルは欧州医薬品庁(EMA)管轄下にある国であり、正規薬局での偽造品リスクは他の地域と比べて低いです。ただしオンラインサイトや認可外店舗からの購入は避けてください。正規薬局の見分け方は「Farmácia」の看板・十字マーク・薬剤師の常駐の3点です。
日本OTCとの成分比較・持参薬の検討
| ポルトガル製品 | 有効成分 | 日本の対応OTC | 備考 |
|---|---|---|---|
| Zirtec / Zyrtec | セチリジン塩酸塩10mg | アレジオンAL10(エスエス製薬)など | 同成分・同用量。日本版を持参すれば問題なし |
| Clarityn | ロラタジン10mg | クラリチンEX(バイエル薬品) | 同成分・同用量 |
| Telfast | フェキソフェナジン塩酸塩 | アレグラFX(久光製薬) | 日本のFX規格は60mg×2回。ポルトガルの180mg規格とは異なる |
| Avamys 点鼻薬 | フルチカゾンフランカルボン酸エステル | 日本では医療用のみ | 日本では処方必要。ポルトガルではOTC購入可能 |
| デスロラタジン(Aerius) | デスロラタジン5mg | 日本では医療用のみ | ポルトガルでOTC購入可能 |
ポルトガルの医療事情
医療制度の概要
ポルトガルは国民保健サービス(SNS: Serviço Nacional de Saúde)を持つ公的医療制度の国です。EU市民には原則無料で提供されますが、日本国籍の旅行者は外国人として一定の自己負担が発生します。旅行保険(海外旅行傷害保険)に加入していれば、医療費の払い戻しが受けられる場合がほとんどです。
医療機関の種類と受診の流れ
| 機関の種類 | 特徴 | アクセス |
|---|---|---|
| 公立病院(Hospital público) | 費用が比較的安いが待ち時間が長い(数時間〜) | 紹介状なしでも救急はERから受診可能 |
| 私立クリニック・病院 | 待ち時間が短く英語対応可能なことが多い | 旅行保険があれば費用はカバーされることが多い |
| 緊急診療センター(Centro de Saúde) | 軽症向けの地域医療機関。予約制が多い | 旅行者には利用しにくいことも |
| 薬局(Farmácia) | 軽症のトリアージ・OTC薬相談が可能 | 街中に多く最もアクセスしやすい |
救急・緊急連絡先
- 救急番号(警察・消防・救急共通):112
- リスボン主要病院:Hospital de Santa Maria(リスボン大学病院)、Hospital CUF(私立、英語対応)
- ポルト主要病院:Hospital de São João(ポルト大学病院)、Hospital CUF Porto(私立)
日本語対応医療機関
ポルトガルには日本語専門の医療機関は現時点で確認されていません。英語対応可能な私立クリニックを選ぶか、渡航前に加入した旅行保険会社の緊急デスク(24時間日本語対応)を利用してください。在ポルトガル日本国大使館(リスボン)も緊急時の問い合わせに対応しています。
- 在ポルトガル日本国大使館:Avenida da Liberdade 245-6˚, 1269-033 Lisboa 電話:+351-21-311-0560
薬剤師の視点:渡航前準備と持参薬
渡航前に準備しておくべきこと
アレルギーの既往がある方は、渡航前にかかりつけ医・アレルギー専門医を受診して、以下を確認・準備しましょう。
- 自分のアレルゲンを正確に把握する:花粉症であれば何の花粉か、食物アレルギーであれば何に反応するかを明確にしておくと、現地での回避行動が取りやすくなります。
- 英文の診断書または薬剤情報を取得する:ポルトガルの薬剤師や医師に自分のアレルギー歴・服用中の薬を伝えるための英文書類を準備しましょう。「アレルギー性鼻炎」はAllergic rhinitis、「食物アレルギー」はFood allergy、「アナフィラキシー」はAnaphylaxis と表記します。
- エピペン所持者は航空機への持ち込みルールを確認する:医療用途の注射薬は機内持ち込み可能ですが、処方箋または医師の証明書を合わせて携帯することが推奨されます。
持参を推奨するOTC薬リスト
| 薬の種類 | 推奨する持参薬の成分 | 理由 |
|---|---|---|
| 第二世代抗ヒスタミン薬(内服) | セチリジン、ロラタジン、フェキソフェナジン | ポルトガルでも入手可能だが、使い慣れた日本の製品の方が安心。1〜2週間分 |
| 点眼薬(抗ヒスタミン系) | ケトチフェン配合点眼薬 | 眼症状が強い方は持参推奨。現地でも入手可能だが、ブランド名が異なり選ぶのに手間がかかる |
| 保湿剤・バリア修復外用薬 | ヘパリン類似物質、白色ワセリン等 | 硬水・乾燥気候によるアトピー性皮膚炎悪化への備えとして |
現地入手の注意点
ポルトガルの薬局でのOTC薬入手は「easy(容易)」な環境ですが、以下の点には注意が必要です。
- 薬局の営業時間:平日18時前後に閉店する店舗が多く、土日は午後から閉まるところもあります。夜間・日曜日に開いている当番薬局(Farmácia de serviço)の情報はドア張り紙や地域のウェブサイトで確認できます。
- 夏季(7〜8月)のリスク:観光シーズンはリスボン・アルガルヴェ地方の薬局が混雑するため、薬剤師への相談に時間がかかることがあります。
- 言語の壁:北部や地方都市では英語が通じない薬剤師もいます。本記事のポルトガル語フレーズを画面に表示して見せる方法が有効です。
帰国後の観察ポイント:輸入感染症との鑑別
アレルギーと感染症を間違えないために
渡航中・帰国後に続く「アレルギー様症状」の中には、感染症が隠れていることがあります。特にポルトガル南部(アルガルヴェ地方)やアフリカとの往来が多い地域では、以下の感染症との鑑別が必要です。
| 症状の組み合わせ | 疑うべき状態 | 対応 |
|---|---|---|
| 帰国後2〜3週間以内の発熱 + 頭痛 + 筋肉痛 | ウエストナイル熱(ポルトガルでの感染報告あり)、インフルエンザ | 内科・感染症科を受診。海外渡航歴を必ず伝える |
| 皮膚の丘疹・かゆみ + 発熱 | ダニ刺症、リケッチア症 | 皮膚科または内科受診 |
| 目の充血 + 分泌物 + 発熱 | ウイルス性結膜炎(アデノウイルス等) | 眼科受診。抗ヒスタミン点眼薬では改善しない |
| 鼻症状 + 帰国後も3週間以上続く | アレルギー性鼻炎の新規感作 vs. 慢性副鼻腔炎 | 耳鼻科受診・アレルギー検査を検討 |
帰国後に受診が必要な症状
以下の症状が帰国後2〜4週間以内に現れた場合は、海外渡航歴を伝えた上で内科または感染症科を受診してください。
- 発熱(37.5℃以上)が2日以上続く
- 皮膚に原因不明の発疹・水疱が出現
- 目の充血が抗ヒスタミン点眼薬で改善しない
- リンパ節腫脹を伴う
- 体重減少・持続する倦怠感
アレルギーの新規感作が起こった場合
ポルトガル渡航後に「以前は問題なかった食品や物質でアレルギーが出るようになった」という場合は、新規感作(以前はアレルゲンに対して反応していなかったが、今回の渡航で感作が成立した状態)の可能性があります。帰国後にアレルギー内科または耳鼻科でアレルゲン特異的IgE検査を受けることをお勧めします。
よくある質問(FAQ)
Q:ポルトガルの薬局でロラタジンやセチリジンは処方箋なしで買えますか?
A:はい、ポルトガルでは第二世代抗ヒスタミン薬(ロラタジン、セチリジン、フェキソフェナジン)はOTC(処方箋不要)で購入できます。ただし薬剤師が常駐するFarmáciaで購入するようにしてください。
Q:子どもにも現地のOTC薬は使えますか?
A:小児への使用は年齢・体重によって用量が異なり、使用可能年齢も製品によって異なります。現地の薬剤師に子どもの年齢と体重を伝えて確認するか、渡航前に日本の小児科で処方してもらった薬を持参することをお勧めします。
Q:妊娠中ですがアレルギー症状が出ました。どうすればいいですか?
A:妊娠中の薬の使用は必ず医師に相談が必要です。OTC薬を自己判断で服用することは避け、現地の産婦人科・内科または旅行保険会社の緊急デスクに相談してください。
参考文献
-
European Medicines Agency (EMA): "Authorisation of medicines in the EU" https://www.ema.europa.eu/en/human-regulatory-overview/authorisation-medicines-eu
-
INFARMED – Autoridade Nacional do Medicamento e Produtos de Saúde (ポルトガル国家医薬品・医療製品庁): https://www.infarmed.pt/
-
World Health Organization (WHO): "Allergic rhinitis and its impact on asthma (ARIA) guidelines" https://www.who.int/
-
Bousquet J et al.: "Allergic Rhinitis and its Impact on Asthma (ARIA) 2019 update." J Allergy Clin Immunol. 2019;144(5):1472-1479.
-
外務省: 「ポルトガル 安全情報」 https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_058.html
-
Aeroallergen Network (European Academy of Allergy and Clinical Immunology): Pollen monitoring in Portugal https://www.eaaci.org/
-
厚生労働省: 「海外渡航と感染症・医薬品について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/travel/
まとめ
ポルトガルでのアレルギー対策を整理すると以下の通りです。
- 原因:イネ科・オリーブ花粉(春〜初夏)、秋の雑草花粉、古い建物のダニ、海産物・ナッツを使った料理など、日本とは異なるアレルゲン環境がある
- OTC薬:第二世代抗ヒスタミン薬(セチリジン、ロラタジン、フェキソフェナジン)が処方箋なしで薬局で購入可能
- 重症サイン:呼吸困難・喉の腫れ・意識障害はアナフィラキシーの可能性。直ちに112へ
- 医療機関:私立クリニック(英語対応あり)または旅行保険会社の緊急デスクを活用
- 帰国後:発熱・発疹が続く場合は渡航歴を伝えて内科受診を
旅行前に自分のアレルギーの状態を医師に確認し、常備薬を十分に持参することが最善の備えです。現地の薬局でも十分に対応できる環境が整っていますので、症状が出ても慌てずに本記事のフレーズを活用してください。
免責事項
本記事は薬剤師(博士(薬学))が一般的な薬学情報・旅行医学の知識に基づいて執筆した情報提供を目的としたものです。個々の症状に対する診断・治療方針の決定は医師の判断が必要であり、本記事の内容をもって医療行為の代替とすることはできません。薬の購入・服用に際しては、現地の薬剤師または医師に相談の上、添付文書に従って使用してください。記載した価格・製品情報は執筆時点のものであり、変更される場合があります。
監修:薬剤師(博士(薬学))