ドイツに薬を持ち込む手順|BfArM規制とシェンゲン医療証明書・BtMを薬剤師が解説

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ドイツへの医薬品・処方薬の持ち込みルール完全ガイド

ドイツへの渡航を計画されている方へ。日本で処方された医薬品や市販薬をドイツに持ち込む際には、ドイツの厳格な医薬品規制に従う必要があります。規則を知らずに持ち込むと、空港で医薬品を没収されたり、規制対象物質の所持として罰則の対象となる可能性があります。本記事では、薬剤師・博士(薬学)の視点から、ドイツへの医薬品持ち込み時に必要な知識と手続きを体系的に解説します。

ドイツの医薬品持ち込みルールの基本原則

ドイツはEU加盟国であり、医薬品の持ち込みについてはEU規制とドイツ独自の法律の両方が適用されます。主な法的根拠は以下の三層構造です。

  1. EU規制(Regulation (EC) No 726/2004):EU域内の医薬品承認・流通に関する基本規則
  2. ドイツ医薬品法(Arzneimittelgesetz, AMG):ドイツ国内の医薬品製造・流通・輸入を規律する連邦法
  3. ドイツ麻薬法(Betäubungsmittelgesetz, BtMG):麻薬・向精神薬の取り扱いを規定する法律

これら三層の規制が重なり合うため、「日本で合法・ドイツでは問題となる」というケースが生じます。たとえば日本では市販されているコデイン配合の咳止めでも、ドイツではBtMG管理下の成分を含む場合があります。

最も重要な原則は以下の通りです。

個人使用目的の医薬品は原則持ち込み可能ですが、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  • 処方薬は処方箋(または英文医師説明状)を携帯していること
  • 市販薬は個人使用の合理的な範囲内の量(渡航期間に見合った量。目安として最大3ヵ月分
  • ドイツ国内で禁止成分を含まないこと
  • 販売目的・譲渡目的ではなく、医療専門家による治療の一環であること

薬剤師メモ ドイツのBfArM(Bundesinstitut für Arzneimittel und Medizinprodukte:医薬品・医療用具連邦研究所)は、EMA(欧州医薬品庁)と連携しながら国内の医薬品安全管理を担う中枢機関です。日本で合法的な医薬品であっても、ドイツで未認可または禁止成分を含む場合には持ち込みができません。事前にドイツ在来の日本国大使館(ベルリン)のウェブサイトおよびBfArMの公式情報で最新情報を確認することを強く推奨します。


麻薬・向精神薬の持ち込みに必要な「シェンゲン医療証明書(BtM-Bescheinigung)」

シェンゲン協定と麻薬持ち込み

ドイツを含むシェンゲン協定加盟国(2024年時点で29ヵ国)間を移動する際、麻薬・向精神薬(BtMG管理物質)を携行する場合は、出発国政府または医師が発行する特別な証明書が必要です。これをシェンゲン医療証明書(Schengen Medical Certificate)、ドイツ語では**BtM-Bescheinigung(ベーテーエム・ベシャイニグング)**と呼びます。

BtMG管理物質の主な例:

  • オピオイド系鎮痛薬(モルヒネ、オキシコドン、フェンタニルなど)
  • ベンゾジアゼピン系薬(ジアゼパム、フルニトラゼパム、ロラゼパムなど)
  • バルビツール酸系薬(フェノバルビタールなど)
  • メチルフェニデート(ADHD治療薬)
  • プレガバリン(神経障害性疼痛・てんかん治療薬)※近年BtMG管理強化の動向あり

証明書の取得手順

ステップ 手続き内容 担当機関 目安期間
1 主治医に「シェンゲン諸国への持ち込みのためBtM証明書が必要」と伝え、書類作成を依頼 日本の主治医 1〜2週間
2 医師が作成した証明書に必要事項(患者氏名、薬品名・用量・数量、渡航期間、医師署名)が揃っているか確認 患者本人(薬剤師に相談可)
3 厚生労働省または都道府県の麻薬取締部に輸出許可申請(麻薬・向精神薬に該当する場合) 厚生労働省麻薬取締部 2〜4週間
4 証明書の英語翻訳を用意(ドイツ語があればなお良い) 公的翻訳者または医師が直接英文作成 数日
5 証明書・処方箋・翻訳を原本とコピー各2部用意し、手荷物と受託荷物の両方に分散して携帯 患者本人

薬剤師メモ 証明書は渡航先のシェンゲン加盟国すべてで有効ですが、有効期間は最大30日間とされています(EU指令に基づく)。30日を超える滞在や複数国をまたぐ旅行では、渡航前にドイツ連邦麻薬取締局(BfArM管轄)または在日ドイツ大使館に個別確認が必要です。また、証明書はあくまで「適法な携帯を証明するもの」であり、所持量の上限(通常30日分以内)を超えた持ち込みを正当化するものではありません。


持ち込みが可能な医薬品と必要書類

処方薬の持ち込み条件

処方薬をドイツへ持ち込む際は、医師による処方箋が必須です。以下の表を参考に、自身の服用薬のカテゴリーを確認してください。

医薬品の種類 持ち込み可否 必要書類 備考
高血圧治療薬(アムロジピン、ロサルタン、カルベジロールなど) ✅ 可能 処方箋 + 英文医師説明状 3ヵ月分程度まで推奨
糖尿病治療薬(メトホルミン、グリベンクラミドなど) ✅ 可能 処方箋 + 英文医師説明状 インスリンは要冷蔵対応を薬剤師と事前相談
甲状腺疾患治療薬(レボチロキシン) ✅ 可能 処方箋 比較的問題なし
抗うつ薬・SSRI(セルトラリン、エスシタロプラム、パロキセチンなど) ⚠️ 要確認 処方箋 + 英文医師説明状 6ヵ月超滞在はドイツでの処方が望ましい
ベンゾジアゼピン系(ジアゼパム、ロラゼパム、ニトラゼパムなど) ⚠️ BtMG対象 処方箋 + 英文医師説明状 + シェンゲン医療証明書 30日分以内・証明書必須
オピオイド系鎮痛薬(モルヒネ、オキシコドン、フェンタニルなど) ⚠️ BtMG対象・要事前申請 処方箋 + 厚労省輸出許可 + シェンゲン医療証明書 在日ドイツ大使館への事前相談が必須
ADHD治療薬(メチルフェニデート、アトモキセチンなど) ⚠️ BtMG対象(メチルフェニデートのみ) 処方箋 + 英文医師説明状 + 証明書 アトモキセチンは証明書不要だが説明状は携帯
抗てんかん薬(レベチラセタム、ラモトリギン、バルプロ酸など) ✅ 可能(フェノバルビタールを除く) 処方箋 + 英文医師説明状 フェノバルビタールはBtMG対象
抗凝固薬(ワルファリン、リバーロキサバン、アピキサバンなど) ✅ 可能 処方箋 + 英文医師説明状 INRコントロール目的でドイツの医師紹介状があると安心

英文医師説明状に記載すべき必須事項

英文医師説明状(Doctor's Letter)には以下の情報を漏れなく記載してもらいます。

【必須記載項目(例)】
- Patient name / Date of birth
- INN(一般名)例: amlodipine 5mg
- Brand name(商品名)例: Norvasc / Amlodipine "製造会社名"
- Indication(適応疾患): hypertension
- Dosage and regimen: once daily, 1 tablet
- Duration of treatment during travel: 3 months (90 days)
- "This medication is for personal use only"
- 医師署名・医療機関スタンプ・発行日

費用の目安は医療機関により異なりますが、2,000〜5,000円程度が一般的です。薬剤師が英文記載のひな形を提供できる場合もありますので、調剤薬局でも相談してみてください。

薬剤師メモ 処方薬は必ず元のPTP包装や瓶のまま持ち込んでください。ピルケース(仕切りケース)に詰め替えると、どの薬かを税関職員が識別できず、確認・没収の原因になります。特に複数の薬を服用している場合、薬の種類・用量が分かる状態を維持することが重要です。


ドイツで持ち込み禁止・要注意の医薬品成分

ドイツ医薬品法(AMG)とBtMGにより、以下の成分を含む医薬品は個人持ち込みが禁止または厳格に制限されています。

持ち込みに注意が必要な成分

成分・物質名 ドイツでの規制根拠 日本での主な含有製品例 対応策
エフェドリン(麻黄由来含む) AMG・BtMG 漢方薬葛根湯 🛒、麻黄湯、小青龍湯など) 事前にBfArMまたは在独日本大使館に確認必須
プソイドエフェドリン EU規制(前駆物質規制) 一部の市販鼻炎薬 含有製品の持ち込みは避け、現地でキシロメタゾリン点鼻薬を購入
コデインリン酸塩(市販) BtMG(処方外は規制) ジヒドロコデイン配合の一部OTC咳止め 医師処方があれば可能。市販品の持ち込みは避ける
フェノバルビタール BtMG 一部の抗てんかん薬 シェンゲン医療証明書が必要
フルニトラゼパム BtMG Anlage III 眠剤(商品名: ロヒプノールなど) 証明書があっても30日分以内、入国時申告が必要
テトラヒドロカンナビノール(THC)含有製品 BtMG / EU規制 一部のCBD製品(THC混入品) 微量THCでも規制対象。CBD製品はTHC含量を確認

漢方薬・天然物薬に潜むリスク

漢方薬は「自然由来=安全・問題なし」ではありません。ドイツ税関では化学成分で判断されます。

特に注意が必要な漢方処方:

  • 麻黄(マオウ)含有処方:葛根湯、麻黄湯、越婢加朮湯、小青龍湯、五虎湯など → エフェドリン・プソイドエフェドリンを含むためBtMG管理物質に該当する可能性があります
  • 附子(ブシ)含有処方:真武湯、附子理中湯など → アコニチン系アルカロイドを含むため毒物規制との関係で確認が必要な場合があります

漢方薬を服用している方は、渡航前にBfArMまたは在ドイツ日本国大使館に成分名で問い合わせることを強く推奨します。メールでの問い合わせには1〜2週間の余裕を持って連絡してください。

薬剤師メモ(薬学的補足) エフェドリンはβ₂受容体を刺激して気管支拡張作用を発揮するとともに、中枢神経刺激作用・血圧上昇作用を持ちます。化学構造上、覚醒剤(アンフェタミン)の前駆物質と類似しており、ドイツを含むEU諸国では乱用・不正製造の観点から厳格に管理されています。薬効の理解よりも「規制理由」を把握しておくことが、渡航時のトラブル回避に直結します。


市販薬の持ち込み

市販薬は処方箋不要ですが、種類と量に制限があります。また、成分によっては前述の禁止・要注意リストに該当するものも含まれるため注意が必要です。

医薬品カテゴリー 成分例・製品例 持ち込み可能量の目安 ドイツでの入手難度
解熱鎮痛薬 イブプロフェン配合、アセトアミノフェン配合(ロキソプロフェン配合を含む) 30日分程度 ⭐ 容易(現地でイブプロフェン・パラセタモルが入手可能)
胃薬・制酸薬 ファモチジン、炭酸水素ナトリウム配合の制酸薬など 3ヵ月分 ⭐ 容易
下痢止め・整腸薬 ロペラミド配合の止瀉薬、乳酸菌配合の整腸薬など 数日〜1ヵ月分程度 ⭐ 容易(ロペラミドは現地でも入手可能)
鼻炎薬(OTC) クロルフェニラミンマレイン酸塩配合の抗ヒスタミン薬 1ヵ月分程度 ⭐ 容易
咳止め・去痰薬 グアイフェネシン配合、デキストロメトルファン配合など 30日分程度 ⭐ 容易
目薬 人工涙液、塩化ナトリウム配合の点眼薬 数本 ⭐ 容易
湿布・外用鎮痛薬 ケトプロフェン含有外用剤 数枚〜1ヵ月分 ⭐ 容易(ただしケトプロフェン製品は現地での規格が異なる)

市販薬の持ち込みチェックリスト:

  • ✅ 医薬品は元の容器・箱に入れたまま持ち込む
  • 日本語ラベルのままでも可(税関では成分名で判断)
  • ✅ 錠剤・カプセルは瓶や袋のまま、ピルケースへの詰め替えを避ける
  • ✅ 用量・用法を記した添付文書があれば携帯
  • コデイン・エフェドリン・プソイドエフェドリン配合製品の確認を忘れない
  • ❌ 処方薬を「市販薬」と偽って持ち込まない

薬剤師メモ ロキソプロフェン( ロキソニンS 🛒など)はドイツでは承認されていないNSAIDsですが、個人使用目的の持ち込みは量が適切であれば問題になりにくいとされています。ただし、ドイツ現地ではイブプロフェン配合の鎮痛薬が薬局で広く販売されており、現地調達のほうが安定的です。長期滞在の場合は現地でのアセトアミノフェン(パラセタモール)またはイブプロフェンへの切り替えを検討してください。


具体的な持ち込み手続きのステップ

出発1ヵ月以上前に実施すべきこと

ステップ1:服用中の医薬品リストの作成

渡航前に、すべての服用薬を一般名・商品名・1日量・用法・持参量を一覧化します。

【医薬品リスト(例)】
1. アムロジピン5mg(一般名: amlodipine)
   1日1回、1錠、3ヵ月分(90錠)
2. ロキソプロフェン60mg(一般名: loxoprofen)
   必要時、1回1〜2錠(20錠・予備)
3. 人工涙液点眼薬(成分: ヒプロメロース含有)
   1日4〜6回(2本)
4. ジアゼパム2mg(一般名: diazepam)[BtMG対象]
   就寝前1錠(30錠・シェンゲン証明書必須)

ステップ2:主治医・かかりつけ薬剤師への相談

  • 日本の主治医に「ドイツに○ヵ月間滞在する」旨を伝え、英文医師説明状と(必要な場合)シェンゲン医療証明書を依頼
  • かかりつけの調剤薬局では「薬歴(お薬手帳)の英文サマリー」を作成してもらえる場合があります

ステップ3:規制当局への事前確認

  • 在ドイツ日本国大使館(ベルリン): 不明な医薬品の持ち込み可否について一般名で問い合わせ
  • 厚生労働省 麻薬取締部: 麻薬・向精神薬の輸出許可申請(必要な場合)
  • 返答に1〜3週間かかる場合があるため、出発の6〜8週間前から動き出すことを推奨

ステップ4:医薬品の梱包と書類の準備

  • すべての医薬品を元の容器・ラベル付きで保管
  • 処方箋・英文医師説明状は医薬品と同じ手荷物バッグに収める(受託手荷物に分散しない)
  • 英文説明状のコピーを2部用意(税関提示用1部、自身保管用1部)
  • シェンゲン医療証明書がある場合は、パスポートと同じポーチに保管

ステップ5:液体・インスリン等の特別対応

  • インスリン・点眼薬など液体医薬品は、航空機持ち込みの液体制限(100ml以内)の適用を受けます
  • 医療上必要な液体医薬品は処方箋・医師証明があれば上限を超えて機内持ち込み可(航空会社・出発空港のセキュリティに事前確認推奨)
  • インスリン注射器・ペン型デバイスも同様に医師証明書が必要

税関申告書の記入方法

ドイツ入国時には「申告なし(Nothing to declare)」「申告あり(Goods to declare)」の二択レーンを通過します。

「申告あり」を選ぶべきケース:

  • BtMG管理物質(ベンゾジアゼピン系・オピオイドなど)を携帯している
  • 処方薬の量が30日分を超える
  • 医薬品の価値が€300(航空機利用)を超える

申告の際の英語表現:

  • "I have prescription medication for personal use during my stay, accompanied by a doctor's letter and prescription."(アイ ハヴ プリスクリプション メディケーション フォー パーソナル ユーズ デューリング マイ ステイ、アカンパニード バイ ア ドクターズ レター アンド プリスクリプション)
  • "This is a controlled substance under the Schengen Agreement. I have the required certificate."(ディス イズ ア コントロールド サブスタンス アンダー ザ シェンゲン アグリーメント。アイ ハヴ ザ リクワイアド サーティフィケット)

薬剤師メモ 隠して持ち込もうとして発覚した場合、善意の誤解であっても没収・検査の対象となる可能性があります。不安な場合は「申告あり」レーンを選んでください。書類が揃っていれば、申告によってトラブルになることはありません。


薬学的解説:なぜドイツはこれほど厳格なのか

BfArMとEMAの役割分担

ドイツのBfArMはEMAと連携しながら、EU内の医薬品承認・安全監視を担います。日本のPMDA(医薬品医療機器総合機構)と類似した機能を持ちますが、薬物依存・乱用予防の観点からBtMGに基づく管理が特に厳格です。

背景として、ヨーロッパではオピオイド依存症・ベンゾジアゼピン乱用の社会問題が日本より早期に顕在化したため、BtMG管理物質の国際持ち込みには厳密な書類管理が求められるようになりました。

薬物動態から見た「持ち込み量」の考え方

ドイツが「30日分以内」を個人持ち込みの目安としているのは、薬物動態学的合理性があります。

  • 大半の慢性疾患治療薬(降圧薬・糖尿病薬・甲状腺薬など)は**定常状態(steady state)**に達するまで5〜7半減期が必要です。ドイツ滞在中に薬剤が切れた場合、現地医師の診察を受けてから処方が出るまでのタイムラグ(1〜7日程度)を考慮すると、30日分+αの予備が現実的です。
  • ただし、BtMG管理物質では「30日分以内」が法的上限の目安とされているため、オピオイドやベンゾジアゼピン系は余裕を持った量を持参するという考え方自体が成立しません。証明書の有効期間(30日)に合わせた必要最小量が原則です。

相互作用・副作用管理の観点

長期渡航中に新たな薬を現地で追加する場合、日本から持参している薬との相互作用に注意が必要です。

特に注意すべき組み合わせ:

持参薬 ドイツで処方・購入されやすい薬 注意すべき相互作用
ワルファリン イブプロフェン(OTC鎮痛薬) 出血リスク増大(COX-1阻害による血小板機能低下+ワルファリン増強)
SSRI(抗うつ薬) トリプタン系片頭痛薬 セロトニン症候群のリスク
ベンゾジアゼピン系 アルコール(欧州では日常的摂取量が多い) 中枢神経抑制の相加・相乗作用、呼吸抑制リスク
カルシウム拮抗薬 グレープフルーツジュース CYP3A4阻害による血中濃度上昇(降圧過度・浮腫)
テオフィリン(気管支拡張薬) マクロライド系抗菌薬(現地処方) テオフィリン血中濃度上昇(中毒域に達する可能性)

渡航先で新たな薬を処方された際は、日本から持参している薬の一覧を現地の医師・薬剤師に必ず見せてください


ドイツ到着後の医療機関・薬局の利用方法

ドイツの薬局(Apotheke)の特徴

ドイツの薬局(Apotheke)は街のいたるところにあります。日本のドラッグストアとは異なり、医薬品はすべて薬剤師の対面販売が義務付けられており、セルフサービスはありません。この制度はドイツ薬局法(Apothekengesetz)に基づくもので、患者安全の観点から高い水準を保つためです。

項目 詳細
営業時間 平日8:00〜18:30、土曜8:00〜13:00が多い(日曜休業)
処方箋要否 処方薬(Rx)は処方箋必須
価格 日本と同等か安い場合が多い(例:アムロジピン相当製品は1ヵ月分で€5〜15程度)
英語対応 都市部・観光地では概ね英語対応可
夜間・休日対応 各地区に「当番薬局(Notdienstapotheke)」あり。看板に緑十字と「Nacht-und-Notdiensthinweis」表示

薬局での役立つ英語フレーズ

  • "I need to refill my prescription medication."(アイ ニード トゥ リフィル マイ プリスクリプション メディケーション)
  • "I have a doctor's letter from Japan for this medication."(アイ ハヴ ア ドクターズ レター フロム ジャパン フォー ディス メディケーション)
  • "Can I get ibuprofenイブプロフェン without a prescription?"(キャン アイ ゲット イブプロフェン ウィズアウト ア プリスクリプション?)
  • "Is there an English-speaking pharmacist available?"(イズ ゼア アン イングリッシュ スピーキング ファーマシスト アヴェイラブル?)
  • "I am allergic to penicillin."(アイ アム アラジック トゥ ペニシリン)

ドイツで受診できる医療機関

**Hausarzt(家庭医・一般開業医)**への受診が基本です。専門医(Facharzt)は紹介状が必要な場合があります。旅行保険加入者は、保険会社のアシスタンスラインに電話することで英語対応医師を紹介してもらえます。

国際患者向け診療・英語対応が期待できる機関(都市別目安):

  • ベルリン:Charité大学病院、各区のMedizinisches Versorgungszentrum
  • ミュンヘン:LMU大学病院(Klinikum der Universität München)
  • フランクフルト:Universitätsklinikum Frankfurt
  • ハンブルク:Universitätsklinikum Hamburg-Eppendorf(UKE)

※上記は公的・大学病院の例示であり、実際の英語対応状況は来院前に電話確認を推奨します。


帰国時の注意点:ドイツから日本への医薬品持ち帰り

ドイツで処方・購入した医薬品を日本に持ち帰る際にも、日本側の規制が適用されます。

注意事項:

  • 麻薬・向精神薬:日本への輸入許可が必要(厚生労働省 地方厚生局麻薬取締部)
  • 抗不安薬・睡眠薬(ベンゾジアゼピン系):日本で処方箋なしに持ち帰ることは原則不可
  • EU承認のみの医薬品:日本未承認成分を含む場合、持ち帰りに量の制限あり(個人使用1ヵ月分以内が目安)
  • OTC医薬品の持ち帰り:個人使用目的であれば一般的に問題なし

帰国前に在ドイツ日本国大使館または厚生労働省の「海外で購入した医薬品の持ち帰り」に関するQ&Aで確認することを推奨します。


渡航前チェックリスト:出発前の最終確認

【出発6〜8週間前】
□ 服用中の全医薬品の一般名リストを作成した
□ BtMG対象薬(ベンゾジアゼピン・オピオイド等)の有無を確認した
□ 在ドイツ日本国大使館・BfArMに持ち込み可否を問い合わせた(必要な場合)
□ 厚生労働省 麻薬取締部に輸出許可申請を開始した(必要な場合)

【出発2〜4週間前】
□ 主治医から英文医師説明状を取得した
□ シェンゲン医療証明書を取得した(BtMG対象薬がある場合)
□ 全医薬品の必要量を算出し、処方量の調整を主治医に依頼した
□ 旅行保険(医療補償付き)に加入した

【出発1週間前〜当日】
□ 医薬品は元の容器・ラベル付きで梱包した
□ 英文説明状・処方箋・証明書のコピーを2部用意した
□ 書類は医薬品と同じ手荷物バッグに収めた
□ 液体医薬品の航空機持ち込みルールを航空会社に確認した
□ お薬手帳(または英文サマリー)を携帯した

参考文献・公式情報源

  1. BfArM(ドイツ連邦医薬品・医療用具研究所)— 医薬品規制・BtMG関連情報 https://www.bfarm.de/EN/Drugs/_node.html

  2. 在ドイツ日本国大使館 — 医薬品・麻薬の持ち込みに関する情報 https://www.de.emb-japan.go.jp/itpr_ja/konsular_yakuhin.html

  3. 厚生労働省 — 海外への医薬品の持ち出しと持ち込みについて https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/index.html

  4. 欧州医薬品庁(EMA)— EU医薬品承認・規制フレームワーク https://www.ema.europa.eu/en/human-regulatory/overview/public-health-threats/epidemics-pandemics

  5. INCB(国際麻薬統制委員会)— 旅行者のための麻薬・向精神薬携帯ガイドライン https://www.incb.org/incb/en/travellers/index.html

  6. 外務省 海外安全情報 — ドイツ(医療・健康情報) https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_155.html

  7. PMDA(医薬品医療機器総合機構)— 国際共同治験・規制情報 https://www.pmda.go.jp/english/index.html


監修:薬剤師(博士(薬学))

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免責事項:本記事は渡航者向けの医薬品情報提供を目的とした薬剤師監修コンテンツです。 診断・治療に関する判断は医師の診察を受けた上で行ってください。 最新の規制・感染症情報は外務省・厚生労働省・現地大使館の公式情報を必ずご確認ください。

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