グアムに薬を持ち込む手順|FDA規制・90日分ルール・禁止成分を薬剤師が解説

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グアム渡航時の医薬品持ち込みルール完全ガイド

グアムは人気のビーチリゾート地として多くの日本人観光客が訪れますが、医薬品の持ち込みルールを知らずに空港で問題が生じるケースが報告されています。本記事では、薬剤師の視点からグアム渡航時に知っておくべき医薬品の持ち込み規則、禁止成分、必要書類を詳しく解説します。

グアムはアメリカ合衆国の自治領(非法人化領土)であるため、医薬品の管理体制は米国連邦法に準拠しています。日本の薬事制度とはカテゴリー分類や規制の考え方が根本的に異なる部分があり、「日本では市販薬として買えるのに、なぜグアムでは問題になるのか」という疑問が生じやすいポイントです。この記事を通じて、その薬学的背景から実務的な対処法まで体系的に理解していただければ幸いです。


グアムへの医薬品持ち込みルール【基本】

グアムはアメリカ準州であるため、医薬品の持ち込みはアメリカの連邦食品医薬品局(FDA)の規制に従います。ただし、観光客向けには比較的緩和されたルールが適用されています。

持ち込み可能な分量の目安:

  • 個人使用範囲内であれば、原則として持ち込み可能
  • FDAのPersonal Use Importation Policy(個人使用輸入ポリシー)では、一般に90日分以内を個人使用の目安としています
  • 短期観光であれば、実務上は30日分程度が問題になりにくいとされています

FDAの個人使用輸入ポリシーとは:

FDAは、外国から個人使用目的で医薬品を持ち込む場合の取り扱いについて、「Regulatory Procedures Manual Chapter 9-2: Coverage of Personal Importations」に指針を定めています。要点は以下のとおりです。

  • 米国内で未承認の薬であっても、個人使用かつ商業目的でなければ、一定条件下で税関を通過できる
  • 「medical necessity(医学的必要性)」が認められること
  • 量が個人使用の範囲を超えないこと(目安として3ヶ月分以下)
  • 渡航者が正直に申告し、輸送に伴う健康上のリスクがないこと

薬剤師メモ
グアムはアメリカの州に準ずる扱いですが、実際の運用は税関職員の裁量にも依存します。「この量は個人使用範囲か」を問われた場合に備え、医学的必要性が明確な書類を携行することを強くお勧めします。なお、FDAポリシーはあくまでガイドラインであり、法的に持ち込みを保証するものではありません。


持ち込み可能な医薬品一覧

以下の表は、グアムに持ち込みやすい一般的な医薬品のカテゴリーをまとめたものです。成分名で確認することが重要です。

医薬品カテゴリ 代表的有効成分 持ち込み 備考
解熱鎮痛薬 アセトアミノフェン、イブプロフェン、アスピリン ✓ 可 米国でもOTC扱い
胃腸薬 ロペラミド、オメプラゾール、ファモチジン ✓ 可 一般医薬品相当
花粉症・アレルギー薬 セチリジン、ロラタジン、フェキソフェナジン ✓ 可 非鎮静性抗ヒスタミン薬
皮膚外用薬 弱〜中程度ステロイド(ヒドロコルチゾン等)、保湿剤 ✓ 可 強力ステロイドは要書類
漢方薬 葛根湯 🛒、小青竜湯等の生薬製剤 ✓ 可 植物由来で比較的緩和
サプリメント ビタミンB群、ビタミンC、葉酸、亜鉛 ✓ 可 医薬品扱いでない
外用消炎鎮痛薬 ジクロフェナクナトリウム配合パップ剤・ゲル ✓ 可 処方箋があると安心
点眼薬(OTC) ビタミンB12配合の目薬、人工涙液 ✓ 可 抗生物質含有は要注意
救急セット 創傷被覆材、弾性包帯、冷感シート ✓ 可 医療機器相当品

薬学的補足:アセトアミノフェンとイブプロフェンの特性比較

解熱鎮痛薬として最もよく使われる2成分ですが、作用機序が異なります。アセトアミノフェンは中枢神経系でのプロスタグランジン合成抑制が主体で、抗炎症作用はほとんどなく、胃腸への刺激も少ないため空腹時服用でも比較的安全です。一方、イブプロフェンはCOX-1およびCOX-2を阻害するNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)に分類され、抗炎症作用を持ちますが、胃粘膜への刺激や腎機能への影響を考慮する必要があります。グアムのような暑い気候では脱水が起きやすく、NSAIDsによる腎機能への影響が増大する可能性があるため、水分補給を十分に行いながら服用してください。

薬剤師メモ
ステロイド軟膏は「弱〜中程度(日本のランク分類でストロング未満相当)」のものは持ち込み可能ですが、ベリーストロング・ストロンゲスト相当(クロベタゾールプロピオン酸エステル等)は処方箋と医学的証明書が必須です。成分名でランクを確認してから準備しましょう。


持ち込み禁止・要注意の医薬品

グアムへの持ち込みが禁止・制限される医薬品を以下にまとめました。

医薬品カテゴリ 代表的成分・薬剤名 規制理由 対応策
ベンゾジアゼピン系薬 ジアゼパム、エチゾラム、アルプラゾラム、トリアゾラム 連邦規制物質法Schedule IV 渡航前に代替薬を主治医に相談
バルビツール酸系薬 フェノバルビタール 連邦規制物質法Schedule IV 処方箋・診断書必須、当局への事前確認推奨
麻薬性鎮痛薬 モルヒネ、オキシコドン、ヒドロコドン 連邦規制物質法Schedule II 原則持ち込み禁止に近い扱い
コデイン含有製剤 コデインリン酸塩配合の鎮咳薬等 Schedule II〜V(含量・剤形による) 成分確認後、代替品検討
エフェドリン含有製剤 一部の総合感冒薬、気管支拡張薬 規制物質の前駆体として管理 成分表確認・代替成分品へ変更
SSRI・SNRI系抗うつ薬 パロキセチン、フルボキサミン、セルトラリン等 処方箋医薬品 英文処方箋・診断書必須
強力ステロイド外用薬 クロベタゾールプロピオン酸エステル配合剤等 処方箋医薬品 英文処方箋・医学証明書必須
テストステロン等ホルモン剤 テストステロンエナント酸エステル等 Schedule III(筋肉増強目的の乱用懸念) 処方箋・診断書が必要。持ち込みは高リスク
医療用抗真菌薬(内服) グリセオフルビン、イトラコナゾール 処方箋医薬品 処方箋必須
医療用抗生物質点眼薬 クロラムフェニコール、レボフロキサシン配合点眼薬 処方箋医薬品 英文処方箋必須

規制物質法(Controlled Substances Act: CSA)の薬学的背景

米国の規制物質法は、乱用可能性・依存性・医療上の有用性の3軸でSchedule I〜Vに分類します。日本の向精神薬規制より厳格な品目が多く、特にベンゾジアゼピン系(日本では向精神薬第三種に分類)はSchedule IVに指定されており、医学的正当性が明確でない限り、持ち込みリスクが高い薬剤群です。

エフェドリンについては、覚醒剤の前駆物質として悪用された歴史から、米国では「Combat Methamphetamine Epidemic Act of 2005」により小売規制が強化されています。日本のOTC感冒薬にはエフェドリン類似成分(メチルエフェドリン等)が配合されているものがあるため、成分表を必ず確認してください。

薬剤師メモ
ベンゾジアゼピン系薬は、わずかな量でも規制物質所持として扱われる可能性があります。不眠症・不安障害の方は、渡航前に主治医に相談し、非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬(スボレキサント等)への切り替えや、心理的準備(睡眠衛生指導)の実施を検討してください。


処方薬持ち込み時に必要な書類

グアムへの処方薬持ち込みには、医学的正当性を証明する文書が重要です。

1. 医師の処方箋(英文)

必須記載事項:

  • 患者名(パスポート記載名と完全一致)
  • 処方医師の署名と発行日付
  • 医学的診断名(ICD-10コードがあると望ましい)
  • 薬品名(一般名+商品名の両方)
  • 用法・用量・処方日数
  • 医師の所属医療機関名・住所・電話番号・FAX

取得方法と費用目安:

  • 主治医に「英文処方箋」を依頼(医療機関により1,000〜3,000円程度)
  • 「渡航用英文診断書」として一括作成も可能(3,000〜7,000円程度、医療機関により異なります)
  • 処方箋が英訳されていない場合、公証役場での公証翻訳も有効

2. 医学診断書(英文)

記載テンプレート(参考):

To Whom It May Concern:

This is to certify that [患者フルネーム], date of birth [生年月日], is under my medical care for [診断名]. He/She has been prescribed [医薬品一般名・商品名、用量、用法] for the management of the above condition. The prescribed medication is medically necessary for his/her travel to Guam from [出発日] to [帰国日].

[医師フルネーム], M.D. [医療機関名] [住所・電話番号] [署名・日付]

この書類は、税関職員に対して「この薬を所持している医学的必要性」を明示する最も有効な手段です。簡潔でも構いませんが、医師の直筆署名があることが重要です。

3. 元の医薬品容器(ラベル付き)

薬局で調剤・払い出しされた際のラベルがついた容器のまま持参することが理想的です。ラベルには調剤薬局名、患者名、薬品名、用法用量が記載されており、これ自体が医学的正当性の証明として機能します。錠剤をPTPシートから取り出して持参するのは避けてください。

4. 渡航者保険証・保険加入証明書(補足)

直接の持ち込み書類ではありませんが、緊急時に現地の医療機関を受診する際に役立ちます。グアムは医療費が高額になるため、海外旅行保険の加入は必須と考えてください。保険証書に医薬品の補償内容が記載されている場合、「治療継続のため薬が必要」という状況の証明にもなります。


持ち込む医薬品の正しい梱包方法

税関で疑問を持たれないよう、適切に梱包することが重要です。

推奨梱包方法:

  1. 元の医薬品容器のまま持ち込む

    • 処方ラベル(患者名、用法用量)が見えるように
    • 容器が破損していないこと
    • PTPシートは外箱・添付文書とセットで保管
  2. 手荷物に入れる(受託手荷物は非推奨)

    • 医薬品は機内持ち込みの手荷物(キャビンバッグ)に入れる
    • 液体医薬品は100mL以下の容器に入れ、1Lジッパー袋に収納
    • ただし、医学的必要性が証明できる液体医薬品(インスリン注射液、点眼薬等)はセキュリティ検査でも通過できます。事前に保安検査員に申し出ることを推奨します
  3. 医学書類を医薬品とセットで保管する

    • 処方箋・診断書を薬の入ったポーチに同封
    • スマートフォンに電子ファイル(PDF)として保存しておくと二重の備えになります
    • パスポートとは別に取り出しやすい場所に置く
  4. 量的目安の厳守

    • 短期観光(1〜2週間)なら渡航日数+数日分の余裕分が妥当
    • FDAの個人使用基準(90日分)を超えないこと
    • 同一薬を大量に持ち込むと「転売目的」と見なされるリスクがある
  5. インスリン・エピネフリン自己注射の梱包

    • インスリン製剤は温度管理が必要なため、保冷バッグと保冷剤を使用する
    • 針(注射針)は使用済みを機内に持ち込まず、専用の廃棄容器に収納
    • 自動注射器(オートインジェクター型エピネフリン等)は処方箋コピーを添付

薬剤師メモ
グアム税関では、医薬品の入った手荷物をX線スキャンで確認することがあります。「何これ?」と聞かれたときのために英語の説明フレーズを準備しておきましょう。

  • These are my prescription medications.(ジーズ アー マイ プリスクリプション メディケーションズ)
  • I have a letter from my doctor.(アイ ハヴ ア レター フロム マイ ドクター)
  • Can I show you my prescription?(キャン アイ ショー ユー マイ プリスクリプション?)

特定薬剤の薬学的解説:なぜグアムで規制されるのか

ベンゾジアゼピン系薬の薬理と規制根拠

ベンゾジアゼピン系薬(ジアゼパム、アルプラゾラム等)は、GABA-A受容体のベンゾジアゼピン結合部位に作用し、Cl⁻チャネル開口頻度を増加させることで抑制性神経伝達を増強します。この作用により抗不安・催眠・筋弛緩・抗けいれん効果を発揮しますが、同時に身体的依存性・耐性形成・離脱症状のリスクがあります。

米国では1970年代から乱用問題が顕在化し、連邦規制物質法により厳格管理されています。日本人観光客が知らずに携行してしまいやすい代表例が睡眠導入薬(トリアゾラム:日本のハルシオン等)や抗不安薬(エチゾラム:日本のデパス等)です。これらは日本では向精神薬ながら比較的処方されやすい薬剤ですが、米国基準ではSchedule IVとして厳格管理されます。

コデイン配合製剤の注意点

コデインはオピオイド受容体(μ受容体)に作用する麻薬性鎮咳・鎮痛成分で、体内でCYP2D6により約10%がモルヒネに代謝されます。日本のOTC咳止め薬に配合されているものがあり、2019年に厚生労働省は12歳未満への使用禁止措置を取りました。

米国では、コデイン含有量によりSchedule IIからVに分類されており、OTCとして販売されていない州がほとんどです。日本で市販されている「コデインリン酸塩配合の咳止め薬」をグアムに持ち込む際は成分表の確認が必須です。代替として、コデインを含まないデキストロメトルファン配合の咳止め薬(成分名:デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物)のほうが持ち込みリスクは低いです。

エフェドリン・メチルエフェドリンの問題

日本の総合感冒薬に配合されているメチルエフェドリンは、β1・β2アドレナリン受容体刺激作用により気管支拡張・鼻粘膜収縮作用を発揮します。しかし化学構造上エフェドリンの誘導体であり、覚醒剤(メタンフェタミン)の前駆物質になりうることから、米国では購入・携行に規制があります。

渡航前に手持ちの感冒薬・気管支拡張薬の成分表を確認し、エフェドリン類(dl-メチルエフェドリン塩酸塩等)が含まれる場合は、含まない製品への変更を検討してください。


グアムで医薬品が入手できる場所

もし医薬品を忘れたり、現地で追加購入が必要な場合の情報です。

施設 特徴 営業時間の目安
ABCストア 観光地に多数展開。OTC医薬品(アセトアミノフェン、イブプロフェン等)、絆創膏、日焼け止めなどを取り扱う 多くの店舗で長時間営業(店舗により異なる)
Payless Supermarkets系列の薬局コーナー 島内に複数店舗。OTC医薬品の品揃えあり 店舗により異なる
Walgreens(ウォルグリーンズ) 米国大手ドラッグストアチェーン。処方薬の調剤サービスあり。薬剤師常駐 24時間営業店舗もあり
Guam Regional Medical City(グアム地域医療センター) 島内最大の総合病院。救急対応可。医療費は高額 24時間
観光客向けクリニック タモン地区周辺に複数あり。英語対応。処方箋発行可 店舗により異なる(要確認)

現地での処方薬入手方法と費用目安:

観光客がグアムで処方薬を入手するには、まず現地のクリニックを受診して医師の診察を受け、処方箋を発行してもらう必要があります。診察費用は概ね150〜300米ドル程度が目安とされていますが、医療機関・症状によって大きく異なります。パスポートと海外旅行保険の証書(または保険会社の連絡先)を持参してください。

Walgreensでは薬剤師(Pharmacist)に相談することができます。OTC薬の選び方について英語で質問する場合:

  • I need something for a headache.(アイ ニード サムシング フォー ア ヘッドエイク)
  • I'm allergic to aspirin. Do you have an alternative?(アイム アレジック トゥ アスピリン。ドゥ ユー ハヴ アン オルタナティブ?)
  • Is this safe to take with my blood pressure medication?(イズ ディス セーフ トゥ テイク ウィズ マイ ブラッド プレッシャー メディケーション?)

渡航前の薬剤師・医師相談サービス

準備万全にするため、出発前の相談をお勧めします。

利用可能な相談窓口:

  • 処方元の薬局・かかりつけ薬剤師:無料で持ち込み可能性の確認、英文薬品名の確認、成分表の読み合わせが可能
  • 渡航医学外来(大学病院・感染症専門外来):英文診断書の作成依頼先として最適。必要に応じた予防接種も一括実施可能
  • 各都道府県薬剤師会の相談窓口:特定薬剤の持ち込み可否について薬学的な観点からアドバイスを受けられます
  • 厚生労働省医薬・生活衛生局:不確かなケースの規制確認に活用
  • 利用航空会社(JAL・ANAなど)のコールセンター:機内への医療機器・液体医薬品の持ち込みルール確認に活用
  • 在グアム日本国総領事館:渡航前に現地での医療事情や緊急連絡先を確認しておくと安心です

渡航医学外来で相談すべき疾患・薬剤の例:

  • 抗てんかん薬(フェニトイン、バルプロ酸等)
  • インスリン製剤を使用する糖尿病
  • 抗凝固薬(ワルファリン、直接経口抗凝固薬)を服用中の心房細動・深部静脈血栓症
  • 免疫抑制薬(タクロリムス、シクロスポリン等)を使用する臓器移植後患者
  • 生物学的製剤(インフリキシマブ、アダリムマブ等)の自己注射を行っているリウマチ・IBD患者

これらの薬剤は温度管理・書類・現地での緊急対応を含めて事前に綿密な計画が必要です。


よくある質問と回答

Q1: ベンゾジアゼピン系薬(アルプラゾラム等)を不眠症・不安症で飲んでいます。グアムに持ち込めますか?

A: 医学診断書と処方箋があっても、米国はベンゾジアゼピン系に非常に厳格(連邦規制物質法Schedule IV)です。書類が完備されていても持ち込みが問題になる可能性を排除できません。渡航前に主治医と相談し、渡航期間中の対応方法を検討することを強くお勧めします。非ベンゾジアゼピン系の選択肢(オレキシン受容体拮抗薬等)への一時的な切り替えや、認知行動療法的なアプローチについて主治医に相談してみてください。

Q2: サプリメント(ビタミン、プロテインパウダー)に制限はありますか?

A: 医薬品扱いでないサプリメントは原則持ち込み可能です。ただし、製品ラベルに「cure(治癒)」「treat(治療)」「prevent(予防)」などの疾病関連表示がある場合、米国のFDCHA(連邦食品・医薬品・化粧品法)上は医薬品と見なされる可能性があります。また、プロテインパウダー等の粉末製品は、米国税関での検査で農産物・食品安全上の観点から確認される場合があります。

Q3: グアムで医薬品を購入して日本へ持ち帰ることはできますか?

A: 可能ですが、日本の薬事法上、個人輸入には品目・数量の制限があります。OTC医薬品は用法用量を守る目的での個人使用分(目安として1〜2ヶ月分)であれば、原則として持ち帰り可能ですが、処方薬・規制物質相当の薬剤は注意が必要です。グアムで購入した薬を日本に持ち帰る場合は、帰国前に薬剤師に相談することをお勧めします。

Q4: 医療用注射器(インスリン自己注射、エピネフリン自己注射等)の持ち込みルールは?

A: 医学診断書と処方箋が整っていれば持ち込み可能です。注射針については、使用済みのものを機内に散逸させないよう、必ず携帯用の耐穿刺性廃棄容器(シャープスコンテナ)を持参してください。グアムの空港や一部薬局でも購入できる場合があります。

インスリン製剤は温度に敏感なため、フライト中も機内持ち込み手荷物に入れ、貨物室(温度が不安定)には預けないでください。

薬剤師メモ
糖尿病患者のインスリン自己注射やアナフィラキシーリスクのある患者のエピネフリン自己注射は、医学的正当性が明確であるため、書類が整っていれば持ち込みは比較的スムーズです。航空会社のWebサイトでも事前申告フォームが用意されている場合があるので確認しましょう。

Q5: 抗凝固薬(ワルファリン等)を服用中ですが、渡航に際して注意点はありますか?

A: ワルファリンは治療域が狭い薬剤(治療的INR範囲:疾患により異なるが多くは2.0〜3.0)であり、食事内容や体調変化の影響を受けやすいです。グアムでは日本とは異なる食事(ビタミンK含量が異なる食品)を摂取することがあります。出発前に主治医でPT-INR検査を行い、安定していることを確認してから渡航することを強くお勧めします。また、渡航日数分の薬と、万が一の追加処方のための英文処方箋・診断書を準備してください。直接経口抗凝固薬(DOAC:アピキサバン、リバーロキサバン等)はワルファリンより食事の影響は受けにくいですが、同様に英文書類の準備が必要です。


まとめ

グアム渡航時の医薬品持ち込みで押さえるべき要点:

  • 個人使用範囲内なら基本OKだが、処方薬・向精神薬は事前確認必須
  • FDAの個人使用輸入ポリシーでは目安として90日分以内が基準。短期観光なら30日分前後が無難
  • 必ず英文処方箋・医学診断書を用意する(向精神薬・規制物質相当の薬剤の場合は特に重要)
  • 禁止・要注意成分:ベンゾジアゼピン系、バルビツール酸系、コデイン、エフェドリン類、強力ステロイド外用薬
  • 持ち込み医薬品は元の容器(処方ラベル付き)に入れ、手荷物(受託手荷物でなく)に収納する
  • 液体医薬品・インスリン等の温度管理が必要な薬剤は機内持ち込みが原則
  • 不確かな場合は渡航前に薬剤師・渡航医学外来へ相談し、現地医療機関での対応を検討する
  • グアムで医薬品が必要になった場合、ABCストア・Walgreens・観光客向けクリニックが利用可能

最新情報は必ず在グアム日本国総領事館・外務省の公式ホームページおよび利用航空会社のコールセンターで確認してください。 本記事は2025年7月時点の情報に基づいていますが、規制は予告なく変更される可能性があります。


参考文献

  1. U.S. Food and Drug Administration (FDA). "Regulatory Procedures Manual Chapter 9: Coverage of Personal Importations." FDA.gov. https://www.fda.gov/media/71712/download

  2. U.S. Drug Enforcement Administration (DEA). "Controlled Substance Schedules." DEA Diversion Control Division. https://www.deadiversion.usdoj.gov/schedules/

  3. 厚生労働省. 「医薬品等の個人輸入について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kojinyunyu/index.html

  4. 外務省. 「海外安全情報 グアム」 https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_011.html

  5. Centers for Disease Control and Prevention (CDC). "Travelers' Health: Guam." CDC.gov. https://wwwnc.cdc.gov/travel/destinations/traveler/none/guam

  6. 厚生労働省. 「向精神薬を携帯して海外渡航される方へ」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/index_00008.html

  7. PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構). 「医療用医薬品の添付文書情報」 https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/


監修: 薬剤師(博士(薬学))

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免責事項:本記事は渡航者向けの医薬品情報提供を目的とした薬剤師監修コンテンツです。 診断・治療に関する判断は医師の診察を受けた上で行ってください。 最新の規制・感染症情報は外務省・厚生労働省・現地大使館の公式情報を必ずご確認ください。

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