香港に薬を持ち込む手順|DH規制とPart1毒薬規制を薬剤師が解説

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香港への薬の持ち込みルール完全ガイド─処方薬・市販薬・医療用品の正しい持ち運び方

香港への渡航を計画されている方の中には、常用薬や医療用品をスーツケースに詰めている方も多いでしょう。しかし国によって医薬品の規制は大きく異なり、合法的に持ち込める薬でも香港では違法になる可能性があります。特に中国医学の盛んな香港では、西洋医学の医薬品に関して独自の厳しい規制を設けています。

本記事では、薬剤師の視点から香港の医薬品持ち込みルール、禁止成分、必要書類について実用的に解説します。渡航前の準備チェックリストとして活用してください。

なお、鎮痛薬の選択については [[otc-painkiller-guide]]、向精神薬の国際携行については [[psychotropic-travel-guide]] もあわせてご参照ください。また複数の海外渡航先への薬の持ち込みを比較したい方は [[international-medication-travel]] も参考になります。


香港への薬の持ち込みルールの基本原則

法的根拠:Pharmacy and Poisons Ordinance(Cap.138)とは

香港での医薬品規制は**香港特別行政区医薬品条例(Pharmacy and Poisons Ordinance, Cap.138)に基づいています。この条例は1974年に制定され、現在も継続的に改正が行われています。条例の下で設置された香港衛生署(Department of Health, DH)**の薬剤部門(Pharmaceutical Service)が規制実務を担当しており、医薬品の輸入・輸出・販売・所持についての許可権限を有しています。

同条例のSchedule(附表)は4つのPartに分類されており、特に旅行者にとって重要なのが**Part 1(毒薬:Poisons)に該当する成分です。Part 1毒薬は資格のある薬剤師または登録医師のみが取り扱いを許可されており、個人がこれらを香港内に持ち込む場合は、書類の準備と申告が事実上必須となります。さらにDangerous Drugs Ordinance(Cap.134)**が麻薬・向精神薬の規制を別途定めており、麻薬系鎮痛薬や一部の抗不安薬は二重の規制対象となります。

一般的なルール

項目 ルール
持ち込み可能な量 個人使用分のみ(通常1ヶ月分程度が目安)
処方薬の持ち込み 医師の処方箋・英文診断書があれば可(副本要)
市販薬 一般用医薬品は制限あり、成分による
医療用品 インスリン、エピネフリン自己注射製剤などは医師の説明文書が必要
中医薬 香港衛生署の承認品目に限定

薬剤師メモ

香港は「個人使用分(personal use)」の定義が厳格です。日本で2ヶ月分処方された薬を持ち込む場合、携帯する滞在期間に相当する量のみを携行することをお勧めします。例えば10日間の滞在であれば10日分程度が目安です。なお、Hong Kong Customs & Excise Departmentは個人使用量を超えると判断した場合、当該医薬品を差し押さえる権限を持っています。超過分の扱いは税関職員の裁量にも依存するため、余分に持ち込むリスクは回避するのが最善策です。


香港で持ち込み禁止・制限される主な成分

Part 1毒薬・Dangerous Drugs規制の詳細

香港のPharmacy and Poisons Ordinance Cap.138に基づく規制では、Part 1毒薬に分類される薬剤を個人が日常的に購入・所持するには、登録医師による処方または薬剤師の管理下が必要とされます。旅行者がこれらを所持する場合は、英文の処方箋・診断書の携帯が強く求められます。

さらにDangerous Drugs Ordinance Cap.134の下では、麻薬・精神薬物(Dangerous Drugs)の無許可所持・輸入は刑事罰の対象です。同条例違反には罰則規定があり、医療目的であっても適切な書類がなければ摘発を受けるリスクがあります。

医療用麻薬・向精神薬

最も注意が必要なカテゴリーです。以下の成分を含む医薬品は、医師の英文診断書・処方箋がない限り持ち込みは厳格に制限されます

禁止/制限成分 薬効分類 薬学的補足
モルヒネ(Morphine) μ-オピオイド受容体作動薬 がん性疼痛・術後鎮痛に使用。Dangerous Drugs該当
コデイン(Codeineコデイン)高用量製品 弱オピオイド鎮痛・鎮咳薬 CYP2D6で代謝されモルヒネに変換。低用量OTC品と高用量品で規制が異なる場合あり
フェンタニル(Fentanyl) 強力μ-オピオイド受容体作動薬 モルヒネの約100倍の鎮痛効力。貼付剤も同様に制限対象
メタドン(Methadone) オピオイド依存症治療・慢性疼痛 半減期が長く(24〜36時間)、蓄積リスクが高い。香港でも依存症治療プログラム管理下でのみ使用
トリアゾラム(Triazolam) 超短時間型ベンゾジアゼピン系睡眠薬 日本では処方薬。香港ではPart 1毒薬として特に厳格。GABA-A受容体に作用し、記憶障害リスクも知られる
ジアゼパム(Diazepam)等ベンゾジアゼピン系 抗不安薬・筋弛緩薬 GABA-A受容体のベンゾジアゼピン結合部位に作用。身体依存形成のリスクから厳格管理
フェノバルビタール(Phenobarbital) バルビツール酸系抗けいれん薬 CYP誘導作用が強く、多くの薬剤と相互作用あり。てんかん治療患者は必ず医師書類を用意
メチルフェニデート(Methylphenidate) ADHD治療薬・中枢神経刺激薬 ドパミン・ノルエピネフリン再取り込み阻害作用。香港ではDangerous Drugsとして厳格に管理

薬学的解説:ベンゾジアゼピン系の規制が厳しい理由

ベンゾジアゼピン系薬剤(トリアゾラム、ジアゼパム、ニトラゼパムなど)は、GABA-A受容体のベンゾジアゼピン結合部位に正の修飾作用を示し、Cl⁻チャネルの開口頻度を高めることで中枢神経を抑制します。臨床的には優れた抗不安・催眠・抗けいれん・筋弛緩効果を持つ一方で、**反復使用による耐性形成・身体依存・離脱症状(反跳性不眠、けいれん)**が問題となります。国際的には1971年の向精神薬条約(Convention on Psychotropic Substances)のScheduleに収載されており、各国が国内法で規制することが求められています。香港もこれに沿ってPart 1毒薬として厳格管理しています。

一般医薬品で制限される成分

市販の風邪薬や鼻炎薬にも注意が必要です。

成分 含まれやすい薬の例(成分名で表記) 制限理由と薬学的背景
エフェドリン(Ephedrine) エフェドリン塩酸塩配合の総合感冒薬 α・βアドレナリン受容体を直接・間接的に刺激。メタンフェタミン合成前駆体として国際的に管理。日本のOTCにも依然配合品がある
プソイドエフェドリン(Pseudoephedrineシュードエフェドリン プソイドエフェドリン塩酸塩配合の鼻炎薬・感冒薬 エフェドリンのジアステレオマー。血管収縮作用による鼻閉改善に用いられるが、同様に覚醒剤原料規制の対象
コデイン(Codeineコデイン)低用量含有品 コデインリン酸塩配合の鎮咳薬 個人使用分かつ医師処方があれば持ち込み可とされる場合があるが、必ず申告が必要
フェニレフリン(Phenylephrine) フェニレフリン塩酸塩配合の鼻炎・充血改善薬 α1アドレナリン受容体作動薬。単体での規制は緩いが高用量製品は要確認

薬剤師メモ

日本のOTCで広く流通しているプソイドエフェドリン塩酸塩配合の鼻炎・感冒薬は、香港では実質的に持ち込み不可と理解してください。プソイドエフェドリンは香港のPharmacy and Poisons Ordinance Schedule 1(Part 1毒薬)にも収載されており、処方箋なしでの個人所持は問題になる可能性があります。代替策として、渡航先の香港薬局(登録薬局)でフェニレフリン塩酸塩配合の鼻炎薬を購入するか、事前に医師へ相談の上代替薬を処方してもらうことをお勧めします。


処方薬を香港に持ち込む際の必要書類

英文診断書・処方箋の準備

処方薬を合法的に持ち込むには、以下のドキュメントが不可欠です。

書類 内容 発行者
英文処方箋(English Prescription) 薬品名(国際一般名)、用量、用法、日数 処方医師
英文診断書(Medical Certificate) 医学的必要性の説明、疾患名 処方医師
病歴サマリー(Medical Summary) 疾患名、治療経過、現在の治療状況 医師またはクリニック

書類作成時の注意点:

  1. 医師に「香港渡航用・英文書類が必要」と明示して作成を依頼してください
  2. 発行日から6ヶ月以内が一般的な目安(医療機関によって異なる場合あり)
  3. 医師の署名・捺印・発行医療機関の公式レターヘッドが必須
  4. 日本語版と英文版の両方を持参(英文が香港当局提出用)
  5. 薬品名は可能な限り**国際一般名(INN:International Nonproprietary Name)**で記載してもらうと、香港当局が確認しやすい

薬品名の国際一般名(INN)について

日本の商品名で処方箋を作成されることが多いですが、香港税関・衛生署はINNで規制管理しているため、英文書類にINNを明記してもらうことが重要です。

日本の商品名例 国際一般名(INN)
ハルシオン Triazolam
リタリン Methylphenidate
ロヒプノール Flunitrazepam
MSコンチン Morphine sulfate
デュロテップ Fentanyl(経皮吸収型)

推奨される文書構成例

[医師レターヘッド]

To whom it may concern,

This is to certify that Mr./Ms. [氏名] is under 
my medical care for [疾患名(英語)]. 

He/She is required to take the following medication 
during his/her visit to Hong Kong from [出発日] to [帰国日]:

Medication: [薬品名(国際一般名・INN)]
Dose: [用量] mg
Frequency: [用法] times daily
Duration: [期間]

This medication is essential for his/her health 
and medical condition management.

Sincerely,
[医師署名]
[医師氏名]
[医師資格番号]
[医療機関名・住所・電話番号]
[発行日]

インスリン、エピネフリン自己注射製剤、喘息吸入薬など特殊医療用品

慢性疾患の自己管理薬

これらは一般的に持ち込み可能ですが、説明文書の携帯が強く推奨されます。

医療用品 持ち込み可否 必要書類
インスリン製剤(ペン型・バイアル) ✅ 可能 医師の英文説明文書推奨
インスリン注射針・ペン型注入器 ✅ 可能 医師の英文説明文書推奨
血糖測定器・測定チップ ✅ 可能 特に必須ではないが機器説明書を携帯
エピネフリン自己注射製剤 ✅ 可能 医師の英文説明文書必須
吸入ステロイド薬・気管支拡張薬(喘息用) ✅ 可能 医師の説明文書推奨
ワルファリンカリウム(抗凝固薬) ✅ 可能 医師の英文診断書・処方箋
甲状腺ホルモン製剤(レボチロキシン等) ✅ 可能 医師の英文診断書・処方箋推奨

薬学的解説:インスリンを安全に運ぶための温度管理

インスリン製剤はタンパク質製剤であり、温度変化に非常に敏感です。未開封品は冷蔵(2〜8℃)保存が基本ですが、開封後は室温(一般に25〜30℃以下)で保存可能な製品が多いです。香港の夏場は気温30℃を超えるため、以下の点に注意が必要です。

  • 直射日光・高温(30℃超)環境への長時間曝露を避ける
  • 機内持ち込み手荷物として携帯し、手荷物預けに入れない(貨物室は0℃以下になる場合がある)
  • 保冷バッグ(断熱素材)の使用を検討する
  • フリーズ(凍結)したインスリンは使用不可(結晶化・失活)

インスリンの凍結・加熱による失活は外観からわかりにくいことがあるため、疑わしい場合は使用を中止し、現地の医療機関・薬局で新しい製品を調達することが安全です。

薬剤師メモ

エピネフリン自己注射製剤(エピネフリン0.3mg製品等)については、針付き注射器として空港セキュリティで検査対象になる可能性が高いです。医師の英文説明文書を手荷物に入れて携帯し、必要に応じてセキュリティ検査員に明示してください。また、製品は専用のケースに入ったまま(針キャップを外さない状態で)X線検査を受けてください。

薬学的解説:吸入ステロイド薬・β2刺激薬の位置づけ

喘息治療の吸入薬は大きく2種類に分けられます。

吸入ステロイド薬(ICS):フルチカゾン、ブデソニド、ベクロメタゾンなどが代表的です。気道の慢性炎症を抑制する**コントローラー(長期管理薬)**として毎日使用します。全身性副作用は経口ステロイドと比べて非常に少ないですが、口腔カンジダ症予防のため使用後のうがいが推奨されます。

短時間作用型β2刺激薬(SABA):サルブタモール(albuterol)が代表で、気管支平滑筋のβ2受容体に作用して気管支を拡張します。**リリーバー(発作時緩和薬)**として使用され、即効性(5〜15分)があります。これらは香港でも処方薬扱いですが、医師の書類があれば持ち込みは問題ありません。


荷物検査での申告手順と対策

空港(HKG)での正しい対応

香港国際空港(HKG)到着時に医薬品を申告する場合の手順:

1. 税関申告カード(Passenger Customs Declaration Card)に記入

  • 医薬品所持欄で「Yes」を選択
  • 持ち込む薬品名(英語)、用量、数量を記載
  • なお、香港では2019年以降、電子申告(e-Channel)が拡充されているため、最新の申告フォームについて到着時に確認することを推奨します

2. 別途、医薬品を提示可能な状態に準備

  • 処方箋・診断書は原本を手荷物に携帯
  • 薬は元の容器・箱に入れたまま(詰め替えは厳禁。元の容器がないと何の薬かの確認が困難になる)
  • ラベルが見やすいように整理し、薬品名と用量が見えるようにしておく

3. 申告デスクで説明

  • 簡潔に I have prescription medicines for personal use.(アイ ハヴ プリスクリプション メディスンズ フォー パーソナル ユース)と説明
  • 医師の処方箋・説明文書を提示
  • 質問に対して冷静に対応する

4. Part 1毒薬・Dangerous Drugsに該当する薬を所持する場合

  • 事前に香港衛生署(Department of Health)への**Import Licence(輸入許可)**申請を検討する
  • 特にDangerous Drugs Ordinance Cap.134に該当する医薬品(麻薬性鎮痛薬、メチルフェニデート等)については、香港側の正規輸入許可手続きが必要な場合があります
  • 詳細は香港衛生署の薬剤部門(Pharmaceutical Service: https://www.drugoffice.gov.hk/)に問い合わせることを強く推奨します

よくある質問と回答例

質問(英語) 回答例(英語・カナ付き)
Why are you bringing these medicines? These are prescribed medications for my personal medical condition during my stay.(ジーズ アー プリスクライブド メディケーションズ フォー マイ パーソナル メディカル コンディション デュアリング マイ ステイ)
How long will you stay? I'll be staying for [X] days, so I brought [X] days' worth of medication.(アイル ビー ステイイング フォー [X] デイズ ソー アイ ブロート [X] デイズ ワース オブ メディケーション)
Do you have a doctor's prescription? Yes, here is the English prescription and medical certificate from my doctor.(イエス ヒア イズ ジ イングリッシュ プリスクリプション アンド メディカル サーティフィケート フロム マイ ドクター)
Is this a controlled substance? My doctor has certified this medication is necessary for my medical treatment. Here is the documentation.(マイ ドクター ハズ サーティファイド ディス メディケーション イズ ネセサリー フォー マイ メディカル トリートメント ヒア イズ ジ ドキュメンテーション)

香港到着後の対応:薬が必要になった場合

医療施設での受診と処方

もし現地で追加処方が必要になった場合、または持ち込んだ薬が不足した場合の選択肢を整理します。

施設タイプ 特徴 言語対応
私立クリニック/私立病院 日中・夜間対応、英語対応良好、費用高め ✅ 英語対応
公立病院(Queen Mary Hospital等) 費用は比較的安いが、外国人は時間がかかる場合がある ⚠️ 英語対応は病院による
登録薬局(Registered Pharmacy) OTC品の購入・処方箋の受け付け可 ✅ 英語対応が多い
中医診所 伝統中医学処方、漢方・中薬を提供 ⚠️ 英語対応は施設次第

香港の登録薬局で購入できる主なOTC成分(例)

香港では、日本と異なりOTCで入手できる成分の範囲が法令により規定されています。以下は一般的に薬局で入手可能な成分の例です(必ず現地薬局で確認してください)。

  • イブプロフェン(Ibuprofenイブプロフェン)配合の解熱鎮痛薬:COX-1/COX-2阻害によりプロスタグランジン生合成を抑制。空腹時服用による胃腸障害に注意
  • パラセタモール(Paracetamolパラセタモール、日本名:アセトアミノフェン):COX阻害とは異なる機序で解熱・鎮痛。過量服用による肝毒性に注意
  • ロペラミド塩酸塩(Loperamideロペラミド)配合の下痢止め:腸管のμ-オピオイド受容体に作用し腸蠕動を抑制。中枢には移行しにくい
  • 塩酸ジフェンヒドラミン(Diphenhydramineジフェンヒドラミン)配合の抗ヒスタミン薬:H1受容体拮抗。眠気の副作用あり

香港の登録薬局を利用する際の注意点:

香港では「Registered Pharmacist(登録薬剤師)」が常駐する薬局で処方薬の調剤が行われます。薬局の看板に「Registered Pharmacy」または「香港藥劑師學會のロゴ」があることを確認してください。資格のない店舗で医薬品を購入すると、品質管理が不明な製品を手にする可能性があります。

薬剤師メモ

香港の薬局では英語が通じる場合が多いですが、症状を正確に伝えるために I have a fever and sore throat.(アイ ハヴ ア フィーバー アンド ソア スロート)(発熱と喉の痛みがあります)や Do you have any medicine for diarrhea?(ドゥ ユー ハヴ エニー メディスン フォー ダイアリーア?)(下痢の薬はありますか?)のようなシンプルなフレーズを活用してください。


渡航前準備チェックリスト

出発2〜4週間前から実施

  • ☐ 常用薬について担当医師に相談(香港持ち込み可否の確認)
  • ☐ 処方薬の場合、英文処方箋・診断書の作成を依頼(INN記載を依頼する)
  • ☐ 市販薬を持参する場合、成分表示を確認しエフェドリン・プソイドエフェドリン含有品でないか確認
  • ☐ 処方箋類をコピー(原本と副本を別々のカバンに分けて携帯)
  • ☐ 日本語・英語で持ち込み薬品リストを作成(薬品名INN・用量・用法・用量・所持数量を記載)
  • ☐ 個人使用分の適切な量に調整(滞在日数分+予備2〜3日程度が目安)
  • ☐ 薬を元の容器・ブリスターパック・箱に入れたままにする(詰め替え禁止)
  • ☐ インスリン等の温度管理が必要な製品は保冷バッグを用意
  • ☐ 外務省・香港特別行政区政府衛生署ウェブサイトで最新情報を確認
  • ☐ Dangerous Drugs該当薬を所持する場合は香港衛生署への事前申請を検討

渡航当日の持ち物

  • ☐ 医薬品(すべて手荷物に入れて携行。預け荷物への入れ放しは厳禁)
  • ☐ 英文処方箋・診断書(手荷物に、原本)
  • ☐ 英文診断書のコピー(預け荷物にも別途保管し、万一の手荷物紛失に備える)
  • ☐ 薬品名・用量リスト(英語版、紙とスマートフォン両方で保管)
  • ☐ 処方医の連絡先(緊急時用、英語で記入)
  • 海外旅行保険の証書と緊急連絡先

帰国時の注意:香港で処方された薬を日本に持ち帰る場合

日本の規制との照合が必要

香港の医師から処方された薬を日本に持ち帰る際も、**日本の麻薬及び向精神薬取締法・薬機法(医薬品医療機器等法)**の規制が適用されます。以下の点に注意してください。

注意点 詳細
向精神薬の帰国時所持 日本でも処方箋なしの向精神薬所持は違法。香港で処方された向精神薬を持ち帰る場合は慎重に
麻薬の帰国 麻薬系薬剤を日本に持ち帰る際は厚生労働大臣の許可が別途必要
未承認薬に注意 香港で入手した薬が日本未承認成分を含む場合、薬機法違反となる可能性あり
未使用分の廃棄 余った薬は現地で適正廃棄するか、日本の薬局・病院に持参して適正廃棄を依頼する

最新情報の確認先と注意事項

公式情報源

重要な注意

医薬品の規制は法改正・条例改正により定期的に変更される可能性があります。本記事の情報は執筆時点のものであり、渡航前に必ず上記の公式サイトで最新規制を確認してください。特に規制成分リストの追加・変更については香港衛生署のウェブサイトで確認することを強く推奨します。


参考文献・法令・公的情報源

  1. Hong Kong Pharmacy and Poisons Ordinance (Cap. 138) https://www.elegislation.gov.hk/hk/cap138

  2. Hong Kong Dangerous Drugs Ordinance (Cap. 134) https://www.elegislation.gov.hk/hk/cap134

  3. Hong Kong Department of Health – Drug Office(医薬品輸出入に関する公式情報) https://www.drugoffice.gov.hk/

  4. 厚生労働省「医薬品・向精神薬の携帯輸出入手続きについて」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubutsu/index.html

  5. 国際連合薬物犯罪事務所(UNODC)「向精神薬に関する条約(1971年)」 https://www.unodc.org/unodc/en/commissions/CND/conventions.html

  6. WHO Model List of Essential Medicines(インスリン・鎮痛薬等の国際一般名参照) https://www.who.int/publications/i/item/WHO-MHP-HPS-EML-2023.02

  7. PMDA(医薬品医療機器総合機構)「医薬品の分類と規制に関する情報」 https://www.pmda.go.jp/


まとめ

香港への薬の持ち込みで重要なポイント:

✅ 持ち込み可能な医薬品(書類準備が前提)

  • 処方薬(医師の英文処方箋・診断書あり、INN記載推奨)
  • インスリン製剤・エピネフリン自己注射製剤・喘息吸入薬などの慢性疾患管理薬
  • 一般的な解熱鎮痛薬・胃腸薬(イブプロフェン・アセトアミノフェン等、成分確認後)
  • 血糖測定器・血圧計などの医療機器

❌ 持ち込み禁止・要注意成分

  • エフェドリン・プソイドエフェドリン含有薬(感冒薬・鼻炎薬)
  • トリアゾラムをはじめとするベンゾジアゼピン系薬剤(処方箋必須)
  • コデイン高用量含有製品(低用量は条件付き可)
  • メタドン・フェンタニル・モルヒネ等の強オピオイド(Dangerous Drugs規制、事前許可が必要な場合あり)
  • メチルフェニデート(ADHD治療薬、Dangerous Drugs規制)

📋 必須書類

  • 英文処方箋(INN記載)
  • 英文診断書・病歴サマリー
  • 薬品リスト(英語・滞在期間分の数量明記)

⚠️ 香港特有の注意点

  • Pharmacy and Poisons Ordinance Cap.138のPart 1毒薬規制
  • Dangerous Drugs Ordinance Cap.134による麻薬・向精神薬の二重規制
  • 「個人使用分(personal use)」の厳格な解釈(滞在日数に相当する量が目安)

渡航前に担当医師・薬剤師に相談し、必要な書類を整えた上で安全に渡航されることを願っています。


監修: 薬剤師(博士(薬学))

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免責事項:本記事は渡航者向けの医薬品情報提供を目的とした薬剤師監修コンテンツです。 診断・治療に関する判断は医師の診察を受けた上で行ってください。 最新の規制・感染症情報は外務省・厚生労働省・現地大使館の公式情報を必ずご確認ください。

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