タイで乗り物酔いになったら|現地で買える薬と薬局での買い方を薬剤師が解説

タイならではの事情(薬剤師視点)

同じ症状でも、渡航先の医療事情・薬局・水質・気候によって対処法は変わります。タイ固有のポイントをまず確認してください。

現地の薬局アクセス
薬局アクセス容易

現地の薬局で英語や簡単な表現で購入可能、品質も概ね安定。

この症状でタイ渡航中によくある原因

タイへの渡航者が経験する乗り物酔いは、主に以下のシーンで起きます。

  • 飛行機: 成田・関西からの長時間フライト(7-9時間)での気圧変化と揺れ
  • バス・ミニバン: バンコク~チェンマイ間の山越えルート、または南部への長距離移動
  • フェリー・クルーズ: プーケット発のアイランドツアー、パンガー湾クルーズ

タイの場合、バス路線が頻繁でかつ運転が荒いため、バスでの発症が特に多いです。また、熱帯気候で脱水状態になると症状が悪化します。


現地薬局で買える薬(ブランド名・成分・用量)

1. Dramamineドラマミン(ドラマミン)

有効成分: ジメンヒドリナート(Dimenhydrinate) 50mg
規格: 1錠 = 50mg、1箱に10-12錠
用法: 乗車30分前に1錠、または4-6時間ごとに1錠(1日最大4錠)
特徴: タイ全域のファーマシー(Boots, Watsons等)で最も入手しやすい。一般的な選択肢。

2. Bonineボニン(ボナイン)

有効成分: メクリジン塩酸塩(Meclizine HCl) 25mg
規格: 1錠 = 25mg、1箱に8-10錠
用法: 乗車30分前に1-2錠、以降8時間ごと(1日最大4錠)
特徴: 眠気が若干少ないとされる。ジメンヒドリナートより長時間効く(4-6時間 vs 8時間)。

3. Gravol(グラボール)

有効成分: ジメンヒドリナート 50mg
規格: 1錠 = 50mg、1箱に10錠
用法: 乗車30分前に1錠、4-6時間ごと(1日最大4錠)
特徴: カナダ発祥の製品だがタイでも流通。Dramamineドラマミンとほぼ同等。

4. スコポラミン貼付剤(Scopolamine patch)

有効成分: スコポラミン(Hyoscine)0.5mg
用法: 乗車2-4時間前に耳の後ろに貼付、72時間持続
特徴: 処方箋不要で薬局でも入手可能(医師の指示推奨)。長時間効果が続くため長距離バスに向く。ただし瞳孔散大や口渇が起きやすい。


現地語での症状の伝え方(英語+タイ語の例)

英語での伝え方

「I have motion sickness / car sickness.」
(乗り物酔いです)

「I need something for nausea and dizziness while traveling.」
(移動中の吐き気とめまいの薬が欲しいです)

タイ語での伝え方

ยา เมา รถ ได้ ไหม  
(ヤー モー ロット ダイ ไหม = 乗り物酔いの薬ありますか?)

ผม / ฉัน เมา รถ  
(ポム/チャン モー ロット = 私は乗り物酔いです)

薬局スタッフへのおすすめの伝え方:

「I need Dramamine or Bonine. I'm traveling by bus/plane tomorrow.」

こう言えば、大体の薬局スタッフは該当商品をすぐに提示します。タイでは観光客向けの薬局(特にバンコクのBiohouse、Tesco Lotus内の薬局)なら英語対応は問題ありません。


日本の同成分OTC(持参する場合)

タイで主流のジメンヒドリナートは、日本のOTCには配合されていません。ジメンヒドリナートはジフェンヒドラミンと8-クロロテオフィリンの塩で、日本の酔い止めは別の成分構成で同じ目的を果たしています。つまり「現地の薬と同一成分の日本版」を探しても存在しません。持参するなら、成分が違うことを前提に選ぶ必要があります。

日本で買える酔い止めOTCの実際の成分

製品名(製造販売元) 有効成分 位置づけ
トラベルミン配合錠(エーザイ) ジフェンヒドラミンサリチル酸塩40mg+ジプロフィリン26mg 第1世代抗ヒスタミン薬が主体。日本で最も流通している
トラベルミン1(エーザイ) ジフェニドール塩酸塩+スコポラミン臭化水素酸塩水和物+無水カフェイン+ピリドキシン塩酸塩 内耳の平衡機能に働くジフェニドールと抗コリン薬の配合。1回1錠
トラベルミンR(エーザイ) メクリジン塩酸塩25mg+スコポラミン臭化水素酸塩水和物0.25mg メクリジンは作用が長い。海外のメクリジン製品に成分が近い
アネロン「ニスキャップ」(エスエス製薬) マレイン酸フェニラミン+アミノ安息香酸エチル+スコポラミン臭化水素酸塩水和物0.2mg+無水カフェイン+ピリドキシン塩酸塩 吐き気が前面に出るときに。1日1カプセル
センパアQT(大正製薬) d-クロルフェニラミンマレイン酸塩+スコポラミン臭化水素酸塩水和物 水なしで噛んで飲めるドロップタイプ

年齢制限と1回量は製品・剤形ごとに違います(小児用は配合量が別に設計されています)。購入時は必ず外箱と添付文書で確認してください。

タイの製品と日本の製品の対応

  • ジメンヒドリナート製品(タイでは Dramamineドラマミン など):日本に同一成分のOTCはありません。作用の目的が最も近いのはトラベルミン配合錠(ジフェンヒドラミン+ジプロフィリン)ですが、成分は別物です。用量を換算しようとしないでください
  • メクリジン製品(タイの薬局に置いてあれば):トラベルミンR(メクリジン塩酸塩25mg)が成分として対応します。日本のOTCでメクリジンが入るのはこの製品です
  • スコポラミン製品:日本ではスコポラミンの貼付剤(パッチ)は承認されていません。スコポラミン臭化水素酸塩水和物は内服薬に少量(トラベルミンRで0.25mg、アネロンで0.2mg)配合されているだけです

持参するかどうかの判断

タイでは現地の薬局で酔い止めが容易に買えます。持参は必須ではありませんが、到着直後の移動で使う分は機内に持っておくと確実です。

  • 飲み慣れた薬があるなら持参する価値は高い:効き方と眠気の出方を自分で把握できているのは、現地で初めての薬を試すより安全です
  • 抗コリン薬(スコポラミン)配合品は併用に注意:抗ヒスタミン薬・睡眠改善薬・一部の胃腸薬と重なると、口渇・眼のかすみ・尿が出にくい等が強く出ます。緑内障・前立腺肥大のある方は服用前に薬剤師へ
  • 外箱ごと持っていく:成分名が読めない状態だと、現地で医療機関にかかったときに何を飲んだか説明できません

避けるべき成分・買ってはいけない薬

危険な成分・組み合わせ

  1. アルコール配合の鎮静薬

    • タイの一部の薬局で「Gin Seng Mix」や古い鎮静薬にエタノール添加されたものが販売されることがあります。
    • 脱水症状を悪化させ、さらに運転能力や判断力が低下するため厳禁。
  2. プロメタジン(Promethazine)のみ高用量製剤

    • 日本では処方医薬品ですが、タイでは1錠25mgの錠剤が市販されています。
    • 強い眠気を誘発し、バスや飛行機での意識の過度な低下につながるため推奨されません。
  3. 東方系民間薬や偽造医薬品

    • タイの一部の屋台や非公式な薬店では、成分表示が不正確な医薬品が販売されています。
    • 必ずファーマシー(Boots、Watsons、Pharmacyの看板がある正規店)で購入してください。

個人差への注意

  • ジメンヒドリナートは眠気を強く誘発するため、乗車中の眠気が危険と判断される場合は避けるべき。
  • メクリジンは眠気が比較的弱いため、日中の移動に向いています。

即座に受診すべき危険サイン

以下の症状が出現した場合は、乗り物酔いではなく別の疾患が考えられます。すぐに医療機関を受診してください。

下車・下船・着陸後も症状が持続する場合

  • 乗り物酔いは通常、乗り物から降りて1-2時間以内に軽快します。
  • 2時間以上経過しても吐き気・めまいが続く場合は、内耳炎やめまい症の可能性があります。

意識障害を伴う場合

  • 急激な意識の低下や反応の鈍化
  • これは薬剤の過剰摂取、熱中症、または感染症の兆候です。

その他の危険サイン

  • 頭痛が強い(髄膜炎の可能性)
  • 発熱を伴う吐き気(感染症の可能性)
  • 激しい腹痛(胃腸炎、虫垂炎の可能性)
  • 耳からの耳漏や耳血(内耳損傷の可能性)
  • 視力の急激な変化や複視(神経症状の可能性)

タイでの受診先

バンコク市内:

  • Bumrungrad International Hospital(ブムルンラード国際病院)
  • Bangkok Hospital(バンコク病院)
  • 両院とも24時間対応、英語スタッフ常駐、医療水準は日本と同等です。

チェンマイ・プーケット等地方:

  • 各都市の大型病院(Chiang Mai Ram Hospital等)を事前にリサーチ。
  • 旅行保険の24時間ホットラインに電話して相談してください。

まとめ

タイで乗り物酔いになった場合の対処法を以下にまとめます。

✅ 薬局で購入すべき第一選択肢: Dramamineドラマミン(ジメンヒドリナート50mg) または Bonineボニン(メクリジン25mg)

✅ 購入場所: Boots、Watsons等の正規ファーマシー(偽造品を避けるため)

✅ 伝え方: 英語で「I have motion sickness」と告げるか、タイ語で「ยา เมา รถ ได้ ไหม」と言う

✅ 用法: 乗車30分前に1錠、以降4-8時間ごと(1日最大4錠)

✅ 予防: 乗車中は窓の外を見る、深呼吸、脱水を避ける(水分補給)、医食同源の生姜茶も効果的

⚠️ 危険サイン: 下車後2時間以上症状が続く、意識障害、発熱、激痛 → 即座に大型病院へ

⚠️ 避けるべき: 屋台や非公式店での購入、アルコール配合薬、成分不明の民間薬

タイ旅行中の乗り物酔いは、正規ファーマシーの正しい医薬品で対処すれば、ほぼ確実に改善します。上記ガイドを参考に、安全で快適な旅を実現してください。

日本から持参するなら(薬剤師の推奨OTC)

タイで乗り物酔いに対応するなら、現地調達よりも日本での事前準備が確実です。 以下は薬剤師として実際に旅行者に勧めることの多いOTC・関連製品です。

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その他の症状も確認

→ すべての症状一覧 / → タイの渡航医薬品情報

免責事項: 本ガイドは一般的な軽症対応の参考情報であり、 医学的診断の代替ではありません。 妊婦・小児・慢性疾患の方、および上記の危険サインが見られる場合は 必ず医師・薬剤師に直接ご相談ください。

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