スイスで日焼けになったら|現地薬局で買える薬と症状別対処法を薬剤師が解説
スイスは「美しい山岳国家」というイメージ通り、アルプス、氷河、湖、そして驚くほど透明度の高い青空が旅行者を出迎えます。しかしその美しさの裏に、日本では経験したことのない強烈な紫外線が潜んでいます。本記事では、博士(薬学)を取得した薬剤師の立場から、スイスで日焼けが起きやすい理由・重症度の見極め方・現地薬局で購入できる薬・医療機関の利用方法まで、旅行者が実際に役立てられる情報を徹底的に解説します。
スイスで日焼けになりやすい原因
高地紫外線の物理的メカニズム
スイスの日焼けリスクが高い最大の理由は「標高」です。標高が100m上がるごとに、大気層が薄くなり紫外線(UV-B)は約1〜1.5%増加するとされています。例えば、標高2,000mのツェルマット周辺では、海抜ゼロと比較して紫外線量が概ね20〜30%増加します。標高3,000〜4,000mのマッターホルン周辺の登山コースや、ユングフラウヨッホ(3,454m)では、さらに強烈な紫外線にさらされます。
スイスの夏季(6月〜9月)の晴天日における紫外線指数(UV Index)は山岳地帯でしばしば11〜12以上に達します。WHO基準では、UV Indexが11以上は「最高レベル(Extreme)」であり、無防備な肌では15〜25分の露出で日焼けが始まるとされています。日本の夏の海岸でも最大8〜9程度であることと比較すると、スイス高地がいかに特殊な環境かがわかります。
雪・氷・水面の反射増幅効果
スイス特有のリスク要因として、雪・氷河・湖面による紫外線の反射があります。新雪は入射紫外線の約80〜90%を反射するとされており、実質的に「上空からも、地面からも」紫外線を受ける状況になります。顎の下・鼻の下・耳裏など、日常では焼けにくい部位にも日焼けが生じるのはこのためです。アルペンスキーやスノーボード愛好者が顔面に重度の日焼けを起こすのは、この反射光効果が主な原因です。ジュネーブ湖、ルツェルン湖などの湖畔でも水面反射により日焼けリスクが高まります。
気候的特性と旅行者の油断
スイスの山岳地帯は気温が低く(ツェルマットの夏季平均気温は15〜20℃前後)、「涼しいから焼けないだろう」という思い込みが生まれやすい環境です。しかし紫外線の強さは気温とは無関係であり、むしろ空気が澄んでいるほど届くUV量は多くなります。長袖を着ていても首元・顔・手の甲は露出しており、半日のハイキングで重度の日焼けを起こすケースは珍しくありません。また、観光メインの旅行者はトレッキングや観光周遊中に無意識に10時〜16時の最強UV帯を過ごしてしまいがちです。
スイスの地域別リスク環境
| エリア | 代表スポット | 主なリスク要因 |
|---|---|---|
| ベルナーオーバーラント | ユングフラウヨッホ(3,454m)、グリンデルワルト | 極高度・雪面反射・快晴率高 |
| マッターホルン周辺 | ツェルマット(標高1,620m〜) | 高度+グレーシャー反射 |
| アルプス南麓 | ロカルノ、ルガーノ(チチェーロ地方) | 夏季UV指数10超の日が多い |
| レマン湖畔 | ジュネーブ、ローザンヌ、モントルー | 水面反射+長時間滞在 |
| 中央スイス | リギ山(1,800m)、ルツェルン湖 | 観光客が防備不足のまま高地訪問 |
重症度判定チェックリスト
日焼けの重症度を正確に判定することは、適切なセルフケアか医師受診かを判断する上で非常に重要です。以下の3段階で評価してください。
🟢 軽度(経過観察・セルフケア可能)
以下のすべてに当てはまる場合は、市販薬とセルフケアで対応可能です。
- 皮膚が赤くなっている(紅斑)が、水疱(水ぶくれ)がない
- 痛みはあるが、触れなければ日常生活が送れる程度
- 発熱がないか、あっても37.5℃未満
- 患部面積が体表面積の10%未満(概ね片腕の内側〜外側全体程度まで)
- 顔面・眼周囲の腫れがない
- 頭痛・悪心・めまいなどの全身症状がない
対応:アロエベラジェルやイブプロフェンなどのOTC薬で対処。十分な水分補給と直射日光回避を徹底。
🟡 中等度(準緊急・薬剤師相談推奨)
以下のいずれかに当てはまる場合は、薬剤師に相談した上でOTC薬を選択し、改善なければ受診を検討してください。
- 皮膚に小さな水疱(水ぶくれ)が複数発生している
- 患部面積が体表面積の10〜20%程度(両腕全体、または背中上半部程度)
- 痛みが強く、衣服が触れるだけで苦痛がある
- 微熱(37.5〜38.5℃)を伴う
- 顔面・頸部の広範囲に及ぶ日焼け
- 幼児(5歳未満)や高齢者、妊娠中の女性に症状が出ている
対応:現地薬局で薬剤師に症状を説明し、外用ステロイドやイブプロフェンの適切な使用法について相談。症状が24〜48時間で改善しない場合は医師受診。
🔴 重度(緊急受診が必要)
以下のいずれかに当てはまる場合は、速やかに医療機関を受診してください。
- 広範囲(体表面積の20%超)の水疱・びらんが生じている
- 高熱(38.5℃以上)、悪寒、強い頭痛が同時に出現(熱射病・日射病との鑑別が必要)
- 意識がもうろうとしている・ひどいめまい・嘔吐
- 顔面の著しい腫脹(特に眼周囲)
- 水疱が破れて、傷口が広がりつつある(二次感染の可能性)
- 通常の日焼けではなく、光線過敏症や薬剤性の反応が疑われる
- 症状が急速に悪化している
対応:スイス救急番号 144(救急車)または最寄りの病院救急外来へ。日射病・熱射病は生命に関わるため、迷わず緊急搬送を依頼してください。
現地薬局で買えるOTC薬
スイスは医薬品の入手環境が非常に整っており(pharmacyAccess: easy)、大手薬局チェーンのAmavita(アマヴィータ)、Sun Store(サン ストア)、Coop Vitality(コープ ヴィタリティ)が主要都市・リゾート地に展開しています。日焼け治療に用いられるOTC薬は概ね以下の5〜6カテゴリーから選びます。
OTC薬一覧(表形式)
| ブランド名 | 有効成分(一般名) | 規格・剤形 | 主な用途 | 価格目安 | 主な販売薬局 |
|---|---|---|---|---|---|
| Aloe vera gel(各社製品) | アロエベラエキス | ジェル剤 | 軽度日焼けの冷却・鎮静 | 10〜20 CHF前後 | Amavita、Sun Store等 |
| Bepanthen(ベパンテン)ローション/クリーム | デキスパンテノール(プロビタミンB5) | 5% ローション・クリーム | 皮膚修復・保湿促進 | 12〜20 CHF前後 | Amavita、Coop Vitality等 |
| Nurofen(ニューロフェン)錠剤 | イブプロフェン | 200mg・400mg 錠 | 抗炎症・鎮痛 | 8〜15 CHF前後 | 薬局全般 |
| Voltaren Emulgel(ボルタレン エマルジェル) | ジクロフェナクナトリウム | 1%前後 外用ジェル | 局所の抗炎症・鎮痛 | 15〜25 CHF前後 | 薬局全般 |
| ヒドロコルチゾン1%クリーム(各社製品) | ヒドロコルチゾン | 1% クリーム | 軽〜中等度炎症の鎮静 | 10〜18 CHF前後 | Amavita等・薬剤師相談要 |
| Avène Thermal Spring Water スプレー | 温泉水(ミネラル配合) | スプレー缶 | 患部冷却・鎮静 | 12〜20 CHF前後 | 薬局・一部ドラッグストア |
| La Roche-Posay Cicaplast Baume B5 | パンテノール・マデカソシド配合 | バーム状クリーム | 日焼け後の皮膚修復 | 15〜25 CHF前後 | 薬局・パラファーマシー |
価格はあくまで目安です。 スイスは物価が高く、同成分でも薬局チェーンや観光地かどうかで価格が変動します。購入前に薬剤師に相談し、症状に合った製品を選ぶことを推奨します。
各カテゴリーの薬剤解説
1. アロエベラジェル系(軽度日焼けの第一選択)
アロエベラの葉肉成分(アロエシン・アロエマンナン等)には、抗炎症・保湿・皮膚鎮静作用があることが研究で示されています。刺激がほとんどなく、小児にも使用しやすい点が旅行者に適しています。
使用方法:1日3〜4回、清潔な手で患部に薄く塗布。冷蔵庫で冷やしておくと清涼感が増し、鎮痛効果も高まります。日焼け直後4〜6時間以内の使用開始が修復を早めます。
2. デキスパンテノール(Bepanthenシリーズ)
プロビタミンB5(デキスパンテノール)は皮膚内でパントテン酸(ビタミンB5)に変換され、表皮の再生・修復を促進します。日焼け後3〜7日間の修復フェーズで特に有用です。Bepanthenはスイスを含むヨーロッパ全域で広く認知された実績ある製品です。
3. イブプロフェン内服(中等度の抗炎症・鎮痛)
NSAIDsに分類されるイブプロフェンは、プロスタグランジン合成を阻害し炎症・疼痛・発熱を抑制します。Nurofen(ニューロフェン)はスイスのほぼすべての薬局で処方箋なしに購入可能です。
推奨用量(成人):イブプロフェン200mgを1回1〜2錠、1日3回まで。または400mg錠を1回1錠、1日3回まで。食後服用を基本とし、連続使用は3〜5日以内にとどめてください。空腹時服用や飲酒との併用は胃粘膜障害リスクを高めます。腎機能に問題がある方・妊婦・授乳中の方は使用前に薬剤師に相談してください。
4. ジクロフェナク外用ジェル(Voltaren Emulgel)
ジクロフェナクはNSAIDsの一種で、外用剤は患部に直接浸透し局所の炎症を抑えます。内服と異なり消化器への影響が少ない点が利点です。日焼けによる局所の疼痛・熱感に適しています。ただし広範囲への塗布は全身への吸収量が増加するため注意が必要です。
5. ヒドロコルチゾン1%クリーム(中等度向け)
ヒドロコルチゾンは副腎皮質ホルモン(ステロイド)の最低力価に分類されます。炎症性サイトカインの産生を抑制し、日焼けによる強い赤み・かゆみ・腫脹を鎮静します。スイスでは1%濃度のものが薬局で入手できますが、使用前に薬剤師への相談を推奨します。
注意事項:顔面・デリケートゾーンへの使用は1週間以内にとどめ、水疱が破れた部位や感染が疑われる部位には使用しないでください。
現地語での症状表現・薬局での買い方フレーズ
スイスは4つの公用語(ドイツ語・フランス語・イタリア語・ロマンシュ語)を持ちます。観光地では英語が広く通じますが、現地語フレーズを知っておくとより確実にコミュニケーションがとれます。
英語フレーズ(最も広く通じる)
| 日本語 | 英語フレーズ | カタカナ発音 |
|---|---|---|
| 日焼けがあります | I have a sunburn.(アイ ハヴ ア サンバーン) | アイ ハヴ ア サンバーン |
| 軽い日焼けです | It's a mild sunburn.(イッツ ア マイルド サンバーン) | イッツ ア マイルド サンバーン |
| アロエベラジェルが欲しいです | I'd like an aloe vera gel for sunburn.(アイド ライク アン アロエ ヴェラ ジェル フォー サンバーン) | アイド ライク アン アロエ ヴェラ ジェル フォー サンバーン |
| 痛み止めが欲しいです | I need something for pain relief.(アイ ニード サムシング フォー ペイン リリーフ) | アイ ニード サムシング フォー ペイン リリーフ |
| 水ぶくれがあります | I have blisters on my skin.(アイ ハヴ ブリスターズ オン マイ スキン) | アイ ハヴ ブリスターズ オン マイ スキン |
| 子どもに使えますか? | Is this safe for children?(イズ ディス セーフ フォー チルドレン?) | イズ ディス セーフ フォー チルドレン? |
| 処方箋なしで買えますか? | Can I buy this without a prescription?(キャン アイ バイ ディス ウィズアウト ア プリスクリプション?) | キャン アイ バイ ディス ウィズアウト ア プリスクリプション? |
ドイツ語フレーズ(スイス・ドイツ語圏:チューリッヒ、ベルン、ルツェルン等)
| 日本語 | ドイツ語フレーズ | 発音の目安 |
|---|---|---|
| 日焼けがあります | Ich habe einen Sonnenbrand. | イッヒ ハーベ アイネン ゾネンブラント |
| 軽い日焼けです | Es ist ein leichter Sonnenbrand. | エス イスト アイン ライヒター ゾネンブラント |
| アロエジェルはありますか? | Haben Sie ein Aloe-Vera-Gel? | ハーベン ズィー アイン アロエ ヴェラ ジェル |
| 痛み止めが欲しいです | Ich brauche etwas gegen Schmerzen. | イッヒ ブラウヘ エトヴァス ゲーゲン シュメルツェン |
| 水ぶくれがあります | Ich habe Blasen auf der Haut. | イッヒ ハーベ ブラーゼン アウフ デア ハウト |
| 薬剤師と話したいです | Ich möchte mit dem Apotheker sprechen. | イッヒ メヒテ ミット デム アポテーカー シュプレヒェン |
フランス語フレーズ(スイス・フランス語圏:ジュネーブ、ローザンヌ、モントルー等)
| 日本語 | フランス語フレーズ | 発音の目安 |
|---|---|---|
| 日焼けがあります | J'ai un coup de soleil. | ジェ アン ク ドゥ ソレイユ |
| アロエジェルはありますか? | Avez-vous un gel d'aloès? | アヴェ ヴ アン ジェル ダロエス |
| 痛み止めが欲しいです | Je voudrais quelque chose contre la douleur. | ジュ ヴドレ ケルク ショーズ コントル ラ ドゥルール |
| 水ぶくれがあります | J'ai des cloques sur la peau. | ジェ デ クロック スュール ラ ポー |
| 薬剤師に相談したいです | Je voudrais parler au pharmacien. | ジュ ヴドレ パルレ オ ファルマシアン |
イタリア語フレーズ(スイス・イタリア語圏:ルガーノ、ロカルノ等)
| 日本語 | イタリア語フレーズ | 発音の目安 |
|---|---|---|
| 日焼けがあります | Ho una scottatura solare. | オ ウーナ スコッタトゥーラ ソラーレ |
| アロエジェルはありますか? | Avete un gel all'aloe vera? | アヴェーテ ウン ジェル アッロエ ヴェラ |
| 痛み止めが欲しいです | Ho bisogno di qualcosa per il dolore. | オ ビゾーニョ ディ クアルコーザ ペル イル ドローレ |
日本のOTC薬の持参について(薬剤師の視点)
渡航前に持参を検討できる日本のOTC薬
スイスはOTC薬の入手環境が良好ですが、慣れ親しんだ日本の製品を持参する安心感は大きいです。以下は日焼け対応として持参が検討できる日本のOTC薬です。いずれも実在する製品です。
| 日本のOTC薬 | 有効成分(一般名) | 主な用途 | 持参上の注意 |
|---|---|---|---|
| イブA錠(エスエス製薬) | イブプロフェン、アリルイソプロピルアセチル尿素 | 解熱鎮痛 | 添付文書と元の箱ごと持参 |
| バファリンプレミアム(ライオン) | イブプロフェン、アセトアミノフェン | 解熱鎮痛 | 同上 |
| アセトアミノフェン配合錠(各社) | アセトアミノフェン | 解熱鎮痛・胃への負担少 | 妊娠中・授乳中でも相談のうえ使用しやすい |
| デルモベート軟膏(処方薬)など外用ステロイド | クロベタゾールプロピオン酸エステル等 | 強い炎症抑制 | 必ず医師処方・英文処方証明書を携帯 |
重要:処方薬を海外に持参する際は、医師が発行した英文の持参証明書(薬品名・用量・使用目的を記載)を必ず用意してください。スイスでは一般的に医療品の個人持参に厳格な制限はありませんが、処方薬については証明書があることで入国時のトラブルを防げます。市販薬は常識的な個人使用量(1〜2週間分程度)を元の箱に入れて持参することが推奨されます。
持参すると役立つ非薬品アイテム
- 高SPF・広域スペクトル(UV-A/UV-B対応)の日焼け止め(SPF50+、PA++++)
- 冷却シート(患部冷却用)
- 経口補水塩パウダー(重度の日焼けによる脱水対応)
- 体温計(微熱確認用)
避けるべき成分・誤った対処法
使用を避けるべき製品・成分
| 成分・製品カテゴリー | 避けるべき理由 |
|---|---|
| ベンゾカインなどの局所麻酔薬含有スプレー | 皮膚感作(アレルギー反応)のリスクがあり、日焼けした皮膚への使用は安全性が確立されていない |
| ワセリン・ペトロラム系の厚塗り | 患部に熱をこもらせ、炎症や感染リスクを高める可能性がある |
| アルコール含有製品(消毒用アルコール等) | 乾燥・刺激を悪化させ、修復を遅延させる |
| 氷・ドライアイスの直接当て | 凍傷リスクがある。水で冷やした濡れタオルや流水(15〜20℃程度)が適切 |
| アスピリン(特に高齢者・腎機能低下者) | 日焼けによる脱水状態では腎機能への負担が増す。イブプロフェンも同様に注意が必要 |
| 水疱を故意に破る行為 | 二次感染のリスクを著しく高める。水疱は自然に吸収されるまで保護する |
スイスの医療事情
医療制度の概要
スイスは世界最高水準の医療制度を持つ国の一つです。公的医療保険制度は全国民・在住者が対象ですが、旅行者は通常、旅行保険(海外旅行傷害保険)で対応することになります。スイスの医療費は非常に高額であり、旅行保険への加入は必須です。なお、スイスはEUに加盟していないため、EU諸国で使用可能な欧州健康保険カード(EHIC)はスイスでは適用対象外です。
救急・緊急連絡先
| 機関 | 電話番号 | 備考 |
|---|---|---|
| 救急車(Ambulance) | 144 | 24時間対応 |
| 警察(Police) | 117 | 24時間対応 |
| 消防(Fire) | 118 | 24時間対応 |
| 毒物情報センター | 145 | 薬品誤飲・過量服薬等 |
| 医療相談ホットライン | 0800 33 66 55 | 無料・24時間(英独仏伊語対応) |
主な医療機関の種類
総合病院(Kantonsspital / Hôpital cantonal):各州の拠点病院。救急対応が可能で英語対応できる医師も多くいます。日焼けの中等度以上の場合はここを受診します。
クリニック(Arztpraxis / Cabinet médical):一般開業医のクリニック。軽〜中等度の症状で医師に相談したい場合に適しています。事前予約が基本ですが、観光シーズンはウォークインに対応しているケースもあります。
薬局(Apotheke / Pharmacie):スイスの薬剤師は非常に高い専門性を持ち、軽度〜中等度の症状に対して薬剤の選択から使用方法まで丁寧にアドバイスしてくれます。Amavita(アマヴィータ)、Sun Store(サン ストア)、Coop Vitality(コープ ヴィタリティ)が全国展開しています。
日本語対応について
スイスには在スイス日本国大使館(ベルン)と在ジュネーブ日本国総領事館があり、医療機関紹介に関する問い合わせが可能です。ただし、日本語対応の医師が常在する病院は限られているため、英語でのコミュニケーション能力が重要です。主要都市(チューリッヒ、ジュネーブ、ベルン)の大学病院では、通訳サービスや多言語対応が比較的整っています。
在スイス日本国大使館(ベルン):+41 31 300 22 22 在ジュネーブ日本国総領事館:+41 22 716 91 00
薬剤師の視点:渡航前・現地・帰国後の注意点
渡航前の準備チェックリスト
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日焼け止め選択:SPF50+、PA++++(または「Broad spectrum UVA/UVB protection」表記)の製品を選ぶ。水・汗への耐性表記(Water Resistant)も確認。高山では2〜3時間ごとの塗り直しが必要です。
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服装の準備:UPF(紫外線防護指数)50以上の長袖・長ズボン、つば広帽子、UV カットサングラスを準備する。ゴーグル型のサングラスは雪山での紫外線から目を守ります。
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内服薬の準備:イブプロフェンやアセトアミノフェン配合のOTC鎮痛解熱薬を1箱持参すると現地購入のコスト・手間が省けます。アレルギー歴がある場合は薬剤師または医師に相談してから選定してください。
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旅行保険の確認:スイスの医療費は非常に高額です(救急外来の受診だけで数万円相当になるケースも)。旅行傷害保険への加入と補償内容の確認は必須です。
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持病がある方:NSAIDsが禁忌となる疾患(消化性潰瘍、腎機能障害、凝固障害など)がある方は、事前に主治医と旅行中の薬剤使用計画を話し合っておく。
現地でのセルフケア手順
Step 1:冷却(日焼け直後0〜30分) 患部を15〜20℃程度の清潔な流水または濡れタオルで15〜20分間冷やします。氷や極冷水の直接使用は避けてください。
Step 2:保湿・鎮静(0〜24時間) アロエベラジェルまたはデキスパンテノール系クリームを塗布します。患部を清潔に保ち、刺激の強い衣類を避けます。
Step 3:炎症抑制(痛みが強い場合) イブプロフェン内服(または外用ジクロフェナクジェル)を使用します。水分を十分に摂取(成人で1日1.5〜2L以上を目安)。
Step 4:修復促進(2〜7日間) Bepanthenなどデキスパンテノール系製品で保湿を継続します。患部への再日光照射は厳禁。皮膚が薄くなっているため、最低1週間はSPF50+の日焼け止めを使用してください。
帰国後の観察ポイント
通常の日焼け回復の経過
軽〜中等度の日焼けは、以下のような経過をたどります。
- 1〜2日目:赤みと痛みがピークに達する
- 3〜5日目:赤みが徐々に引き始め、皮膚が乾燥・落屑(皮むけ)し始める
- 7〜14日目:ほぼ回復。色素沈着が残ることがある
この経過から大きく外れる場合は受診を検討してください。
帰国後に受診すべき症状
以下の症状が帰国後に出現・持続する場合は、皮膚科または総合内科への受診を推奨します。
| 症状 | 考えられる状況 | 受診科目 |
|---|---|---|
| 帰国後2週間以上経過しても皮膚の赤みが続く | 光線過敏症・薬剤性光線過敏の可能性 | 皮膚科 |
| 水疱が破れた後に膿・臭い・発熱が出現 | 二次細菌感染(蜂窩織炎等) | 皮膚科・内科 |
| 日焼けとは異なる発疹・発熱が帰国後2週間以内に出現 | デング熱・チクングニア熱等の蚊媒介感染症(スイスでのリスクは低いが旅程による) | 感染症内科・内科 |
| 皮膚の色素沈着が著しく濃く残る | メラニン色素沈着の強い反応 | 皮膚科 |
| 紫外線を受けるたびに強い皮膚反応が起きるようになった | 多形性光疹・光線過敏症の発症 | 皮膚科 |
帰国後のスキンケア
帰国後少なくとも1〜2週間は、患部に紫外線を当てないことが最優先です。通勤・外出時もSPF30以上の日焼け止めを使用し、刺激の強いピーリング製品や美容液の使用は控えてください。色素沈着が気になる場合は、皮膚科でトラネキサム酸・ビタミンC誘導体配合の製剤について相談することをお勧めします。
参考文献
-
World Health Organization (WHO). "Ultraviolet radiation and health." WHO Official Website. https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/ultraviolet-radiation
-
Centers for Disease Control and Prevention (CDC). "Sun Safety." CDC Official Website. https://www.cdc.gov/cancer/skin/basic_info/sun-safety.htm
-
MeteoSwiss(スイス連邦気象・気候局). "UV Index in Switzerland." Federal Office of Meteorology and Climatology. https://www.meteoswiss.admin.ch
-
日本外務省. 「スイス連邦(安全情報・感染症危険情報)」. 外務省海外安全情報. https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_185.html
-
Swissmedic(スイス治療薬局). "OTC Medicines in Switzerland." Swissmedic Official Website. https://www.swissmedic.ch
-
日本皮膚科学会. 「日光皮膚炎・サンバーンの診療ガイドライン」. 日本皮膚科学会誌. https://www.dermatol.or.jp
-
European Academy of Dermatology and Venereology (EADV). "Photoprotection and Sunburn Management Guidelines." EADV Official Publications. https://www.eadv.org
よくある質問(FAQ)
Q. スイスの薬局で日本語は通じますか? A. 主要観光地(チューリッヒ、ジュネーブ、ルツェルン、ツェルマット等)の薬局では英語が広く通じます。日本語が通じるケースは稀ですが、上記の英語フレーズを活用すれば問題なくコミュニケーションがとれます。
Q. 子どもが日焼けした場合、大人と同じ薬を使えますか? A. アロエベラジェルは小児にも一般的に使用されます。イブプロフェンは小児用量が体重によって異なるため、必ず添付文書を確認するか薬剤師に相談してください。ヒドロコルチゾンクリームは小児への使用に注意が必要です。
Q. 日焼け止めはスイス現地で購入できますか? A. スイスの薬局・スーパー・スポーツ用品店(Intersport等)でSPF50+の日焼け止めが購入可能です。ただし観光シーズンのリゾートでは品薄になることがあるため、渡航前に日本から持参することを推奨します。
Q. スイスの夏は何月が最も紫外線が強いですか? A. 6月下旬〜7月中旬が最もUV Indexが高くなる傾向があります。快晴の夏の日の正午前後には、山岳地帯でUV Indexが11〜12以上に達することがあります。
免責事項
本記事は、博士(薬学)を取得した薬剤師による一般的な情報提供を目的として作成されています。記載内容は医療行為・診断・治療の代替となるものではありません。個々の健康状態・既往症・服用中の薬剤によって適切な対処法は異なります。症状が重篤または悪化する場合は、速やかに現地の医療機関を受診してください。薬の使用にあたっては、必ず製品の添付文書をご確認の上、不明点は薬剤師または医師にご相談ください。
監修:薬剤師(博士(薬学))