結論:海外で広く市販されている薬の中には、日本では「処方薬扱い」「未承認」のものがある
米国や欧州で一般用医薬品として薬局で購入できる薬の中には、日本では医療用医薬品(処方箋必須)に分類されているもの、または承認されていないものがあります。海外渡航時に「日本で買えない薬」を知っておくと、現地で症状が出た時の選択肢が広がります。本記事では代表的な10種類を薬剤師が解説します。
1. Pepto-Bismol(次サリチル酸ビスマス)
成分・作用: 次サリチル酸ビスマス(bismuth subsalicylate)262mg/15mL。米国では旅行者下痢・胃部不快感に広く用いられる定番OTCで、ピンク色の液体として有名。
日本での扱い: 次サリチル酸ビスマスを主成分とする一般用医薬品は日本では承認されていません。
日本での同等の選択肢(成分ベース):
- 整腸:新 ビオフェルミンS錠 🛒、ビオスリーHi錠 等
- 制酸・胃部不快感:太田胃散、ガスター10(ファモチジン)等
- 旅行者下痢の対症:正露丸(木クレオソート)、ストッパ下痢止めEX 等
2. Sudafed(プソイドエフェドリン)
成分・作用: プソイドエフェドリン塩酸塩(pseudoephedrine hydrochloride)30mg。鼻粘膜の血管を収縮させ鼻づまりを改善する交感神経刺激薬。
日本での扱い: プソイドエフェドリンは日本では医療用医薬品(処方箋医薬品)扱いで、単独成分のOTCはありません。総合感冒薬の一部に配合されている場合があります。
日本での同等の選択肢(成分ベース):
- 鼻づまり改善OTC:パブロン鼻炎カプセルSα、コンタック600プラス(製品の配合成分は時期で変わるためパッケージ要確認)
- 点鼻スプレー:ナザール、コルゲンコーワ鼻炎ジェルカプセル 等
3. Mucinex(グアイフェネシン600mg徐放)
成分・作用: グアイフェネシン(guaifenesin)600mg。気道分泌物を増加させ痰を出しやすくする去痰薬。Mucinexは12時間徐放製剤。
日本での扱い: グアイフェネシン単独のOTCは日本ではありません。総合感冒薬の一部成分として含まれる場合があります。
日本での同等の選択肢(成分ベース):
- 去痰OTC:ストナ去たんカプセル(ブロムヘキシン配合)等
- 処方薬:ムコソルバン(アンブロキソール)、ムコダイン(L-カルボシステイン)
4. Robitussin DM / Delsym(デキストロメトルファン)
成分・作用: デキストロメトルファン臭化水素酸塩(dextromethorphan)。非麻薬性の中枢性鎮咳薬。米国OTCで広く流通。
日本での扱い: 同成分のOTCは存在します(メジコン、新ルル、改源などに配合)が、Robitussin DMのような単独・高濃度液剤は日本では一般的でありません。
日本での同等の選択肢:
- OTC:新ルル、改源、パブロンSなどデキストロメトルファン配合の総合感冒薬
- 処方薬:メジコン(デキストロメトルファン単独)、アスベリン(チペピジン)
5. Benadryl(ジフェンヒドラミン)
成分・作用: ジフェンヒドラミン塩酸塩(diphenhydramine)25mg。第1世代抗ヒスタミン薬。米国では蕁麻疹・アレルギー・睡眠補助に広く使われる。
日本での扱い: ジフェンヒドラミンは日本でもOTCで販売されています(用途が異なる)。
日本での同等の選択肢:
- 蕁麻疹・かゆみ:レスタミンコーワ糖衣錠、ムヒアルファEX(外用)等
- 睡眠補助:ドリエル、ネオデイ
- アレルギー:日本では第2世代抗ヒスタミン薬(アレグラFX、 アレジオン20 🛒、 クラリチンEX 🛒)が主流
6. Aleve(ナプロキセン220mg)
成分・作用: ナプロキセンナトリウム(naproxen sodium)220mg。NSAIDの中で作用時間が比較的長い(8〜12時間)。米国で頭痛・生理痛・筋肉痛に広く使用。
日本での扱い: ナプロキセンは日本では医療用医薬品(処方薬)のみで、OTCはありません。
日本での同等の選択肢(成分ベース):
- OTC:ロキソニンS(ロキソプロフェン60mg)、イブA錠(イブプロフェン150mg)、バファリンプレミアム 等
- 処方薬:ナイキサン(ナプロキセン)
7. Excedrin(アセトアミノフェン+アスピリン+カフェイン)
成分・作用: Excedrin Migraine の代表的な配合は、アセトアミノフェン250mg + アスピリン250mg + カフェイン65mg(製品により異なる)。米国では片頭痛OTCとして人気。
日本での扱い: アセトアミノフェン+アスピリン+カフェインのOTC配合剤として 同一の処方は日本では一般的ではありません。日本のOTC配合剤は別の成分組合せが主流。
日本での同等の選択肢:
- バファリンプレミアム(イブプロフェン+アセトアミノフェン+無水カフェイン+メタケイ酸アルミン酸マグネシウム)
- ノーシン散剤(アセトアミノフェン+エテンザミド+カフェイン)
- セデス・ハイ(イソプロピルアンチピリン+アセトアミノフェン+アリルイソプロピルアセチル尿素+無水カフェイン)
8. Pepcid Complete / Pepcid AC(ファモチジン)
成分・作用: ファモチジン(famotidine)10mg。H2受容体拮抗薬で胃酸分泌を抑制。米国では胸焼け・酸逆流症状に処方箋なしで購入可能。
日本での扱い: ファモチジンのOTCは日本にも存在します(ガスター10、第一三共ヘルスケア)。Pepcidとほぼ同等の選択肢があります。
日本での同等の選択肢:
- ガスター10(ファモチジン10mg)
- 制酸薬:太田胃散、第一三共胃腸薬プラス、サクロン 等
9. Bonine / Dramamine Less Drowsy(メクリジン)
成分・作用: メクリジン塩酸塩(meclizine)25mg。第1世代抗ヒスタミン薬の一種で、めまい・乗り物酔い・吐き気の予防に使用。Dramamineの「眠気が少ない版」もメクリジン。
日本での扱い: メクリジン単独のOTCは日本では承認されていません。
日本での同等の選択肢:
- 乗り物酔い:トラベルミン(ジフェンヒドラミン+ジプロフィリン)、アネロン ニスキャップ(マレイン酸フェニラミン+他)
- 吐き気:プリンペラン(メトクロプラミド、処方薬)
10. Prilosec OTC / Prevacid 24Hr(PPI)
成分・作用: Prilosec OTC = オメプラゾール20mg、Prevacid 24Hr = ランソプラゾール15mg。プロトンポンプ阻害薬(PPI)で胃酸を強力に抑制し、24時間効果が持続。
日本での扱い: PPIは日本では医療用医薬品(処方薬)のみで、OTCはありません。
日本での同等の選択肢:
- OTC(H2ブロッカー):ガスター10(ファモチジン)
- 制酸薬:太田胃散、サクロン、ガストール 等
- 処方薬:オメプラゾール、ランソプラゾール、ネキシウム(エソメプラゾール)
海外でこれらの薬を購入する際のガイド
米国での購入
CVS・Walgreens・Walmart等の薬局のOTC医薬品コーナー("Digestive Health" "Pain Relief" "Cold & Cough" 等のセクション)で購入可能です。Sudafedなど一部は薬剤師カウンター(pharmacy counter)でID提示が必要。
英語フレーズ例:
-
Where can I find (製品名)?(ホエア キャン アイ ファインド ~?) -
Is this available over the counter?(イズ ディス アヴェイラブル オーバー ザ カウンター?)
英国・欧州での購入
Boots・Superdrug等のpharmacy では、薬剤師に症状を伝える文化があります。
英語フレーズ例:
-
I have a headache. What would you recommend?(アイ ハヴ ア ヘッデイク。ホワット ウッド ユー レコメンド?)
日本への持ち込みルール
厚生労働省の「医薬品等の個人輸入について」によると、医薬品の種類により持ち込み可能量・手続きが異なります。
- 一般用医薬品:原則2か月分以内なら手続き不要(医薬部外品は4か月分以内)
- 処方箋医薬品:原則1か月分以内、超過時は薬監証明が必要
- 毒薬・劇薬・処方箋医薬品:成分により事前申請が必要な場合あり
最新ルールは厚生労働省 医薬品等の個人輸入について をご確認ください。
よくある質問
Q1. 日本への持ち込みは違法ですか?
A. 個人使用量の一般用医薬品なら持ち込み可能です。処方箋医薬品(Sudafedの単独成分等)は量によって薬監証明が必要になります。事前に厚労省ホームページで確認、または最寄りの厚生局薬事監視専門官にご相談ください。
Q2. 海外で購入した薬を、帰国後の日本の医師に見せてもいいですか?
A. はい、可能です。受診時に薬の現物を持参すると医師が成分を確認しやすいです。日本未承認薬は副作用報告制度の対象外になることがあるため、医師の判断には限界があります。
Q3. 海外で購入した薬を日本人が使う際の注意点は?
A. 体格・肝腎機能・併用薬を考慮した用量調整が必要な場合があります。短期使用は概ね安全ですが、継続使用は帰国後に日本の医師・薬剤師に相談してください。
Q4. 妊婦が誤って海外OTCを使用した場合は?
A. 製品名・成分・用量・服用時期を記録の上、産科医にすぐ相談してください。多くの市販薬は短期1回の服用で深刻な影響は稀ですが、自己判断は避けてください。
まとめ
- 海外OTCには日本で「処方薬扱い」「未承認」のものが多数ある
- 主な理由は 規制基準・医療体系の違い(効きが強い/弱いではない)
- 持ち込みは厚労省の個人輸入ガイドラインに従えば概ね問題ない
- 日本に同成分OTCがある場合(Pepcid→ガスター10等)は、日本で備える方が確実
- 帰国後の継続使用は医師相談を推奨