ベルギーで吐き気・嘔吐になったら|現地薬局で買える薬と買い方を薬剤師が解説
ベルギーはチョコレート・ビール・ムール貝など食文化が豊かな国です。一方で、日本とは異なる食事内容・水質・気候・時差により、渡航中に吐き気や嘔吐を経験する旅行者は少なくありません。本記事では、薬剤師の視点から「なぜ症状が起きるか」「どの薬を選ぶか」「薬局でどう伝えるか」「いつ受診すべきか」を体系的に解説します。
ベルギーで吐き気・嘔吐になる原因の解説
食文化と消化器系への影響
ベルギー料理は脂質・動物性タンパク質の豊富なものが多く、日本食に慣れた消化器系には負荷になることがあります。代表的なリスク食品として次のものが挙げられます。
**フリット(フライドポテト)**はラードや植物油で二度揚げされており、脂質過多による胃もたれ・嘔気の原因になります。**ムール貝(モウル)**は二枚貝の特性上、ノロウイルスや腸炎ビブリオが付着しやすく、十分な加熱が不可欠です。貝特有の毒素(麻痺性貝毒)はまれながら存在し、食後30分〜数時間で吐き気・嘔吐を引き起こします。**生ハム・サラミなどの冷製肉(シャルキュトリー)**はリステリア菌汚染のリスクがあり、特に夏季の流通管理に注意が必要です。
水質の違い
ベルギーの水道水は飲用可能ですが、カルシウム・マグネシウムを多く含む硬水(特にブリュッセルやリエージュ周辺)です。日本の軟水(硬度30〜60 mg/L程度)に慣れた方が硬水(硬度180 mg/L以上になる地域もあり)を大量摂取すると、消化器系の不調や軟便・嘔気が生じることがあります。
アルコール
ベルギービールはアルコール度数が概ね5〜12%と高く、トラピストビールや一部のゲーズ(自然発酵ビール)は8〜12%に達します。日本の一般的なビール(5%前後)と比較して同量を飲んでも、アルコール摂取量が2倍以上になるケースがあります。急性アルコール中毒に至らなくても、胃粘膜への直接刺激・小腸の蠕動亢進により吐き気・嘔吐が起こります。
乗り物酔い・時差ボケ
日本とベルギーの時差は標準時で概ね8時間(夏時間適用時は7時間)です。機内での長時間移動、到着後の睡眠リズムの乱れにより自律神経が不安定になり、胃腸運動の異常から嘔気が現れます。また、ユーロスター・ICE・タリス等の高速列車やバス移動が多いベルギーでは、乗り物酔いによる嘔気も頻繁に報告されます。
感染性胃腸炎
欧州ではノロウイルス・ロタウイルスによる感染性胃腸炎が秋冬を中心に流行します。ベルギーは国際交通の要衝でもあり、旅行者が集まる施設でのクラスターが報告されています。発熱を伴わず突然の嘔吐・下痢で発症することが多く、ウイルス性の場合は抗菌薬が無効であるため、補水と対症療法が基本となります。
重症度判定チェックリスト
症状が出たら、まず以下のチェックリストで重症度を確認してください。
🔴 レベル1:緊急受診(今すぐ救急・112番)
以下のいずれかに該当する場合は、市販薬での対処を試みず、直ちに救急医療機関(Spoedgevallen / Urgences)を受診してください。
- 吐物・嘔吐物に血液が混じる(コーヒー残渣様・鮮血)
- 嘔吐後に意識が混濁している、または呼びかけに反応しない
- 激しい頭痛・首のこわばり(項部硬直)を伴う嘔吐
- 突然の激烈な腹痛(腹膜炎・膵炎・腸閉塞の疑い)
- 体温38.5°C以上の高熱と嘔吐が同時に起きている
- 視力異常・複視・言語障害・手足のしびれを伴う嘔吐
- 脱水の重症サイン:著明な口腔乾燥・尿が出ない・皮膚ツルゴール低下
- 小児(5歳以下)で6時間以上嘔吐が止まらない
- 貝類・キノコ・不明な食物摂取後30分以内に発症した重篤な嘔吐
🟡 レベル2:準緊急(当日中にかかりつけ医または夜間クリニックへ)
- 嘔吐が24時間以上持続している
- 水分が一切摂取できず、口が乾燥している
- 体温37.5〜38.4°Cの発熱を伴う
- 嘔吐後に強い倦怠感・立ちくらみがある
- 服用中の慢性疾患治療薬(抗凝固薬・免疫抑制薬・糖尿病薬等)が吸収されているか不安
- 妊娠中・授乳中で嘔吐が続いている
- 嘔吐が止まったが黄疸(皮膚・白目が黄色)が現れてきた
🟢 レベル3:経過観察(市販薬で対処可能)
- 嘔吐が1日3回以下で、24時間以内に自然軽快しそう
- 乗り物酔い・食べ過ぎ・飲み過ぎが明らかな原因として思い当たる
- 水分(水・スポーツ飲料)がゆっくり摂取できている
- 発熱がない、または37.4°C以下の微熱
- 腹痛が軽度で、安静にしていれば落ち着く
- 意識は清明で、会話・歩行に支障がない
現地薬局で買えるOTC薬(表形式)
ベルギーの薬局(Apotheek〔オランダ語〕/ Pharmacie〔フランス語〕)は処方箋なしで購入できるOTC医薬品が充実しています。以下の表は実在が確認できた製品のみを掲載しています。
| ブランド名 | 主な有効成分(一般名) | 1回用量の目安 | 価格目安 | 主な入手先 |
|---|---|---|---|---|
| Vomex A | ジメンヒドリナート25mg | 1〜2錠・1日3〜4回 | €4〜6 | 全国の薬局 |
| Nautamine | ジメンヒドリナート50mg | 1錠・1日2〜3回 | €3〜5 | 全国の薬局 |
| Smecta | ジオクタヘドラルスメクタイト3g | 1包・1日3回(水に溶かす) | €6〜8 | 全国の薬局 |
| Imodium | ロペラミド塩酸塩2mg | 初回2錠・以降1錠(最大8mg/日) | €4〜6 | 全国の薬局 |
| Primperan | メトクロプラミド塩酸塩10mg | ※処方箋が必要になる場合あり | 処方薬 | 要処方確認 |
| Motilium | ドンペリドン10mg | ※ベルギーでは処方箋が必要 | 処方薬 | 要処方確認 |
| 経口補水塩(一般名) | ナトリウム・カリウム・ブドウ糖 | 製品表示に従う | €3〜5 | 全国の薬局・スーパー |
薬剤師からの補足: Primperan(メトクロプラミド)とMotilium(ドンペリドン)はベルギーでは処方箋が必要になる場合が多く、OTCとして自由に購入できるとは限りません。薬局で直接確認してください。以下で各製品の詳細を解説します。
各製品の詳細解説
① Vomex A(ジメンヒドリナート25mg)
ジメンヒドリナートは8-クロロテオフィリンとジフェンヒドラミンの塩であり、抗ヒスタミン作用によって前庭器官からの吐き気シグナルを抑制します。乗り物酔い・術後嘔吐・ウイルス性胃腸炎に伴う嘔気まで幅広く使用され、ベルギーで最もポピュラーな制吐OTCです。効果発現は服用後30〜60分が目安で、持続時間は4〜6時間程度です。眠気が出ることがあるため、服用後の車・自転車の運転は避けてください。
② Nautamine(ジメンヒドリナート50mg)
Vomex Aの高用量版です。成分は同じジメンヒドリナートですが、1錠あたりの含有量が50mgと倍になります。長距離フェリーや高速列車での強い揺れに対処したい場合や、Vomex A 25mgで効果が不十分だった方に適しています。眠気が強く出る傾向があります。
③ Smecta(ジオクタヘドラルスメクタイト3g)
フランス発のスメクタイト製剤で、ベルギーでも広く普及しています。天然のケイ酸アルミニウムマグネシウムが腸粘膜を被覆し、細菌毒素・ウイルスを吸着して排出を促します。食中毒・感染性胃腸炎に伴う嘔吐と下痢に対し、粘膜保護・症状軽減の補助的役割を担います。1包を約50〜100 mLの水に溶かして服用します。吸着作用があるため、他の薬と同時服用する場合は前後2時間あけることが推奨されます。
④ Imodium(ロペラミド塩酸塩2mg)
オピオイド受容体に作用して腸管の蠕動運動を抑制する止瀉薬です。嘔吐を直接抑える薬ではありませんが、食中毒・旅行者下痢症で嘔吐と下痢が同時に起きているケースでは下痢のコントロールに有用です。腸管出血性大腸菌(O157等)やサルモネラなどの細菌感染が疑われる場合、腸管内に毒素を閉じ込めるリスクがあるため使用を避けてください。 血便・高熱を伴う場合は使用禁忌です。
⑤ 経口補水塩(Oral Rehydration Salt)
吐き気・嘔吐・下痢の際は脱水に陥りやすく、特に欧州の夏季は気温が35°Cを超える熱波が来ることもあります。ベルギーの薬局ではWHO基準に準拠した経口補水塩が粉末スティックタイプで販売されており、水に溶かして補水に使用できます。市販のスポーツドリンク(糖質が多い)より電解質バランスに優れており、嘔吐後の補水に適しています。
現地語での症状表現・薬局での買い方フレーズ
ベルギーは北部(フランドル地方)でオランダ語(フラマン語)、南部(ワロン地方)でフランス語、東部(リエージュ周辺)でドイツ語が使われる多言語国家です。ブリュッセルは法的には二言語(オランダ語・フランス語)地域です。英語は全土で広く通じるため、英語での会話が最も安全です。
症状を伝えるフレーズ(英語・オランダ語・フランス語)
| 日本語 | 英語(+カタカナ発音) | オランダ語(フラマン語) | フランス語 |
|---|---|---|---|
| 吐き気がします | I feel nauseous.(アイ フィール ノーシャス) | Ik voel me misselijk. | J'ai la nausée. |
| 嘔吐しています | I am vomiting.(アイ アム ヴォミティング) | Ik geef over. | Je vomis. |
| 食中毒かもしれません | I think I have food poisoning.(アイ シンク アイ ハヴ フード ポイズニング) | Ik denk dat ik voedselvergiftiging heb. | Je pense que j'ai une intoxication alimentaire. |
| 乗り物酔いです | I have motion sickness.(アイ ハヴ モーション シックネス) | Ik ben reisziek. | J'ai le mal des transports. |
| 下痢もあります | I also have diarrhea.(アイ オールソー ハヴ ダイアリーア) | Ik heb ook diarree. | J'ai aussi la diarrhée. |
| 吐き気止めをください | I need something for nausea.(アイ ニード サムシング フォー ノーシャ) | Kunt u iets geven voor misselijkheid? | Avez-vous quelque chose contre la nausée ? |
| 処方箋なしで買えますか? | Is this available without a prescription?(イズ ディス アヴェイラブル ウィズアウト ア プレスクリプション?) | Is dit verkrijgbaar zonder voorschrift? | Est-ce disponible sans ordonnance ? |
| 妊娠中です | I am pregnant.(アイ アム プレグナント) | Ik ben zwanger. | Je suis enceinte. |
| 子ども用ですか? | Is this safe for children?(イズ ディス セーフ フォー チルドレン?) | Is dit veilig voor kinderen? | Est-ce sûr pour les enfants ? |
薬局での会話シナリオ
シナリオ1:乗り物酔い対策(列車乗車前)
あなた: "I have motion sickness on trains. What do you recommend?"(アイ ハヴ モーション シックネス オン トレインズ。ワット ドゥ ユー レコメンド?)
薬剤師: Vomex AやNautamineを提案してくれます。成分はジメンヒドリナートです。
あなた: "Does it cause drowsiness?"(ダズ イット コーズ ドロウジネス?=眠気が出ますか?)
シナリオ2:食中毒の疑い(嘔吐+下痢)
あなた: "I had seafood last night and now I'm vomiting and have diarrhea. Is there an OTC medication?"(アイ ハッド シーフード ラスト ナイト アンド ナウ アイム ヴォミティング アンド ハヴ ダイアリーア。イズ ゼア アン オーティーシー メディケーション?)
薬剤師: Smectaと経口補水塩を勧めることが多いです。
あなた: "No blood in the stool, no fever."(ノー ブラッド イン ザ ストゥール、ノー フィーバー。=血便なし、発熱なし)
現地の医療事情
ベルギーの医療システム概要
ベルギーは欧州でも医療水準が高い国の一つです。公的医療保険制度が整備されており、EU市民はEHIC(欧州健康保険カード)で受診できます。日本人旅行者は原則として自費診療となりますが、海外旅行傷害保険(クレジットカード付帯含む)のキャッシュレス対応があれば窓口での支払いを減らせます。
医療機関の種類
| 種類 | 名称(蘭語/仏語) | 特徴 |
|---|---|---|
| 救急病院 | Ziekenhuis / Hôpital | 24時間対応、救急は112番 |
| 一般開業医(GP) | Huisarts / Médecin généraliste | 予約制が多い、日中対応 |
| 夜間・週末クリニック | Wachtpost / Poste de garde | 夜間・週末の軽症対応 |
| 薬局 | Apotheek / Pharmacie | OTC購入・薬剤師相談 |
主要都市の救急・医療機関情報
ブリュッセル
- CHU Saint-Pierre(サン=ピエール大学病院):ブリュッセル中心部、英語対応可
- Clinique Saint-Jean(サン=ジャン病院):ブリュッセル市街地
- 夜間薬局情報は薬局の扉に張り出されており、当番薬局(Apotheek van wacht)が記載されています
アントワープ
- ZNA Middelheim病院、Universitair Ziekenhuis Antwerpen(UZA)
ブルージュ・ゲント
- AZ Sint-Jan(ブルージュ)、UZ Gent(ゲント大学病院)
緊急連絡先
| 用途 | 番号 |
|---|---|
| 救急車・消防(EU統一番号) | 112 |
| 警察 | 101 |
| 医療一般相談(ベルギー) | 1733(夜間・週末の医療相談) |
| 駐ベルギー日本国大使館(ブリュッセル) | +32-2-513-2340 |
日本語対応の可能性
ベルギーの医療機関に常駐の日本語通訳はほとんどの施設で期待できません。英語・フランス語・オランダ語での対応が基本です。重篤な場合は日本国大使館に連絡し、日本語対応可能な医療機関の紹介を依頼することを推奨します。一部の国際保険サービス(クレジットカード付帯の24時間緊急デスク)では日本語オペレーターを通じた通訳手配が可能です。
薬剤師の視点:渡航前準備・持参推奨OTC・現地入手のリスク
渡航前に準備すべきこと
1. 旅行先の感染症情報の確認 出発前に外務省感染症危険情報・厚生労働省検疫所(FORTH)のウェブサイトでベルギーの感染症状況を確認します。ベルギーへの渡航に際して特別なワクチン接種義務はありませんが、A型肝炎・腸チフスワクチンの接種を検討するケースもあります(ただし西欧への短期旅行では通常不要)。
2. 常用薬の確認 慢性疾患の治療薬(特に経口薬)は旅行日程より数日多めに持参します。嘔吐が続くと内服薬の吸収が低下するため、担当医への事前相談が望まれます。
3. 海外旅行傷害保険の加入確認 ベルギーの救急外来受診は自費だと高額になることがあります(数百ユーロ以上)。クレジットカード付帯保険の補償内容(疾病治療費・キャッシュレスサービスの可否)を事前に確認してください。
日本から持参を推奨するOTC薬
| 日本のOTC薬 | 有効成分 | 対応する症状 |
|---|---|---|
| トラベルミン(大正製薬) | ジメンヒドリナート25mg + スコポラミン臭化水素酸塩 | 乗り物酔い |
| 新コルゲンコーワ整腸薬 | 乳酸菌・ビフィズス菌 | 腸内環境の維持・軟便 |
| ストッパ下痢止めEX(ライオン) | ロートエキス・次硝酸ビスマス等 | 急性下痢 |
| 経口補水液OS-1(大塚製薬工場) | ナトリウム・カリウム・ブドウ糖 | 脱水補正 |
| 正露丸(大幸薬品) | 木クレオソート | 食あたり・軟便 |
持参のメリット:日本語の添付文書で用法・用量が明確、過去の使用経験から副作用を把握済み、言語問題なく使用できる。
持参の制限:医薬品の海外持ち込みは原則として自己使用目的・一般的な量であれば問題ありません。ただし、麻薬・向精神薬を含む薬は別途手続きが必要です。渡航前に厚生労働省のガイドラインを確認してください。
現地調達のリスクと注意点
ベルギーの薬局(Apotheek / Pharmacie)は国の規制下にある公認店舗であり、偽造品のリスクは日本と同様に低いです。しかし以下の点に注意が必要です。
- インターネット薬局(オンライン): ベルギーで公認されたオンライン薬局はEU公認ロゴ(緑の十字に欧州旗)を掲示しています。このロゴがないサイトからの購入は避けてください
- ホテルのギフトショップ・キオスク: 「医薬品」として販売されていても、サプリメント扱いで有効成分量が不明な場合があります
- パッケージの言語確認: ベルギー国内流通品はオランダ語・フランス語・ドイツ語の3言語表記が義務付けられており、正規品かどうかの目安になります
帰国後の観察ポイント:輸入感染症の見分け方
ベルギーからの帰国後、症状が続く・新たに出現する場合は「輸入感染症」の可能性を考慮する必要があります。
帰国後に注意すべき感染症
| 感染症 | 潜伏期間の目安 | 主な症状 | 注意事項 |
|---|---|---|---|
| ノロウイルス | 12〜48時間 | 突然の嘔吐・下痢・軽度発熱 | 脱水注意、通常2〜3日で軽快 |
| サルモネラ腸炎 | 6〜72時間 | 嘔吐・下痢・発熱 | 高熱・血便があれば受診 |
| カンピロバクター腸炎 | 2〜5日 | 下痢(血便あり)・腹痛・発熱 | 欧州で鶏肉からの感染が多い |
| リステリア症 | 3〜70日(幅広い) | 発熱・嘔吐・髄膜炎症状 | 妊婦・高齢者・免疫低下者で重篤化 |
| A型肝炎 | 15〜50日 | 倦怠感・黄疸・嘔気 | 帰国後1〜2ヶ月後に発症することも |
帰国後に受診すべき症状
- 帰国後2週間以内に38°C以上の発熱が続く
- 嘔吐・下痢が帰国後も3日以上続く
- 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)が現れた
- 血便・タール便が出た
- 渡航中に不衛生な環境での食事や生水摂取があった
帰国後の受診先
帰国後に症状が続く場合は、一般の内科・消化器内科または検疫所・感染症指定医療機関を受診し、渡航歴(国・期間・滞在場所・食事内容)を必ず伝えてください。「ベルギーへの渡航から帰国後○日目から発症」という情報が診断に不可欠です。
まとめ:症状別OTC薬選択の優先順位
| 状況 | 第一選択 | 補助 |
|---|---|---|
| 乗り物酔いの予防・治療 | ジメンヒドリナート製剤(Vomex A) | 水分補給 |
| 食中毒による嘔吐+下痢 | Smecta(スメクタイト) | 経口補水塩 |
| 強い嘔吐(乗り物酔い以外) | ジメンヒドリナート製剤(高用量:Nautamine) | 安静・経口補水 |
| 下痢単独(発熱・血便なし) | ロペラミド(Imodium) | Smecta併用も可 |
| 脱水・電解質補正 | 経口補水塩 | スポーツ飲料(補助的) |
| 上記で改善しない場合 | 薬局薬剤師に相談・医療機関受診 | — |
ベルギーは薬局へのアクセスが良く(pharmacyAccess: easy)、主要都市ではほぼ徒歩圏内に公認薬局があります。夜間は「当番薬局(Apotheek van wacht)」が輪番で営業しており、閉店している薬局の扉に当番薬局の住所・電話番号が掲示されています。
参考文献
-
World Health Organization (WHO) - "Diarrhoeal disease Fact Sheet"
https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/diarrhoeal-disease -
Centers for Disease Control and Prevention (CDC) - "Travelers' Health: Belgium"
https://wwwnc.cdc.gov/travel/destinations/traveler/none/belgium -
外務省 - 海外安全情報 ベルギー(感染症・衛生情報)
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_019.html -
厚生労働省検疫所 FORTH - 「感染症情報:ベルギー」
https://www.forth.go.jp/ -
European Medicines Agency (EMA) - "Domperidone-containing medicines"(ドンペリドンの安全性評価)
https://www.ema.europa.eu/en/medicines/human/referrals/domperidone-containing-medicines -
Belgian Federal Agency for Medicines and Health Products (FAMHP / AFMPS) - 公認医薬品検索
https://www.famhp.be/en -
駐日ベルギー王国大使館 - ベルギー医療・緊急連絡情報
https://japan.diplomatie.belgium.be/ja -
日本旅行医学会 - 「旅行者下痢症の予防と対策」(旅行医学テキスト参照)
https://www.jstah.or.jp/
免責事項
本記事は薬学的な情報提供を目的として執筆されており、医師による診断・治療の代替となるものではありません。記載された薬剤情報(用量・価格・入手可能性)は執筆時点の情報をもとにしており、現地の在庫状況・販売規制・価格は変動することがあります。症状が重篤な場合・持続する場合は必ず医療機関を受診してください。海外での医薬品使用に際しては、現地の薬剤師・医師の指示に従うことを強く推奨します。また、市販薬の使用によるいかなる結果についても、著者および当サイトは責任を負いかねます。
監修:薬剤師(博士(薬学))
本記事は薬学専門知識に基づき執筆・監修されています。最新の医薬品情報については、各国の公式医薬品規制機関または担当薬剤師にご確認ください。