デンマークで胃もたれ・胸焼けになったら|現地薬局の薬と買い方を薬剤師が解説
デンマーク滞在中、コペンハーゲンの美食を楽しんでいたら翌朝から胸焼けがひどくなった——そんな経験をする日本人旅行者は少なくありません。バターをたっぷり使った北欧料理、アルコールの習慣、9時間の時差、旅行疲れが重なると、普段は問題ない人でも消化器症状が出やすくなります。
本記事では、博士(薬学)取得・薬剤師の立場から、デンマークで胃もたれ・胸焼けが起きる原因、重症度の見極め方、現地薬局(Apotek)で入手できるOTC薬の選び方・使い方、薬局でのコミュニケーション方法、医療機関へのアクセス、帰国後の注意点まで網羅的に解説します。
デンマークで胃もたれ・胸焼けになりやすい原因
食文化による消化器負担
デンマーク料理は、脂質と塩分が非常に高い点が特徴です。代表的な料理を例に挙げると、オープンサンドイッチ「スモーブロー(Smørrebrød)」には大量のバター・クリームチーズ・スモークサーモン・ニシンの酢漬け(ハーリング)が使われます。伝統料理「フレスケスタイ(Flæskesteg)」は豚の皮付きロースト、「リブスデッグ(Ribbensteg)」はスペアリブの脂身つき調理です。これらは日本食と比較すると1食あたりの脂質量が2〜3倍に達することも珍しくありません。
脂質の多い食事は胃からの排出時間を延長させ、下部食道括約筋の弛緩を促進するため、胃酸逆流・胃もたれ・膨満感が起きやすくなります。また、食事量が多い傾向(デンマークのレストランはポーション大)も胃への物理的な負担を増やします。
アルコールと特有の食習慣
デンマーク滞在中はビール(Carlsberg、Tuborg などの地ビール文化)やハーブ系蒸留酒「アクアヴィット(Akvavit)」に触れる機会が増えます。アルコールは胃酸分泌を直接促進し、食道括約筋機能を低下させるため、胸焼けを引き起こす主要因の一つです。カフェ文化も盛んで、強めのエスプレッソ系コーヒーを1日複数杯飲む習慣も胃酸過多に拍車をかけます。
水質・環境の違い
デンマークの水道水は**硬度が比較的高め(地域によりおよそ200〜400mg/L程度)**で、日本の軟水(硬度50mg/L前後)に慣れた日本人の消化管には刺激になる場合があります。カルシウムやマグネシウムの含有量が多い硬水は、消化管運動に影響を及ぼす可能性が指摘されています。
時差・疲労・ストレス
日本とデンマークの時差は夏時間期間(おおむね3月末〜10月末)でマイナス7時間、冬時間でマイナス8時間です。この時差によって体内時計が乱れると、胃酸分泌のサーカディアンリズムも崩れ、空腹時の胃酸過多や消化不良が起きやすくなります。また、旅行に伴う不安・疲労・睡眠不足は自律神経バランスを乱し、胃腸機能を低下させます。これは「機能性ディスペプシア(FD)」の一時的な発現として理解できます。
感染症・食中毒由来の胃腸症状との区別
デンマークは食品衛生水準が高く、旅行者下痢症(Traveler's Diarrhea)のリスクは東南アジアや南アジアに比べて極めて低いです。ただし、魚介類の生食(スモークサーモン、ニシン酢漬けなど)によるノロウイルス感染やアニサキス症、夏期の屋台フードによる細菌性食中毒(カンピロバクター等)は完全には否定できません。下痢・発熱・血便を伴う場合は単純な胃もたれとは区別して考える必要があります(後述の重症度判定を参照)。
重症度判定チェックリスト
以下の基準に従って、自己処置が可能かどうかを判断してください。
❶ 緊急受診が必要(救急車または即日受診)
以下のうち1つでも当てはまれば、市販薬での対処は中止し、すぐに医療機関を受診してください。
- 嘔吐物に赤い血液または「コーヒー滓(がら)様」の茶褐色物質が混じる
- 黒色便(タール便)が出る
- 胸部から背部にかけての激烈な痛みがある(心筋梗塞・大動脈解離との鑑別が必要)
- 40℃以上の発熱が持続している
- 意識が朦朧とする、立ちくらみが著しい
- 腹部が板のように硬く、触れると強い痛みがある
- 症状が急激に悪化している
デンマーク緊急電話:112(救急・警察・消防共通)
❷ 準緊急受診(24〜48時間以内に受診を検討)
- 胸焼け・胃痛が72時間以上市販薬で改善しない
- 嚥下時(飲み込むとき)に痛みまたは詰まり感がある
- 体重が急に減少している気がする
- 発熱(38℃台)が1日以上続いている
- 下痢が3日以上続いており、脱水気味
❸ 経過観察・市販薬対処可(セルフケア適応)
- 食後の胃もたれ・膨満感のみ、発熱なし
- 軽度の胸焼けで横になると悪化する
- 数時間以内に始まった消化不良感
- 食べ過ぎ・飲み過ぎが明確な原因として思い当たる
- 既往の逆流性食道炎と同様の症状で、以前に薬で改善した経験がある
現地薬局(Apotek)で買えるOTC薬
デンマークの薬局(Apotek)は薬剤師常駐が義務付けられており、OTC薬の種類も豊富です。英語が非常に通じやすいため、英語で相談すれば適切な製品を選んでもらえます。以下に、胃もたれ・胸焼けに使える主なOTC薬をまとめます。なお、価格はあくまで目安であり、店舗・時期により変動します。
制酸剤(Antacids)
| ブランド名 | 主な有効成分 | 1回用量の目安 | 価格目安(DKK) | 主な入手先 |
|---|---|---|---|---|
| Rennie | 炭酸カルシウム680mg+炭酸マグネシウム80mg/錠 | 1〜2錠を噛んで服用、症状時(1日最大8錠) | 50〜80 | Apotek全般 |
| Gaviscon | アルギン酸ナトリウム500mg+炭酸水素ナトリウム213mg/10mL(液剤) | 10〜20mLを食後30分・就寝前 | 70〜100 | Apotek全般 |
| Gastrotabletter(一般名表記の制酸錠) | 炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム配合品(製品により異なる) | 製品添付文書に従う | 40〜70 | Apotek |
薬剤師コメント: Renniesは最も知名度が高く、嚙んで飲む錠剤のため携行に便利です。Gavisconはアルギン酸が胃の内容物上に「物理的なバリア(ラフト)」を形成して逆流を防ぐ仕組みで、特に就寝前の胸焼け・逆流に適しています。制酸剤全般は即効性が高い反面、効果持続時間は1〜2時間程度と短めです。
H2受容体拮抗薬(H2 Blockers)
| ブランド名 | 主な有効成分 | 1回用量の目安 | 価格目安(DKK) | 主な入手先 |
|---|---|---|---|---|
| 成分名表記品(Famotidin 20 mg) | ファモチジン20mg | 1回20mg、1日1〜2回 | 80〜130 | Apotek(薬剤師に成分名で相談) |
| Pepcid AC(並行輸入品が置かれる場合がある) | ファモチジン10mg または20mg | 製品に従う | 参考値 | 大型Apotek |
薬剤師コメント: H2受容体拮抗薬は胃酸分泌自体を6〜10時間にわたって抑制します。制酸剤より効果発現はやや遅い(30〜60分)ですが、食前に服用することで食後の胸焼けを予防できます。デンマークではブランド品より成分名表記のジェネリック品が多く流通しているため、薬剤師に「Famotidin 20 mg(ファモチジン 20 ミリグラム)」と成分名で伝えると確実です。
プロトンポンプ阻害薬(PPI)
| ブランド名 | 主な有効成分 | 1回用量の目安 | 価格目安(DKK) | 主な入手先 |
|---|---|---|---|---|
| Losec(ロセック、AstraZenecaの製品名) | オメプラゾール20mg | 1回20mg、朝食前1日1回 | 120〜180(7〜14錠入り) | Apotek |
| Omeprazol(ジェネリック各社) | オメプラゾール20mg | 同上 | 80〜130 | Apotek |
薬剤師コメント: PPIは現在利用できる最も強力な胃酸分泌抑制薬です。効果発現は服用後1〜3日かかることが多く(連続服用で最大効果)、旅行者が急性症状に使うには必ずしも第一選択ではありません。ただし、すでに逆流性食道炎の診断があり帰国まで1週間以上ある場合などは有効な選択肢です。連続使用は原則2週間以内。それを超える使用は医師の指示のもとで行ってください。デンマークではOTCで入手できますが、薬剤師への相談を必ず経るようにしてください。
現地語での症状表現・薬局での買い方フレーズ
デンマーク人の英語習熟度は世界トップレベルであり、薬局スタッフのほぼ全員が英語で対応できます。英語で問題なく対処可能ですが、デンマーク語のフレーズも知っておくと安心感が高まります。
症状を伝えるフレーズ
| 日本語 | 英語(カタカナ発音) | デンマーク語 |
|---|---|---|
| 胃もたれ・消化不良があります | I have indigestion.(アイ ハヴ インダイジェスチョン) | Jeg har dårlig fordøjelse.(イェ ハー ドーリ フォドイエルセ) |
| 胸焼けがあります | I have heartburn.(アイ ハヴ ハートバーン) | Jeg har halsbrand.(イェ ハー ハルスブラン) |
| 食後に胃が重い感じがします | My stomach feels heavy after eating.(マイ ストマック フィールズ ヘヴィ アフター イーティング) | Min mave føles tung efter at have spist.(ミン マーヴェ フユレス トゥン) |
| 胃が張っている(膨満感) | I feel bloated.(アイ フィール ブローテッド) | Jeg er oppustet.(イェ エー オプスデット) |
| 吐き気があります | I feel nauseous.(アイ フィール ノージャス) | Jeg har kvalme.(イェ ハー クヴァルメ) |
| 昨日から症状があります | It started yesterday.(イット スターテッド イエスタデイ) | Det startede i går.(デ スタルテーデ イ ゴール) |
薬局での購入・相談フレーズ
| 日本語 | 英語(カタカナ発音) |
|---|---|
| 胸焼けの薬をください | Do you have something for heartburn?(ドゥ ユー ハヴ サムシング フォー ハートバーン?) |
| 制酸剤はありますか? | Do you have any antacids?(ドゥ ユー ハヴ エニー アンタシッズ?) |
| ファモチジンはありますか? | Do you have famotidine?(ドゥ ユー ハヴ ファモチジン?) |
| オメプラゾールはありますか? | Do you have omeprazole?(ドゥ ユー ハヴ オメプラゾール?) |
| この薬は他の薬と飲み合わせはありますか? | Are there any drug interactions I should know about?(アー ゼア エニー ドラッグ インタラクションズ アイ シュッド ノウ アバウト?) |
| 妊娠中(授乳中)でも飲めますか? | Is it safe to take during pregnancy(breastfeeding)?(イズ イット セーフ トゥ テイク デューリング プレグナンシー(ブレストフィーディング)?) |
| 用量・飲み方を教えてください | Can you explain the dosage instructions?(キャン ユー エクスプレイン ザ ドーセッジ インストラクションズ?) |
薬局での購入手順
- Apotek(アポテック)を探す。 コペンハーゲン市内では、ストロイエ(Strøget)周辺やコペンハーゲン中央駅構内・近隣に複数の薬局があります。Matas(マタス)は日用品・化粧品も扱うドラッグストア系チェーンですが、一部店舗に薬剤師が常駐する処方箋受付コーナーを持つ形態もあります。OTC薬のみなら薬剤師常駐のApotekが確実です。
- 薬剤師または担当スタッフに症状を英語で伝える。「I have heartburn(アイ ハヴ ハートバーン)」と言えばすぐ通じます。
- いつから症状があるか、食事との関係、他に飲んでいる薬(常用薬)、アレルギーの有無を聞かれる場合があります。
- 勧められた薬の成分名(ラベル)を確認する。 不明な成分はその場で薬剤師に確認してください。
- 用量・用法のプリント資料(デンマーク語・英語)を受け取る。英語表記が不明な場合は確認を。
- 支払いはクレジットカードが一般的(Dankortが主流ですが、Visa・Mastercardも使用可)。
デンマークの医療事情
公的医療制度の概要
デンマークは国民皆保険制度を採用しており、デンマーク国民は原則無料で医療を受けられます。ただし、旅行者・短期滞在外国人は公費診療の対象外であり、原則として自費診療となります。
EU/EEA加盟国の市民はEHIC(European Health Insurance Card)を提示することで一定の公的医療が受けられますが、日本人旅行者はEHICの対象ではありません。海外旅行傷害保険への加入は必須です。
受診できる医療機関の種類
| 種類 | 特徴 | 費用目安 |
|---|---|---|
| 一般開業医(Praktiserende Læge) | 予約制。旅行者は通常利用困難 | 公的保険外では自費 |
| 民間クリニック(Privatklinik) | 予約不要の場合もある。英語対応可 | 診察料:おおむね500〜1,500 DKK |
| 救急外来(Akutmodtagelse / Skadestuen) | 緊急時に受診可。24時間対応 | 自費の場合は相応の費用 |
| 民間の国際クリニック | 英語・多言語対応。旅行者向け | 比較的高額 |
コペンハーゲン周辺の主な医療機関
Rigshospitalet(リグスホスピタレット) コペンハーゲン最大の公立病院。救急部門(Akutmodtagelsen)は24時間対応。英語対応可能なスタッフが多数います。 住所:Blegdamsvej 9, 2100 Copenhagen Ø
Bispebjerg Hospital コペンハーゲン市内の総合病院。救急受診可。
Copenhagen Medical(民間クリニック) 旅行者・外国人向けで英語対応に優れた民間クリニック。事前予約が望ましいが、緊急時の対応も相談可。
日本語対応について
デンマークに常設の日本語専用医療機関は(執筆時点の情報では)確認されていません。コペンハーゲンの在デンマーク日本国大使館が医療機関リストを案内している場合があります。重大な症状が発生した場合は大使館に連絡することも選択肢の一つです。
在デンマーク日本国大使館(コペンハーゲン) 電話:+45-33-11-33-44 所在地:Langelinie Allé 11, 2100 Copenhagen Ø
緊急連絡先まとめ
| 用途 | 番号 |
|---|---|
| 救急・警察・消防 | 112 |
| 医療相談ホットライン(デンマーク語) | 1813(コペンハーゲン地域医療相談) |
| 在デンマーク日本国大使館 | +45-33-11-33-44 |
避けるべき成分・注意すべき薬の選択
胃もたれ・胸焼け時に避けるべき成分
NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬) イブプロフェン、ナプロキセン、アスピリンなどは胃粘膜のプロスタグランジン産生を抑制することで、胃粘膜保護機能を低下させます。胃もたれ・胸焼けがある際は、これらの成分が含まれる鎮痛薬・解熱薬・感冒薬は使用を避けてください。鎮痛が必要な場合は、アセトアミノフェン(パラセタモール)配合製品を選ぶことが推奨されます。
アスピリン配合製品 低用量アスピリン(81mg)が心血管予防目的で薬局に陳列されていることがあります。胃への刺激が強いため、胃症状があるときは絶対に自己判断で服用しないでください。
デンマークで注意すべき薬局外商品 デンマークは欧州医薬品庁(EMA)の規制下にあり、正規薬局(Apotek)で販売されるOTC薬の品質・安全性は高水準です。インターネットで購入する場合はEU公式ロゴ(オンライン販売認証マーク)が表示されているサイトを利用し、EU域外の無認可サイトからの購入は避けてください。
薬剤師の視点:渡航前準備と現地入手のポイント
渡航前に日本から持参を推奨するOTC薬
デンマークは薬局アクセスが容易(pharmacyAccess: easy)なため、現地調達でも問題ありません。ただし、旅行初日・深夜・観光地で薬局が閉まっている状況を考えると、以下を持参しておくと安心です。
胃酸抑制・制酸系
| 日本の製品・成分例 | 有効成分 | 特徴 |
|---|---|---|
| ガスター10(第一類医薬品) | ファモチジン10mg | H2受容体拮抗薬。即効性と持続性のバランスが良い |
| ガスター10S(第一類医薬品) | ファモチジン10mg | 口の中で溶けるOD錠タイプ |
| アルサルミン・制酸錠類 | スクラルファート等 | 胃粘膜保護系 |
注意: ガスター10は日本ではファモチジン10mg配合(現地の20mgより低用量)のため、添付文書の用法・用量を守って使用してください。
消化酵素・健胃系
食べ過ぎ・消化不良に対して、消化酵素配合の健胃消化薬(タカヂアスターゼ、リパーゼ等配合品)も旅行中の携行に向いています。複数成分配合の総合胃腸薬は、症状が多岐にわたる旅行時に汎用性があります。
日本からの医薬品持ち込みルール(デンマーク・EU)
EU域内(デンマークを含む)への日本製医薬品の持ち込みは、**個人使用目的・適量(一般的に1〜3か月分以内)**であれば特別な申告は不要です。ただし以下の点を守ってください。
- 元の外箱・瓶のまま、ラベルが明確に読める状態で携行する
- 麻薬成分・向精神薬成分(コデイン高含量製品等)を含む製品は、デンマーク・EU入国に際して追加書類(医師の英文処方箋等)が必要になる場合があります。事前に在日デンマーク大使館または外務省海外安全情報で確認を推奨します
- サプリメント・漢方薬は食品扱いが多いですが、成分によっては規制対象になるものもあります
現地でOTC薬を入手する際のリスク管理
- 製品のラベルはデンマーク語表記が主ですが、EU規制により成分名(一般名)はラテン語・英語でも併記されます
- 「何となく似ているから」という理由で日本での使用経験のない新しい成分の薬を購入することは避け、不明点は必ず薬剤師に確認する
- 旅行者は体調が普段と異なる状態にあるため、副作用が出やすい場合があります。服用後に異変を感じたら直ちに服用を中止してください
帰国後の観察ポイント
帰国後に続く消化器症状をどう考えるか
旅行から帰国後も1週間以上、胃もたれ・胸焼け・腹部不快感が持続する場合は、単純な旅行疲れによる機能性の問題にとどまらない可能性を考慮する必要があります。
帰国後に消化器内科受診を検討すべきサイン
- 症状が帰国後2週間以上続いている
- 食欲低下・体重減少を伴う
- 嚥下困難感(飲み込みにくさ)がある
- 黒色便・血便が1度でも出た
- 発熱が断続的に続いている
輸入感染症との鑑別
デンマークは衛生環境が整っており、熱帯感染症のリスクは限定的ですが、以下の点には注意が必要です。
ヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)感染 欧州全体でのH. pylori感染率は日本よりは低い傾向ですが、生水や非衛生的な食品の摂取が続いた場合のリスクはゼロではありません。帰国後に慢性的な胃痛・胃もたれが続く場合、H. pyloriの除菌治療を含めた精査を消化器内科で行うことを検討してください。
寄生虫感染(アニサキス等) スモークサーモンや生魚介類を大量に食べた場合、アニサキス症を引き起こす可能性があります。アニサキスは主に小腸壁に刺入して激しい腹痛を引き起こしますが、胃アニサキス症では胃痛・悪心・嘔吐を呈することがあります。帰国後数日以内に激しい腹痛が生じた場合は消化器内科(内視鏡可能な施設)を受診してください。
帰国後の受診時に医師に伝えるべき情報
- 渡航先(デンマーク)と滞在期間
- 食べたもの(生魚介・生肉の有無)
- 現地での症状の経過・使用した薬
- 同行者に同様の症状がないか
参考文献
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World Health Organization(WHO). "Traveller's Diarrhoea." https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/diarrhoea
-
Centers for Disease Control and Prevention(CDC). "Travelers' Diarrhea." CDC Yellow Book 2024. https://wwwnc.cdc.gov/travel/yellowbook/2024/gastrointestinal/travelers-diarrhea
-
European Medicines Agency(EMA). "Omeprazole 20 mg gastro-resistant capsules – Summary of Product Characteristics." https://www.ema.europa.eu/
-
外務省海外安全情報「デンマーク」. https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_001.html
-
デンマーク保健当局(Sundhedsstyrelsen). "Medicines in Denmark." https://www.sst.dk/en/English/Health-in-Denmark/medicines
-
日本消化器病学会. 「機能性消化管疾患診療ガイドライン2021―機能性ディスペプシア(FD)」. 南江堂, 2021.
-
在デンマーク日本国大使館. 「医療情報・緊急連絡先」. https://www.dk.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000137.html
-
Madisch A, et al. "Proton pump inhibitors and their use in clinical practice." Deutsches Ärzteblatt International. 2019.
よくある質問(Q&A)
Q. デンマークの薬局でオメプラゾールは処方箋なしで買えますか? A. はい、デンマークではオメプラゾール20mgはOTC品として薬局で入手できます。ただし薬剤師との相談を経ることが推奨されており、2週間以上の連続使用は医師の診察を受けてください。
Q. 日本から持ってきたガスター10はデンマークで使えますか? A. 使用可能です。ファモチジン10mgを含む日本製OTC薬を個人使用目的で携行することはEU規制上も問題ありません。用量・用法は日本語の添付文書に従ってください。
Q. デンマークの薬局は英語で対応してもらえますか? A. ほぼ全ての薬局スタッフが英語に対応しています。英語だけで問題なく購入・相談できます。
免責事項
本記事は一般的な薬学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を推奨するものではありません。記載している薬剤情報・価格は執筆時点の情報に基づいており、変更されている場合があります。症状の判断・薬の使用に際しては、現地の薬剤師または医師にご相談ください。旅行先での健康管理については、出発前に主治医または渡航外来専門医にご相談されることを強くお勧めします。
監修:薬剤師・博士(薬学) 本記事は薬学的観点から情報提供を行うものであり、医師による診察・治療の代替となるものではありません。