この症状でイギリス渡航中によくある原因
イギリス滞在中の吐き気・嘔吐は、以下のような原因が大半を占めます。
- 食中毒:イギリスの水道水は安全ですが、レストランの衛生管理にばらつきがあり、特にロンドン中心部の観光地飲食店での感染例が多い
- 乗り物酔い:長距離バス・ロンドン地下鉄の移動中、特に朝の時間帯
- 時差ボケ随伴症状:日本から8-9時間の時差による自律神経の乱れ
- アルコール過剰摂取:イギリスのパブ文化での飲酒量増加
- 胃腸風邪:季節によっては軽度のノロウイルス・ロタウイルス様症状
軽症であれば現地OTC医薬品で対応可能ですが、危険サインがあれば即座に医療機関受診が必須です。
現地薬局で買える薬(ブランド名・成分・用量)
1. Dramamine(ドラマミン)
有効成分:ジメンヒドリナート(Dimenhydrinate) 50mg
規格:
- Dramamine Classic Tablets:50mg/錠
- Dramamine Non-Drowsy Naturals:メクリジン 25mg/錠(眠気が少ない版)
用量:
- 成人:50mg、4-6時間ごと、1日最大300mg
- 乗り物酔い予防:乗車30分前に1錠
価格:約£4-6(Tesco、Boots等で購入可)
特徴:アンチヒスタミン系。即効性があり、乗り物酔いに最適。眠気副作用あり。
2. Kwells(クウェルス)
有効成分:スコポラミン臭化水素塩(Hyoscine Hydrobromide) 0.3mg
規格:口腔内速溶錠(すぐ溶ける形)
用量:
- 成人:1錠、乗車30分前
- 効果時間:4-6時間
- 1日最大3錠
価格:約£3-4
特徴:乗り物酔い専用。抗コリン薬で口渇が副作用。妊婦・前立腺肥大者は避ける。
3. Traveleze(トラベリーズ)
有効成分:メクリジン 25mg
用量:1-2錠、4-6時間ごと
価格:約£3-5
特徴:Dramamineより眠気が少ない非鎮静型。長時間移動に適している。
4. Ginger supplements(生姜サプリ)
有効成分:生姜エキス 250-500mg/錠
ブランド例:
- Nature's Way Ginger
- Boots Ginger Root
用量:1-2錠、6時間ごと
価格:約£4-7
特徴:天然由来。副作用少ないが、医学的効果は医薬品より劣る。妊娠中の使用は医師相談。
現地語での症状の伝え方
イギリス英語での症状表現
薬剤師に伝える基本表現:
「I feel nauseous.」
(ナウジアス)= 吐き気がします
「I've been vomiting.」
(ボミティング)= 嘔吐しています
「I'm car sick / sea sick.」
(カー/シー シック)= 乗り物酔い/船酔い
「I have a queasy stomach.」
(クウージー)= 気分が悪い
「乗り物酔い用の薬を下さい」:
「Do you have something for motion sickness?」
「I need anti-nausea tablets for travel.」
「食中毒かもしれません」:
「I think I have food poisoning.」
「I ate something dodgy and now I feel sick.」(dodgy = 怪しい)
ポイント
- イギリス薬局(Boots、Superdrug)では登録販売員(Medicines Counter Assistant)が対応。症状を英語で説明すれば、適切な薬を勧めてくれます
- 「Over-the-counter」「OTC」と言えば、処方箋不要の市販薬であることが伝わります
- 現在服用中の薬がある場合は「I'm taking...」で伝える
日本の同成分OTC(持参する場合)
ジメンヒドリナート含有製品
- アネロン "S"(田辺三菱製薬):ジメンヒドリナート 50mg + 塩酸ジフェニドール 25mg
- トラベルミン:ジメンヒドリナート 50mg
- 価格帯:1箱(10錠) ¥1,200-1,500
- 渡航時推奨:乗り物酔い予防用として事前購入し、携帯することを強く推奨
メクリジン含有製品
- トラベルミン ファミリア:メクリジン塩酸塩 25mg(子ども向け)
生姜製品
- 生姜湿布・サプリ各種:医薬品ではなく食品扱いのため、持参制限なし
重要:イギリス到着時に日本のOTC医薬品を持ち込む場合、1処方分(通常1-2箱)は個人使用範囲内として許可されます。処方箋医薬品ではないため、通常の税関検査で没収されることはありません。
避けるべき成分・買ってはいけない薬
❌ 避けるべき成分
-
Metoclopramide(メトクロプラミド)
- 処方箋医薬品
- イギリスではOTC販売なし
- 長期使用で遅発性ジスキネジア(神経障害)のリスク
- 駅の薬局で「without prescription」では購入不可
-
Domperidone(ドンペリドン)
- イギリスでは2014年より販売禁止
- 心不整脈リスク
- 絶対購入しないこと
-
高用量コデイン含有製品
- 一部の古い咳止め・下痢止めに含有
- イギリスでは規制強化(2022年以降)
- 嘔吐時に購入すると誤って使用するリスク
⚠️ 偽造品・注意事項
- Amazon UK での無名ブランド錠剤は避ける:生姜サプリの偽造品・不純物混入事例あり
- Street vendors での医薬品購入:Notting Hill Carnival等イベント会場での路上販売医薬品は未認可の可能性
- オンライン処方薬サイト:NHS処方箋なしでの購入は違法
安全な購入先:
- Boots(全国チェーン、信頼度最高)
- Superdrug
- Tesco Pharmacy
- Lloyds Pharmacy
即座に受診すべき危険サイン
以下の症状がある場合は、自己判断で薬を使わず、直ちに医療機関に連絡してください。
🚨 即受診(Emergency)すべき症状
-
血を伴う嘔吐(hematemesis)
- 鮮血または「コーヒー残渣様」の黒い物質を吐く
- 消化管出血の兆候
- → 111に電話(NHS24時間窓口) または **A&E(救急)**へ
-
嘔吐が24時間以上継続
- 脱水症状のリスク
- 危険な中毒/感染症の可能性
- → GP(かかりつけ医)予約 または 111
-
強い腹痛を伴う嘔吐
- 虫垂炎・膵炎・腸閉塞の可能性
- 特に右下腹部の激痛、または全体的な強い痛み
- → 999(救急車)
⚠️ 同日中に受診すべき症状
- 高熱(38℃以上)+ 嘔吐:ノロウイルス・食中毒の可能性
- 頭痛が強い + 嘔吐 + 首の硬さ:髄膜炎の初期症状
- 目が黄色くなった(黄疸):肝炎の可能性
- 激しい下痢(1日10回以上)を伴う:重度の脱水リスク
- 皮下出血(赤紫色の斑点が消えない):血小板低下症の兆候
📞 イギリスの医療機関連絡方法
- 111:NHS非緊急医療相談窓口(24時間対応)
- 症状説明で診療所への予約や救急の必要性を判定
- 無料
- 999:救急車(イングランド・ウェールズ・北アイルランド)
- 112:救急車(スコットランド)
- GP(General Practitioner):かかりつけ医予約
- 渡航中の場合、宿泊先の住所でGP登録可能(事前登録推奨)
- A&E(Accident & Emergency):救急外来
- 予約なしで受診可能(待機時間が長い)
まとめ
イギリス滞在中の吐き気・嘔吐は、軽症の場合、現地OTC医薬品で対応できます。
購入のポイント
✅ 乗り物酔い → Dramamine 50mg または Kwells を乗車30分前 ✅ 食中毒疑い → Dramamine + 水分補給・安静 ✅ 時差症状 → 生姜サプリ + 十分な睡眠 ✅ 薬局での伝え方 → 「motion sickness」「nausea」で正確に伝える ✅ 事前準備 → 日本から トラベルミン を1箱持参すると安心
避けるべきこと
❌ Metoclopramide・Domperidone の購入 ❌ 路上販売医薬品 ❌ 24時間以上の嘔吐を自己判断で放置 ❌ 血を伴う嘔吐を市販薬で対処
危険サイン早期発見
🚨 血を伴う嘔吐、24時間以上の継続、強い腹痛の組み合わせは即111/999に電話。躊躇なく医療機関受診を優先させてください。
イギリスの医療制度は充実しており、症状が危険でなければNHSの相談窓口(111)で適切なアドバイスを受けられます。現地OTC薬と医療機関の選択を正確に使い分ければ、安全で効率的な治療が可能です。