この症状でタイ渡航中によくある原因
タイでの吐き気・嘔吐は単独の病気ではなく、複数の原因が考えられます。
主な原因
- 食中毒:露店やローカル食堂での飲食後、数時間~24時間で発症。バクテリア(サルモネラ、カンピロバクター等)やウイルスによる腸炎
- 乗り物酔い:交通渋滞が多いバンコク移動、長距離バス、ボート移動で平衡感覚の乱れ
- 時差ボケと脱水:飛行時間が長く、タイの高温多湿環境下での水分不足
- アルコール過剰摂取:ビアチャンやメコンウイスキーの過剰飲用
- 冷房と室外の急激な気温差:自律神経の乱れ
軽症なら現地OTCで対応可能ですが、危険な兆候が見られたら即座に医療機関へ。
現地薬局で買える薬(ブランド名・成分・用量)
乗り物酔い・一般的な吐き気向け
1. Dramamine(ドラマミン)
- 有効成分:ジメンヒドリナート(Dimenhydrinate) 50mg
- 用法用量:1回1~2錠、1日3回(4~6時間ごと)、食事の有無は問わず
- 特徴:第1世代抗ヒスタミン薬。乗り物酔い予防に効果的。眠気が強い(運転は避ける)
- 価格目安:1箱(10~12錠)40~60バーツ(約140~210円)
- 入手:Boots、薬局チェーン全般で容易
2. Bonine(ボニン)
- 有効成分:メクリジン(Meclizine) 25mg
- 用法用量:1回1錠、1日1回(寝る前が理想)
- 特徴:持続時間が長く(12~24時間)、眠気がDramamineより軽い
- 価格目安:1箱40~80バーツ
- 入手:Boots、大型薬局
3. Motilium(モチリウム)
- 有効成分:ドンペリドン(Domperidone) 10mg
- 用法用量:1回1錠、1日3回(食事の15分前)
- 特徴:胃の蠕動運動を促進。食中毒による吐き気に有効。中枢への作用が少なく眠気がない
- 価格目安:1箱(10~30錠)80~120バーツ
- 入手:ほぼ全ての薬局で処方箋なしで入手可
4. Stoperan(ストペラン)またはドンペリドンジェネリック
- 有効成分:ドンペリドン 10mg
- 用法用量:同上
- 特徴:タイ国内OTC。Motiliumより安価(ジェネリック)
- 価格目安:1箱30~50バーツ
消化不良・制酸剤との組み合わせ
5. Gaviscon(ガビスコン)
- 有効成分:アルギン酸ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム
- 形状:シロップまたは咀嚼錠
- 用法用量:1回10mL(シロップ)または2錠(咀嚼錠)、1日4回
- 特徴:胸焼けと吐き気を同時に緩和。嘔吐まで至らない軽度な不快感に有効
- 価格目安:1本150~200バーツ
現地語での症状の伝え方
英語での基本表現
「I feel nauseous.」
(吐き気がします)
「I have been vomiting since this morning.」
(朝から嘔吐しています)
「I took medicine for food poisoning. Do you have something?」
(食中毒の薬を探しています。ありますか?)
タイ語での表現(カタカナ近似音)
「ผม/ดิฉัน มึนคะ/ครับ」
(ポム/チャン ムン カ/クラップ)
=吐き気がします(女性/男性)
「อาเจียน」
(アーチアン)
=嘔吐する
"หนองหนักมาก"または"อาเจียนมากมาย"
(ノーンナック マーク / アーチアン マーク マーイ)
=ひどく吐き気がする / 何度も嘔吐している
"ยา อาเจียน มี ไหม"
(ヤー アーチアン ミー マイ?)
=嘔吐の薬ありますか?
薬局でのやり取り例
顧客:"I feel nauseous. Nausea medicine, please."(英語)
または"Yadaa-chian mee mai?"(タイ語)
薬剤師:"Cause of nausea? Food or travel?"(原因確認)
顧客:"Maybe food. Motion sickness."(食中毒と乗り物酔い両方)
薬剤師:Motiliumまたはドンペリドンを勧める
日本の同成分OTC(持参する場合)
タイ渡航前に日本で準備することも推奨。同成分の日本OTCは以下の通り。
| 成分 | 日本OTCブランド例 | 規格 | 用法 |
|---|---|---|---|
| ジメンヒドリナート | トラベルミン、ヒスタミン | 50mg | 1日3回 |
| メクリジン | トラベルミン | 25mg | 1日1回 |
| ドンペリドン | なし(一般用医薬品なし、医師処方のみ) | - | - |
| アクセスフェノタジン(新世代) | ボラギノール | - | 処方薬 |
ポイント:
- 日本で「トラベルミン」を事前購入するのがベスト選択肢
- ドンペリドンは日本では一般用OTCがないため、タイで購入するメリットあり
- 6時間~24時間の渡航なら日本製を3~5日分持参が無難
避けるべき成分・買ってはいけない薬
避けるべき成分
-
スコポラミン(Hyoscine)含有製品
- 強力な抗コリン作用。タイではパッチ製剤で販売
- 古い薬で副作用(口渇、散瞳、排尿困難)が強い
- 医師指導なしでは使用禁止
-
含まれるステロイド成分
- 一部の複合薬に低用量ステロイドが混入することあり
- 嘔吐止めという名目で実は制炎薬の製品は避ける
-
抗生物質含有の「消化薬」
- Entero(エンテロ)など、一部タイ製品に低用量抗生物質配合
- 医師指導なし長期使用は耐性菌リスク
偽造品・低品質製品への注意
- 購入先は必ずBootsか公式チェーン薬局(Watsons、Sawasdeeなど)
- 路上や無認可店舗での購入は避ける
- パッケージにタイ保健省のホログラムロゴを確認
- 価格が著しく安い場合は偽造の可能性
即座に受診すべき危険サイン
以下の症状が見られたら、自己対処を中止し、すぐに医療機関へ(Bumrungrad International Hospital、Samitivej Hospital等の私立総合病院推奨)。
緊急受診対象
✋ 血を伴う嘔吐(黒色/赤色血液混入)
- 胃潰瘍、食道静脈瘤、重篤な内出血の可能性
✋ 24時間以上続く嘔吐
- 脱水症状の進行、腸閉塞の可能性
✋ 強い腹痛を伴う嘔吐
- 虫垂炎、胆嚢炎、膵炎等の急性腹症
✋ 高熱(39℃以上)+ 吐き気
- 細菌感染症、デング熱等のウイルス性疾患
✋ 意識障害、けいれん
- 重度の脱水、熱中症、感染症の全身症状
✋ 尿の色が濃茶色、尿量が極端に少ない
- 脱水症状の進行
✋ 頭部外傷直後の嘔吐
- 脳震盪、頭蓋内出血の可能性
受診の際の準備物
- 購入した薬物のパッケージ(成分確認用)
- 渡航歴・食事内容のメモ
- 保険証(海外旅行保険の契約確認)
まとめ
タイで吐き気・嘔吐に見舞われた際の対応フロー:
軽症(吐き気のみ) → Motilium / ドンペリドン10mgを第一選択
- 食中毒疑い、消化器症状が主
- 眠気なし、胃の蠕動促進
乗り物酔い予防 → Bonine(メクリジン)25mg
- 出発30分~1時間前に1錠
- 12時間効果持続、眠気が軽い
吐き気+乗り物酔いの混在 → Dramamine(ジメンヒドリナート)50mg
- より強い制吐作用
- 眠気注意、運転避ける
購入先:Boots、Watsons等の正規薬局チェーン
現地語表現:"Ya-acheuan mee mai?"(嘔吐の薬ありますか?)
持参のベストチョイス:日本で「トラベルミン」を買って携帯
緊急対象:血性嘔吐、24時間以上継続、強い腹痛、高熱、意識障害→直ちに総合病院へ
タイの現地OTCは品質が高く、処方箋も不要。症状に応じて適切な薬を選び、危険サインに敏感であれば、大抵の軽症は対応可能です。ただし無理は禁物—判断に迷ったら医師の診察を優先してください。