オーストリアで吐き気・嘔吐になったら|現地薬局での買い方と薬剤師の注意点

オーストリアで吐き気・嘔吐になったら|現地薬局での買い方と薬剤師の注意点

オーストリアは医療水準が高く、薬局(Apotheke)が市街地に多数あるため、軽症の吐き気・嘔吐であれば市販薬(OTC)での対処が比較的容易な国です。しかし、山岳地帯の気候変動や欧州独自の食文化、水質の違いなど、日本人が経験しやすい特有のリスクも存在します。本稿では、薬剤師(博士(薬学))の視点から、原因の分析・重症度の判定・OTC薬の選び方・現地語フレーズ・医療機関情報まで体系的に解説します。


オーストリアで吐き気・嘔吐になりやすい原因

気候・環境要因

オーストリアの気候は内陸性で、夏季(6〜8月)は30℃を超える高温に見舞われることも珍しくありません。一方、チロル・ザルツカンマーグートなどの山岳地帯では標高2,000m超の地点も多く、高山病(急性高山病:Acute Mountain Sickness)の初期症状として吐き気・頭痛が出現するケースがあります。急激な標高変化のある移動(ロープウェイ・登山バス)後に吐き気が生じた場合は高山病を念頭に置く必要があります。

冬季(12〜2月)はウィーンでも氷点下まで気温が下がり、暖房の効いた室内と外気との温度差が自律神経に影響し、胃腸不調を招くことがあります。

食文化・飲食に関連する要因

オーストリア料理はシュニッツェル(パン粉をまぶした揚げ肉)、グーラッシュ(濃厚な肉のシチュー)など油脂が多く、消化器への負担が大きい料理が多いのが特徴です。また、ウィーンの屋外市場(ナッシュマルクトなど)では生魚介・生肉の加工品や乳製品が販売されており、夏場の保管状態によっては食中毒リスクが高まります。

サルモネラ菌・カンピロバクター菌・ノロウイルスによる食中毒は欧州全体で報告されており、オーストリアも例外ではありません。欧州食品安全機関(EFSA)の報告によれば、食中毒起因菌の上位はカンピロバクター、サルモネラ、リステリアです。

水質の違い

オーストリアの水道水は世界トップクラスの水質とされており、ウィーン市内では「Hochquellwasser」と呼ばれるアルプスの湧き水が供給されています。ただし、日本の軟水(硬度50mg/L前後)と比較してオーストリアの水道水は硬度が高い地域もあります(ウィーン市内は比較的軟水に近いが、地域差あり)。硬水に慣れていない日本人は、消化不良・軟便・吐き気を感じることがあります。

ミネラルウォーターを大量に飲んだ際も同様の反応が出る場合があるため、現地では「Stilles Wasser(スティレス ヴァッサー)」(炭酸なし)かつ、なるべく軟水のものを選ぶことを推奨します。

乗り物酔い

チロル・フォアアールベルクなどの山岳地帯ではヘアピンカーブの続く山道が多く、バスや乗用車での移動中に動揺病(乗り物酔い)が生じやすい環境です。長距離バス(FlixBusなど)や鉄道(ÖBB)の揺れも、日本の新幹線と比べると大きく感じられる場合があります。

アルコール・時差ぼけ

ウィーンのワイン(グリューナー・フェルトリーナーなど)やビール(Ottakringer など)は品質が高く、旅行者が過剰摂取するケースも少なくありません。日本からの直行便(約12〜13時間)による時差(日本との時差は夏季−7時間・冬季−8時間)も、胃腸機能の乱れを引き起こす要因となります。


重症度判定チェックリスト

吐き気・嘔吐の対応は重症度によって大きく異なります。以下のチェックリストを参照してください。

🚨 レベル1:直ちに救急受診が必要

以下のいずれか1つでも当てはまる場合は、市販薬での対処を試みず、直ちに救急車(電話番号:144)を呼ぶか、最寄りの救急外来を受診してください。

チェック項目 考えられる疾患
吐物に血液が混じる、またはコーヒーかす色 上部消化管出血
激しい腹痛を伴う(特に右下腹部) 虫垂炎・腸閉塞
意識が混濁している、呼びかけに反応が鈍い 脱水の重症化・敗血症
嘔吐が止まらず6時間以上経過し、水分摂取が全くできない 重症脱水
高熱(38.5℃以上)+嘔吐+激しい頭痛・項部硬直 髄膜炎
胸痛・左腕のしびれを伴う吐き気 急性心筋梗塞
妊婦で激しい嘔吐が持続する 妊娠悪阻の重症化

⚠️ レベル2:準緊急(当日〜翌日中に医師の診察を受ける)

以下が1つ以上当てはまる場合は、薬局での購入と並行して医師への相談を検討してください。

チェック項目 目安
嘔吐が24時間以上続いている 脱水・感染症の可能性
発熱(37.5℃以上)を伴う 感染性胃腸炎・食中毒
下痢も同時に発症し、水様便が6回以上/日 食中毒・感染性腸炎
山岳地帯への移動後から始まった頭痛・吐き気 高山病の可能性
糖尿病・心疾患・免疫低下疾患の基礎疾患がある リスク群は早期受診を推奨
乳幼児・65歳以上の高齢者 脱水進行が速い

✅ レベル3:経過観察・薬局対応が可能

以下の条件をすべて満たす場合は、OTC薬による対処と安静が選択肢となります。

  • 嘔吐が1〜2時間以内に自然に落ち着いた
  • 腹痛・発熱を伴わない
  • 少量の水分(経口補水液など)が摂取できる
  • 意識は清明で通常通り会話できる
  • 乗り物酔いや過食・飲酒など原因に心当たりがある

現地薬局で買えるOTC薬

オーストリアの薬局では薬剤師が常駐しており、症状を伝えれば適切な薬を勧めてくれます。以下は代表的なOTC薬です(価格は目安であり、薬局・時期により変動します)。

主要OTC薬一覧

ブランド名 有効成分(一般名) 用量の目安 価格目安 主な剤型 入手しやすい場所
Vomex A ジメンヒドリナート(Dimenhydrinat) 1回50〜100mg6時間ごと(成人) 概ね€4〜7 錠剤・ドラジェ・坐剤・シロップ 市街地の薬局(Apotheke)全般
Vomex A Kinder ジメンヒドリナート 小児体重別用量(医師・薬剤師に要確認) 概ね€4〜6 シロップ・坐剤 薬局(Apotheke)
Trawell ジメンヒドリナート 成人1回50〜100mg6時間ごと 概ね€4〜6 錠剤 薬局(Apotheke)、一部の空港売店
Domperidon含有製剤 ドンペリドン(Domperidon) 成人1回10mg、食前30分・1日3回まで 概ね€5〜8 錠剤 薬局(Apotheke)※薬剤師に相談
Iberogast イベリスアマラ他9種類の植物エキス配合 成人1回20滴、1日3回食前 概ね€8〜12 液剤(ドロップ) 薬局(Apotheke)、Dm(ドラッグストア)
Magnesium含有制酸薬(各種) 炭酸水素ナトリウム、水酸化マグネシウム等 製品ごとに異なる 概ね€3〜5 錠剤・懸濁液 薬局(Apotheke)、Dm
経口補水塩(ORS) 電解質・ブドウ糖 1袋を水200〜250mlに溶解して適宜 概ね€3〜6 粉末(個包装) 薬局(Apotheke)

各薬の特徴解説

Vomex A(ジメンヒドリナート配合) オーストリア・ドイツ圏で最もよく知られた制吐薬です。ジメンヒドリナートは第一世代抗ヒスタミン薬であり、前庭系への抑制作用により乗り物酔い・動揺病を中心に幅広い吐き気に対応します。眠気が出ることがあるため、運転前の服用は避けてください。ドラジェ(糖衣錠の一種)タイプは嘔吐中でも飲みやすい形状です。坐剤(Zäpfchen)タイプは嘔吐が激しく経口摂取が困難な場合に有用であり、薬剤師に相談すれば購入できます。

ドンペリドン含有製剤 消化管の蠕動運動を促進する末梢性ドパミンD2受容体拮抗薬です。胃の停滞感や消化不良を伴う吐き気に有効とされます。中枢への移行が少なく、眠気が出にくい点が特徴ですが、QT延長リスクから心疾患のある方は使用前に医師・薬剤師に相談してください。EMAの2014年の安全性評価以降、EU域内でも用量制限が設けられており、添付文書の用法・用量を厳守する必要があります。

Iberogast(植物エキス配合) ドイツ・オーストリアで長く使用されてきた機能性消化管疾患向けの液剤です。イベリスアマラをはじめとする9種類の植物エキスが配合されており、胃腸の機能調整作用が報告されています。重篤な嘔吐よりも、機能性ディスペプシア(胃もたれ・胸やけ・食後の不快感)に適しています。アルコールを含む製剤であるため、アルコール過敏の方は注意が必要です。

経口補水塩(ORS) 嘔吐・下痢による脱水の補正に不可欠です。WHO推奨の経口補水塩に準拠した製品が薬局で入手できます。スポーツドリンクは糖分濃度が高すぎるため、脱水補正の主体として使用するには適していません。嘔吐が続く場合は1回あたり少量(スプーン1〜2杯程度)をゆっくり飲ませることが重要です。


現地語(ドイツ語)での症状表現・薬局フレーズ

オーストリアの公用語はドイツ語です。ウィーンなど都市部の薬局では英語が通じることが多いですが、ドイツ語フレーズも併せて準備しておくと安心です。

基本的な症状表現

日本語 ドイツ語 カタカナ発音
吐き気があります Mir ist übel. ミア イスト ユーベル
嘔吐しました Ich habe mich übergeben. イッヒ ハーベ ミッヒ ユーベルゲーベン
気分が悪いです Mir geht es nicht gut. ミア ゲート エス ニヒト グート
乗り物酔いです Ich bin reisekrank. イッヒ ビン ライゼクランク
食中毒かもしれません Ich habe vielleicht eine Lebensmittelvergiftung. イッヒ ハーベ フィーライヒト アイネ レーベンスミッテルフェアギフトゥング
昨日から続いています Das dauert seit gestern. ダス ダウアート ザイト ゲスターン
24時間以上続いています Das dauert schon über 24 Stunden. ダス ダウアート ション ユーバー フィアウントツヴァンツィヒ シュトゥンデン
発熱もあります Ich habe auch Fieber. イッヒ ハーベ アオホ フィーバー
子どもに使えますか? Ist das auch für Kinder geeignet? イスト ダス アオホ フュア キンダー ゲアイグネット
眠気が出ますか? Macht das Schläfrigkeit? マハト ダス シュレーフリヒカイト
処方箋なしで買えますか? Ist das ohne Rezept erhältlich? イスト ダス オーネ レツェプト エアヘルトリッヒ

英語フレーズ(都市部の薬局で有効)

日本語 英語 カタカナ発音
吐き気と嘔吐があります I have nausea and vomiting. アイ ハヴ ノーシア アンド ヴォミティング
何か推薦してもらえますか? Could you recommend something? クッド ユー レコメンド サムシング?
これは処方箋なしで買えますか? Is this available without a prescription? イズ ディス アヴェイラブル ウィズアウト ア プレスクリプション?
子ども(○歳)にも使えますか? Is this safe for a child aged ○? イズ ディス セーフ フォー ア チャイルド エイジド ○?
妊娠中でも使えますか? Is this safe during pregnancy? イズ ディス セーフ デュアリング プレグナンシー?

薬局での購入手順

  1. 「Apotheke(アポテーケ)」の看板を探す:緑の十字マーク(Grünes Kreuz)が目印です。ウィーン市内では徒歩圏内に複数あります。
  2. 入店し、薬剤師または薬剤師助手に症状を伝える:窓口やカウンターで直接話しかけてください。
  3. 上記フレーズで症状を伝える:スマートフォンの翻訳アプリ(DeepL等)を示しながら話すのも有効です。
  4. 提案された薬の成分・用法を確認する:特に眠気の副作用・アルコールとの相互作用を確認しましょう。
  5. 会計:クレジットカードが使えることがほとんどです。レシートは保険請求のために保管してください。

オーストリアの医療事情

医療機関の種類と特徴

種類 特徴 費用目安
公立病院(Allgemeines Krankenhaus: AKH) ウィーン大学附属病院。救急外来(Notaufnahme)は24時間対応。EU保険カード(EHIC)保有者は無料または低額 旅行者は実費請求の場合あり
私立クリニック 待ち時間が少ない。英語対応可能な医師が多い 1回の診察で概ね€100〜300程度(目安)
Ärztebereitschaftsdienst(夜間・休日診療) 夜間・週末の一般医不在時に対応する当番医制度 保険・支払い方法は医師により異なる
薬局(Apotheke) 薬剤師による無料相談が受けられる。処方箋不要OTC薬の購入が可能 薬代のみ

緊急連絡先

サービス 番号
救急車(Rettungsdienst) 144
警察(Polizei) 133
消防(Feuerwehr) 122
欧州共通緊急番号 112
医師相談ホットライン(オーストリア) 141(Ärztlicher Bereitschaftsdienst)
ウィーン中毒情報センター +43 1 406 43 43

日本語対応が期待できる施設・サービス

ウィーン市内には日本人向けのサービスが比較的整っています。

  • 在オーストリア日本国大使館:医療機関紹介・日本語相談(領事部)が利用可能です。緊急時は大使館の代表番号(+43 1 531 92 0)に電話し、「日本語で相談したい」と伝えてください。
  • 民間の救急・医療アシスタンスサービス:海外旅行保険に付帯するアシスタンスサービス(SOS国際サービス等)では24時間日本語対応のコールセンターが利用でき、日本語対応医師の紹介や通訳手配が可能な場合があります。渡航前に保険証券で連絡先を確認しておいてください。

医療費と保険について

オーストリアの医療費は日本と比べて高額になる場合があります。旅行者は公的健康保険の適用外であり、原則として実費負担となります。海外旅行保険への加入と、クレジットカード付帯の保険内容の確認を渡航前に必ず行ってください。診察を受けた際は、領収書・診断書(Arztbrief)・処方箋のコピーを保管しておくと、帰国後の保険請求に役立ちます。


薬剤師の視点:渡航前準備と持参薬の推奨

渡航前に準備すべき薬剤

オーストリアは薬局インフラが充実しているため現地調達は比較的容易ですが、①日本語の添付文書があること、②使い慣れた薬を使える安心感、③深夜・祝日の薬局閉店リスク回避の観点から、以下を持参することを推奨します。

持参推奨薬 成分(一般名) 渡航時に特に有用なシーン
トラベルミン(錠剤) ジメンヒドリナート50mg 長距離バス・山岳ロープウェイでの乗り物酔い予防
胃腸薬(ドンペリドン含有OTC) ドンペリドン10mg 脂っこい食事後の胃もたれ・吐き気
経口補水塩(粉末個包装) 電解質・ブドウ糖 嘔吐・下痢後の水分・電解質補給
解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン系) アセトアミノフェン 発熱を伴う感染性胃腸炎の対症療法
整腸薬(ビフィズス菌・乳酸菌配合) 各種生菌 下痢・腸内環境の乱れの補助

日本のOTC薬とオーストリア現地薬の対応関係

日本の製品(例) 有効成分 オーストリアでの対応製品(成分が同じ)
トラベルミン(乗り物酔い薬) ジメンヒドリナート Vomex A、Trawell
ドンペリドン系OTC ドンペリドン ドンペリドン含有製剤(薬局で要相談)
ビオフェルミンS 乳酸菌・ビフィズス菌 欧州製プロバイオティクス製品(各種)

現地入手のリスクと注意点

言語バリアと用法誤解のリスク ドイツ語の添付文書を正確に理解できない場合、用量・用法・禁忌を誤って理解するリスクがあります。薬剤師に英語で説明を求め、不明点は必ず確認してください。

薬物相互作用の確認 ジメンヒドリナートは中枢神経抑制薬(睡眠薬・抗不安薬)との相互作用があります。また、アルコールと併用することで鎮静作用が増強されます。ウィーンでワインを楽しんだ後に乗り物酔い薬を服用するシチュエーションは注意が必要です。

偽造品・品質不良品への対策 EU域内の正規薬局(緑の十字マークのApotheke)で購入する限り、偽造品のリスクは低いとされています。インターネット薬局や路上販売品の購入は避けてください。

坐剤の利用 嘔吐が激しく経口摂取が困難な場合、Vomex Aには坐剤(Zäpfchen)剤型があります。日本では一般的でない剤型ですが、薬剤師に相談すれば購入・使用方法の説明を受けることができます。


避けるべき成分・注意が必要な薬

使用に注意が必要な成分

スコポラミン(Scopolamin) 一部の乗り物酔い薬に含まれる抗コリン薬です。口渇・散瞳・排尿障害・認知機能低下(特に高齢者)などの副作用があります。緑内障・前立腺肥大の方は禁忌に近い扱いとなるため、使用前に薬剤師に相談してください。

フェノチアジン系薬(Promethazine含有製品) 強力な鎮静・制吐作用を持ちますが、錐体外路症状・呼吸抑制のリスクがあり、2歳未満の小児には禁忌とされています。渡航先での自己判断での使用は推奨されません。

メトクロプラミド(Metoclopramid) EU域内では処方薬として扱われており、OTCでの入手は困難です。長期使用により遅発性ジスキネジアのリスクがあることから、EMAが用量・期間の制限を勧告しています。

NSAIDs(イブプロフェン・アセチルサリチル酸) 制吐作用はありませんが、発熱・疼痛への自己治療目的で服用するケースがあります。空腹時の服用は胃粘膜障害のリスクがあり、嘔吐が続いている状況での服用は特に注意が必要です。胃腸症状がある場合は、アセトアミノフェンのほうが胃への刺激が少なく有用です。


帰国後の観察ポイント:輸入感染症の見分け方

オーストリアで嘔吐・下痢を経験した場合、帰国後も症状が継続または悪化するケースでは輸入感染症(帰国後に発症・遷延する感染症)の可能性を考慮する必要があります。

帰国後に受診が必要な症状

症状 渡航後の潜伏期間の目安 疑われる疾患
帰国後1〜2週間以内の発熱・嘔吐・下痢の再燃 1〜14日 サルモネラ感染症・カンピロバクター腸炎
血便を伴う下痢が帰国後も続く 1〜7日 腸管出血性大腸菌(EHEC)感染症
嘔吐・下痢が集団発生(同行者複数が同時発症) 数時間〜2日 ノロウイルス・黄色ブドウ球菌食中毒
長期の下痢・腹部膨満感・体重減少 数週間 ジアルジア症・クリプトスポリジウム症
黄疸・全身倦怠感・食欲不振 2〜6週間 A型肝炎(E型肝炎は稀)

帰国後の受診先

帰国後に上記症状がある場合は、一般内科または消化器内科への受診を検討してください。その際、「オーストリアへの渡航歴(滞在期間・場所)」「現地での食事内容」「現地での症状経過」「現地で服用した薬剤名と成分」を記録したメモを持参すると、診察がスムーズになります。

渡航先で食中毒・感染性腸炎が疑われる場合は、帰国後に感染症内科または国際旅行医学外来(全国の大学病院・一部の総合病院に設置)への受診が推奨されます。

脱水後の回復確認ポイント

嘔吐・下痢が落ち着いた後も、以下の回復指標を確認することが重要です。

  • 尿量が正常に戻っている(尿の色が淡黄色、1日数回)
  • 口渇が改善している
  • 皮膚ツルゴール(皮膚をつまんで離した際の戻り速度)が正常
  • 体重の急激な減少がない(重篤な脱水のサイン)

参考文献・情報源

  1. European Food Safety Authority (EFSA) & European Centre for Disease Prevention and Control (ECDC). The European Union One Health 2022 Zoonoses Report. EFSA Journal 2023;21(12):e8442. https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/8442

  2. World Health Organization (WHO). Nausea and Vomiting: a review of the pathophysiology and management of nausea and vomiting. WHO Essential Medicines and Health Products. https://www.who.int/

  3. European Medicines Agency (EMA). Domperidone-containing medicines: EMA confirms restricted use. EMA/189326/2014. https://www.ema.europa.eu/en/medicines/human/referrals/domperidone-containing-medicines

  4. 外務省 海外安全情報 オーストリア. 感染症危険情報・スポット情報. https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_155.html

  5. Österreichische Apothekerkammer(オーストリア薬剤師会). Apothekensuche – Apotheken in Österreich finden. https://www.apothekerkammer.at/

  6. Stadt Wien – Gesundheitsdienst(ウィーン市保健局). Gesundheitstelefon 1450(医療相談ホットライン)情報. https://www.wien.gv.at/

  7. 疾病対策センター(CDC). Travelers' Health – Austria. https://wwwnc.cdc.gov/travel/destinations/traveler/none/austria

  8. 厚生労働省 検疫所(FORTH). 海外で健康に過ごすために – 食中毒の予防. https://www.forth.go.jp/useful/food_poisoning.html


まとめ:オーストリアでの吐き気・嘔吐への対処フロー

吐き気・嘔吐が始まった
        ↓
【重症サイン(血を伴う嘔吐・意識障害・激しい腹痛)があるか?】
  YES → 144(救急車)またはAKH救急外来へ直行
  NO ↓
【24時間以上・発熱・血便・高山病疑いがあるか?】
  YES → 当日〜翌日中に医師受診を検討しながら薬局へ
  NO ↓
【軽症・原因に心当たりがある(乗り物酔い・食べ過ぎ等)】
  → 薬局(Apotheke)でVomex Aまたはジメンヒドリナート製剤を購入
  → 経口補水塩で水分・電解質補給
  → 安静・脂っこい食事を避ける
  → 改善しない場合は医師受診

免責事項

本記事は、薬学的な一般情報の提供を目的としており、特定の個人への診断・治療の指示を行うものではありません。症状の診断・治療方針の決定は医師の専権事項です。本記事の情報は執筆時点のものであり、現地の医薬品承認状況・価格・在庫は変動することがあります。渡航先での薬剤使用に際しては、必ず現地の薬剤師または医師に相談のうえ、添付文書の指示に従ってください。

また、本記事に記載した現地語フレーズ・医療機関情報・緊急連絡先は参考情報であり、最新情報は在オーストリア日本国大使館または現地公的機関でご確認ください。

監修:薬剤師(博士(薬学))

日本から持参するなら(薬剤師の推奨OTC)

オーストリア吐き気・嘔吐に対応するなら、現地調達よりも日本での事前準備が確実です。 以下は薬剤師として実際に旅行者に勧めることの多いOTC・関連製品です。

※ 購入リンクはAmazonアソシエイト・もしもアフィリエイト(楽天市場・Yahoo!ショッピング)を含みます。 購入により当サイトに紹介料が支払われる場合があります。 商品選択は症状・体質・併用薬を踏まえてご判断ください。

その他の症状も確認

→ すべての症状一覧 / オーストリアの渡航医薬品情報

免責事項: 本ガイドは一般的な軽症対応の参考情報であり、 医学的診断の代替ではありません。 妊婦・小児・慢性疾患の方、および上記の危険サインが見られる場合は 必ず医師・薬剤師に直接ご相談ください。

※ PharmTripは、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイトプログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。 また、もしもアフィリエイト・A8.net・バリューコマース等のアフィリエイトプログラムを通じて、一部の商品・サービスを紹介しています。 掲載する商品・サービスは薬剤師が独自に評価しており、広告主からの依頼による恣意的な順位変更は行いません。 掲載情報は執筆時点のもので、最新の条件は各公式サイトでご確認ください。 詳細は プライバシーポリシー をご覧ください。