ギリシャの医療制度と渡航者の注意点
ギリシャは欧州連合(EU)加盟国であり、医療インフラは比較的整備されていますが、渡航者にとって利用しやすい医療機関と難しい医療機関が混在しています。特にアテネやテッサロニキなどの大都市では私立病院が充実している一方で、島嶼部では医療資源が限定的です。エーゲ海の小規模な島では、常駐医師がいない「医療センター(Κέντρο Υγείας / Kentro Ygeias)」のみが設置されている場合もあり、重篤な場合は本土への移送が必要になることもあります。
渡航前に必ず確認すべき点は、日本の旅行保険がギリシャの医療機関で使用可能か、キャッシュレス対応の医療機関があるかです。現地での予期しない医療費は高額になる可能性があります。
ギリシャの医療制度の基幹は**ΕΟΠΥΥ(Ethnikos Organismos Parokhis Ypiresion Ygeias:国家医療サービス機構)**が担っており、国民や一部のEU市民にはEHIC(欧州健康保険カード)が適用されますが、日本人旅行者にはこのカードは適用されません。公立病院の救急外来は基本的に誰でも受け入れますが、外来診療や入院では自費扱いとなり、費用は請求されます。外務省の海外安全情報では、ギリシャの医療水準は都市部では高い一方、島嶼部では限定的と案内されています。
| 医療機関の種類 | 特徴 | 渡航者の費用目安 |
|---|---|---|
| 公立病院(救急外来) | 24時間対応、英語限定的 | 受診料0〜50EUR程度(目安) |
| 公立病院(一般外来) | 待ち時間が長い場合あり | 自費扱いで数十〜数百EUR(目安) |
| 私立病院 | 英語対応、迅速、保険提携多 | 受診料100〜300EUR〜(目安) |
| 診療所(Iatreio) | 開業医による外来診療 | 50〜150EUR程度(目安) |
| 医療センター(離島) | 常駐医師がいない場合あり | 無料〜少額(目安) |
薬剤師メモ: ギリシャの医療制度はΕΟΠΥΥ(国家医療サービス機構)が運営していますが、渡航者には原則適用されません。必ず民間保険または旅行保険に加入し、保険証書に記載されたコールセンター番号を渡航前に確認してください。
ギリシャの薬局(Φαρμακείο/Farmakeio)の利用方法
薬局での医薬品の購入と処方箋の取り扱い
ギリシャの薬局は街中に多く存在し、看板に緑十字またはΦαρμακείο(Farmakeio)と表示されています。EU加盟国の薬事規制に準拠しており、薬剤師(Φαρμακοποιός / Farmakopios)が必ず常駐しています。営業時間は平日8:00〜20:00程度が一般的で、夜間・日曜に利用できる当番薬局(εφημερεύον φαρμακείο)の住所と電話番号は、各薬局の入り口ドアや窓に掲示されています。また、地方自治体が管理するウェブサイトやアテネ市のオンラインシステムで当番薬局を確認できる場合があります。
処方箋(συνταγή / Syntagi)を持参する場合は、ギリシャの医師が発行した処方箋が必要です。日本で受けた処方箋は、ギリシャでそのまま調剤してもらうことはできません。多くの薬局スタッフは英語対応可能ですが、医学用語では通じない場合があるため、スマートフォンの翻訳アプリ(Google Translateなど)の活用をお勧めします。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 営業時間(目安) | 平日8:00〜20:00、土曜8:00〜14:00 |
| 当番薬局(夜間・日曜) | 入口掲示または地方自治体ウェブサイトで確認 |
| 処方箋要否 | 抗生物質・降圧薬などは要。一般的な風邪薬・解熱鎮痛薬は不要 |
| 支払い方法 | 現金(EUR)・クレジットカード対応店舗多い |
| 英語対応 | 都市部は高い、離島は限定的 |
| 医薬品価格(目安) | 抗生物質は処方箋取得後20〜50EUR程度、解熱鎮痛薬は5〜15EUR程度 |
薬局で役立つ英語フレーズ
-
I have a stomachache.(アイ ハヴ ア ストマックエイク)―― 胃が痛い -
Do you have any painkillers?(ドゥ ユー ハヴ エニー ペインキラーズ?)―― 鎮痛薬はありますか? -
I need something for diarrhea.(アイ ニード サムシング フォー ダイアリア)―― 下痢止めをください -
I have a drug allergy to aspirin.(アイ ハヴ ア ドラッグ アレルジー トゥー アスピリン)―― アスピリンに薬物アレルギーがあります -
Is this safe to take with my current medication?(イズ ディス セーフ トゥ テイク ウィズ マイ カレント メディケイション?)―― 今飲んでいる薬と一緒に飲んで大丈夫ですか?
渡航者が購入可能な一般的な医薬品
以下の医薬品は処方箋なしで購入可能です(2024年時点の一般的な情報。規制変更の可能性があるため、現地薬局で確認してください)。
消化器系
- ロペラミド塩酸塩配合の止瀉薬(下痢止め): EUでは「Imodium」ブランドが広く流通。ロペラミドはμ(ミュー)オピオイド受容体に作用して腸管運動を抑制し、水分・電解質の吸収を促進します。成人の通常用量は初回4mg、以降1回2mgを下痢の都度服用(1日最大16mg)。なお、細菌性下痢(血便・高熱を伴う場合)には使用しないでください。
- シメチコンまたはジメチルポリシロキサン配合の鼓腸・腹部膨満薬
- 炭酸水素ナトリウム・炭酸カルシウム配合の制酸薬
- ブチルスコポラミン臭化物配合の鎮痙薬(腸けいれん・腹痛): ムスカリン受容体拮抗薬で腸管平滑筋を弛緩させます。緑内障・前立腺肥大がある場合は使用を避けてください。
呼吸器系・風邪
- アセトアミノフェン配合の総合感冒薬(EU圏での流通ブランドは複数あり)
- グアイフェネシン配合の去痰薬
- セチリジン塩酸塩またはロラタジン配合の抗ヒスタミン薬(鼻水・くしゃみ): 第2世代抗ヒスタミン薬のため眠気が比較的少ない。ただしアルコールとの併用で鎮静効果が増強する場合があります。
- ベクロメタゾンまたはキシロメタゾリン配合の点鼻薬(充血除去): キシロメタゾリンはα1受容体刺激薬で血管収縮により鼻閉を改善しますが、連続使用は3〜5日以内にとどめてください(反跳性鼻閉の予防)。
頭痛・解熱
- アセトアミノフェン(パラセタモール): 成人の通常用量は1回500〜1000mg、4〜6時間ごと(1日最大4000mg)。肝臓で代謝されるため、アルコール多飲者や肝機能障害がある方は使用前に医師・薬剤師に相談してください。EUでは「Paracetamol」名称で広く販売。
- イブプロフェン: 成人の通常用量は1回200〜400mg、4〜6時間ごと(1日最大1200mg〔OTC〕)。プロスタグランジン合成阻害(COX-1/COX-2抑制)による消炎・鎮痛・解熱作用。胃粘膜保護のため食後服用が推奨。心血管疾患・腎機能低下・消化性潰瘍がある場合は使用を避けてください。
- アセチルサリチル酸(アスピリン): 抗血小板作用があるため、抗凝固薬(ワルファリン、DOACなど)を服用中の方は出血リスクが増大します。15歳未満の発熱患者への使用はライ症候群のリスクから禁忌とされています。
皮膚外用薬
- デクスパンテノール配合の皮膚保護クリーム(Bepanthenなど)
- クロトリマゾール配合の抗真菌クリーム(軽度の皮膚白癬・カンジダ症): イミダゾール系抗真菌薬で真菌細胞膜のエルゴステロール合成を阻害します。
- ヒドロコルチゾン配合の軽度ステロイドクリーム(虫刺され・接触性皮膚炎): OTC用途では0.5〜1%製品が一般的。顔面・眼周囲・皮膚が薄い部位への長期使用は避けてください。
薬剤師メモ: ギリシャではイブプロフェンが一般医薬品として広く販売されていますが、NSAIDsは腎機能への影響(GFR低下、電解質異常)や消化管粘膜障害のリスクがあります。心血管疾患・腎機能低下・消化性潰瘍の既往がある場合は使用を避け、アセトアミノフェンを選択するか薬局スタッフに相談してください。また、処方箋が必要な医薬品(抗菌薬・抗ウイルス薬など)を求める場合は、医療機関の受診が必須です。
ギリシャで医療機関を探し、受診する方法
医療機関の種類と特徴
私立病院(Private Hospital)
- 対応が迅速、英語対応スタッフが多い
- 旅行保険のキャッシュレス対応施設が多い
- 治療費は公立より高い
- 主要都市に集中
公立病院(Public Hospital / ΕΣΥΕ管理施設)
- 治療費が比較的低い
- 手続きが複雑で待ち時間が長くなる場合あり
- 英語対応が限定的(大都市除く)
- 緊急対応は良好で原則24時間受入れ
診療所(Iatreio / クリニック)
- 開業医による一般診療
- 初期治療や簡易検査向き
- 24時間対応のクリニックも一部あり
離島の医療センター(Κέντρο Υγείας)
- 基本的な一次医療のみ対応
- 重症例は本土・大型島の病院へ搬送
- 医師が常駐しない日がある場合もある
医療機関の探し方
1. 宿泊施設スタッフに相談 ホテル・ゲストハウスのフロントスタッフは医療機関の情報を把握しており、信頼できる医師の紹介やタクシー手配を支援することが多いです。外国人旅行者への対応に慣れているホテルは、特定の医療機関との連絡ルートを持っている場合があります。
2. 旅行保険会社に連絡 旅行保険のポリシー裏面に24時間対応のコールセンター番号が記載されています。保険会社が提携医療機関を紹介し、予約を取ってくれることがあります。特にキャッシュレス対応を希望する場合は、受診前に必ず保険会社に連絡してください。
3. インターネット検索
- Google Maps検索: 「Doctor near me(ドクター ニア ミー)」「Hospital(ホスピタル)」
- 在ギリシャ日本大使館ウェブサイト: 医療機関リスト掲載(英語・日本語)
- 外務省海外安全情報: 医療機関情報あり
4. 緊急の場合
- **救急: 166(EKAB / Εθνικό Κέντρο Άμεσης Βοήθειας)**に電話。ギリシャ語優先ですが英語対応オペレーターもいます。
- 欧州統一緊急番号: 112でも救急・警察・消防に接続できます。英語対応可。
医療機関の受診時に役立つ英語フレーズ
-
I need to see a doctor.(アイ ニード トゥ シー ア ドクター)―― 医師に診てもらいたいです -
I have travel insurance.(アイ ハヴ トラベル インシュアランス)―― 旅行保険に加入しています -
Can you issue a medical certificate?(キャン ユー イシュー ア メディカル サーティフィケート?)―― 診断証明書を発行してもらえますか? -
I am allergic to penicillin.(アイ アム アレルジック トゥ ペニシリン)―― ペニシリンにアレルギーがあります -
I take these medications regularly.(アイ テイク ジーズ メディケイションズ レギュラリー)―― これらの薬を常用しています
受診時の持参物と手続き
| 持参物 | 理由 |
|---|---|
| パスポート | 身分証明、保険申請時 |
| 旅行保険証書(またはデジタルコピー) | キャッシュレス対応確認 |
| 常用薬の名前・用量メモ(成分名・一般名を英語で記載) | 薬物相互作用確認 |
| アレルギー情報メモ(薬物アレルギー含む) | 安全な薬剤選択のため |
| 翻訳アプリ対応スマートフォン | 症状説明の補助 |
| 処方箋控え(持参薬がある場合) | 重複投与・相互作用防止 |
| クレジットカード | 自費診療時の支払い |
ギリシャで体調を崩した場合の対応フロー
軽症の場合(風邪、軽度の下痢など)
- 薬局に相談: 症状を説明し、薬局スタッフが一般医薬品を勧める
- 自己管理: 処方箋なしで購入可能な医薬品で対応
- 24〜48時間で改善しない場合: 診療所または病院を受診
中等症の場合(高熱、強い嘔吐、皮膚発疹など)
- 医療機関に直接来院またはオンライン予約(可能な場合)
- 旅行保険会社に連絡し、キャッシュレス対応医療機関を確認
- 医師の診察: 必要に応じて処方箋が発行される
- 薬局で処方箋を提出し医薬品を購入
重症の場合(意識障害、激しい頭痛、呼吸困難など)
- 166または112に電話し、救急車を要請:
Ambulance please.(アンビュランス プリーズ)と英語でも接続可 - 近隣の私立または公立病院に搬送されることが多い
- 旅行保険会社に直ちに連絡
- 入院が必要な場合、保険会社が日本への帰国搬送便の手配をサポート
緊急度の目安(渡航者向け簡易チェック)
| 症状 | 対応 |
|---|---|
| 軽度の頭痛・鼻水・軽い下痢 | 薬局で市販薬相談 |
| 38.5℃以上の発熱が続く | 診療所・クリニック受診 |
| 呼吸困難・胸痛 | 166または112に電話し救急要請 |
| 意識が朦朧・激しい痙攣 | 166または112に電話し救急要請 |
| 強いアレルギー反応(蕁麻疹・顔の腫れ) | 166または112に電話し救急要請 |
| 旅行者下痢で血便・40℃以上の発熱 | 医療機関受診(細菌性下痢の可能性) |
薬剤師メモ: ギリシャでは処方箋医薬品と一般医薬品の区分が日本と一部異なります。特に**フルオロキノロン系抗菌薬(シプロフロキサシン等)**はEU加盟国では厳格に処方箋必須です。フルオロキノロン系は腱断裂・末梢神経障害・QT延長などの重篤な副作用リスクが知られており(EMAが2018年に安全措置を強化)、自己判断での使用は危険です。症状が改善しない・悪化する場合は必ず医師を受診してください。
渡航者が注意すべき薬学的ポイント
主要な市販薬の薬学的解説と注意事項
アセトアミノフェン(パラセタモール)の注意点
アセトアミノフェンは中枢性に作用し、解熱・鎮痛効果を発揮します。肝臓でグルクロン酸抱合・硫酸抱合により代謝されますが、過剰服用時はCYP2E1によりN-アセチル-p-ベンゾキノンイミン(NAPQI)が生成し、肝細胞障害を起こします。
- アルコールとの相互作用: 慢性的な飲酒はCYP2E1を誘導し、NAPQI産生量が増加するため肝毒性リスクが高まります。欧州旅行中の飲酒機会が多い場合は用量に注意してください。
- 他のアセトアミノフェン含有製品との重複: 総合感冒薬にもアセトアミノフェンが含まれていることがあり、知らずに重複服用すると過剰摂取になる可能性があります。購入時に薬局スタッフへ確認を。
イブプロフェン(NSAIDs)の注意点
イブプロフェンはCOX-1およびCOX-2を非選択的に阻害し、プロスタグランジン合成を低下させます。これにより解熱・鎮痛・抗炎症作用を示しますが、同時にプロスタグランジンによって維持されている腎血流の調節機能や胃粘膜保護機能も低下します。
- 旅行中の脱水との組み合わせ: 暑いギリシャの夏に水分摂取不足で脱水状態にある場合、NSAIDs服用はさらに腎血流を低下させ、急性腎障害リスクを高めます。適切な水分補給を心がけてください。
- 抗凝固薬・抗血小板薬との相互作用: ワルファリンやアスピリン(低用量)と併用すると出血リスクが増大します。常用薬がある場合は必ず薬局スタッフに相談してください。
- ACE阻害薬・ARBとの相互作用: 降圧薬としてACE阻害薬またはARBを服用中の場合、NSAIDsとの併用で腎機能低下のリスクが上昇します(triple whammy効果)。
抗ヒスタミン薬の眠気と安全性
- 第1世代(クロルフェニラミン等): 血液脳関門を通過しやすく眠気が強い。運転・水泳・スキューバダイビングなど注意を要する活動前の服用は避けてください。
- 第2世代(セチリジン、ロラタジン等): 眠気は少ないが、個人差があります。初回服用時はアルコールとの併用を避けてください。
持参薬の管理と税関申告
日本から処方薬を持参する場合の注意事項を以下に整理します。
| 薬剤カテゴリー | 持ち込みの注意 | 推奨対応 |
|---|---|---|
| 一般的な処方薬(降圧薬・糖尿病薬等) | 個人使用目的は問題ないことが多い | 処方箋・薬剤情報書の携帯推奨 |
| 向精神薬(睡眠薬・抗不安薬等) | 国際条約に基づく規制対象品がある | 渡航前に在ギリシャ大使館または外務省に確認 |
| 麻薬性鎮痛薬(モルヒネ等) | 携行・申告に特別な手続きが必要 | 必ず外務省・大使館に事前確認 |
| 注射剤(インスリン等) | 機内持ち込み時に医師の証明書が有効 | 英文証明書・処方箋を携帯 |
規制物質の持ち込みに関する最新情報は、外務省海外安全情報および在ギリシャ日本国大使館公式サイトで必ず確認してください。
ギリシャで医療機関を探し、受診する方法(旅行保険の使い方と注意点)
旅行保険の加入時確認事項
旅行出発前に、以下の点を保険会社に確認し、保険証書に記載させることをお勧めします。
| 確認項目 | 重要度 | 理由 |
|---|---|---|
| ギリシャ全土カバー(離島含む) | 高 | 離島など偏遠地への対応確認 |
| キャッシュレス対応医療機関 | 高 | 現地での支払い回避 |
| 24時間コールセンター(日本語対応) | 高 | 夜間・休日の対応 |
| 帰国搬送サービス | 高 | 重症時の日本への帰国便手配 |
| 携行品損害・遅延費用 | 中 | 薬・医療機器の紛失時 |
| 歯科治療カバー | 低 | 緊急抜歯のみ通常カバー |
キャッシュレス利用の流れ
事前準備
- 保険証書に記載されたコールセンター番号をスマートフォンにメモ(ローミング環境で使える番号を確認)
- 保険会社にプリクリア(事前許可)取得の可否を確認
受診時
- 医療機関に到着後、受付で
I have travel insurance.(アイ ハヴ トラベル インシュアランス)と伝える - 医療機関が保険会社に確認を取ることもある
- 診察・治療完了後、医療機関が保険会社に請求
- 患者は医療費を負担しない(キャッシュレス)または負担が最小限
保険申請の流れ(自費負担時)
- 医療機関から**領収書(Receipt)と診断証明書(Medical Certificate)**を取得
- 帰国後、保険会社に以下を提出:
- 保険金請求書(保険会社所定様式)
- 領収書(原本またはコピー)
- 診断証明書(ギリシャ語での発行が多い。和訳要否は保険会社に確認)
- パスポートコピー
- 保険会社が書類審査後、指定口座に保険金を振込
キャッシュレス対応医療機関の例(主要都市)
| 都市 | 医療機関名(参考) | 対応言語 |
|---|---|---|
| アテネ | Hygeia Hospital | 英語 |
| アテネ | Athens Medical Group | 英語 |
| テッサロニキ | Aghia Sophia Hospital | 英語 |
| ロードス | Rodos General Hospital | 英語・ドイツ語 |
| クレタ | University Hospital of Heraklion | 英語 |
※上記は一般的に知られる医療機関の参考情報です。旅行保険のキャッシュレス提携状況は保険会社・時期により異なります。受診前に必ず保険会社に確認してください。
薬剤師メモ: 「キャッシュレス対応」と記載されていても、小規模クリニックでは対応していないことがあります。受診前に必ず保険会社と医療機関の双方に確認してください。また、薬局で購入した医薬品費用についても、保険がカバーするかどうかは保険会社に事前確認が必要です。
ギリシャの一般医療用語と症状表現
患者-医療者間のコミュニケーション改善のため、簡単なギリシャ語・英語表現を記載します。薬局や病院で紙に書いて見せることも有効です。
| 日本語 | 英語 | ギリシャ語(カナ読み) |
|---|---|---|
| 発熱 | Fever | Πυρετός(ピレトス) |
| 頭痛 | Headache | Πονοκέφαλος(ポノケファロス) |
| 咳 | Cough | Βήχας(ヴィハス) |
| 下痢 | Diarrhea | Διάρροια(ジアリア) |
| 嘔吐 | Vomiting | Έμετος(エメトス) |
| アレルギー | Allergy | Αλλεργία(アレルジア) |
| 薬物アレルギー | Drug allergy | Φαρμακευτική αλλεργία(ファルマケフティキ・アレルジア) |
| 高血圧 | High blood pressure | Υψηλή αρτηριακή πίεση(イプシリ・アルティリアキ・ピエシ) |
| 糖尿病 | Diabetes | Διαβήτης(ジアヴィティス) |
| 処方箋 | Prescription | Συνταγή(シンタジ) |
| 薬局 | Pharmacy | Φαρμακείο(ファルマキオ) |
| 救急 | Emergency | Επείγον(エペイゴン) |
| 医師 | Doctor | Γιατρός(ジャトロス) |
| 入院 | Hospitalization | Νοσηλεία(ノシリア) |
| 保険 | Insurance | Ασφάλεια(アスファリア) |
在ギリシャ日本大使館の医療支援
アテネには日本国大使館が、テッサロニキには総領事館が設置されており、邦人保護の観点から医療相談に応じています。大使館は医療機関を直接紹介することはありませんが、英語対応医師や日本語対応スタッフのいる医療機関リストを保有しており、在留届を提出した邦人(旅行者を含む)に情報提供を行っています。
在ギリシャ日本国大使館(アテネ)
- 住所: Mesogeion 4, 11526 Athens, Greece
- 電話: +30-210-670-9900
- 緊急時(時間外): 同番号に電話し、緊急の旨を伝える
- 公式ウェブサイト: https://www.gr.emb-japan.go.jp/
在テッサロニキ日本国総領事館
- テッサロニキ近郊を旅行する場合は領事館連絡先を事前確認してください
大使館への連絡が特に有効なケース:
- 重篤な疾患で入院し、家族への連絡支援が必要な場合
- 旅行保険が適用されず費用問題が発生した場合
- 医療機関とのコミュニケーションが困難な場合
- 医療費の支払いに困難をきたした場合
渡航前には外務省の在外公館届(在留届)または「たびレジ」への登録を強く推奨します。緊急事態発生時に大使館から安全情報や支援を受けることができます。
よくある質問と注意点
Q: ギリシャの薬局で日本の処方箋は使えますか? A: 使えません。ギリシャの医師による新規処方箋が必要です。ただし、常用薬がある場合は、薬局スタッフに薬の成分名(一般名)を英語で説明し、同等成分の医薬品の購入相談をしてください。スマートフォンに常用薬リスト(成分名・用量を英語で記載)を保存しておくと便利です。
Q: 日本で処方されたお薬を持参してもいいですか? A: 個人使用目的なら持参可能なケースがほとんどです。ただし、向精神薬(ベンゾジアゼピン系など)や麻薬性鎮痛薬など規制物質は申告が必要、または事前手続きが必要な場合があります。パスポートと一緒に薬の添付文書・処方箋のコピー(英語が理想)も持参し、量が多い場合は英文医師証明書の携帯をお勧めします。最新情報は外務省・在ギリシャ大使館で確認してください。
Q: 歯が痛くなった場合、どうすればいいですか? A: 緊急歯科診療(Emergency Dental)の利用をお勧めします。旅行保険は緊急抜歯などの応急処置のみ通常カバーしており、根管治療・補綴などの処置は自費になることが多いです。アセトアミノフェンまたはイブプロフェンで一時的な疼痛管理を行いつつ、早期に歯科医師を受診してください。
Q: 水道水は飲めますか?医薬品の服用時はどうすればいいですか? A: アテネなど主要都市の水道水は飲用可能とされていますが、島嶼部では水質が異なる場合があります。医薬品の服用はミネラルウォーター(carbonated〔炭酸入り〕ではなくstill〔非炭酸〕を選択)での服用を推奨します。
Q: 最新情報は大使館・外務省で確認してください。 医療制度や医薬品の規制は変更される可能性があります。渡航予定の3〜4週間前に外務省ウェブサイトおよび在ギリシャ日本大使館ウェブサイトで最新情報をご確認ください。
まとめ
- 薬局利用: ギリシャの薬局(Farmakeio)は街中に多く、処方箋なしで一般医薬品(解熱鎮痛薬・胃腸薬・抗ヒスタミン薬など)を購入可能。成分名(一般名)を英語でメモしておくと役立つ
- 薬学的注意: アセトアミノフェンはアルコール多飲者に注意、NSAIDsは脱水・腎機能・心血管疾患に要注意、抗菌薬はギリシャでも処方箋必須
- 医療機関選択: 旅行保険のキャッシュレス対応医療機関を事前確認。軽症は薬局または診療所、重症は私立病院または公立病院の救急を選択
- 救急番号: 救急・EKAB 166、欧州統一緊急番号 112
- 旅行保険: 必須加入。キャッシュレス対応医療機関の確認と24時間コールセンター番号の事前メモが重要
- 在アテネ日本大使館: 電話 +30-210-670-9900。緊急時の医療機関情報・邦人保護支援あり
- 常用薬: 日本から持参可能だが、成分名・用量を英語でメモしておく。向精神薬・麻薬性鎮痛薬は事前に規制確認必須
- 事前準備: 渡航前に外務省「たびレジ」登録、常用薬リスト(一般名・英語)の作成、保険証書の確認を実施
[[travel-medicine-preparation]] [[drug-interaction-travel]] [[southeast-asia-emergency-medical]]
参考文献
-
外務省 海外安全情報 ギリシャ(2024年)
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_025.html -
在ギリシャ日本国大使館 公式サイト
https://www.gr.emb-japan.go.jp/ -
European Medicines Agency (EMA): Fluoroquinolone and quinolone antibiotics: new restrictions and precautions for use due to disabling and potentially permanent side effects (2018)
https://www.ema.europa.eu/en/medicines/human/referrals/quinolone-fluoroquinolone-containing-medicinal-products -
World Health Organization (WHO): International travel and health – Travellers' diarrhoea
https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/diarrhoeal-disease -
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA): 医薬品安全性情報 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に関する注意
https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/calling-attention/topics/0048.html -
Centers for Disease Control and Prevention (CDC): Travelers' Health – Greece
https://wwwnc.cdc.gov/travel/destinations/traveler/none/greece -
厚生労働省: 海外旅行者のための医薬品の持ち込みに関する情報
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/index.html
監修: 薬剤師(博士(薬学))