ハワイに薬を持ち込む手順|FDA規制と医療大麻州法・処方箋ルールを薬剤師が解説

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ハワイ渡航者必見!医療用医薬品の持ち込みルールと事前準備ガイド

ハワイは日本人にとって人気の渡航先ですが、医療用医薬品・市販薬の持ち込みには米国の厳しい規制があります。慢性疾患の治療薬が必要な方、常備薬を持参したい方は特に注意が必要です。本記事では、薬剤師目線でハワイへの持ち込みルール、禁止成分、必要書類をわかりやすく解説します。

ハワイはアメリカ合衆国の州であり、日本の薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)ではなく、米国連邦法(Controlled Substances Act)・FDAの規制・CBP(米国税関・国境警察局)の運用基準が一括して適用されます。「日本で合法に処方された薬だから大丈夫」という認識は誤りであり、渡航前に必ず法規制を確認することが不可欠です。


ハワイ(米国)への薬の持ち込み基本ルール

処方薬持ち込みの大原則

米国への医療用医薬品の持ち込みは、本人の海外渡航用医療目的に限定されています。重要なのは以下の3点です。

  1. 本人専用であること:他人への使用・譲渡は厳禁
  2. 自分で使用する量(目安:渡航期間+予備として最大90日分程度まで):大量持ち込みは違反
  3. 医師の処方箋と英文診断書が必須:特に容器に医師名がない場合

米国税関・国境警察局(CBP)と食品医薬品局(FDA)の規制下にあるため、違反時は没収、罰則、さらに米国への入国拒否リスクもあります。

薬剤師メモ ハワイはアメリカの州であり、日本の「医薬品携帯許可制度」は適用されません。米国FDAの基準で判断されます。ホノルル国際空港(ダニエル・K・イノウエ国際空港)の税関検査は比較的厳格です。

90日分」の根拠と薬量計算の考え方

FDAのガイダンス(Personal Importation Policy)では、個人使用目的の医薬品持ち込みについて「3ヶ月分90日分)を超えない量」を目安として示しています。ただしこれはあくまで行政上の目安であり、法的上限ではない点に注意が必要です。実務上は以下の計算式を用います。

持ち込み量の目安計算:

  • 渡航日数 × 1日必要量 + 予備(渡航日数の10〜20%程度)
  • 例:14日間の渡航で1日1錠服用 → 14錠+予備3錠=17錠が適切

剤形(錠剤・カプセル・液剤・インスリン製剤等)によって「量の見た目」が大きく異なるため、液剤や注射薬は英文診断書への明記が特に重要です。インスリン製剤については針(注射針)も同時に持ち込みが必要なため、後述の書類準備でも特別な対応が求められます。

持ち込み禁止・制限される主な医薬品

以下の表は、特にハワイ渡航時に注意が必要な成分・医薬品です。

医薬品・成分 分類 理由・対策
麻薬性鎮痛薬(コデイン、オキシコドン、モルヒネ等) 持ち込み要事前確認 米国管制物質法(Schedule I〜V)で規制
向精神薬(ベンゾジアゼピン系抗不安薬、睡眠薬等) 要英文診断書・申告 トリアゾラム、フルニトラゼパム等は特に注意
漢方薬・生薬(麻黄含有製品) 持ち込み禁止 エフェドリン成分が規制対象
医療用点眼薬(抗生物質含有等) 要処方箋コピー 処方箋付きなら個人使用分は持ち込み可
医療用医薬品全般 要英文診断書 医師から「患者の治療目的」の証明が必要
一般用医薬品(OTC) 通常量なら持ち込み可 大量持ち込みは検査官の判断で制限される場合あり

薬剤師メモ 日本の「第二類医薬品」である栄養ドリンク(栄養補給目的)は、米国では「食品(dietary supplement)」扱いになる場合もあります。ただし大量持ち込みは検査官の疑念を招くため、必要最小限に留めてください。

向精神薬・麻薬性鎮痛薬の薬学的背景

ベンゾジアゼピン系薬(トリアゾラム、エチゾラム等)は、GABA-A受容体のベンゾジアゼピン結合部位に作用し、Cl⁻チャネルの開口頻度を増加させることで中枢抑制作用を発揮します。依存性・乱用リスクから、米国ではSchedule IVに分類されます。日本でよく処方されるエチゾラム(デパス等)は米国では連邦法上の規制薬物に指定されており、医師の処方があっても事前の当局への相談なしに大量持ち込みするのはリスクが高いです。

コデインリン酸塩は、体内でCYP2D6によりモルヒネに代謝される前駆体(プロドラッグ)です。米国ではSchedule IIまたはIIIに分類され、日本の医師処方であっても申告なしでの持ち込みは厳禁です。咳止め薬に配合されているケースもあるため、OTC咳止め薬を持ち込む際は成分表を必ず確認してください。


事前準備:必ず用意する書類

英文診断書(英文処方箋)の取得方法

持ち込み予定の処方薬がある場合は必須です。

書類 取得先 記載内容 料金目安
英文処方箋 処方元の医師 薬品名(商品名・一般名)、用量、用法、処方日 1,000〜3,000円
英文診断書 処方元の医師 診断病名、治療薬の必要性、用量、患者名・生年月日 2,000〜5,000円
処方箋原本コピー 薬局 医師の署名ある原本 無料〜500円

取得のステップ:

  1. 渡航予定日の1〜2週間前に医師に「ハワイ渡航予定」を告げる
  2. 「英文での処方箋・診断書が必要」と明確に依頼する
  3. 英文書類の原本とコピーを各2部ずつ用意する
  4. 薬局で処方薬を受け取る際に英文診断書の内容と薬の照合を確認する

書類の記載ポイント:

  • 患者フルネーム(パスポート記載名と完全一致させること)
  • 生年月日
  • 医師署名・医療機関スタンプ
  • 薬品の一般名(generic name)と商品名(brand name)の両方
  • "For personal use during travel to the United States"(米国渡航時の個人使用目的)の記載が理想的
  • インスリン注射や自己注射薬は「注射針も同時に携行する旨」の記載を追加

インスリン・注射薬・液剤の特別対応

インスリン製剤(速効型・持効型等)を携行する場合、以下の追加対応が必要です。

  • 携行量の制限:英文診断書に「insulin-dependent diabetes mellitus(インスリン依存性糖尿病)」の診断名と必要量を明記
  • 注射針(ペン型注射器用針):処方箋上に「insulin syringes/pen needles」として記載
  • 保冷対応:インスリンは2〜8℃保存が原則。機内持ち込み時は保冷パックと機内での取り扱い証明書(英文)も有効
  • 空港のX線検査:インスリンポンプ装着者はTSA(米国運輸保安局)に事前申告することで別途スクリーニング対応が可能

薬剤師メモ インスリンのX線照射については、TSAの現行ガイドラインでは「X線によるインスリン変性リスクは低い」とされていますが、不安な場合は口頭で検査官に申告し、手検査を依頼することができます。

持参する書類チェックリスト

  • 英文処方箋(原本1部、コピー1部)
  • 英文診断書(原本1部、コピー1部)
  • 医薬品の元の容器(ラベル・医師名が見える状態)
  • パスポート
  • 処方元医療機関の連絡先(可能であれば英語対応可の連絡先)
  • 健康保険証コピー
  • 海外旅行保険の証書(緊急連絡先記載のもの)
  • 注射薬使用者:注射器・針を含む記載のある英文診断書

薬剤師メモ オンライン診療でも英文診断書の取得は可能なケースがあります。渡航直前の取得になる場合は、メールやオンライン診療システムで医師に事前相談してください。書類取得に時間がかかる医療機関もあるため、渡航の2週間前を目安に依頼することを強く推奨します。


ハワイ特有の法規制:医療大麻(Medical Cannabis)との関係

ハワイ州の医療大麻法とその落とし穴

ハワイ州は医療大麻(Medical Cannabis)を州法上合法化しています(Hawaii Revised Statutes §329-121以降)。しかし、大麻(カンナビス)は米国連邦法(Controlled Substances Act)上、依然としてSchedule I薬物に分類されており、州法と連邦法の矛盾が存在します。

日本人渡航者にとって重要なのは以下の点です。

項目 内容
日本人がハワイ州の医療大麻を使用できるか ハワイ州の医療大麻カードを取得するには州の居住者登録が必要。観光客は原則対象外
CBD製品(カンナビジオール)の持ち込み THC含有量0.3%以下の hemp由来CBD製品は連邦法上合法だが、日本への持ち帰りは大麻取締法違反
日本からの大麻関連製品持ち込み 仮にCBD製品であっても、大麻草由来成分の持ち込みは日本の大麻取締法上問題となりうる
ハワイ滞在中の大麻使用 州法上の医療目的以外の使用は違法。観光客の娯楽目的使用は依然として違法

結論として、日本人渡航者は大麻・CBD関連製品の持ち込み・使用を一切行わないことが最も安全です。 ハワイ州内で販売されているCBD製品を購入し日本に持ち帰ることも、日本の大麻取締法に抵触する可能性があります。


ハワイ現地で市販薬を購入する場合

利用可能な薬局と医薬品

ハワイではCVS Pharmacy、Walgreens、Times Supermarkets内の薬局コーナーなどで一般医薬品が購入できます。

医薬品カテゴリ ハワイでの入手容易度 代表的な有効成分
解熱鎮痛薬 ★★★★★ アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン
整腸薬・止瀉薬 ★★★☆☆ ロペラミド塩酸塩、シメチコン
抗ヒスタミン薬(アレルギー・かゆみ) ★★★★★ ジフェンヒドラミン塩酸塩、セチリジン塩酸塩、ロラタジン
鼻炎薬(充血除去薬) ★★★★☆ フェニレフリン塩酸塩、オキシメタゾリン塩酸塩(点鼻薬)
胃酸中和薬・胃薬 ★★★★☆ 炭酸カルシウム(制酸薬)、ファモチジン、オメプラゾール(OTC)
便秘薬 ★★★☆☆ ポリエチレングリコール(酸化マグネシウム相当)、センノシド
咳止め・去痰薬 ★★★★☆ デキストロメトルファン臭化水素酸塩、グアイフェネシン

購入時の注意点:

  • 薬局スタッフ(薬剤師)に "I'm from Japan, can you help me find this medicine?(アイム フロム ジャパン、キャン ユー ヘルプ ミー ファインド ディス メディスン?)" と声をかけると丁寧に対応してもらえます
  • 成分表示(Drug Facts label)を必ず確認し、アセトアミノフェン重複摂取に注意(総合感冒薬にも含まれることが多い)
  • 処方箋不要(OTC)の医薬品に限定する
  • クレジットカード・現金どちらでも購入可能

アセトアミノフェンの過剰摂取リスク:薬学的解説

米国のOTC医薬品にはアセトアミノフェン(acetaminophenアセトアミノフェン)が非常に多くの製品に配合されています。解熱鎮痛薬・総合感冒薬・睡眠補助薬・PM(夜間用)処方など、製品ラベルをよく見ると多くに含まれています。

アセトアミノフェンは主に肝臓でグルクロン酸抱合・硫酸抱合により代謝されますが、過剰摂取時はCYP2E1・CYP3A4を介してNAPQI(N-アセチル-p-ベンゾキノンイミン)という毒性代謝産物が生成され、肝細胞障害を引き起こします。

成人の1日上限量は4,000mg(肝機能正常者の場合) ですが、飲酒習慣のある方・高齢者では2,000mg以下が推奨されます。旅行中は複数の製品を重複使用するリスクが高まるため、必ず各製品のDrug Facts labelでアセトアミノフェン量を確認してください。

日本から持ち込むべき常備薬

処方薬以外で、日本から持ち込むと安心な市販薬の例を以下に示します。商品名は参考として記載しますが、必ず出発前に成分を確認してください。

医薬品の種類 有効成分(一般名)の例 携行の理由
総合感冒薬 アセトアミノフェン、クロルフェニラミンマレイン酸塩等 旅行中の突然の風邪・鼻炎に対応
整腸薬 乳酸菌(ビフィズス菌)、ビタミンB群等 現地の水・食事の違いによる腸トラブル予防
外用薬(軟膏) ジフェンヒドラミン塩酸塩、デキサメタゾン酢酸エステル等 虫刺され・かぶれ
消炎鎮痛テープ ロキソプロフェンナトリウム水和物等 筋肉疲労・捻挫
サプリメント・ビタミン剤 ビタミンC、ビタミンB群等 時差・食事変化への対応
下痢止め ロペラミド塩酸塩等 感染性腸炎・旅行者下痢症

薬剤師メモ 市販購入した日本の医薬品も、米国では「自己治療用一般医薬品(OTC)」として認識され、通常量であれば問題ありません。ただし、成分にコデインリン酸塩やエフェドリン、プソイドエフェドリンが含まれる製品は持ち込み前に成分確認が必須です。現在日本で販売されているOTC咳止め薬の一部にはジヒドロコデインリン酸塩が配合されているものがあり、これらは申告が必要となる場合があります。


空港検査での流れと対応

出発地(成田・羽田・関西等)での検査

日本側の税関は、医薬品の持ち込みについて比較的寛容です。

  • 医薬品は通常「医療用品」として申告対象
  • 英文診断書があれば「問題なし」と判断されることが多い
  • X線検査で医薬品の容器は通常スルー

対応のポイント:

  1. 医薬品を別個のポーチにまとめておく
  2. 税関申告書で「医療用医薬品あり」にチェック
  3. 聞かれたら英文診断書を即座に提示する

機内持ち込みと預け入れの使い分け:

医薬品の種類 推奨する荷物の区分 理由
液剤・点眼薬・シロップ 機内持ち込み100ml以下、保安検査通過時に申告) 紛失・盗難リスク低減、温度管理
錠剤・カプセル 機内持ち込み推奨 荷物紛失時の対応のため
インスリン・注射薬 必ず機内持ち込み 温度変化・紛失リスク
大量の予備錠剤 預け入れ荷物に分散保管 機内持ち込みの量制限対応

ホノルル国際空港での検査(重要!)

米国側の検査が厳格です。以下を準備してください。

場面 対応
入国審査前(税関・農業検査) 医薬品を一つにまとめ、元の容器のラベルが見える状態で提示
医薬品について質問された場合 英文診断書・処方箋を即座に提示し、落ち着いて説明
処方薬の場合の説明 簡潔に処方された薬であることを伝える
没収リスクが生じた場合 異議申し立ては慎重に。重要薬は予備を預け荷物に分散保管

英語での説明例(カタカナ発音付き):

"These medicines are prescribed by my doctor in Japan." (ジーズ メディスンズ アー プレスクライブド バイ マイ ドクター イン ジャパン。)

"I have a medical certificate and prescription in English." (アイ ハヴ ア メディカル サーティフィケット アンド プレスクリプション イン イングリッシュ。)

"This is for my personal use during my stay in Hawaii." (ディス イズ フォー マイ パーソナル ユース デュアリング マイ ステイ イン ハワイ。)

薬剤師メモ ホノルル国際空港のCBP職員は医薬品の知識が限定的な場合があります。「処方薬(prescribed)」「医師指示(doctor's order)」「個人用(personal use)」の3点を繰り返し説明することが重要です。感情的にならず、丁寧かつ落ち着いた態度で対応してください。


ハワイ現地での医療・処方薬入手

急病時の対応

症状の程度 対応先 海外旅行保険との関係
軽微な症状(軽度の風邪・頭痛等) 薬局の薬剤師への相談(Pharmacy Consultation) 通常は自費(処方なし)
中程度(38℃超の発熱、持続する下痢・嘔吐等) ウォークイン・クリニック(Urgent Care Center) 海外旅行保険で対応可(要事前確認)
重篤(胸痛、意識障害、重篤なアレルギー反応等) 911番通報 → 病院救急(ER) 海外旅行保険で対応可(要事前確認)

ハワイで利用できる主要薬局チェーン:

  • CVS Pharmacy:ワイキキエリアに複数店舗あり、24時間営業店舗も存在
  • Walgreens:アラモアナ・カカアコエリアに展開
  • Times Supermarkets内薬局コーナー:地元住民も利用するスーパー系薬局

旅行者下痢症(Traveler's Diarrhea)への薬学的対応

ハワイでも、気候・食事・飲料水の違いにより消化器トラブルが生じることがあります。旅行者下痢症の主な原因は腸管毒素産生性大腸菌(ETEC)をはじめとする細菌性・ウイルス性病原体です。

OTCでの対応薬(有効成分ベース):

症状 推奨される有効成分(一般名) 注意点
急性下痢の止瀉 ロペラミド塩酸塩 発熱・血便を伴う場合は使用を控え医師へ
腹部膨満・ガス シメチコン OTCで安全に使用可
電解質補給 経口補水塩(ORS:塩化ナトリウム+ブドウ糖等) 脱水予防に最重要。現地薬局・スーパーで入手可
吐き気 ジメンヒドリナート(乗り物酔い薬兼用) 眠気に注意

発熱(38.5℃以上)・血性下痢・持続する嘔吐・重度の脱水が見られる場合は、OTC治療にとどまらずUrgent Careを受診してください。

処方薬が必要になった場合

  1. ウォークイン・クリニック(Urgent Care Center) で診察を受ける
  2. 米国の医師の処方箋(Rx) をもらう
  3. 現地薬局でジェネリック医薬品を中心に調剤してもらう
  4. 海外旅行保険で診察費・薬剤費を請求(領収書・処方箋・診察記録を必ず保管)

薬剤師メモ 海外旅行保険の「医療費補償」は通常、処方薬の実費分も対象に含まれます。ただし保険会社・プランによって補償上限・対象外医薬品が異なるため、渡航前に保険証書の「医療費補償」欄を必ず確認してください。


よくある質問・トラブル事例

Q1. 漢方薬は持ち込める?

A. 麻黄(まおう)・エフェドリン含有製品( 葛根湯 🛒、麻黄湯、防風通聖散等の一部)は持ち込みに注意が必要です。エフェドリン・プソイドエフェドリンは米国の管制物質規制の対象成分であり、一定量以上の携行は規制対象となります。それ以外の漢方薬(補中益気湯、六君子湯等)は通常問題ありませんが、大量持ち込みは検査官の裁量で確認対象となる場合があります。英文成分表(ingredients list)を事前に準備することを推奨します。

Q2. 医療用ビタミン注射液は持ち込める?

A. 医療用医薬品扱いのビタミン注射液(ビタミンB12注射等)は英文診断書が必須です。注射薬の個人携行は「自己注射」が医師により指示されている場合に限定され、英文診断書への「self-injection authorized by physician」の記載が求められます。現地での入手が困難な医薬品は持ち込みが認められやすい一方、美容目的の注射薬は医師の治療目的に該当しない場合があります。

Q3. 禁止成分だと気づかずに持ち込もうとした場合は?

A. 税関で確認・没収される可能性があります。その場合は 「I was not aware this was restricted.(アイ ワズ ノット アウェア ディス ワズ リストリクテッド)」 と素直に対応してください。意図的な密輸でなく少量であれば、通常は没収のみで入国が許可されるケースが多いとされていますが、対応は個別の状況・検査官の判断によります。隠蔽行為や虚偽申告は重大なリスクを伴うため、絶対に行わないでください。

Q4. 市販薬を友人へのお土産として渡したい

A. 米国の規制上、医薬品の第三者への譲渡は厳禁です。日本から購入した市販薬を友人に渡す行為は、個人輸入・販売の規制に抵触する可能性があります。サプリメント(食品扱い)は別途確認が必要ですが、医薬品のお土産は控えてください。

Q5. オンライン処方箋(テレメディスン処方)はハワイで有効?

A. ハワイ州内の医師が発行したテレメディスン処方箋は、現地薬局で有効です。ただし、日本の医師が発行した処方箋を米国の薬局でそのまま調剤してもらうことはできません(日米間の処方箋の互換性はない)。ハワイ渡航中に薬が必要になった場合は、現地のUrgent Careまたはテレメディスンサービス(ハワイ州内の医師によるもの)を利用してください。

Q6. 常用薬を機内で服用するタイミングは?

A. 時差は日本とハワイで約19〜20時間(ハワイ標準時はUTC-10)です。服薬間隔が厳密に定められた薬(抗てんかん薬・免疫抑制薬・HIV治療薬等)については、時差調整の方法について渡航前に主治医・担当薬剤師に必ず相談してください。CYP3A4代謝を受ける薬剤(一部の免疫抑制薬・抗HIV薬等)は、グレープフルーツジュース(多くの機内食・現地で提供される)との相互作用にも注意が必要です。グレープフルーツに含まれるフラノクマリン類はCYP3A4を不可逆的に阻害し、血中濃度を予期せず上昇させる可能性があります。


薬剤師が教える:渡航前の薬の管理とパッキングのコツ

安全なパッキング方法

ポイント 具体的な対応
元の容器を使用する ラベル(医師名・患者名・薬品名)が読める元の薬袋・PTPシートをそのまま携行
一箇所にまとめる 医薬品専用のポーチ(透明チャック袋が理想)にまとめ、即座に提示できるようにする
書類と薬を対応させる 英文診断書と対応する薬をセットにして保管
予備を分散する 1週間以上の渡航では必要量の110〜120%を用意し、機内持ち込みと預け入れに分散
温度管理が必要な薬 インスリン・坐剤等は保冷パックに入れ、機内持ち込みを徹底

渡航前の薬剤師相談を活用する

多くの薬局では、海外渡航前の服薬指導・英文診断書作成支援サービスを提供しています(かかりつけ薬局に要確認)。渡航2週間前を目安に以下を相談してください。

  • 持ち込み可否の確認(管制物質・規制成分チェック)
  • 服薬タイミングの時差調整
  • 持参量の計算
  • 現地での代替薬の情報提供
  • 英文薬剤情報提供書(薬の説明を英文で記したもの)の作成依頼

参考文献

  1. U.S. Food and Drug Administration (FDA). "Traveling Abroad with Medicine." https://www.fda.gov/consumers/consumer-updates/traveling-abroad-medicine

  2. U.S. Customs and Border Protection (CBP). "Bringing Medication into the United States." https://www.cbp.gov/travel/us-citizens/know-before-you-go/prohibited-and-restricted-items

  3. Drug Enforcement Administration (DEA). "Controlled Substance Schedules." https://www.dea.gov/drug-information/drug-scheduling

  4. Hawaii State Department of Health. "Medical Cannabis Registry Program." https://health.hawaii.gov/medicalcannabis/

  5. 厚生労働省. 「医薬品等の海外持ち出し・海外からの持ち込みについて」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/index_00004.html

  6. Transportation Security Administration (TSA). "Medications." https://www.tsa.gov/travel/security-screening/whatcanibring/items/medications

  7. Centers for Disease Control and Prevention (CDC). "Travelers' Diarrhea." https://wwwnc.cdc.gov/travel/page/travelers-diarrhea


監修: 薬剤師(博士(薬学))

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