オランダで吐き気・嘔吐になったら|現地薬局で買える薬と薬剤師が教える買い方
オランダは年間1,500万人以上が訪れる欧州有数の観光地です。アムステルダムの運河クルーズ、チューリップ畑を巡るサイクリング、各地のチーズ市場――と魅力は尽きませんが、旅行中に吐き気や嘔吐に見舞われると観光どころではなくなります。本記事では、薬剤師(博士(薬学))の立場から、オランダ滞在中の吐き気・嘔吐について原因の解説から現地で購入できるOTC薬の詳細、医療機関の利用方法、そして帰国後の注意事項まで体系的に解説します。
オランダで吐き気・嘔吐が起きやすい原因
食文化・食品衛生の差異
オランダの食文化は日本と大きく異なります。ゴーダチーズやエダムチーズをはじめとする熟成チーズ、生ニシンを丸のまま食べる「ハーリング」、揚げたスナック類が観光客に人気ですが、これらに慣れていない胃腸には大きな負担となります。特にハーリングは塩漬け・発酵処理済みとはいえ、生魚であることに変わりなく、アニサキス等への注意が必要です。
屋外マーケットやストリートフードスタンドでは、食材の温度管理が観光シーズン中(特に夏季)に不十分になることがあり、カンピロバクターやサルモネラによる食中毒が起きやすくなります。通常の食中毒であれば24〜72時間で自然軽快しますが、症状が強い場合や長引く場合は受診を要します。
水質と胃腸への影響
オランダの水道水は欧州でも安全性が高い部類に入り、WHO基準を満たしています。ただし、日本の軟水(硬度 概ね50mg/L以下)に比べてオランダの水は中硬水〜硬水(硬度 概ね150〜300mg/L程度)の地域が多く、硬水に慣れていない日本人の胃腸が軽い不調をきたすことがあります。硬水を大量に飲んだ直後に下痢や軽度の悪心が生じるのはこのためです。
乗り物酔い・船酔い
アムステルダムの運河クルーズ、北海を渡るフェリー、長距離バスや自転車での移動など、オランダは「揺れる乗り物」に乗る機会が多い国です。運河クルーズは小型船が多く、エンジン振動が直に伝わりやすい構造のものもあります。フェリー(フック・ファン・ホラントからハリッジへのイギリス渡航便等)は北海の波浪を受けやすく、船酔いのリスクが高まります。
時差・疲労と自律神経の乱れ
日本との時差は夏時間(CEST)で7時間、冬時間(CET)で8時間です。長距離フライト直後はサーカディアンリズムが乱れ、自律神経系への影響から悪心・食欲不振・頭痛が生じます。過密な観光スケジュールによる睡眠不足が重なると症状が悪化しやすく、特に到着後1〜2日は無理な食事や早朝からの移動を避けることが重要です。
感染症(ノロウイルス・旅行者下痢症)
秋〜冬にかけてはノロウイルスが欧州全域で流行します。突発的な嘔吐と激しい下痢が特徴で、感染力が非常に強く、クルーズ船や宿泊施設での集団感染も報告されています。旅行者下痢症(Traveler's Diarrhea)は細菌性(ETEC等)が多く、嘔吐よりも下痢が主症状ですが、嘔吐を伴うこともあります。
重症度判定チェックリスト
吐き気・嘔吐の対応を誤ると脱水や重篤疾患の発見遅延につながります。以下の3段階で状況を判断してください。
⛔ レベル1:直ちに救急車(112番)を呼ぶ
以下のいずれかに該当する場合は、OTC薬での対処は不適切です。すぐに112に電話してください。
- 嘔吐物に血液が混じる(鮮血・黒色・コーヒー残渣様)
- 激しい腹痛(動けないほど)に嘔吐・発熱(38.5℃以上)が重なる
- 意識が朦朧とする、または失神した
- 嘔吐後に強い頭痛・項部硬直(頭を前に倒せない)→ 髄膜炎を疑う
- けいれんを伴う嘔吐
- 口唇や顔面のしびれ・呼吸困難を伴う嘔吐 → アナフィラキシーを疑う
⚠️ レベル2:当日中または翌朝までに医師の診察を受ける
- 24時間以上嘔吐が続いており、水分補給ができない
- 乳幼児・高齢者・妊婦・免疫抑制状態の方で嘔吐が6時間以上続く
- 38.5℃を超える発熱と嘔吐が同時にある
- 嘔吐と下痢が同時に48時間以上続く
- 尿量が著しく減少している(脱水の兆候)
- 目のくぼみ・口腔乾燥・皮膚の弾力低下など脱水症状が明らか
- 3日以上続く軽度の悪心で食事が取れない状態
✅ レベル3:市販薬で経過観察でよい
- 明らかな食べすぎ・飲みすぎが原因で、嘔吐1〜2回で収まっている
- 乗り物酔いが原因で、下車・下船後に改善傾向がある
- 軽い悪心があるが水分・食事は取れており、発熱・腹痛がない
- 時差ボケ・過労が原因で、一晩休んで翌日には改善
- 症状発現から24時間以内で徐々に軽快している
現地薬局で買えるOTC薬一覧
オランダの薬局(Apotheek)や大型ドラッグストアでは処方箋不要(OTC)で購入できる吐き気・嘔吐対策薬が充実しています。以下は代表的な製品です(価格は目安であり、店舗・時期により異なります)。
OTC薬一覧表
| ブランド名 | 主成分(一般名) | 用法・用量の目安 | 価格目安 | 主な購入先 |
|---|---|---|---|---|
| Dramamine | Dimenhydrinate 50mg | 6時間ごとに1〜2錠、最大1日4回 | €4〜6 | Kruidvat、Etos、Apotheek |
| Kwells | Hyoscine Hydrobromide(スコポラミン)0.3mg | 乗車30分前に1〜2錠、以後最大6時間ごと | €4〜6 | Apotheek、大型スーパー薬局コーナー |
| Gaviscon | Sodium alginate + Potassium bicarbonate配合 | 食後および就寝前に規定量 | €5〜8 | Kruidvat、Etos、Apotheek |
| Primperan(要注意) | Metoclopramide 10mg | ※EU規制により一般OTC販売は制限、薬剤師への相談必須 | — | Apotheek(薬剤師指導下) |
| Rennie | Calcium carbonate + Magnesium carbonate配合 | 症状時に1〜2錠を噛み砕く | €3〜5 | Kruidvat、Etos、スーパー |
| ORS(経口補水液)粉末 | Na・K・グルコース電解質配合 | 水に溶かして少量ずつ補給 | €3〜6 | Apotheek、Kruidvat |
| Emetrol類似品(成分名で相談) | Phosphoric acid・fructose・dextrose配合シロップ | 薬剤師に「phosphoric acid syrup for nausea(フォスフォリック アシッド シラップ フォー ノウジア)」と相談 | — | Apotheek |
各薬剤の薬学的解説
Dramamine(ジメンヒドリナート) ジメンヒドリナートはジフェンヒドラミンとクロロテオフィリンの塩で、H1受容体遮断作用と中枢性の前庭神経抑制作用により乗り物酔い・嘔吐を抑制します。眠気が強く出るため、移動後の休憩が取れるシーンでの使用に適しています。アルコールとの併用で中枢神経抑制作用が増強するため、飲酒との同日使用は避けてください。
Kwells(スコポラミン:Hyoscine Hydrobromide) 抗コリン作用により前庭神経系を抑制し、乗り物酔いに高い効果を持ちます。ジメンヒドリナートに比べて眠気が軽い傾向がありますが、口渇・視力低下・排尿困難などの抗コリン性副作用が出ることがあります。緑内障・前立腺肥大の方は使用前に薬剤師に相談を。
Gaviscon(アルギン酸ナトリウム系) 胃酸の逆流による悪心・胸焼けに作用します。服用後に胃内でゲル状のバリアを形成し、物理的に胃酸の食道逆流を防ぎます。妊娠中の悪心・胸焼けにも比較的安全に使用できますが、用法はかかりつけ医・薬剤師に確認してください。
Metoclopramide(プリンペランの主成分) 中枢性・末梢性の制吐作用を持つ有用な薬剤ですが、EMAの評価により若年者での長期使用は遅発性ジスキネジアリスクがあるとして使用制限が強化されました。オランダでは薬剤師の管理下での販売となるケースが多く、自己判断での使用は推奨しません。
Rennie(制酸薬) 炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムによる制酸作用で、食べすぎ・飲みすぎによる胃もたれ・悪心に有効です。即効性があり、噛み砕いて服用します。制酸薬としての作用は限定的で、強い嘔吐には効果が期待できません。
経口補水液(ORS)粉末 嘔吐・下痢による脱水の補正に不可欠です。薬局ではWHO規格準拠の粉末ORS製品を入手できます。市販のスポーツドリンクは糖分が多く電解質バランスが異なるため、脱水補正には不適切です。嘔吐が続く場合は5〜10mLずつスプーンで少量ずつ補給するのが基本です。
現地語での症状の伝え方と薬局フレーズ
オランダは英語普及率が非常に高く、薬局スタッフのほとんどが英語で対応できます。ただし、オランダ語でも基本表現を知っておくと安心です。
症状を伝える表現
| 日本語 | 英語フレーズ | オランダ語 | 発音目安 |
|---|---|---|---|
| 吐き気がします | I feel nauseous.(アイ フィール ノウシャス) | Ik voel me misselijk. | イク・フール・ム・ミセリック |
| 嘔吐しています | I've been vomiting.(アイヴ ビーン ヴォミティング) | Ik moet overgeven. | イク・ムート・オーファルヘーフェン |
| 乗り物酔いしました | I have motion sickness.(アイ ハヴ モーション シックネス) | Ik ben reisziek. | イク・ベン・ライスツィーク |
| 食中毒かもしれません | I think I have food poisoning.(アイ シンク アイ ハヴ フード ポイズニング) | Ik denk dat ik voedselvergiftiging heb. | イク・デンク・ダット・イク・フーツェルフェルフィフティヒング・ヘブ |
| 24時間以上続いています | It's been going on for over 24 hours.(イッツ ビーン ゴーイング オン フォー オーバー 24 アワーズ) | Het duurt al meer dan 24 uur. | ヘット・デュールト・アル・メール・ダン・24・ウール |
| 発熱もあります | I also have a fever.(アイ オールソウ ハヴ ア フィーバー) | Ik heb ook koorts. | イク・ヘブ・オーク・コールツ |
薬局での購入フレーズ
| 目的 | 英語フレーズ | オランダ語 |
|---|---|---|
| 酔い止め薬を探す | Do you have something for motion sickness?(ドゥ ユー ハヴ サムシング フォー モーション シックネス?) | Heeft u iets tegen reisziekte? |
| 処方箋不要か確認 | Can I buy this without a prescription?(キャン アイ バイ ディス ウィズアウト ア プリスクリプション?) | Kan ik dit zonder recept kopen? |
| 眠気の少ないタイプを希望 | Do you have one with less drowsiness?(ドゥ ユー ハヴ ワン ウィズ レス ドロウジネス?) | Heeft u een variant die minder slaperig maakt? |
| 子どもに使えるか確認 | Is this safe for children?(イズ ディス セーフ フォー チルドレン?) | Is dit veilig voor kinderen? |
| 妊婦でも使えるか | Is this safe during pregnancy?(イズ ディス セーフ デュアリング プレグナンシー?) | Is dit veilig tijdens de zwangerschap? |
| 用法を教えてほしい | Can you explain how to take this?(キャン ユー エクスプレイン ハウ トゥ テイク ディス?) | Kunt u uitleggen hoe ik dit moet innemen? |
オランダの医療事情
医療制度の概要
オランダは国民全員が民間保険への加入を義務付けられた「競争的保険制度」を採用しており、旅行者は原則として旅行保険(海外旅行傷害保険)で対応します。ただし、緊急時はまず対応してもらえるため、領収書と診断書を必ず受け取り、帰国後に保険会社へ請求します。
医療機関の種類と特徴
Apotheek(調剤薬局) 日本の調剤薬局に相当し、薬剤師が常駐しています。OTC薬の販売に加え、薬剤相談も受け付けます。アムステルダム・ロッテルダム・デン・ハーグ等の都市部では英語対応が標準的です。
Drogist / Drogisterij(ドラッグストア) Kruidvat、Etosなどのチェーンが代表的です。OTC薬・衛生用品・化粧品を扱い、薬剤師は常駐しない場合がありますが、簡単な相談には応じてもらえます。
Huisarts(家庭医 / かかりつけ医) オランダの一次医療の中心です。旅行者が直接受診することは難しいケースがありますが、緊急時には相談できます。
Huisartsenpost(家庭医時間外診療所) 平日夕方以降・土日祝日に対応する一次救急。軽〜中等症の対応窓口で、英語対応可能な場合が多いです。まず電話で相談することが推奨されています(各都市の番号は地域ごとに異なります)。
Spoedeisende Hulp(SEH)/ 救急外来 大病院に併設された二次・三次救急です。重篤な症状の場合はここへ搬送されます。英語対応スタッフが配置されているケースが多いです。
緊急連絡先
| 用途 | 番号・連絡先 |
|---|---|
| 救急・警察・消防(共通) | 112 |
| 非緊急医療相談(Huisartsenpost) | 地域ごとに異なる(ホテルのフロントで確認を) |
| オランダ日本大使館(ハーグ) | +31-70-346-9544 |
| 在アムステルダム日本国総領事館 | +31-20-304-5800 |
日本語対応医療機関
オランダには日本語対応の医療機関は限られており、大都市でも専門の日本語通訳付き病院は多くありません。海外旅行傷害保険に加入している場合は保険会社の24時間日本語サポートラインを活用してください(保険証券に記載されている番号)。観光庁の「たびレジ」への登録も緊急時の情報受信に役立ちます。
薬剤師の視点:渡航前の準備と現地入手のリスク
持参を推奨するOTC薬
渡航前に日本で準備しておくことで、現地での不安を大幅に減らせます。
乗り物酔い対策
- ジメンヒドリナート系(例:トラベルミン、アネロンニスキャップ等):オランダのDramamine相当品
- スコポラミンパッチ(トランスデームスコップ:医療機関処方):長距離クルーズを予定している場合は渡航前に処方を受けておくと安心
悪心・嘔吐の一般対策
- ドンペリドン系(例:ナウゼリン:医療用、処方が必要):食中毒時の制吐に有効だが、日本でもOTCでは購入できない点に注意
- 生姜(ジンジャー)エキスサプリメント:根拠ある軽度の制吐作用があり、OTCで入手可能
胃腸保護・整腸
- ビフィズス菌・乳酸菌製剤(例:ビオフェルミン等):腸内環境の維持に
- 電解質補給タブレット:脱水予防のコンパクトな持参品として有効
日本の同成分OTC薬と用量比較の注意点
オランダで購入できるDramamine(ジメンヒドリナート50mg/錠)は、日本で流通するトラベルミン(ジメンヒドリナート40〜50mg相当を含む複合成分品)とは成分構成が異なります。単純な用量換算はせず、現地製品の添付文書(パッケージ内の説明書)に従って服用してください。特に1日最大用量を超えないよう注意が必要です。
現地入手の注意点
信頼できる購入先
- ✅ 「Apotheek」の看板がある調剤薬局(欧州薬局規格準拠の白い十字マーク)
- ✅ KruidvatやEtosの正規チェーン店
- ✅ Albert Heijn等の大型スーパー内の薬品コーナー
避けるべき購入先
- ❌ 観光地付近の露天商・土産物店での医薬品類
- ❌ 素性不明のオンライン販売(偽造品のリスク)
- ❌ 公式マークのない小規模雑貨店
EUでは合法的に流通するOTC薬は欧州医薬品番号(Registratienummer)がパッケージに記載されています。購入時にパッケージの外観が粗悪でないか、封印シールが intact であるかを確認する習慣をつけてください。
持参薬の入国時注意
日本から医薬品を持参する場合、観光目的であれば通常1ヶ月分程度までは問題ないとされていますが、成分表示(日本語+英語の成分名)を確認できるようにしておくことを推奨します。向精神薬・麻薬性成分を含む薬剤は別途規制があるため、外務省および在日オランダ大使館に事前確認を行ってください。
帰国後の観察ポイント:輸入感染症の見分け方
オランダ滞在中に起きた吐き気・嘔吐が帰国後も続く、または帰国後に新たに発症した場合、輸入感染症の可能性を考慮する必要があります。
帰国後に注意すべき感染症
| 感染症 | 潜伏期間の目安 | 主な症状 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ノロウイルス腸炎 | 12〜48時間 | 突発的嘔吐・下痢・腹痛、発熱は軽度 | 感染力が非常に強く、家族内感染に注意 |
| カンピロバクター腸炎 | 2〜5日 | 下痢(血便も)・腹痛・発熱・嘔吐 | 生肉・未加熱の鶏肉が原因になりやすい |
| サルモネラ腸炎 | 6〜72時間 | 発熱・腹痛・嘔吐・下痢 | 食後数時間以内の急激な発症が特徴 |
| A型肝炎 | 15〜50日 | 黄疸・倦怠感・悪心・食欲不振 | 発展途上地域だけでなく欧州でも散発的に発生 |
| 腸管出血性大腸菌(EHEC) | 3〜8日 | 血便・激しい腹痛・嘔吐、溶血性尿毒症症候群(HUS)に進展可能 | 重篤化しやすく早期受診が必須 |
帰国後に受診すべき目安
以下に1つでも該当する場合は、帰国後速やかに消化器内科・感染症内科(または総合病院の内科)を受診し、海外渡航歴を必ず申告してください。
- 帰国後72時間以内に38℃以上の発熱・嘔吐・下痢が出現
- 帰国後1〜2週間以内に黄疸(皮膚・目の白目が黄色くなる)が出現
- 帰国後3日以上経過しても下痢・嘔吐が改善しない
- 嘔吐または下痢に血液が混じる
- 倦怠感・食欲不振が帰国後1週間以上続く
受診時に伝えるべき情報
- 渡航先(オランダ)・滞在期間・帰国日
- 渡航中に摂取した食品(生魚・生肉・未加熱乳製品・屋台食品など)
- 現地での症状の経過と使用した薬剤
- 同行者への症状の有無(食中毒の場合、同じ食事をした人も発症していることが多い)
薬剤師が強調する5つのポイント
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眠気と抗コリン作用のトレードオフを知る:ジメンヒドリナートは眠気が強く、スコポラミンは眠気が少ないが口渇・便秘が出やすい。運転や重要な観光予定の有無で選択してください。
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脱水の初期サインを見逃さない:嘔吐が2〜3回続いたら、水分補給をORS(経口補水液)で行うことを最優先にしてください。スポーツドリンクは代替品として不完全です。
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制吐薬は「原因治療」ではない:OTC制吐薬は症状を抑えますが、感染症や消化器疾患の根本治療ではありません。「薬を飲んで楽になったから大丈夫」と過信して受診を遅らせないよう注意してください。
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Metoclopramideは自己判断で使用しない:EU規制で安全性が再評価されたドンペリドン・メトクロプラミドは、薬剤師または医師の指導なしに使用するのは避けてください。特に若年者・妊婦への影響が懸念されています。
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旅行保険の確認を出発前に:オランダの医療費はEU圏内でも相応の費用がかかります。クレジットカード付帯保険の補償範囲・医療費キャッシュレス対応の可否を必ず渡航前に確認しておいてください。
参考文献
-
World Health Organization (WHO). "The treatment of diarrhoea: a manual for physicians and other senior health workers." 4th rev. ed. Geneva: WHO Press, 2005. https://www.who.int/publications/i/item/9241593180
-
European Medicines Agency (EMA). "Metoclopramide-containing medicines: EMA confirms restrictions on use." EMA/562598/2013. https://www.ema.europa.eu/en/medicines/human/referrals/metoclopramide-containing-medicines
-
Centers for Disease Control and Prevention (CDC). "Travelers' Health: Netherlands." Yellow Book 2024. https://wwwnc.cdc.gov/travel/destinations/traveler/none/netherlands
-
外務省. 「海外安全情報 オランダ(危険情報・感染症危険情報)」 https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_204.html
-
厚生労働省. 「海外渡航者のための感染症情報」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/travel.html
-
College ter Beoordeling van Geneesmiddelen (CBG-MEB / Medicines Evaluation Board, Netherlands). "Registered Medicines Information." https://www.cbg-meb.nl/
-
国立感染症研究所(NIID). 「感染症発生動向調査週報(IDWR):輸入感染症」 https://www.niid.go.jp/niid/ja/idsc/idwr.html
まとめ:オランダで吐き気・嘔吐になったときの対処フロー
- 重症度チェック:血が混じる・意識障害・激しい腹痛→即112。24時間以上嘔吐継続・脱水兆候→Huisartsenpostへ。
- 軽症なら薬局へ:Apotheekまたは KruidvatでDramamine(ジメンヒドリナート)またはKwells(スコポラミン)を購入。英語で "Do you have something for motion sickness or nausea?(ドゥ ユー ハヴ サムシング フォー モーション シックネス オア ノウジア?)"と声をかければ通じます。
- 脱水補正を最優先:嘔吐が続く場合はORS粉末を薬局で入手し、少量ずつ補給。
- 制吐薬は補助的に使用:症状を抑えながらも原因が疑われる場合は受診を先延ばしにしない。
- 帰国後も観察を続ける:72時間以内の発熱・黄疸・血便が出現したら、渡航歴を申告して内科受診。
免責事項
本記事は薬剤師(博士(薬学))による薬学的情報の提供を目的としており、特定の個人への診断・治療・処方を行うものではありません。記載された薬剤情報は執筆時点の情報をもとにしており、製品仕様・価格・販売状況は変更されることがあります。実際の服薬・受診判断は必ず担当医・薬剤師にご相談ください。海外での医療行為・医薬品購入に際しては、現地の法令および医療機関の指示に従ってください。
監修:薬剤師(博士(薬学))