世界53カ国の花粉症カレンダー
「日本のスギ花粉に反応する人は、海外のサイプレスやマウンテンシダーにも反応する可能性がある」 「白樺(カバノキ科)花粉症の人は、オーク・ハンノキ・ハシバミ・ブナにも交差する」 — 海外渡航者の花粉症は「日本と同じ薬で対応できるか」だけでなく「どんな樹種が飛んでいるか」が要です。 薬剤師の視点で、世界の花粉事情を国別+交差反応+避難旅行先の3方向から整理しました。
まず知りたい3つの入口
53カ国の花粉カレンダー
各国で主に飛ぶ花粉を月別に表示。赤=多、黄=中、緑=少。
日本
温帯。スギ・ヒノキ科花粉症が世界でも特異的に高い有病率。
韓国
温帯。春のオーク・ハンノキ・カバノキ、秋のブタクサが問題。
台湾
亜熱帯〜熱帯。花粉症より通年性ダニアレルギーが主流。
中国
広大な気候帯。北京・華北の春(ポプラ・ヤナギ・マツ)と秋(ヨモギ)が激烈。
香港
亜熱帯。花粉よりダニ・カビが主因。
タイ
熱帯。花粉症は稀で、通年性のダニ・カビ・ゴキブリが主因。
シンガポール
熱帯雨林気候。花粉症はほぼなし、ダニ・カビが主因。
ベトナム
熱帯〜亜熱帯。花粉症は稀。
フィリピン
熱帯。花粉症は稀、ダニ主因。
インドネシア
熱帯。花粉症はほぼなし。
マレーシア
熱帯。花粉症は稀。
カンボジア
熱帯。花粉症は稀。
ラオス
熱帯。花粉症は稀。
ミャンマー
熱帯〜亜熱帯。花粉症は稀。
インド
亜熱帯〜熱帯。北部春(Poplar, Mulberry)、秋(Amaranthus)が主因。
モルディブ
熱帯島嶼。花粉症はほぼなし。
ネパール
山岳気候。春(樹木)と秋(草本)に花粉あり。
スリランカ
熱帯。花粉症は稀。
バングラデシュ
熱帯。花粉症は稀。
トルコ
地中海性気候。サイプレス(冬)・オリーブ(春)が主因。
エジプト
砂漠気候。花粉より砂塵・大気汚染による鼻炎が主因。
UAE
砂漠気候。砂塵と現地草本(アカザ系)が主因。
イスラエル
地中海性気候。サイプレス・オリーブ花粉が強い。
カタール
砂漠気候。花粉より砂塵が主。
アメリカ
広大。地域ごとに主要花粉が異なる(東北: 白樺・オーク、南西: マウンテンシダー、中西: ブタクサ)。
ハワイ
熱帯島嶼。花粉症は少ないが、バミューダ草が通年飛散。
カナダ
冷温帯。春の白樺・オーク、夏の草本、秋のブタクサ(オンタリオ以南)。
グアム
熱帯。花粉症は少ない。
サイパン
熱帯島嶼。花粉症は少ない。
メキシコ
亜熱帯。北部はマウンテンシダー、中央部はオーク、全域でバミューダ。
ブラジル
熱帯〜亜熱帯。南半球のため日本と季節逆。南部は春(9〜11月)の樹木花粉あり。
ペルー
沿岸は砂漠気候、アンデス山岳。花粉症より大気汚染・高度による鼻炎が主。
フランス
温帯。南部は地中海性(サイプレス・オリーブ)、北部は大陸性(白樺・ハンノキ・カモガヤ)。
イタリア
地中海性。サイプレス(冬)、オリーブ(春〜初夏)、イネ科(5〜6月)、イラクサ(夏)が主。
イギリス
温帯海洋性。白樺・オーク(春)、カモガヤ(夏)が主。イネ科が世界でも激しい。
ドイツ
温帯。白樺・ハンノキ・ハシバミが強く、ドイツ人の花粉症主因。
スペイン
地中海性。オリーブ・サイプレス・プラタナス・イネ科・アカザ。
オランダ
温帯海洋性。白樺・ハンノキ・カモガヤが主。
ベルギー
温帯海洋性。ドイツ・オランダと類似の花粉プロファイル。
ポルトガル
地中海性。サイプレス・オリーブ・プラタナス・イネ科。
アイルランド
温帯海洋性。カモガヤ(夏)と白樺(春)が主。
ギリシャ
地中海性。サイプレス・オリーブ・イネ科・プラタナス。
スイス
アルプス気候。白樺・ハシバミ・イネ科が主。
チェコ
大陸性気候。カバノキ科・イネ科・ヨモギが主。
ハンガリー
大陸性気候。ブタクサ(秋)が欧州最悪レベルで飛散。
ポーランド
大陸性。白樺・イネ科・ヨモギ・ブタクサ。
オーストリア
アルプス気候。白樺・ハシバミ・イネ科・ヨモギ・ブタクサ。ハンガリーに近いため秋のブタクサも強い。
フィンランド
亜寒帯。白樺・ハンノキが主(世界でも特に強い白樺花粉)。
スウェーデン
亜寒帯。白樺・ハンノキが主、カモガヤ(夏)。
ノルウェー
亜寒帯。白樺が主、カモガヤ(夏)。
デンマーク
温帯海洋性。白樺・ハンノキ・カモガヤが主。
オーストラリア
南半球で季節逆。ライ麦・カモガヤ・ヒノキ科・白樺(都市植栽)。メルボルンの「サンダーストーム喘息」が有名。
ニュージーランド
南半球で季節逆。カモガヤ・ライ麦・松。
薬剤師からの補足
花粉は植物の「科」レベルでアレルゲンが共有されることが多く、 日本で反応していた花粉と同じ科の樹種がある国では再発する可能性があります。
海外でも抗ヒスタミン薬は概ね同じ有効成分(セチリジン・ロラタジン・フェキソフェナジン)が 異なるブランド名で販売されています。各国ページで現地OTCブランドを記載しています。
日本から常用薬を持参する場合、覚醒作用を抑える工夫や時差による服用タイミングの調整にも 注意しましょう。