スペインで喉の痛みになったら|現地で買える薬と買い方を薬剤師が解説
スペイン旅行中に突然喉が痛み出す——これは決して珍しいことではありません。機内の乾燥、観光地での人ごみ、スペイン特有の気候や食文化など、喉にとって負担になる要因が旅行中には重なりやすいのです。本記事では、薬剤師(博士(薬学))の立場から、スペインで喉の痛みが起きたときの原因の理解・重症度の判断・現地OTC薬の選び方・薬局でのコミュニケーション・医療機関へのアクセスまでを網羅的に解説します。
スペインで喉の痛みになる原因
気候・環境要因
スペインは国土が広く、地域によって気候が大きく異なります。マドリードを含む内陸部は大陸性気候で夏は40℃を超える酷暑・冬は氷点下になる極端な温度差があり、バルセロナなどの沿岸部は地中海性気候で温暖ながら海風が強く乾燥しやすい日があります。日本からスペインへ渡航すると、この急激な気候変化に上気道粘膜が適応できず、気道の防御機能が一時的に低下します。
さらに、長距離フライト中の客室湿度は概ね10〜20%程度と非常に低く、東京・大阪の快適な室内湿度(40〜60%)と比較すると粘膜が著しく乾燥します。10時間以上のフライト後に喉がイガイガする感覚は、この乾燥が主因です。
感染症要因
スペインは欧州有数の観光大国で、年間約8,000万人超の観光客が訪れます。博物館・観光スポット・レストランなど人が密集する場所で、アデノウイルス・ライノウイルス・RSウイルスなどの接触感染・飛沫感染が起こりやすい環境があります。これらウイルス性咽頭炎は旅行者に特に多く、渡航2〜5日後に発症するケースが典型的です。
また、A群溶血性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)による細菌性咽頭炎は、ウイルス性咽頭炎に比べると頻度は低いものの、急激な高熱・強い嚥下痛・扁桃の白苔を伴うことがあり、抗菌薬による治療が必要です。旅行者が自己判断でOTC薬のみで対処するには限界があるため、発熱が38℃以上で持続する場合は受診を検討してください。
食文化・飲料水要因
スペインでは飲食店でタパス(小皿料理)を複数シェアするスタイルが一般的です。スパイス・酸味の強いトマトソース・アルコール類(ワイン、カヴァ等)を大量に摂取すると、咽頭粘膜が直接刺激を受けます。また、日本の軟水に慣れた方がスペインの硬水(カルシウム・マグネシウム含有量が高い)を大量摂取した際に、消化器だけでなく口腔・咽頭の違和感を訴える場合があります。水道水は地域によって飲用可能ですが、旅行者はミネラルウォーター(agua mineral)を活用することが推奨されます。
花粉・大気汚染要因
スペインは地中海沿岸・内陸の植生が豊かで、春(3〜5月)にはオリーブ・プラタナス・イネ科の花粉飛散が多くなります。アレルギー体質の方は咽頭のイガイガ・後鼻漏による慢性的な喉の刺激感を生じることがあります。マドリードなどの大都市では交通量が多く、窒素酸化物・PM2.5などの大気汚染物質による上気道刺激も無視できません。
重症度判定チェックリスト
喉の痛みは「軽症のかぜ症状」から「緊急処置が必要な疾患」まで幅広いスペクトラムがあります。以下のチェックリストを参照し、受診の必要性を判断してください。ただし、最終的な診断は医師によるものであり、不安な場合は早めに受診することを強くお勧めします。
🔴 緊急受診(すぐに救急・ERへ)
以下の症状が一つでもあれば、すぐに救急(112番)に連絡してください。
- 呼吸困難・喘鳴(ヒューヒューという呼吸音)がある
- 声がほとんど出ない・声が急激に変化した
- 唾液を飲み込めないほど強い嚥下痛がある
- 口・のど・顔が急に腫れてきた(アナフィラキシーの可能性)
- 首のリンパ節が急激に大きく腫れ、皮膚が赤くなっている
- 体温が39.5℃を超え、頭痛・頸部硬直を伴う(髄膜炎の可能性)
- 意識が朦朧としている、または極度の倦怠感がある
🟡 準緊急(24〜48時間以内にクリニック・医師への相談を)
- 38℃以上の発熱が48時間以上続く
- 扁桃腺に白い膿(白苔)が見える
- 耳の痛みを伴う(中耳炎への波及の可能性)
- 片側だけの強い喉の痛み・口が開きにくい(扁桃周囲膿瘍の可能性)
- 皮膚に赤い発疹が出てきた(猩紅熱の可能性)
- 頸部リンパ節が複数腫れ、強い倦怠感を伴う(伝染性単核球症の可能性)
- 子ども・高齢者・免疫抑制状態の方で症状が軽くても悪化傾向にある
- OTC薬を2〜3日使用しても改善しない
🟢 経過観察(OTC薬・自宅療養で対応可能)
- 発熱なし(37.4℃以下)で、喉の乾燥感・軽い痛みのみ
- 鼻水・くしゃみなどのかぜ症状を伴う軽症
- 飲食物の摂取は問題なくできている
- 症状が発症から48時間以内で徐々に改善傾向にある
- 明らかに飛行機の乾燥・気候変化・飲酒等が原因と考えられる
現地薬局で買えるOTC薬
スペインの薬局(Farmacia)は処方箋なしで購入できるOTC薬が充実しており、アクセスのしやすさは「easy(容易)」に分類されます。緑または赤の十字マーク(✚)が薬局の目印です。以下に代表的な製品をまとめます。
主要OTC薬一覧
| ブランド名 | 主要成分(一般名) | 用法・用量(目安) | 価格目安 | 入手しやすい場所 |
|---|---|---|---|---|
| Strepsils(ストレプシルス) | アミルメタクレゾール2mg+ジクロロベンジルアルコール1.2mg | ロゼンジ:3時間ごと1個(1日8個まで)、スプレー:3時間ごと1〜2噴射 | €3〜5 | 薬局チェーン、El Corte Inglésの薬局コーナー |
| Tantum Verde(タントゥムベルデ) | ベンジダミン塩酸塩0.15% | うがい液:2〜3時間ごとに15mLで30秒含嗽、スプレー:1〜2時間ごとに1〜2噴射 | €4〜6 | 薬局全般 |
| イブプロフェン系OTC | イブプロフェン400mg | 1日3回、食後1錠(1日最大1,200mg) | €3〜5 | 薬局全般(ジェネリック品多数) |
| パラセタモール系OTC | パラセタモール(アセトアミノフェン)500mg〜1,000mg | 1回1錠、4〜6時間ごと(1日最大3,000〜4,000mg、製品による) | €2〜4 | 薬局全般、スーパーの薬コーナー |
| Bucosep(ブコセップ) | セチルピリジニウム塩化物(局所殺菌成分) | ロゼンジ:3時間ごと1個(1日6個まで) | €3〜5 | 薬局全般 |
| Nolotil(ノロチル) | メタミゾールナトリウム575mg | 1日2〜3回、1錠 | €2〜3 | 薬局(初使用者は避けること) |
| プロポリス系トローチ | 天然プロポリスエキス(含有量は製品により異なる) | 1日3〜4個を分割摂取(製品の指示に従う) | €4〜7 | 薬局・健康食品店 |
各製品の薬学的解説
Strepsils(ストレプシルス)
欧州全域で長年使用されている口腔・咽頭用殺菌ロゼンジです。アミルメタクレゾールとジクロロベンジルアルコールの組み合わせにより、口腔内の細菌・真菌に対する局所殺菌作用を発揮します。軽度の喉の痛み・イガイガ感に適しており、携帯性に優れています。抗炎症作用は弱いため、著明な炎症を伴う場合は他の薬剤との併用が検討されます。蜂蜜・レモンなど複数フレーバーがあります。
Tantum Verde(タントゥムベルデ)
ベンジダミン塩酸塩を有効成分とするうがい液・スプレーです。ベンジダミンはNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の一種で、局所における抗炎症・局所麻酔・鎮痛・抗菌作用を持ちます。咽頭炎・扁桃炎・口内炎などの口腔・咽頭の炎症に幅広く使われており、欧州では長い使用実績があります。飲み込まずにうがいして吐き出す使い方が基本です。
イブプロフェン系OTC
スペインの薬局では「Ibuprofeno」の名称でジェネリック品が多数販売されています。イブプロフェンはNSAIDsの代表薬で、強い抗炎症・解熱・鎮痛作用を持ちます。喉の炎症に伴う痛み・発熱の双方に効果的です。空腹時の胃刺激を避けるため、必ず食後に服用してください。消化性潰瘍・腎機能障害・アスピリン喘息のある方、妊婦(特に妊娠後期)は使用を避けてください。
パラセタモール系OTC
「Paracetamol」の名称でジェネリック品が薬局・スーパーで容易に入手できます。胃への負担が少なく、発熱を伴う喉の痛みに対する第一選択として位置付けられます。肝機能障害のある方・大量飲酒習慣のある方は過剰摂取のリスクが高まるため注意が必要です。日常的な喉の乾燥のみで発熱がない場合は、パラセタモール単独より局所作用のある製品(Strepsils・Tantum Verdeなど)の方が適切です。
Nolotil(ノロチル)についての注意
メタミゾールナトリウムを主成分とするNolotilはスペイン・中南米諸国などで広く使われているOTC鎮痛薬ですが、日本・米国・オーストラリアなどでは無顆粒球症(好中球減少症)のリスクを理由に承認されていません。旅行者、特に日本人のように同成分の使用歴がない方には初使用を推奨しません。現地在住経験者の間では「よく効く」として知られていますが、旅行中の短期使用においては、イブプロフェンやパラセタモールで代替するのが安全です。
現地語での症状表現・薬局での買い方フレーズ
スペインの薬局では都市部の大半で英語が通じますが、スペイン語で伝えるとよりスムーズです。以下のフレーズを活用してください。
基本症状の表現
| 日本語 | スペイン語 | 発音(カタカナ) |
|---|---|---|
| 喉が痛いです | Tengo dolor de garganta | テンゴ ドロール デ ガルガンタ |
| 喉がイガイガします | La garganta me escuece | ラ ガルガンタ メ エスクエセ |
| 飲み込むと痛いです | Me duele al tragar | メ ドゥエレ アル トラガル |
| 発熱はありません | No tengo fiebre | ノー テンゴ フィエブレ |
| 昨日から症状があります | Desde ayer tengo síntomas | デスデ アジェール テンゴ シントマス |
| 旅行者です | Soy turista | ソイ トゥリスタ |
| 軽い症状です | Es leve | エス レベ |
| 薬を購入したいです | Quiero comprar un medicamento | キエロ コンプラル ウン メディカメント |
薬局での会話フレーズ
| 日本語 | スペイン語 | 発音(カタカナ) |
|---|---|---|
| 何かお勧めはありますか? | ¿Qué me recomienda? | ケ メ レコミエンダ? |
| 処方箋は必要ですか? | ¿Necesito receta? | ネセシト レセタ? |
| ロゼンジをください | Quiero unas pastillas para la garganta | キエロ ウナス パスティジャス パラ ラ ガルガンタ |
| うがい薬はありますか? | ¿Tiene enjuague bucal para la garganta? | ティエネ エンフアゲ ブカル パラ ラ ガルガンタ? |
| 子どもでも使えますか? | ¿Es apto para niños? | エス アプト パラ ニジョス? |
| これはどのくらいの頻度で使いますか? | ¿Con qué frecuencia lo uso? | コン ケ フレクエンシア ロ ウソ? |
英語でのフレーズ(英語が話しやすい場合)
| 日本語 | 英語フレーズ |
|---|---|
| 喉が痛いです、熱はありません | I have a sore throat without fever.(アイ ハヴ ア ソア スロート ウィザウト フィーバー) |
| 飛行機から降りたばかりです | I just got off a long flight.(アイ ジャスト ガット オフ ア ロング フライト) |
| OTCの喉の薬をください | Can I get an OTC throat remedy?(キャン アイ ゲット アン オーティーシー スロート レメディ?) |
| 子どもに使っても安全ですか? | Is this safe for children?(イズ ディス セーフ フォー チルドレン?) |
| 日本人です(説明書が読めるか確認) | I'm Japanese. Do you have instructions in English?(アイム ジャパニーズ。ドゥ ユー ハヴ インストラクションズ イン イングリッシュ?) |
スペインの医療事情
医療制度の概要
スペインは国民保健サービス(Sistema Nacional de Salud:SNS)を持ち、スペイン在住者は原則無料または低額で医療を受けられます。しかし、観光客・短期旅行者は原則として公的医療の無料サービスを受けられず、私立医療機関または旅行保険の利用が基本となります。EU域内の方はEHIC(欧州健康保険カード)を利用できますが、日本国籍の旅行者にはこの制度は適用されません。
旅行保険への加入は渡航前の必須事項と考えてください。多くの旅行保険は緊急受診・処方薬代・救急搬送費を補償します。
医療機関の種類と使い分け
| 機関の種類 | スペイン語名称 | 特徴 | 旅行者向け |
|---|---|---|---|
| 救急(総合病院ER) | Urgencias | 24時間対応、重症向け | 緊急時のみ |
| 公立プライマリケア | Centro de Salud | かかりつけ医診療、予約制 | 基本的に利用不可 |
| 私立クリニック | Clínica privada | 予約不要が多い、英語対応あり | 旅行者に最適 |
| 私立緊急クリニック | Clínica de urgencias privada | 予約不要で比較的迅速 | 準緊急時に有用 |
| 薬局 | Farmacia | 軽症の相談・OTC購入 | 軽症時に最適 |
救急・緊急連絡先
- 欧州共通緊急番号:112(警察・救急・消防すべてに対応、英語対応可)
- 警察:091(国家警察)
- 救急車:061(地域によっては112と同等)
112番に電話し、"I need an ambulance(アイ ニード アン アンビュランス)"または"Necesito una ambulancia(ネセシト ウナ アンブランシア)"と伝えると救急対応が受けられます。
日本語・英語対応が期待できる医療機関
マドリード・バルセロナ・バレンシア・マラガなど主要都市の私立クリニックでは英語対応が可能なスタッフが在籍していることが多いです。日本語対応については在スペイン日本大使館・領事館が医療機関リストを提供しているため、渡航前に確認しておくことをお勧めします。
- 在スペイン日本国大使館(マドリード):+34-91-590-7600
- 在バルセロナ日本国総領事館:+34-93-280-3433
旅行保険に加入している場合、保険会社の24時間日本語対応デスクを活用することで、医療機関の紹介・通訳手配が受けられます。渡航前に保険証書・緊急連絡先を控えておいてください。
薬局(Farmacia)の特徴
スペインの薬局は他の欧州諸国と比べてOTC薬の品揃えが充実しており、薬剤師(Farmacéutico)が症状に応じた薬の選択について詳細に相談に応じてくれます。夜間・休日対応の薬局(Farmacia de guardia)の情報は各薬局の扉やスペイン語で検索することで確認できます。
薬剤師の視点|渡航前準備と持参推奨OTC
渡航前に持参すべき薬の考え方
スペインはOTC薬のアクセスが容易な国ですが、「自分に合った薬」「用量・添加物が確認できる薬」を持参することには大きなメリットがあります。現地の薬は有効成分が同じでも、添加物・フレーバー・錠剤サイズが異なり、特定の添加物に過敏な方にはリスクになりえます。
日本から持参を推奨するOTC薬
喉の痛み・かぜ症状向け(国内市販薬):
- イブプロフェン系解熱鎮痛薬(イブA錠など:イブプロフェン配合):抗炎症・解熱・鎮痛の三拍子が揃い、喉の炎症に有効です。食後服用を厳守してください。
- アセトアミノフェン系解熱鎮痛薬(タイレノールA、カロナール錠など:アセトアミノフェン配合):胃への負担が少なく、食欲低下時や飲酒後には特に適しています。
- ロキソプロフェンナトリウム配合製剤(ロキソニンSなど):イブプロフェンより鎮痛効果が強いとされますが、胃刺激の点ではやや注意が必要です。
- 含嗽用うがい薬(ポビドンヨード含有製品など):イソジンガーグルなどのポビドンヨード系うがい薬は機内持ち込み時に液体制限(100mL以下・透明袋)を守ってください。
- 龍角散などのトローチ・顆粒剤:天然成分由来で副作用が少なく、携帯性に優れます。
持参時の注意事項:
- EU圏への医薬品持ち込みは個人使用に限り概ね認められていますが、量は旅行日数に合わせた必要量に留めてください。
- 麻薬・向精神薬成分を含む薬は国際麻薬条約・EU法規制の対象となるため、渡航前に在スペイン日本大使館または厚生労働省の案内で確認してください。
- 英語の処方記録や薬品一覧を持参すると、現地の医師・薬剤師とのコミュニケーションが格段にスムーズになります。
現地入手のリスク
スペインの薬局で購入する際の主なリスクは以下の通りです。
- 言語バリア:説明書がスペイン語のみの場合が多く、用量・禁忌の確認が困難なことがあります。成分名(一般名)を確認する習慣を持つことが重要です。
- 用量の差異:スペインのパラセタモール製剤は1錠1,000mgの高用量品が標準的な薬局でも見られます。日本では500mgが主流のため、用量の読み間違いに注意してください。
- Nolotilなど未承認成分:前述の通り、メタミゾールナトリウムは日本では未承認です。勧められても旅行者は避けることをお勧めします。
- 偽造品・品質管理の問題:正規の薬局(緑十字マーク✚の掲示がある)で購入すれば偽造品のリスクは低いですが、路上販売や無認可の店舗での購入は絶対に避けてください。
帰国後の観察ポイント
輸入感染症の可能性
スペインで喉の痛みを発症し、帰国後も症状が続く・悪化する場合、輸入感染症の可能性を念頭に置く必要があります。
注意すべき疾患と特徴:
| 疾患名 | 主な症状 | スペインでのリスク |
|---|---|---|
| 伝染性単核球症(EBウイルス感染) | 強い咽頭痛・高熱・リンパ節腫脹・倦怠感 | 観光地での接触感染 |
| A群溶血性連鎖球菌感染症(溶連菌) | 急激な高熱・白苔付き咽頭炎・皮疹 | 特定のシーズンに多い |
| ジフテリア(稀) | 灰白色の偽膜・嗄声・重度嚥下困難 | 予防接種歴のない渡航者 |
| COVID-19 | 発熱・咳嗽・咽頭痛・倦怠感 | 特に人が密集する観光地 |
| インフルエンザ | 急激な高熱・頭痛・関節痛・咽頭痛 | 特に秋冬の流行期 |
帰国後に受診すべき症状
以下の症状が帰国後に続く・出現した場合は、旅行歴をかかりつけ医または感染症内科・総合内科に必ず伝えて受診してください。
- 帰国後48時間以上経過しても38℃以上の発熱が続く
- 扁桃腺の腫大・白苔が続く
- 皮膚に発疹が出現した
- 頸部・腋窩・鼠径部のリンパ節が複数腫れている
- 極度の倦怠感(起き上がれないほど)が続く
- 嚥下困難・呼吸困難が出現または悪化した
受診の際は「スペインに渡航した」「旅行中から症状があった」という情報を必ず伝えてください。医師が感染症の鑑別診断を適切に行うための重要な情報です。
旅行中に服用した薬の記録
帰国後の受診時に備え、旅行中に使用した薬の名前・成分・期間を記録しておくことをお勧めします。特に現地で初めて使用した成分(ベンジダミン・メタミゾール等)については、アレルギー反応の有無を含めて伝えると診療の参考になります。
まとめ|スペインで喉の痛みに対処するための要点
- **軽症(発熱なし・嚥下可能)**はOTC薬(Strepsils、Tantum Verde、イブプロフェン配合製剤、パラセタモール配合製剤)で対処可能です。
- 発熱が38℃以上で48時間以上続く・嚥下困難・白苔があれば私立クリニックを受診してください。
- 緊急時は112番に電話します。
- **Nolotil(メタミゾール)**は日本人旅行者には初使用を推奨しません。
- 旅行保険・在スペイン日本大使館の連絡先を渡航前に控えておくことが重要です。
- 帰国後も症状が続く場合は、旅行歴を伝えて受診してください。
参考文献
- World Health Organization (WHO). "Streptococcal pharyngitis." WHO Disease Fact Sheets. https://www.who.int/
- Centers for Disease Control and Prevention (CDC). "Sore Throat." https://www.cdc.gov/antibiotic-use/sore-throat.html
- European Medicines Agency (EMA). "Metamizole-containing medicinal products." EMA/CHMP Assessment Report. https://www.ema.europa.eu/
- 外務省. 「スペイン 感染症危険情報・スペイン医療事情」海外安全情報. https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_181.html
- 在スペイン日本国大使館.「医療機関リスト(マドリード)」https://www.es.emb-japan.go.jp/
- 厚生労働省検疫所 FORTH. 「スペインの感染症情報」https://www.forth.go.jp/
- Agencia Española de Medicamentos y Productos Sanitarios (AEMPS). "Información de medicamentos." https://www.aemps.gob.es/
- Hayward G, et al. "Corticosteroids for pain relief in sore throat: systematic review and meta-analysis." BMJ. 2009;339:b2976. https://doi.org/10.1136/bmj.b2976
免責事項
本記事は薬剤師(博士(薬学))による薬学的情報の提供を目的としており、医師による診断・治療の代替となるものではありません。個々の症状・体質・既往歴・服用中の薬剤によって適切な対処法は異なります。症状が重い場合・不安な場合は必ず現地の医療機関または医師にご相談ください。薬の用量・使用上の注意は製品の添付文書を最優先で確認してください。本記事の情報は執筆時点のものであり、現地の薬局在庫・価格・制度は変更される場合があります。
監修:薬剤師(博士(薬学))