ニュージーランドで吐き気・嘔吐になったら|現地で買える薬と薬局での買い方を薬剤師が解説
ニュージーランド(以下NZ)は南半球に位置し、日本から約10〜11時間(直行便)のフライトを要する人気の旅行・留学先です。雄大な自然と山道・フェリー・長距離バスを組み合わせた移動が多く、吐き気・嘔吐は現地で日本人旅行者が訴える症状の上位に挙がります。本記事では、薬剤師の視点から原因の解説・市販薬の選び方・現地語フレーズ・受診の判断基準・帰国後の注意点まで網羅的にガイドします。
1. ニュージーランドで吐き気・嘔吐になりやすい原因
1-1. 乗り物酔い
NZは国土の約75%が山岳地帯・丘陵地帯で占められており、レンタカーやツアーバスで移動すると急カーブ・急勾配の連続するワインディングロードを走ることになります。南島のクイーンズタウン〜テカポ間、北島のロトルア周辺など観光地への移動ルートは特に揺れが激しく、三半規管と視覚情報の不一致が生じやすい環境です。さらにインターアイランダーフェリー(北島〜南島間、所要約3時間半)は外洋に面したクック海峡を横断するため、波が高い日はうねりが強く、乗り物酔いが頻発します。
1-2. 時差ぼけと自律神経の乱れ
日本とNZの時差は夏時間(NZDT)で+4時間、冬時間(NZST)で+3時間です。南半球のため日本の夏(7〜8月)がNZの冬にあたり、体内時計のずれに加えて気候の季節感の逆転が重なります。渡航直後は自律神経が不安定になりやすく、朝方に強い吐き気・食欲不振・頭痛を感じるケースが多くみられます。
1-3. 食文化の違いと消化不良
NZ料理は牧畜・酪農が盛んな国柄を反映し、ラム肉・牛肉・チーズ・バターを多用した高脂肪・高タンパクの食事が中心です。日本食に比べて脂肪分が格段に多く、消化酵素の分泌量が追いつかずに胃もたれ・吐き気を引き起こすことがあります。また、夏の屋外バーベキュー(NZではバーベキューを"BBQ"あるいは"barbie"と呼ぶ)で加熱不十分な肉を食べた場合、カンピロバクター菌(Campylobacter)による食中毒リスクがあります。NZはカンピロバクター感染率が人口あたりで先進国の中でも高い水準にある国として知られており、腹痛・下痢・嘔吐が発症の主な症状です。
1-4. 水質と胃腸への刺激
NZの水道水は基本的に飲用可能ですが、地域によってミネラル組成が異なります。特にロトルアは地熱地帯に位置し、硫黄を含む独特のにおいがある水が供給される地区もあります。また農村部や一部のキャンプ場では雨水タンクや井戸水を使用していることがあり、ジアルジア(Giardia lamblia)による感染リスクがゼロではありません。ジアルジアは潜伏期間が1〜3週間程度と長く、旅行中より帰国後に症状が顕在化することがある点に注意が必要です。
1-5. アレルギーと花粉症
NZ(特に南島カンタベリー地方)は牧草地が広大で、春(9〜11月)にはライグラス・チモシーなどのイネ科植物の花粉が大量飛散します。花粉症による鼻水・くしゃみに加えて、後鼻漏が胃粘膜を刺激し吐き気を誘発するケースがあります。花粉に敏感な方は花粉シーズンの渡航に注意が必要です。
2. 重症度判定チェックリスト
自己判断の目安として以下の3段階で評価してください。あくまで参考であり、最終的な判断は医師が行います。
🔴 レベル3:今すぐ救急受診(111番またはEmergency Department)
- 嘔吐物に血液・コーヒー色の液体が混じっている
- 激しい腹痛(特に右下腹部)を伴う
- 意識が朦朧とする・強い倦怠感で起き上がれない
- 尿量が著しく減少、口腔内が極度に乾燥している(高度脱水)
- 妊娠中に嘔吐が止まらず、水分を全く摂取できない
- 頭痛と項部硬直(首の後ろが硬く動かせない)が同時にある
🟡 レベル2:当日〜翌日中にクリニック(GP/Urgent Care)受診
- 38.5℃以上の発熱を伴う嘔吐が6時間以上続く
- 下痢と嘔吐が同時に24時間以上続いている
- 市販薬を使用しても嘔吐が12時間以上改善しない
- 白目・皮膚が黄色みを帯びてきた(黄疸の可能性)
- 帰国後2〜3週間以内に発熱・嘔吐が再発した(輸入感染症の疑い)
🟢 レベル1:経過観察でOTC薬対応
- 乗り物酔いが原因で、降車・下船後に徐々に軽快している
- 食後1〜2時間の胃もたれ・軽度の吐き気のみ
- 時差ぼけで翌朝に吐き気があるが、水分・食事はとれている
- 嘔吐は1〜2回で治まり、その後は落ち着いている
3. 現地薬局で買えるOTC薬
NZにはChemist Warehouse(大型ドラッグストア、主要都市に展開)、Unichem(全国チェーンのコミュニティファーマシー)、Life Pharmacy(Unichem系列の大型店)、Green Cross Health系列のファーマシー、そしてスーパーマーケット(Countdown/Woolworths NZ、Pak'nSave)の医薬品コーナーなど、OTC薬の入手先は複数あります。以下の製品は主要都市(オークランド・ウェリントン・クライストチャーチ・クイーンズタウン)の薬局で概ね入手可能です。ただし価格は店舗・時期により変動するため、以下は目安です。
OTC薬一覧表
| ブランド名 | 有効成分(一般名) | 主な用途 | 規格・用法 | 価格目安(NZD) | 主な入手先 |
|---|---|---|---|---|---|
| Kwells | Hyoscine hydrobromide(ハイオスシン臭化水素酸塩) | 乗り物酔い予防・治療 | 0.3mg/錠、1回1錠を6時間ごと(最大3回/日)、出発30分前 | 概ね8〜15 | Chemist Warehouse, Unichem, Life Pharmacy |
| Dramamine | Dimenhydrinate(ジメンヒドリナート) | 乗り物酔い・吐き気 | 50mg/錠、1回1〜2錠を4〜6時間ごと(最大6錠/日)、出発30分前 | 概ね10〜18 | Unichem, Countdown内薬局 |
| Gravol | Dimenhydrinate(ジメンヒドリナート) | 乗り物酔い・吐き気 | DranamineとほぼDramamine同等成分・用法 | 概ね10〜18 | Chemist Warehouse, Life Pharmacy |
| Rennie(レニー) | Calcium carbonate + Magnesium carbonate(炭酸カルシウム・炭酸マグネシウム) | 胸やけ・胃酸由来の吐き気 | 規格は製品により異なる、1回1〜2錠を咀嚼して服用 | 概ね7〜12 | スーパーマーケット、薬局全般 |
| Gaviscon | Sodium alginate + Sodium bicarbonate(アルギン酸ナトリウム・炭酸水素ナトリウム) | 逆流性食道炎・胃酸による吐き気 | 液剤または錠剤、食後・就寝前。規格は製品により異なる | 概�10〜18 | Chemist Warehouse, Unichem |
| Hydralyte / Gastrolyte | 経口補水塩(ORS) | 嘔吐・下痢後の水分・電解質補給 | 顆粒または液剤。1袋を水200mLに溶解 | 概ね8〜15(複数袋入り) | 薬局全般、スーパーマーケット |
| Panadol(パラドール) | Paracetamol(パラセタモール) | 嘔吐に伴う頭痛・発熱の緩和 | 500mg/錠、1回1〜2錠を4〜6時間ごと(最大4g/日) | 概ね5〜10 | 薬局全般、スーパーマーケット、コンビニ |
薬剤師コメント:嘔吐止め専用のメトクロプラミド(プリンペラン相当)やプロクロルペラジン(ノバミン相当)はNZでは**処方箋医薬品(Prescription Only Medicine)**であり、薬局のOTC棚では購入できません。強力な制吐薬が必要と判断される場合はGP(かかりつけ医)またはUrgent Careを受診してください。
4. 現地語(英語)での症状表現・薬局での買い方フレーズ
NZの公用語は英語(およびマオリ語・NZサイン言語)です。薬局スタッフは医薬品の専門訓練を受けており、症状を正確に伝えれば適切な製品を提案してもらえます。
症状を伝える英語表現
| 日本語 | 英語表現 | カタカナ発音 |
|---|---|---|
| 吐き気がします | I feel nauseous.(アイ フィール ノーシャス) | アイ フィール ノーシャス |
| 吐いてしまいました | I've been vomiting / throwing up.(アイヴ ビーン ヴォミティング/スローイング アップ) | アイヴ ビーン ヴォミティング |
| 乗り物酔いです | I have motion sickness.(アイ ハヴ モーション シックネス) | アイ ハヴ モーション シックネス |
| 船酔いをしました | I got seasick on the ferry.(アイ ガット スィーシック オン ザ フェリー) | アイ ガット スィーシック オン ザ フェリー |
| 時差ぼけで気分が悪いです | I have jet lag and feel unwell.(アイ ハヴ ジェット ラグ アンド フィール アンウェル) | アイ ハヴ ジェット ラグ アンド フィール アンウェル |
| 食べたものが合わなかったようです | I think the food didn't agree with me.(アイ シンク ザ フード ディドゥント アグリー ウィズ ミー) | アイ シンク ザ フード ディドゥント アグリー ウィズ ミー |
| 胸やけがします | I have heartburn.(アイ ハヴ ハートバーン) | アイ ハヴ ハートバーン |
| 眠くなりにくい薬が希望です | I'd prefer something that doesn't cause drowsiness.(アイド プリファー サムシング ザット ダズント コーズ ドロウジネス) | アイド プリファー サムシング ザット ダズント コーズ ドロウジネス |
| 妊娠中です | I'm pregnant.(アイム プレグナント) | アイム プレグナント |
| 子ども(○歳)に使いたいです | It's for my child, they are ○ years old.(イッツ フォー マイ チャイルド ゼイ アー ○ イヤーズ オールド) | イッツ フォー マイ チャイルド |
薬局での実践会話例
シーン:フェリー乗船後に船酔いが続いている場合
あなた:"Excuse me, I got quite seasick on the ferry from Picton. Do you have anything for nausea?"(エクスキューズ ミー アイ ガット クワイト スィーシック オン ザ フェリー フロム ピクトン。ドゥ ユー ハヴ エニシング フォー ノーシア?)
スタッフ:"Are you still feeling sick, or is it mostly over?"
あなた:"Still a bit nauseous. I'd prefer something without too much drowsiness as I need to drive later."(スティル ア ビット ノーシャス。アイド プリファー サムシング ウィズアウト トゥー マッチ ドロウジネス アズ アイ ニード トゥ ドライヴ レイター)
→ この状況ではKwells(ハイオスシン)が眠気が比較的少なく推奨されやすいです。ただし運転前の服用は眠気の個人差があるため、スタッフの指示に従ってください。
5. 避けるべき成分・注意が必要な製品
❌ OTC棚に存在しない(処方箋必要)
- Metoclopramide(メトクロプラミド):NZではPrescription Only Medicine。若年者での錐体外路症状(不随意運動)のリスクがあり、自己判断での使用は危険です。
- Prochlorperazine(プロクロルペラジン):同じく処方箋医薬品。
- Ondansetron(オンダンセトロン):強力な5-HT₃拮抗型制吐薬で、NZでは処方箋医薬品。がん化学療法や術後嘔吐に使用されます。
⚠️ 購入・使用時に注意が必要な成分
| 成分名 | 注意点 |
|---|---|
| Dimenhydrinate(ジメンヒドリナート) | 強い眠気。運転・機械操作中の服用は不可。アルコールとの併用で中枢神経抑制が増強する |
| Hyoscine(ハイオスシン) | 前立腺肥大・緑内障・排尿障害のある方は禁忌。口渇・視力のぼやけが副作用として生じることがある |
| Antihistamine系(First generation) | 眠気が強く、観光中の使用は要注意。連用で習慣性のリスク |
| Sodium bicarbonate含有制酸薬 | 高血圧・心不全・腎疾患のある方は塩分過多になる可能性がある |
| NSAIDs(イブプロフェン等) | 吐き気・嘔吐の根本原因への効果は限定的。空腹時服用で胃粘膜障害を悪化させる可能性がある |
6. ニュージーランドの医療事情
6-1. 医療システムの概要
NZは公的医療制度(ACC:事故補償制度を含む)が整備されていますが、旅行者(非居住者)は公的医療の無料対象外です。外来診察費は1回あたり概ね70〜150 NZD程度(クリニックの種類・地域により変動)が目安とされており、必ず海外旅行保険に加入してから渡航することを強く推奨します。
6-2. 主な医療機関の種類
| 機関の種類 | 特徴 | 備考 |
|---|---|---|
| GP(General Practice/かかりつけ医) | 基本的な診察・処方。予約制が主流 | 旅行者はウォークインを受け付けているGPを探す必要あり |
| Urgent Care / After Hours Clinic | 予約不要で緊急性が低い症状に対応。夜間・週末も開院 | "Urgent Care"でGoogle検索すると現地の近隣施設が表示される |
| Emergency Department(ED)/ A&E | 病院附属の救急外来。重篤な症状に対応 | 待ち時間が長いことがある |
| Pharmacy(薬局) | OTC薬の相談・販売。Pharmacist(薬剤師)常駐 | 処方箋なしで購入できる薬の範囲が広い |
6-3. 緊急連絡先
- 救急・警察・消防:111(日本の119・110相当)
- Healthline(無料電話健康相談):0800 611 116(24時間対応、英語)
- 駐ニュージーランド日本国大使館(ウェリントン):+64-4-473-1540
- 在オークランド日本国総領事館:+64-9-303-4106
6-4. 日本語対応が期待できる医療機関
オークランド・クライストチャーチ・クイーンズタウンなど日本人コミュニティが比較的多い都市では、日本語対応可能なGPやクリニックが存在する場合があります。渡航前に外務省「海外安全情報」や、JTB・HIS等の旅行会社が提供する現地緊急連絡先リストを確認しておくことを推奨します。ただし日本語対応可能施設の数は限られており、診察時間外に対応できないケースも多いため、英語でのコミュニケーション準備も必要です。
7. 薬剤師の視点:渡航前準備・持参推奨OTC・現地入手のリスク
7-1. 渡航前に持参を推奨するOTC薬
NZはOTC薬の入手環境が良好(pharmacyAccess: easy)ではありますが、旅行中に薬局を探す時間的・言語的なストレスを減らすため、以下は日本から持参することを推奨します。
| 症状 | 日本の持参推奨OTC | 有効成分 | NZ現地の相当品 |
|---|---|---|---|
| 乗り物酔い | トラベルミン(各種) | ジメンヒドリナート50mg | Dramamine, Gravol |
| 乗り物酔い(眠気少なめ) | アネロン ニスキャップ | d-クロルフェニラミンマレイン酸塩等配合 | Kwells(ハイオスシン、成分は異なる) |
| 胃もたれ・消化不良 | 太田胃散、ガストール等 | 複合健胃成分 | 現地薬局で薬剤師に相談 |
| 胸やけ・胃酸 | ガスター10(ファモチジン10mg) | ファモチジン | 現地にもファモチジン含有OTCあり(規格は製品により異なる) |
| 発熱・頭痛(嘔吐に伴う) | カロナール(市販品)、バファリンA等 | アセトアミノフェン、アスピリン等 | Panadol(パラセタモール) |
| 脱水補給 | OS-1等の経口補水液 | 経口補水塩 | Hydralyte, Gastrolyte |
注意:アネロン ニスキャップの成分はd-クロルフェニラミンマレイン酸塩・スコポラミン臭化水素酸塩水和物・無水カフェインの配合剤であり、NZのKwells(ハイオスシン単剤)とは組成が異なります。同一視せず、各製品の添付文書を必ず確認してください。
7-2. 現地入手のリスクと対策
- ブランド名が日本と異なる:同一成分でも製品名が違うため、成分名(一般名)で確認する習慣をつけてください。
- 用量表記の違い:NZのパラセタモール製剤は500mgが標準ですが、日本のカロナール錠と比較して1回服用量の上限の考え方に差がある場合があります。必ずパッケージの指示に従ってください。
- 二重服用のリスク:日本から持参した薬と現地で購入した薬に同じ成分が含まれている場合、意図せず過剰摂取になることがあります。特にパラセタモール(アセトアミノフェン)は多くのOTC製品に配合されており、1日4gを超えないよう注意が必要です。
- アレルギー歴の確認:初めて使用する成分の薬を現地で購入する場合は、薬剤師に成分を確認し、既知のアレルギーがないことを伝えてください。
7-3. 渡航前の薬剤チェックリスト
- 常用薬がある場合は、英文の薬剤情報書(Medication Information Sheet)を医師・薬剤師に作成してもらう
- 持参するOTC薬の成分を把握し、現地で購入する薬との重複を防ぐ
- 海外旅行保険の医療費補償範囲と、現地でのキャッシュレス医療が可能かどうかを確認する
- 乗り物酔い薬は「旅行当日に初めて飲む」のではなく、渡航前に1度試して副作用(眠気の程度・口渇等)を確認しておくことを推奨する
8. 帰国後の観察ポイント:輸入感染症の見分け方
NZは衛生環境が良好な国ですが、帰国後にも以下の点に注意してください。
8-1. 帰国後に注意すべき症状と受診の目安
| 症状 | 潜伏期間の目安 | 疑われる感染症 | 受診先 |
|---|---|---|---|
| 嘔吐・下痢・腹痛(帰国後1〜3日) | 1〜7日 | カンピロバクター食中毒、サルモネラ | 内科・消化器科 |
| 下痢・腹部膨満感・ガス(帰国後1〜3週間) | 1〜3週間 | ジアルジア症(Giardiasis) | 内科・感染症科(便検査を依頼) |
| 発熱・嘔吐・黄疸(帰国後数週間以内) | 2〜6週間 | A型肝炎(ただしNZでは稀) | 内科・感染症科 |
| 下痢が3週間以上持続 | — | 寄生虫感染症(クリプトスポリジウム等) | 感染症科(専門的な便培養検査を依頼) |
8-2. 帰国後受診時に医療機関へ伝えること
- 渡航先の国と地域(都市部か農村部か)
- 飲食した食品(生もの・川の水・未殺菌乳製品等)
- ペットや動物との接触歴
- 症状の開始日(帰国前から?帰国後何日目から?)
帰国後2週間以内に38℃以上の発熱・嘔吐・黄疸・血便等が出現した場合は、「○○(国名)から帰国してXX日目に発熱・嘔吐が始まった」と医師に必ず伝えてください。輸入感染症の早期診断につながります。
9. 日本の同成分OTC持参ガイド(比較表)
| NZのOTC薬 | 有効成分(一般名) | 日本の同成分OTC例 | 持参の注意点 |
|---|---|---|---|
| Dramamine / Gravol | ジメンヒドリナート | トラベルミン各種(第2類医薬品) | 眠気が強い。運転前不可 |
| Kwells | ハイオスシン(スコポラミン) | スコポラミン含有の乗り物酔い止め(薬剤師に相談) | 緑内障・前立腺肥大に禁忌 |
| Rennie | 炭酸カルシウム・炭酸マグネシウム | 各種制酸薬(太田胃散等の一部成分に類似) | 腎臓疾患がある場合は注意 |
| Gaviscon | アルギン酸ナトリウム等 | 日本では同成分のOTCは限られる | 現地で購入が現実的 |
| Hydralyte / Gastrolyte | 経口補水塩 | OS-1、ソリタT顆粒等 | 嵩張るため現地入手も選択肢 |
| Panadol | パラセタモール(アセトアミノフェン) | カロナール錠(一般名処方含む)、市販アセトアミノフェン製剤 | 1日4g上限を遵守。アルコールとの併用に注意 |
10. よくある質問(Q&A)
Q. フェリー乗船中に乗り物酔い薬を飲んでも効きますか? A. 乗り物酔い薬(ジメンヒドリナートやハイオスシン)は基本的に「予防薬」として設計されており、乗車・乗船前30分に服用することで最大効果が発揮されます。すでに症状が出た後でも効果がゼロではありませんが、予防時と比べて効果は限定的です。
Q. 子どもに市販の乗り物酔い薬を与えてよいですか? A. 年齢制限は製品ごとに異なります。KwellsおよびDramamineはNZの製品ラベルに年齢制限が明記されているため、必ず確認してください。不安な場合は薬局のPharmacistに「子ども用のものがあるか」と相談することを推奨します。
Q. 妊娠中でも市販の制吐薬は使えますか? A. 妊娠中の薬剤使用は、OTCであっても必ず医師または薬剤師に相談してください。特にハイオスシン・ジメンヒドリナートは妊娠中への使用について注意が必要です。経口補水塩による水分・電解質補給は安全性が高く、まず試すべき対処法です。
参考文献
-
World Health Organization (WHO) – "Diarrhoeal disease" fact sheet.
https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/diarrhoeal-disease(2024年確認) -
New Zealand Ministry of Health – "Campylobacteriosis".
https://www.health.govt.nz/your-health/conditions-and-treatments/diseases-and-illnesses/campylobacteriosis(2024年確認) -
New Zealand Ministry of Health – "Giardiasis".
https://www.health.govt.nz/your-health/conditions-and-treatments/diseases-and-illnesses/giardiasis(2024年確認) -
Medsafe (NZ Medicines and Medical Devices Safety Authority) – NZ Medicines Datasheet.
https://www.medsafe.govt.nz/(2024年確認) -
外務省 海外安全情報 ニュージーランド – 感染症・医療情報.
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_175.html(2024年確認) -
CDC (Centers for Disease Control and Prevention) – "New Zealand – Traveler View".
https://wwwnc.cdc.gov/travel/destinations/traveler/none/new-zealand(2024年確認) -
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA) – 添付文書情報データベース.
https://www.pmda.go.jp/(2024年確認)
免責事項
本記事は、薬剤師(博士(薬学)取得)による情報提供を目的としたものであり、医師による診断・治療行為の代替となるものではありません。個人の体質・既往歴・服用中の薬剤によっては本記事の内容が当てはまらない場合があります。薬の購入・服用にあたっては、必ず製品の添付文書を確認し、不明な点は現地の薬剤師または医師に相談してください。症状が重篤な場合や改善しない場合は、速やかに医療機関を受診してください。
監修:薬剤師(博士(薬学))