中国に薬を持ち込む手順|NMPA規制とコデイン禁止・申告必須を薬剤師が解説

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中国への医薬品持ち込みルール完全ガイド:薬剤師が解説する注意点

はじめに

中国への渡航時、医薬品の持ち込みには厳格なルールが存在します。処方薬・市販薬を問わず、事前の確認が必須です。本記事では、薬剤師の視点から、実際に中国税関で問題となりやすい医薬品、持ち込み可能な数量、必要書類をわかりやすく解説します。適切な準備により、現地での体調トラブルを防ぎ、スムーズな入国を実現しましょう。

中国の医薬品行政は**国家薬品監督管理局(NMPA: National Medical Products Administration)**が所管しており、日本の厚生労働省に相当する機関です。NMPAが定める医薬品分類は日本とは異なるため、「日本で合法的に購入できる市販薬が中国では規制対象」というケースが頻繁に発生します。特に覚醒剤原料・麻薬・向精神薬に関する規制は日本よりも厳格であり、知らずに持ち込んだ場合でも行政処分の対象となる可能性があります。渡航前に必ず成分を確認し、疑わしい薬は持ち込まないことが鉄則です。


中国への医薬品持ち込みの基本ルール

持ち込み可能な医薬品の量と制限

中国の税関規則では、個人的な使用目的であれば一定量の医薬品持ち込みが認められています。ただし、「個人使用」の範囲は厳密に解釈されるため注意が必要です。

医薬品の種類 持ち込み可能な目安 注記
処方薬(医師の処方箋が必要) 1ヶ月分程度 領収書や処方箋の写しがあると信用度増
市販薬(一般用医薬品) 1ヶ月分程度 複数種類でも合計で常識の範囲
液体医薬品(シロップ等) 100mL以下を推奨 機内持ち込みは100mL以下必須
注射薬 原則持ち込み禁止 インスリンなどは医師の証明書で可

薬剤師メモ3ヶ月分まで大丈夫」という情報をネットで見かけることがありますが、中国の税関規則には「1ヶ月分程度」という明確な記載が主流です。税関職員の判断基準により変動する可能性があるため、最新情報は中国大使館・領事館の公式サイトで確認してください。

中国税関の法的根拠と申告義務

中国への入国時には**税関申告書(Entry-Exit Declaration Form)**への記載義務があります。医薬品については、以下の観点から申告の要否が決まります。

  • 処方薬はすべて申告対象:種類・数量にかかわらず、医師の処方に基づく薬は申告書に記載することが推奨されます。
  • OTC医薬品(一般用医薬品):個人使用かつ少量であれば申告不要の場合が多いですが、規制成分を含む場合は必ず申告が必要です。
  • 麻薬・向精神薬に該当するもの:中国の「麻醉薬品和精神薬品管理条例(麻薬・向精神薬管理条例)」の対象となる成分を含む場合、持ち込みには事前許可が必要であり、申告なしでの持ち込みは重大な法令違反となります。

医薬品の申告漏れが発覚した場合は、没収だけでなく行政処分の対象となる可能性があります。「申告して問題ない薬だった」という結果になっても、適切に申告することが最大のリスク回避策です。


中国で持ち込みが禁止・制限される医薬品

要注意:含まれてはいけない成分一覧

中国への持ち込みが禁止・厳格に制限される成分を以下の表にまとめました。

禁止・制限成分 含まれやすい医薬品例 理由
マオウ(麻黄)エキス・エフェドリン 風邪薬、咳止め 覚醒剤前駆体として規制
プソイドエフェドリン(塩酸プソイドエフェドリン) 総合風邪薬、鼻炎薬 麻黄と同様の理由
コデインリン酸塩 咳止め、鎮痛薬 医療用麻薬扱い
ジヒドロコデインリン酸塩 咳止め 医療用麻薬扱い
テトラヒドロカンナビノール(THC) 医療用大麻製品 中国では違法
フェノバルビタール 睡眠薬、てんかん治療薬 向精神性物質
トラマドール塩酸塩 痛み止め(中等度〜強度) 麻薬性鎮痛薬に準じた規制
メチルフェニデート ADHD治療薬 向精神薬として厳格規制

薬学的解説:なぜこれらの成分が規制されるのか

エフェドリン・プソイドエフェドリンの化学的背景

エフェドリン(ephedrine)およびプソイドエフェドリン(pseudoephedrineシュードエフェドリン)は、カテコールアミン類似構造を持つアミン化合物です。交感神経刺激作用(α1・β1・β2受容体への作動)により気管支拡張・鼻粘膜血管収縮を示し、風邪薬・鼻炎薬として長年使用されてきました。しかしこれらは、覚醒剤(メタンフェタミン)の合成前駆体として利用可能であるため、国連薬物犯罪事務所(UNODC)が規制対象として国際条約に列挙しており、中国でも厳格に管理されています。プソイドエフェドリンは日本の薬事法上は「指定薬物」ではないため国内では合法的にOTC医薬品に配合されていますが、中国国内での流通は厳しく制限されています。

コデイン・ジヒドロコデインのオピオイド薬理

コデインリン酸塩(codeineコデイン phosphate)はオピオイド受容体(主にμ受容体)に結合し、延髄咳中枢を抑制することで鎮咳作用を示します。体内でCYP2D6酵素によりモルヒネに代謝される経路を持つため、依存性・乱用リスクが問題視されています。日本では2019年に12歳未満への投与が禁忌となりましたが、OTC医薬品に少量配合されているものは現在も存在します。中国では「麻醉薬品」として分類されており、医師の処方・管理下以外での使用・携帯は原則として認められていません。

ジヒドロコデインリン酸塩(dihydrocodeine phosphate)も同様のオピオイド作動薬であり、コデインよりやや強い鎮咳・鎮痛作用を持ちます。OTC咳止め薬への配合例があるため、成分表の確認が特に重要です。

トラマドールの二重作用機序

トラマドール塩酸塩(tramadol hydrochloride)は、オピオイドμ受容体部分作動薬としての作用に加え、セロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害作用(SNRI様作用)を併せ持つ中枢性鎮痛薬です。中等度から強度の疼痛に対して使用される処方薬であり、日本では「トラマールOD錠」などとして流通しています。乱用・依存リスクから中国では厳格に管理されており、医師の証明書なしでの持ち込みは不可です。

日本で一般的な医薬品の持ち込み可否判定

NGパターン:これらの医薬品は避けるべき

以下は成分の観点から中国持ち込みに注意が必要な薬の成分カテゴリです。商品名は一例であり、購入時に必ず添付文書または成分表示で確認してください。

  • プソイドエフェドリン塩酸塩含有の総合感冒薬:鼻づまりを改善する成分として配合されることが多く、日本国内では複数のOTC総合感冒薬に含まれています。出発前に薬剤師に相談のうえ成分を確認してください。
  • マオウ(麻黄)エキス含有の漢方配合感冒薬葛根湯 🛒、麻黄湯、小青竜湯などの漢方製剤にはマオウが含まれます。エフェドリンを含有するため規制対象です。
  • コデインリン酸塩・ジヒドロコデインリン酸塩含有の咳止め薬:一部のOTC鎮咳薬に配合されています。製品の成分欄を必ず確認してください。

OKパターン:一般的に持ち込み可能な成分

  • アセトアミノフェン(acetaminophenアセトアミノフェン / paracetamolパラセタモール)単独配合の解熱鎮痛薬:COX非特異的阻害・中枢性解熱機序により安全性が高く、規制対象外です。
  • イブプロフェン(ibuprofenイブプロフェン)含有の解熱鎮痛薬:NSAIDsの一種。COX-1/COX-2阻害による抗炎症・解熱・鎮痛作用を持ち、規制成分には該当しません。
  • ロペラミド塩酸塩(loperamideロペラミド hydrochloride)含有の下痢止め:末梢性オピオイド受容体作動薬ですが、中枢移行性が低く依存性リスクが小さいため、中国でも一般的に使用可能な下痢止めとして流通しています。
  • ジフェンヒドラミン塩酸塩(diphenhydramineジフェンヒドラミン hydrochloride)含有の抗ヒスタミン薬:第1世代抗ヒスタミン薬。アレルギー症状・鼻炎・蕁麻疹に使用。規制対象外です。
  • 塩酸フェキソフェナジン(fexofenadineフェキソフェナジン hydrochloride)などの第2世代抗ヒスタミン薬:眠気が少なく使い勝手がよい。中国国内での流通もあります。

薬剤師メモ 市販薬の成分表示は複雑です。ドラッグストアで購入する際、薬剤師に「中国へ持ち込みたい」と相談すれば、より詳細なアドバイスを受けられます。成分表のコピーを英訳して持参するのも有効です。特に「総合感冒薬」や「複合成分の咳止め」は複数の有効成分が含まれているため、一成分でも規制対象であれば持ち込み禁止となります。


処方薬を持ち込む際に必要な書類と手続き

必須書類:医師の診断書・処方箋

1ヶ月以上の処方薬を持ち込む場合、以下の書類を準備すること

書類 内容・備考
医師の処方箋または診断書 日本語可(中国語翻訳があると尚可)
医師からの説明文 「○○の個人的な治療目的で持ち込みます」という一文
領収書・購入証明 薬局の領収書があると信用度が増す
患者本人の氏名・生年月日 パスポートと一致する記載が必須
薬の用法・用量メモ 持ち込み薬の正確な成分、1日の用量

処方薬の場合、薬の原パッケージを開封しないまま持ち込むことが重要です。ラベルに患者氏名・処方医名・調剤薬局名が印字されている薬袋や薬瓶を保持することで、個人使用目的であることを客観的に示すことができます。また、薬剤師が交付する「お薬手帳」や「薬剤情報提供書」も補足書類として有効です。英語に翻訳した「薬剤説明シート」を添付すると、税関職員への説明がスムーズになります。

英語・中国語での書類作成

処方箋の写しを英語翻訳し、持参することを強く推奨します。以下は基本的な例文です。

Certificate for Personal Medical Use

Prescription holder: [Your Full Name]
Passport No.: [Your Passport Number]
Medication Name: [Drug Name]
Active Ingredient: [Component/Dosage]
Purpose: Personal treatment for [Disease/Condition]
Duration: [Period, e.g., One month]

Issued by:
Doctor's Name: [Name]
Medical License No.: [License Number]
Hospital/Clinic: [Institution]
Date: [Date]

最新情報は中国大使館・領事館の公式サイトで確認してください。

中国語(簡体字)での表記を希望する場合、翻訳サービスや医療通訳を活用してください。北京・上海・広州などの主要都市にある日系クリニックや、日本の大都市の病院では英文・中文の診断書作成に対応しているケースがあります。渡航2〜3週間前には医師に相談し、書類作成の時間を確保してください。

薬剤師メモ 中国へ出発する前に、かかりつけ医師に相談し、処方箋等の書類を英語で作成してもらうことが最も確実です。都市部の医療機関なら英文対応が可能な場合が多いです。診断書には「疾患名(英語)」「薬剤名(一般名・英語)」「1日用量」「持ち込み日数」を明記してもらいましょう。


インスリンなど特殊な医薬品の持ち込み

注射薬(インスリン)を持ち込む場合

糖尿病患者のインスリンは、以下の条件で持ち込み可能です。

必須書類:

  1. 医師の英文診断書 - インスリン依存性糖尿病であることの証明
  2. 処方箋の写し - 指定医師による署名入り
  3. インスリン製品のオリジナルパッケージ - 製薬企業ラベルが貼られたまま
  4. 患者本人のID(パスポート)

機内持ち込みのルール:

  • インスリン製剤は医療上の必要性が認められた場合、機内持ち込み手荷物への収納が認められています。ただし航空会社によって対応が異なる場合があるため、搭乗前に航空会社へ事前確認することを推奨します。
  • 冷蔵保管が必要なインスリン(速効型・超速効型製剤など)は、医療用保冷バッグと保冷材を使用してください。常温で安定なインスリン製剤も存在しますが、長時間の高温暴露は避けてください。
  • **注射針(インスリン用ペン針)**についても、処方薬の一部として書類に記載し、専用ケースに収納して持ち込むことを推奨します。

インスリンの薬学的特性と保管上の注意

インスリン製剤はタンパク質ホルモンであり、熱・光・凍結により活性が失われます。一般的な保管条件は「未開封:2〜8℃(冷蔵)、開封後:室温(25℃以下)で最大28〜30日」ですが、製品によって異なります。中国への長時間フライト中に冷蔵設備が確保できない場合は、機内温度(通常20〜24℃)であれば数時間は問題ないことが多いですが、開封済みカートリッジについては添付文書の指示に従ってください。

その他の注射薬・生物学的製剤

  • エピネフリン自己注射(アドレナリン自己注射):アナフィラキシー対応のエピペン等は、アレルギー疾患の証明書とともに持ち込み可能なケースがあります。医師の書類を必ず用意してください。
  • インターフェロン・抗体製剤等の生物学的製剤:これらは原則として処方薬であり、医師の詳細な診断書・処方箋が必須です。製品によっては中国当局への事前申請が求められる場合があるため、渡航先の中国大使館に個別に確認してください。

中国での医薬品購入と代替案

渡航先での医薬品入手方法

中国での医薬品購入は、以下のオプションがあります。

入手方法 特徴 注意点
药房(薬局) 市街地に多数存在、一般薬も充実 薬剤師の英語対応は限定的
医院・病院(医院/診所) 専門的なアドバイスが可能 費用が高めになることも
駅・空港の医薬品店 観光地で利用しやすい 価格が割高な傾向
正規のオンライン薬局 正式認可のプラットフォームで購入可能 配送日数や認可状況の確認が必要

中国国内の薬局(药房)では、処方薬と一般薬が明確に区分されています。薬剤師(执业药师)が常駐していることが義務付けられていますが、英語対応は都市部の大型チェーン薬局を除いて限定的です。翻訳アプリ(DeepL・Google翻訳等)や、成分名を中国語(簡体字)で記載したメモを事前に準備すると便利です。

主要成分の中国語対応表(一般名)

日本語(一般名) 英語 中国語(簡体字)
アセトアミノフェン acetaminophenアセトアミノフェン / paracetamolパラセタモール 对乙酰氨基酚
イブプロフェン ibuprofenイブプロフェン 布洛芬
ロペラミド塩酸塩 loperamideロペラミド hydrochloride 盐酸洛哌丁胺
ジフェンヒドラミン塩酸塩 diphenhydramineジフェンヒドラミン hydrochloride 盐酸苯海拉明
セチリジン塩酸塩 cetirizineセチリジン hydrochloride 盐酸西替利嗪
オメプラゾール omeprazoleオメプラゾール 奥美拉唑

事前に知っておきたい医療体制

  • 都市部(北京、上海、広州):日本語対応の医療機関あり。在中日本国大使館・各総領事館のウェブサイトに日本語診療可能な医療機関リストが掲載されています。
  • 地方都市・農村部:英語・日本語対応は非常に限定的。翻訳アプリと症状を中国語で記したメモを準備してください。
  • 医療保険:中国での医療費は都市部の外資系病院では高額になることがあります。渡航前にクレジットカード付帯保険や海外旅行保険(疾病・傷害補償付き)への加入を確認してください。

薬剤師メモ 中国の医薬品は日本のものと異なる処方が多いため、持ち込みできる量の常備薬を日本から持参する方が安心です。特に、アレルギー体質や慢性疾患がある方、乳幼児を連れた渡航者は、主要な常備薬を必要量分あらかじめ準備することを強くお勧めします。


税関通過時の対応・トラブル防止策

申告方法と質問への対応

出発前の確認チェックリスト:

  • ☐ 医薬品の成分をすべて確認した
  • ☐ 禁止・制限成分が含まれていないか薬剤師に相談した
  • ☐ 処方薬は医師の診断書を英文で用意した
  • ☐ 医薬品は元のパッケージのまま持参
  • ☐ 医薬品リスト(医薬品名、成分、用量)を英語で作成
  • 漢方薬・サプリメントの成分を確認した
  • ☐ 注射薬・液体製剤の保管方法を確認した
  • ☐ 中国大使館・領事館の最新情報を確認した

税関での質問への対応例:

Q: 「この薬は何ですか?」(ズェ ガ ヤオ シー シェン マ?※音はあくまで参考程度)

英語での回答: This is for my personal use. I have a prescription from my doctor in Japan.(ディス イズ フォー マイ パーソナル ユース。アイ ハヴ ア プリスクリプション フロム マイ ドクター イン ジャパン)

Q: 「どのくらいの期間分ですか?」

英語での回答: About one month's supply for [disease/symptom].(アバウト ワン マンスズ サプライ フォー ○○)

Q: 「申告書に記入しましたか?」

英語での回答: Yes, I declared it on the customs form.(イエス、アイ デクレアード イット オン ザ カスタムズ フォーム)

申告書の記載方法

中国の入国申告書(《中华人民共和国出/入境旅客行李物品申报单》)では、持ち込む物品の中に医薬品が含まれる場合、「自用物品」欄に記載します。麻薬・向精神薬・覚醒剤原料に相当する成分を含む処方薬は、事前に中国大使館での相談と必要に応じた事前申請手続きが必要です。申告書には医薬品の種類と数量を正確に記入し、書類一式を税関職員に提示できるよう手元に準備してください。

没収・返却要求された場合

  1. 冷静に対応し、複数の書類を提示
  2. 医師の診断書・領収書のコピーを提示
  3. 明らかに少量の個人使用分であることを強調
  4. 言語が通じない場合、翻訳アプリを活用
  5. 税関での対応に不服がある場合は、在中日本国大使館・総領事館(領事部)へ連絡し、適切なサポートを求めてください

事前準備のステップバイステップ

出発1ヶ月

  1. 持ち込みたい医薬品をすべてリストアップ
  2. 薬剤師またはドラッグストアで成分確認
  3. 禁止成分が含まれていないか調査
  4. 漢方薬・サプリメントの原材料も含めて確認(マオウ・大麻草・コデイン系成分がないか)
  5. 慢性疾患がある場合は担当医に渡航を告げ、渡航先での緊急時対応を確認

出発2週間

  1. かかりつけ医師に相談し、処方箋の英文版を依頼
  2. 処方箋、診断書のコピーを3部準備(原本1部も)
  3. お薬手帳を持参、または調剤明細書・薬剤情報提供書のコピーを用意
  4. 主要成分の中国語名対応メモを作成(前掲の対応表を活用)

出発1週間

  1. 医薬品を元のパッケージのまま準備
  2. 医薬品リストを英語で作成し、薬のそばに備える
  3. 航空会社に液体製剤・注射薬に関する規則を確認
  4. インスリン等の冷蔵保管が必要な薬は保冷バッグと保冷剤を用意

出発当日

  1. 医薬品、診断書、処方箋を機内持ち込み手荷物に入れる
  2. セキュリティ、税関通過時に医薬品について質問されたら、書類を提示しながら堂々と説明する
  3. 申告書への記載を忘れずに行う

よくある質問(FAQ)

Q: プソイドエフェドリン含有の総合感冒薬は持ち込めますか?

A: 持ち込み不可です。プソイドエフェドリン塩酸塩やマオウエキスが含まれている総合感冒薬は、中国の規制対象成分を含むため税関で没収される可能性が高いです。アセトアミノフェン単独成分の解熱鎮痛薬や、プソイドエフェドリンを含まない咳止めへの変更を検討してください。出発前に薬剤師に相談し、成分を確認したうえで代替薬を選んでください。

Q: 湿布薬(フェルビナク、ロキソプロフェン含有)は大丈夫ですか?

A: 一般的には問題ありませんが、事前確認を推奨します。フェルビナク(フェルビナク)・ロキソプロフェンナトリウム(loxoprofen sodium)はNSAIDs系の外用薬であり、規制成分には通常該当しません。ただし、処方薬の外用薬については書類を持参することを推奨します。市販の外用消炎鎮痛貼付薬であれば、個人使用量であれば通常問題ありません。

Q: サプリメント(ビタミン剤等)も申告が必要ですか?

A: 医薬品ではなく食品(健康食品)扱いのものは申告不要のケースが多いですが、医薬部外品・医薬品に分類されるサプリは申告が必要な場合があります。成分表を確認し、規制成分(マオウ、コデイン系、フェノバルビタール等)が含まれていないかチェックしてください。ハーブ系サプリは植物由来成分のため、中国の規制に抵触する場合があります。

Q: 慢性病で3ヶ月分の処方薬を持ち込みたいです。

A: 原則1ヶ月分推奨ですが、医師の詳細な診断書があれば3ヶ月分も可能な場合があります。ただし、規制成分を含む処方薬(抗てんかん薬・向精神薬等)については、事前に中国当局への申請・許可取得が必要となるケースがあります。渡航前に在日中国大使館・領事館へ個別に照会することを強くお勧めします。

Q: 抗不安薬(ベンゾジアゼピン系)の持ち込みは可能ですか?

A: ベンゾジアゼピン系薬(例:ジアゼパム、ロラゼパム、エチゾラム等)は中国で**第二類向精神薬(第二类精神药品)**に指定されているものが多く、持ち込みには医師の処方箋・診断書が必須です。量が多い場合や長期滞在の場合は事前申請が必要となる可能性があります。担当医師と相談のうえ、中国大使館に確認してください。

Q: 市販の目薬・点鼻薬は持ち込めますか?

A: 一般的に少量であれば問題ありません。ただし点鼻薬に塩酸プソイドエフェドリンや塩酸ナファゾリン(血管収縮剤)が含まれる場合は注意が必要です。成分表示を必ず確認し、規制成分が含まれていないかチェックしてください。点眼薬は規制成分(ステロイド等の処方薬を除く)が含まれなければ通常持ち込み可能です。


まとめ

  • 中国への医薬品持ち込みは「個人使用1ヶ月分程度」が基準。複数種類でも合計でこの範囲内に収める
  • マオウ(エフェドリン)・プソイドエフェドリン・コデイン系・トラマドール等の成分は規制対象。日本のOTC総合感冒薬や咳止め薬には特に注意が必要
  • 処方薬は医師の英文診断書・処方箋を必ず用意。元のパッケージのまま持参し、薬剤情報提供書も携帯する
  • 申告書への記載を怠らない。規制成分を含む場合は申告書に記載し、書類を提示できるよう準備する
  • 現地での代替薬購入に備えて、成分の中国語名を把握しておくと安心
  • 漢方薬・サプリメントもマオウ含有の可能性があるため成分確認が必須
  • 出発前に薬剤師へ相談することが最も確実なリスク回避策

参考文献

  1. 国家薬品監督管理局(NMPA)公式サイト: https://www.nmpa.gov.cn/
  2. 在日中国大使館 公式サイト(ビザ・入国手続き関連): http://www.china-embassy.or.jp/
  3. 厚生労働省「医薬品の個人輸入について」: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kojinyunyu/index.html
  4. PMDA(医薬品医療機器総合機構)「医薬品に関する情報」: https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/0001.html
  5. 外務省「海外安全情報・中国」: https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_000001.html
  6. WHO「Model List of Essential Medicines」: https://www.who.int/publications/i/item/WHO-MHP-HPS-EML-2023.02
  7. UNODC「Precursors and Chemicals Used in the Illicit Manufacture of Drugs」: https://www.unodc.org/unodc/en/drug-prevention-and-treatment/precursors.html

監修: 薬剤師(博士(薬学))

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