中国で吐き気・嘔吐になったら|現地で買える薬と薬局での買い方を薬剤師が解説
中国滞在中に突然の吐き気や嘔吐に見舞われると、言語の壁や見慣れない薬の選択肢に戸惑う方は少なくありません。本記事では、薬剤師の視点から原因の整理、重症度の判定、現地OTC薬の選び方、薬局でのコミュニケーション方法、そして帰国後に注意すべきことまで、段階的かつ網羅的に解説します。
中国で吐き気・嘔吐が起きやすい原因
気候・環境要因
中国は南北に長大な国土を持ち、気候帯が亜熱帯から亜寒帯まで多岐にわたります。夏季の北京・上海・広州では気温が35℃を超える日が続き、熱中症や脱水による吐き気が起きやすい環境です。特に直射日光の下での観光や屋外活動後に、吐き気・頭痛・めまいが同時に現れた場合は熱中症を疑う必要があります。一方、高地に位置する雲南省(麗江など標高2,400m前後)や西蔵自治区(標高3,650m以上)では高山病による吐き気が問題となります。急激な標高変化で体が低酸素に対応できず、頭痛・吐き気・食欲不振が複合的に出現します。
食文化と食中毒リスク
中国料理は油脂を多用した調理法(炒め・揚げ)が中心で、日本食に慣れた胃腸には刺激が強く、旅行者下痢症(traveler's diarrhea)のリスクがあります。屋台(夜市)や小規模な食堂では食材の冷蔵管理や手洗い設備が不十分なケースがあり、細菌性食中毒(サルモネラ、カンピロバクター、腸炎ビブリオ、腸管出血性大腸菌など)の原因になり得ます。また、ノロウイルスの流行は冬季(11〜3月)に集中し、人が密集する観光地では感染拡大しやすい状況です。
水道水は衛生基準が整備されていますが、配管の老朽化により生飲みは推奨されません。市販のミネラルウォーターを使用するのが基本ですが、未開封確認・ブランド確認(農夫山泉・康師傅など大手製品が比較的安全)を怠らないようにしましょう。氷・生野菜・半熟の卵料理にも注意が必要です。
乗り物酔い
中国では長距離高速バス(大巴)、高速鉄道(高鉄)、国内線航空機が主要な移動手段です。長距離バスは山岳地帯を走る路線も多く、急カーブや急加速・急ブレーキが多発します。また、高鉄では加速・減速の変化が速く、視覚と前庭感覚の不一致が乗り物酔いを誘発します。乗り物酔いは成人でも疲労や睡眠不足があると発症しやすく、渡航中の体調不良時には特に注意が必要です。
時差・疲労・ストレス
日本と中国の時差は東部標準時(UTC+8)で日本(UTC+9)との差は1時間ですが、長距離フライトによる身体的疲労、慣れない食事内容、睡眠環境の変化、旅行中のストレスが複合的に作用して「機能性悪心(functional nausea)」を起こすことがあります。軽度の吐き気が続く場合、感染症や中毒ではなく、単純な疲労・ストレス反応であるケースも少なくありません。
感染症(インフルエンザ・ウイルス性胃腸炎)
中国では季節性インフルエンザが冬季を中心に流行し、初期症状として吐き気・食欲不振が先行することがあります。ウイルス性胃腸炎(ノロウイルス・ロタウイルス)は年間を通じて報告されており、特に団体行動や観光バスでの集団感染リスクがあります。これらは対症療法が基本ですが、脱水に至る場合は医療機関の受診が必要です。
重症度判定チェックリスト
吐き気・嘔吐があるとき、まず以下のチェックで対応を判断してください。
🔴 緊急受診(すぐに救急病院へ)
以下のいずれかに該当する場合は市販薬での対処を試みず、直ちに医療機関を受診してください。
- 嘔吐に血液または黒色物が混じっている
- 激しい腹痛が持続している(特に右下腹部の圧痛)
- 24時間以上まったく水分が摂れず、尿量が著しく減少している
- 意識が混濁している、または会話がおかしい
- 発熱(38.5℃以上)+ 嘔吐 + 頭痛・首の硬直が同時にある(髄膜炎を示唆)
- 胸痛・左腕の痛みを伴う(心筋梗塞の可能性)
- 高地滞在中(標高2,500m以上)に吐き気+意識障害(重症高山病)
- 乳幼児・高齢者・妊婦で嘔吐が続いている
🟡 準緊急(数時間以内に受診を検討)
- 嘔吐が6〜8時間以上続いており、改善がみられない
- 水分補給をしても吐いてしまう状態が続く
- 発熱(38℃以上)を伴う
- 下痢が同時にあり、便に血液が混じっている
- 強い頭痛・めまいを伴う
- 既往に糖尿病・腎臓病・心臓病がある
🟢 経過観察(自己対処で対応可能)
- 吐き気のみで嘔吐がない、または1〜2回の嘔吐のみ
- 乗り物酔いが原因と明らかにわかる
- 食後1〜2時間で発症し、軽度の腹部不快感のみ
- 水分補給が可能で、尿量が保たれている
- 安静にすることで症状が徐々に軽減している
現地薬局で買えるOTC薬
中国の薬局(药店)について
中国では薬局チェーンが全国展開しており、大都市では24時間営業の薬局も多く存在します。代表的な薬局チェーンとしては、大参林(Daxianlin)、老百姓大药房(Laobaixing Pharmacy)、益丰大药房(Yifeng Pharmacy)、海王星辰(Neptune) などがあります。国際都市(北京・上海・広州・深圳)では外資系薬局やホテル内薬局で英語対応が可能なケースがあります。なお、薬品の入手しやすさ(pharmacyAccess)は「moderate(中程度)」で、日本と比較すると一部の薬品は入手困難ですが、基本的な制吐薬は大型薬局で揃います。
OTC制吐薬一覧
以下に現地で入手可能なOTC薬を示します。価格は概ねの目安であり、薬局や地域によって変動します。
| ブランド名(中国語) | 有効成分(一般名) | 1回用量 | 価格目安 | 入手しやすさ | 主な適応 |
|---|---|---|---|---|---|
| 吗丁啉(Motilium) | ドンペリドン 10mg | 1錠、1日3回 | 約10〜20元/箱 | ★★★★★ | 食後の吐き気・胃もたれ |
| 胃复安(メトクロプラミド) | メトクロプラミド 5mg | 1錠、1日3回 | 約5〜10元/箱 | ★★★★☆ | 消化器系の吐き気全般 |
| 晕动片(ジメンヒドリナート系) | ジメンヒドリナート 25〜50mg | 1錠、乗車30分前 | 約5〜15元/箱 | ★★★★☆ | 乗り物酔いの予防・治療 |
| 生姜茶(ショウガ茶) | ショウガエキス | 1包を温湯で | 約5〜20元/箱 | ★★★★★ | 軽度の吐き気・消化促進 |
| 藿香正气水(カッコウショウキスイ) | 藿香・蒼朮ほか(漢方) | 1本(10mL)、1日2〜3回 | 約10〜20元/箱 | ★★★★★ | 暑熱・食傷による吐き気・下痢 |
| 口服补液盩(経口補水液) | ブドウ糖・電解質配合 | 1包を250mLの水に溶解 | 約5〜10元/袋 | ★★★★★ | 嘔吐・下痢に伴う脱水補正 |
各薬品の薬剤師コメント
ドンペリドン(吗丁啉):胃の運動を促進し、末梢性の制吐作用を持つ薬剤です。食事後に胃がもたれて吐き気が出る場合、食中毒の初期など消化器系由来の吐き気に適しています。通常は食前30分前に服用します。心臓疾患のある方(QT延長症候群など)は服用前に医師への相談が望ましい成分です。短期間の使用であれば多くの場合問題ありませんが、不安があれば薬剤師に確認してください。
メトクロプラミド(胃复安):中枢性・末梢性の両方に制吐作用を持つ薬剤です。中枢神経系への作用があるため、長期使用では遅発性ジスキネジアのリスクがありますが、渡航中の数日間の短期使用であれば一般的に問題になりません。小児・高齢者・妊婦での使用には注意が必要で、これらの方は薬剤師に相談の上で使用することを推奨します。
ジメンヒドリナート(晕动片):抗ヒスタミン作用を持ち、前庭系への作用で乗り物酔いの予防・治療に使われます。眠気が強く出る副作用があるため、乗り物酔い予防で乗車前に服用する場合は、その後の運転は絶対に行わないでください。アルコールとの併用でも眠気が増強します。
藿香正气水:中国の伝統漢方薬であり、夏季の暑熱・湿邪による吐き気・下痢・腹痛に広く使われます。アルコール成分を含む製品があるため、飲酒不可の方や一部の薬との相互作用に注意が必要です。薬局でアルコールフリー製品(藿香正气软胶囊など)に変更できるか確認するとよいでしょう。
経口補水液(口服补液盩または市販の宝矿力など):嘔吐・下痢が続く場合、最も重要な対処は脱水予防です。市販の経口補水液や、ポカリスエット(宝矿力水特、中国でも入手可能)などのスポーツドリンクで水分・電解質を補給することが制吐薬と同様に、あるいはそれ以上に重要です。
現地語での症状の伝え方・薬局フレーズ集
基本表現(日本語・中国語・ピンイン対照表)
| 日本語 | 中国語 | ピンイン読み仮名 |
|---|---|---|
| 吐き気がします | 我感到恶心 | ウォー ガンダオ ヴォシン |
| 嘔吐しています | 我在呕吐 | ウォー ザイ オウトゥ |
| 乗り物酔いです | 我晕车了 | ウォー ユンチャー ラ |
| 食中毒かもしれません | 可能是食物中毒 | クーネン シー シーウー ジョンドゥ |
| 吐き気止めをください | 请给我止吐药 | チン ゲイ ウォー ジートゥー ヤオ |
| 乗り物酔いの薬はありますか | 有晕车药吗 | ヨウ ユンチャーヤオ マ |
| 何日分ありますか | 有几天的量吗 | ヨウ ジーティエン ダ リャン マ |
| 食前に飲むのですか | 是饭前吃吗 | シー ファンチエン チー マ |
| 副作用はありますか | 有副作用吗 | ヨウ フーズオヨン マ |
| 子ども用はありますか | 有儿童用的吗 | ヨウ アルトン ヨン ダ マ |
| 妊娠中でも飲めますか | 孕妇可以吃吗 | ユンフー クーイー チー マ |
| 領収書をください | 请给我收据 | チン ゲイ ウォー ショウジュ |
英語フレーズ(大都市・外資系薬局向け)
I feel nauseous.(アイ フィール ノーシャス)I have been vomiting since this morning.(アイ ハヴ ビーン ヴォミティング スィンス ディス モーニング)I think I have food poisoning.(アイ スィンク アイ ハヴ フード ポイズニング)Do you have antiemetic medication?(ドゥ ユー ハヴ アンティエメティック メディケイション?)I am allergic to [成分名].(アイ アム アラージック トゥ ~)Is this safe during pregnancy?(イズ ディス セーフ デュアリング プレグナンシー?)
実践的な薬局でのやり取り例
シナリオ1:乗り物酔い予防薬の購入
旅行者:「有晕车药吗?(乗り物酔いの薬はありますか?)」
薬局員:「有的。这个是晕动片,上车前30分钟吃一片。(あります。これが晕动片です。乗車30分前に1錠飲んでください)」
旅行者:「有没有不太想睡的?(あまり眠くならないものはありますか?)」
薬局員:「这个相对好一些,但还是会有一点困意。(これは比較的マシですが、やはり少し眠気が出ます)」
シナリオ2:食中毒による吐き気
旅行者:「我感到很恶心,可能是吃坏东西了。(とても吐き気がします。何か悪いものを食べたかもしれません)」
薬局員:「有发烧吗?(熱はありますか?)」
旅行者:「没有,就是恶心。(熱はありません。吐き気だけです)」
薬局員:「可以试试吗丁啉,饭前半小时吃。(吗丁啉を試してみてください。食前30分前に服用します)」
中国の医療事情
医療機関の種類と特徴
公立病院(公立医院)
中国の公立病院は三甲(さんこう)病院と呼ばれる最上位クラスから、二級・一級まで格付けされています。三甲病院は設備・専門医が充実していますが、患者が集中するため待ち時間が数時間に及ぶことが珍しくありません。費用は私立病院より安価ですが、英語対応できるスタッフが限られており、国際旅行者には使いにくい側面があります。
私立・外資系病院(私立医院・国际医院)
北京・上海・広州・深圳などの大都市には、英語対応が可能な国際診療部(international department)や外資系病院が存在します。診療費は公立病院の数倍〜十数倍になりますが、待ち時間が短く、英語・日本語スタッフが常駐している施設もあります。旅行者保険に加入している場合、キャッシュレス対応(直接請求)が可能な施設もあります。
主な都市での参考施設(日本語・英語対応あり):
- 北京:北京和睦家医院(United Family Healthcare Beijing)、北京国際SOS診療所
- 上海:上海和睦家医院、上海加州診療所(Shanghai California Medical Center)
- 広州・深圳:大都市中心部の国際診療部を持つ病院
※施設の診療時間・対応言語は事前にウェブサイトや電話で確認してください。
緊急連絡先
| 用途 | 番号 |
|---|---|
| 緊急(救急・警察・消防共通) | 120(救急)、110(警察)、119(消防) |
| 在中国日本国大使館(北京) | +86-10-6532-2361 |
| 在上海日本国総領事館 | +86-21-5257-4766 |
| 在広州日本国総領事館 | +86-20-8334-3009 |
海外旅行保険と医療費
中国での医療費は公立病院では比較的安価ですが、外資系・国際対応病院では1回の診察で1万〜数万円相当になることがあります。入院が必要になった場合、費用は数十万円を超えることもあります。必ず海外旅行保険(医療費補償付き)に加入してから渡航し、保険証券とカード番号は常に携帯してください。スマートフォンに保険会社の緊急連絡先を登録しておくことを強く推奨します。
医薬品の処方と調剤
中国では日本と異なり、薬局での購入ハードルが比較的低い成分が多い一方、薬局ごとに取り扱い品目が大きく異なります。処方箋(处方笺)が必要な医薬品(处方药、Rx)と、処方箋不要の医薬品(非处方药、OTC)は包装に表示されており、OTCは緑色の「OTC」マークが目印です。処方箋なしにRx薬を販売する薬局も一部存在しますが、適切な診断なしに服用することは安全上推奨されません。
薬剤師の視点:渡航前準備と現地入手のリスク
渡航前に持参を推奨するOTC薬
日本で事前に用意しておくと安心な薬を以下に示します。ブランド名は実在するものを記載しますが、成分(一般名)を確認した上で購入してください。
| 症状・用途 | 日本のOTC(参考例) | 有効成分 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 乗り物酔い予防・治療 | トラベルミン(第2類医薬品) | ジメンヒドリナート | 乗車・乗機30分前に服用 |
| 吐き気・消化不良 | 第一三共胃腸薬などの消化酵素配合製剤 | ジアスターゼ・リパーゼほか | 軽度の胃もたれに |
| 下痢(食中毒に伴う) | ストッパ下痢止めA | ロペラミド塩酸塩 | 感染性下痢への使用は医師判断を要する場合あり |
| 経口補水 | OS-1(経口補水液、ドラッグストアで入手可) | ブドウ糖・電解質 | パウダータイプが携帯に便利 |
| 解熱鎮痛(発熱時) | カロナール(アセトアミノフェン)は要処方。市販ではロキソニンSなど | アセトアミノフェンまたはイブプロフェン | 胃への刺激が少ないアセトアミノフェン配合製剤が望ましい |
重要な注意:日本で処方薬として用いられるメトクロプラミド(プリンペラン)やオンダンセトロンは、中国では入手しやすい状況にある場合もありますが、これらは適切な診断と処方に基づいて使用すべき薬剤です。現地で処方箋なしに入手できたとしても、診断なしの自己判断による服用は推奨しません。
現地入手における注意点・リスク
偽造医薬品への注意:中国では偽造品(仮冒薬品)の問題が当局によって継続的に取り締まられています。信頼できる薬局チェーン(法人経営の大型薬局)での購入が原則です。異常に安い価格・包装の印刷が粗雑・NMPA(国家薬品監督管理局)の批准番号が記載されていない製品には注意してください。NMPA番号は「国药准字Hxxxxx」(化学薬品)または「国药准字Zxxxxx」(漢方薬)のような形式で記載されています。
成分不明の漢方製品:市場や観光地で販売される無認可の「秘伝処方」と称した製品は、重金属(ヒ素・鉛など)の混入や、ステロイドや西洋薬成分の無断添加が報告されています。NMPA認可番号のない製品は使用しないことを強く推奨します。
スコポラミン含有製品:一部の乗り物酔い薬にスコポラミン(東莨菪碱)が含まれている場合があります。この成分は強力な制吐作用を持つ一方、口渇・散瞳・尿閉・認知機能低下などの副作用が強く、緑内障・前立腺肥大・高齢者での使用には特に注意が必要です。薬局で乗り物酔い薬を購入する際は成分表示を確認し、不明な場合は薬剤師に確認してください。
注射剤・点滴への安易な依存を避ける:中国の医療文化では、軽症でも点滴(输液)を好む傾向がありますが、軽度の吐き気・嘔吐であれば経口投与(飲み薬)での対処が国際的な標準です。薬局で点滴や注射を勧められた場合は、経口薬での対処が可能か確認してください。
帰国後の観察ポイント
帰国後に注意すべき症状
中国渡航後に帰国してから数日〜数週間で吐き気・発熱・下痢・体重減少などの症状が続く場合は、輸入感染症の可能性を考慮して医療機関を受診し、渡航歴を必ず申告してください。
注意すべき輸入感染症(吐き気・消化器症状を呈する主なもの)
| 感染症名 | 潜伏期間の目安 | 主な症状 | 受診の目安 |
|---|---|---|---|
| 腸チフス・パラチフス | 1〜3週間 | 発熱・吐き気・腹痛・便秘または下痢 | 持続する発熱+消化器症状で渡航後は必須 |
| 細菌性赤痢 | 1〜7日 | 粘血便・腹痛・発熱 | 血便が出たら即受診 |
| ウイルス性A型肝炎 | 2〜6週間 | 吐き気・倦怠感・黄疸 | 黄疸・尿の濃染があれば即受診 |
| アメーバ赤痢 | 数週間〜数ヶ月 | 粘血便・腹痛・発熱 | 帰国後も症状が続く場合 |
| ノロウイルス・ロタウイルス | 24〜72時間 | 嘔吐・下痢 | 脱水が進む場合は受診 |
受診時に医師へ伝えるべき情報
- 渡航先(中国)および滞在期間・地域
- 帰国からの日数と症状の経過
- 現地で食べたもの(生の魚介・生野菜・屋台食など)
- 現地で服用した薬(成分名・期間)
- 同行者の発症の有無
医療機関の選択
帰国後に感染症が疑われる場合は、感染症内科または熱帯医学・渡航医学を専門とする外来を受診することが推奨されます。日本感染症学会や日本熱帯医学会のウェブサイトで、渡航後感染症に対応できる医療機関を検索することができます。
よくある質問(Q&A)
Q:中国の薬局で薬を買うとき、日本の健康保険証は使えますか?
A:中国では日本の健康保険は使用できません。薬局でのOTC薬購入は全額自費です。処方箋が必要な医療機関受診も全額自費(または海外旅行保険から補填)となります。渡航前に海外旅行保険の加入内容を確認してください。
Q:妊娠中に吐き気が強い場合、何か飲んでいいですか?
A:妊娠中の制吐薬の使用は、自己判断では避けてください。ドンペリドン・メトクロプラミドのいずれも妊婦への安全性データが限られています。症状が強い場合は現地の産婦人科・内科を受診し、医師の判断のもとで薬を選択してください。なお、ショウガ(生姜)ティーは妊娠悪阻(つわり)の補助療法として一定のエビデンスがあり、比較的安全とされていますが、薬としての有効性は限定的です。
Q:子どもが嘔吐しています。何を飲ませればよいですか?
A:小児(特に2歳未満)の嘔吐への市販薬使用は慎重であるべきです。まず経口補水液(ORS)による水分補給を優先し、症状が続く場合や発熱を伴う場合は医師の診察を受けてください。中国でORS(口服补液盩)は薬局で入手可能です。
参考文献
-
World Health Organization (WHO). "Nausea and vomiting." Travel and health section. https://www.who.int/publications/i/item/9789240059979
-
Centers for Disease Control and Prevention (CDC). "China - Traveler's Health." CDC Yellow Book 2024. https://wwwnc.cdc.gov/travel/destinations/traveler/none/china
-
外務省. 「感染症・疾病に関する危険情報(中国)」海外安全情報. https://www.anzen.mofa.go.jp/
-
国立感染症研究所. 「渡航者・輸入感染症サーベイランス情報」. https://www.niid.go.jp/niid/ja/typhi-m/iasrtpc.html
-
国家薬品監督管理局(NMPA). 「药品查询(医薬品検索)」. https://www.nmpa.gov.cn/
-
日本感染症学会. 「輸入感染症に関するガイドライン」. https://www.kansensho.or.jp/
-
Quigley EM, et al. "Functional nausea and vomiting." Current Gastroenterology Reports. 2015;17(11):45.
免責事項
本記事は薬学的情報の提供を目的として作成されており、特定の疾患の診断・治療を目的としたものではありません。記載されている薬品情報・医療情報は執筆時点のものであり、現地の状況・薬局の在庫・法規制は変更される場合があります。実際の服薬・治療については、必ず医師または薬剤師にご相談ください。渡航先での体調不良が重篤な場合は、市販薬による自己対処を試みず、速やかに医療機関を受診してください。
監修:薬剤師(博士(薬学))