中国で吐き気・嘔吐になったら|現地で買える薬と薬局での買い方を薬剤師が解説

この症状で中国渡航中によくある原因

中国での吐き気・嘔吐は、渡航中よく遭遇する不快な症状です。原因として最も多いのは以下の3つです。

よくある原因と特徴

  • 食中毒(胃腸感染症)

    • 屋台や衛生管理が不十分な飲食店での食事が原因
    • 油っぽい食事、未加熱の野菜、不衛生な水
    • 症状:吐き気、嘔吐に伴い腹痛・下痢を伴うことが多い
    • 中国国内での感染症流行(ノロウイルスなど)にも注意
  • 乗り物酔い

    • 長距離バス、飛行機での気圧変化や揺れ
    • 中国の道路状況や運転スタイル(急加速・急ブレーキ)
    • 症状:乗車中から1時間程度で発症、下車後は改善傾向
  • 時差ぼけと疲労

    • 日中の時差は1時間(中国は統一で北京時間)だが、長時間フライトの疲労
    • 慣れない食事、睡眠不足の蓄積
    • 症状:軽度の吐き気が続く、食欲不振

現地薬局で買える薬(ブランド名・成分・用量)

中国で入手可能な制吐薬

1. メトクロプラミド配合製品

  • ブランド名:玛丁啉(Motilium)

    • 有効成分:ドンペリドン(domperidone) 10mg
    • 規格:錠剤、1回1錠、1日3回
    • 効果:胃の蠕動運動促進、制吐作用(軽~中程度の吐き気)
    • 入手性:★★★★★(ほぼすべての薬局で常備)
    • 価格:約5~10元/箱(日本円で約100~200円)
  • ブランド名:吗丁啉(Metoclopramide)

    • 有効成分:メトクロプラミド 10mg
    • 規格:錠剤、1回1~2錠、1日3回
    • 効果:化学療法性嘔吐、消化器系疾患による吐き気
    • 入手性:★★★★☆
    • 注意:長期使用で遅発性ジスキネジアのリスク(海外渡航中の短期使用は問題なし)

2. ジメンヒドリナート(乗り物酔い特化型)

  • ブランド名:茶苯海明(Dimenhydrinate)/晕动片
    • 有効成分:ジメンヒドリナート 25~50mg
    • 規格:錠剤、1回1錠(乗車30分前に服用)、1日2~3回
    • 効果:乗り物酔い、予防効果が高い
    • 入手性:★★★☆☆(大型薬局やオンライン薬局で入手可能)
    • 副作用:眠気が強い(運転や重要な活動前は避ける)

3. メクリジン配合製品

  • ブランド名:敏克适(Meclizine)
    • 有効成分:メクリジン 25~50mg
    • 規格:1回1錠、1日1~2回
    • 効果:乗り物酔い、前庭系由来の吐き気
    • 入手性:★★☆☆☆(小規模薬局では入手困難、大都市の外資系薬局を推奨)
    • 特徴:ジメンヒドリナートより眠気が少ない

4. 生姜製品(漢方補助療法)

  • ブランド名:生姜茶、陈皮茶
    • 成分:生姜エキス、陳皮(ミカン皮乾燥品)
    • 用法:1日1~2回、温湯で服用
    • 効果:軽度の吐き気緩和、消化促進
    • 入手性:★★★★★(すべての薬局・スーパーで市販)
    • 利点:副作用少ない、薬物相互作用なし

現地語での症状の伝え方

薬局で「吐き気がある」と伝える際の表現

中国語(標準中国語)での表現

日本語 中国語 ピンイン 用途
吐き気がします 我感到恶心 Wǒ gǎndào ěxin 基本表現
嘔吐しています 我在呕吐 Wǒ zài ǒutù 現在進行形
乗り物に弱いです 我容易晕车 Wǒ róngyì yūnchē 乗り物酔い
食べ物が原因かもしれません 可能是食物中毒 Kěnéng shì shíwù zhòngdú 食中毒の可能性
吐き気止めをください 请给我止吐药 Qǐng gěi wǒ zhǐtù yào 薬の要望

英語での表現(大都市・外資系薬局)

  • "I feel nauseous" → ナウゼアス(吐き気がする)
  • "I have been vomiting" → 嘔吐している
  • "I'm prone to motion sickness" → 乗り物酔いしやすい
  • "Do you have antiemetic medication?" → 制吐薬はありますか

薬局員との実践的やり取り

シナリオ1:乗り物酔いの予防

渡航者:"晕车片有吗?(乗り物酔い薬ありますか?)" 薬局員:"有的。这是茶苯海明,25毫克。(あります。これはジメンヒドリナート25mgです)" 渡航者:"上车前多久吃?(乗車何分前に飲みますか?)" 薬局員:"上车前30分钟。(乗車30分前です)"

シナリオ2:食中毒による吐き気

渡航者:"我感到很恶心,可能是食物中毒。(吐き気があります。食中毒かもしれません)" 薬局員:"好的。推荐玛丁啉或吗丁啉。这两个都很好用。(わかりました。モティリウムやメトクロプラミドをお勧めします)" 渡航者:"要多少钱?(いくらですか?)" 薬局員:"大约10元。(約10元です)"


日本の同成分OTC(持参する場合)

日本で事前購入可能な制吐薬

推奨:事前持参すべき医薬品

日本ブランド名 有効成分 規格 入手方法 利点
トラベルミン ジメンヒドリナート 25mg、50mg ドラッグストア/OTC医薬品 乗り物酔い特化、信頼性高い
トラベルミン ファミリア ジメンヒドリナート 子ども用25mg 同上 家族全員対応可
**アネロン" ニスキャップ" ジメンヒドリナート 50mg 同上 速放性、効き目が早い
ストッパ下痢止めEX ロペラミド 1mg 同上 食中毒の下痢対策に併用

参考:処方薬扱いの制吐薬(事前処方箋取得が必要)

  • メトクロプラミド(プリンペラン):医師処方必須
  • オンダンセトロン(ゾフラン):医師処方必須
    • これらは日本では処方薬ですが、中国では OTC 入手可能

持参時の注意

  • 航空機搭乗時:医薬品は手荷物として客室持ち込み可能(中身が見える透明容器が推奨)
  • 中国税関:個人使用量(1~2週間分)であれば申告不要だが、念のため英文の薬剤情報を印刷して携帯
  • 保管:高温・多湿を避け、ホテルの冷蔵庫保管は不可(室温保管)

避けるべき成分・買ってはいけない薬

中国で入手は可能だが、渡航者は避けるべき医薬品

1. スコポラミン配合製品

  • 中国名:东莨菪碱
  • 理由:強力な制吐作用があるが、副作用(瞳孔散大、口渇、尿閉)が強く、認知機能低下のリスク
  • 医学的立場:医師の指示なしに渡航者が使用すべきではない

2. 処方箋医薬品を OTC として販売している薬局

  • 中国では一部の薬局が本来処方薬を OTC 販売(違法)
  • 特に**注射剤(セフトリアキソンの筋肉注射など)**を勧める薬局は避ける
  • 理由:不衛生な注射器使用、用量不適切、感染症リスク

3. 成分不明な「漢方秘薬」

  • 市場で販売される無認可製品(特にオンラインで「中国秘密処方」等と謳うもの)
  • 重金属汚染、添加物混入のリスク
  • 国際基準の認可マーク(中国国家薬品監督管理部門 NMPA 認可番号)を確認必須

4. 偽造品への注意

  • 偽造ブランド: モティリウム、アモキシシリンなどの人気医薬品は偽造品が多い
  • 見分け方:
    • 包装のタイ語・ベトナム語表記がある(中国製品ではない)
    • 値段が異常に安い(正規品の50%以下)
    • 薬局の小規模で無認可店舗での購入

即座に受診すべき危険サイン

「吐き気・嘔吐」から「緊急受診が必要な状態」への移行

★★★ 直ちに病院(ER・緊急外来)へ ★★★

危険症状 対応方法 理由
血を伴う嘔吐(吐血) 即座に救急車(120)を呼ぶ、または病院に直行 消化管出血の可能性
24時間以上嘔吐が止まらない 6時間以内に受診 脱水症状、電解質異常の進行
強い腹痛を伴う嘔吐 病院で画像検査(CT/超音波)が必要 急性膵炎、腸閉塞の可能性
黒い便や血便が出現 即座に受診 消化管出血
高熱(39℃以上)を伴う 6時間以内に受診 感染性胃腸炎、髄膜炎の可能性
意識がぼやける、頭痛が強い 救急車呼び出し 脳膜炎、重度の脱水症状
尿量の著しい減少(6時間排尿なし) 数時間以内に受診 重度脱水症状

中国での医療機関利用

日本語対応可能な病院(北京・上海・広州)

  • 北京:ユニアンス国際クリニック、ベルリッツ医療サービス
  • 上海:瑞金医院国際部、仁済医院
  • 広州:中山医院国際部

受診時の必須アイテム

  • パスポート(身分確認)
  • 海外旅行保険証券(キャッシュレス対応病院の確認)
  • スマートフォン(翻訳アプリ Google Translate)
  • 症状の日記(いつから、どの程度、何を食べたか)

まとめ

中国渡航中の吐き気・嘔吐は、適切な OTC 薬の使用と生活改善で多くの場合は自然軽快します。

最も効果的な対処の優先順位

  1. 原因の特定:乗り物酔いか、食中毒か、時差ぼけか判断する
  2. 予防: 乗車30分前にジメンヒドリナート(玛丁啉、茶苯海明)を服用
  3. 現在症状: メトクロプラミド(吗丁啉)、ドンペリドン(玛丁啉)の短期使用
  4. 補助療法: 生姜茶、十分な水分補給
  5. 危険サイン出現: 躊躇なく病院受診

事前準備のチェックリスト

  • ☐ トラベルミン(乗り物酔い予防)を持参
  • ☐ ストッパ下痢止め(食中毒対策)を持参
  • ☐ 海外旅行保険の加入確認
  • ☐ 渡航先の日本語対応病院をスマートフォンに登録
  • ☐ 中国語での症状表現を事前に確認(メモ帳に記録)
  • ☐ 薬剤情報シート(英語版)を印刷して携帯

薬剤師からのアドバイス:中国での OTC 薬は高い効果が期待でき、日本と成分はほぼ同一です。ただし、成分・用量の確認と信頼できる薬局選びが最重要です。吐き気は体からの「休息信号」でもあります。無理をせず、症状が24時間以上続く場合は医師の診察を受けてください。

その他の症状も確認

→ すべての症状一覧 / 中国の渡航医薬品情報

免責事項: 本ガイドは一般的な軽症対応の参考情報であり、 医学的診断の代替ではありません。 妊婦・小児・慢性疾患の方、および上記の危険サインが見られる場合は 必ず医師・薬剤師に直接ご相談ください。

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