ADHD治療薬の海外持ち込み完全ガイド

コンサータ(メチルフェニデート)、ストラテラ(アトモキセチン)、ビバンセ(リスデキサンフェタミン)、 インチュニブ(グアンファシン)は、国によって規制区分が大きく異なります。 とくに覚醒剤取締法・麻薬及び向精神薬取締法に近い区分の国では、 無許可持込で逮捕・強制送還・長期拘禁のリスクがあります。 本ガイドは薬剤師が整理した13カ国の最新情報です。

まず押さえる3原則

  1. 非規制薬(ストラテラ・インチュニブ)も 「処方薬」としての英文処方箋+診断書は必ず携帯する。原本容器のまま持込。
  2. 規制薬(コンサータ・ビバンセ・リタリン)は、 渡航先ごとに「事前申請の要否」「持込可能日数」「許可書類」が異なる。 旅行出発4週間前から準備開始が必要。
  3. 無許可持込で規制薬が発覚すると、入国拒否・没収・刑事訴追の可能性がある。 特にタイ・インドネシア・UAEは厳格。

薬剤別の国際的な位置づけ

コンサータ/リタリン(メチルフェニデート)

中枢神経刺激薬(Stimulant)。国際麻薬統制委員会(INCB)で Schedule II 相当。 ほぼすべての先進国で麻薬または規制薬扱い。

ビバンセ(リスデキサンフェタミン)

アンフェタミン系のプロドラッグ。日本でも流通(2019年承認)。 多くの国でメチルフェニデートと同等またはそれ以上に厳格な規制。フランス・タイ等では未承認で持込制限あり

ストラテラ(アトモキセチン)

選択的ノルアドレナリン再取込阻害薬(SNRI類似)。規制物質ではない国が多く、 通常の処方薬と同じ扱い。英文処方箋で個人携行可。

インチュニブ(グアンファシン)

選択的α2Aアゴニスト(元は降圧薬)。規制物質ではない国が大半。 英文処方箋で個人携行可。

国別規制一覧(13カ国)

コンサータ/リタリンビバンセストラテラインチュニブ
アメリカ
USA
Schedule II。処方箋必須。持込は米国医師処方か、日本の処方箋+英訳+FDA Personal Use ルール(90日分以下)。Schedule II。同上。旅行者の持込には税関での申告が安全。処方薬だが規制物質ではない。英文処方箋同伴で持込可。処方薬。英文処方箋で持込可。
カナダ
Canada
Schedule III controlled drug。処方箋必須。旅行者は 30日分以下を original container で携行可(CBSAガイド)。Schedule I controlled drug(最厳格)。持込制限あり。事前にHealth Canadaに確認。処方薬、非規制。英文処方箋で持込可。処方薬、非規制。
イギリス
UK
Class B controlled drug(Schedule 2)。3ヶ月分超で持込時は Home Office の Personal License 取得必要。同上。Class B / Schedule 2。非規制。非規制。
ドイツ
Germany
Betäubungsmittel(麻薬)扱い。EU圏内はシェンゲン協定証明書(Art. 75)、EU外からは30日分以内なら持込可(英文処方箋+診断書必携)。同Betäubungsmittel扱い。非規制。非規制。
フランス
France
Liste I(麻薬扱い)。28日分処方制限。旅行者は英文処方箋+診断書で個人携行可(大使館事前確認が無難)。フランスでは未承認。持込は限定的、事前確認必須。非規制。非規制。
オーストラリア
Australia
Schedule 8 controlled drug。3ヶ月分以内で個人使用目的なら持込可。英文処方箋+診断書が必須。同Schedule 8扱い。Prescription Only(S4)。Prescription Only(S4)。
韓国
South Korea
向精神薬第II類。30日分以内 + 処方箋(英訳可)で持込可。未承認。持込は事前に食薬処へ確認必須。処方薬。処方薬。
シンガポール
Singapore
Class A poison(Psychotropic Substance)。HSA(Health Sciences Authority)への事前承認が必要な場合あり。30日分超では Prior Approval 必須。同Class A。事前承認推奨。処方薬。処方薬。
台湾
Taiwan
第三級管制藥品。30日分以内+英文処方箋で個人携行可。未承認。処方薬。処方薬。
香港
Hong Kong
Dangerous Drugs Ordinance(危険薬物条例)。30日分以内+英文処方箋で個人携行可。危険薬物扱い。処方薬。処方薬。
タイ
Thailand
Category II Psychotropic。持込は事前にThai FDA許可必須。未承認。持込厳禁。処方薬。処方薬。
UAE(ドバイ等)
UAE
規制物質(Controlled Medication)。Ministry of Health事前承認必須。未承認持込は重罰。同規制。Prescription(事前承認推奨)。Prescription。
インドネシア
Indonesia
Narkotika Golongan II。持込は事前許可必須。無許可で重罰。同扱い。処方薬。処方薬。
日本(帰国時)
Japan (return)
コンサータは日本でも第1種向精神薬。帰国時も原則「自己使用1ヶ月分以内」なら申告のみ。超過分は薬監証明必要。ビバンセは日本でも流通あり。同1ヶ月以内ルール。ストラテラは日本で処方薬、規制物質ではない。インチュニブは日本で処方薬、規制物質ではない。

アメリカ: 米国CBPは「personal use, 90 days or less, in original container」を目安に個人携行を認める。

イギリス: 3ヶ月分以内でも、英文診断書+英文処方箋の携帯推奨。

オーストラリア: TGA Personal Importation Scheme で事前オンライン申告推奨。

シンガポール: シンガポールは規制が厳しい。30日超でなくとも、英文処方箋+診断書を必ず携帯。

タイ: コンサータはタイへの持込は事前申請が必須。無許可持込で逮捕事例あり。

UAE(ドバイ等): UAEは特に厳格。MOHAP eMedicationアプリで事前申請を。

インドネシア: バリ島旅行でもMOH事前申請必要。

日本(帰国時): リタリン(即放メチルフェニデート)は日本ではナルコレプシーのみ適応。ADHD適応はコンサータのみ。

英文処方箋・英文診断書の最低記載事項

事前申請が必要な国の手続き(代表例)

日本出国時(薬監証明): 1ヶ月分超の規制薬は関東信越厚生局などで「医薬品等輸入報告書」を事前申請。手数料無料、オンライン対応。

UAE(MOHAP eMedication): アプリで英文処方箋をアップロード、2〜4日で承認。承認書を印刷して持参。

タイ(Thai FDA): 英文処方箋をメールで Thai FDA Narcotic Control Division に送付、事前許可を得る。営業日5〜7日。

オーストラリア(TGA): Personal Importation Scheme で事前オンライン申告。書類形式で承認。

薬剤師メモ

規制薬の海外持ち込みは「多くて困ることはない」準備が鉄則です。 英文処方箋・診断書はPDFと紙を両方持参、原本容器と処方箋名は一致させ、 機内持込(紛失時の追跡が容易)にしましょう。

万一、現地で薬が不足・紛失した場合、渡航先の精神科医で再処方してもらう選択肢もありますが、 国によっては外国人には初回処方を出さない方針もあります(英・独・豪など)。 渡航期間分の薬剤量に十分な余裕を持って準備してください。

本記事は2026年時点の一般情報です。最新の規制は各国政府機関サイトで必ず確認してください。

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