韓国に薬を持ち込む手順|MFDS規制とハクパスポート申告を薬剤師が解説

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  1. 0:18持ち込み量の基本ルール
  2. 0:56注意が必要な成分
  3. 1:54必要な書類と準備
  4. 2:29税関での申告と現地対応

韓国への薬の持ち込みルール完全ガイド|薬剤師が解説する最新情報

海外渡航時の悩みの一つが「普段服用している薬を持ち込めるか」という問題です。韓国への旅行や出張で、風邪薬から処方薬まで医薬品を持ち込む際のルールは複雑で、誤解も多くあります。本記事では薬剤師の視点から、韓国の薬事規制当局である食品医薬品安全処(Ministry of Food and Drug Safety: MFDS)に基づいた持ち込みルール、禁止成分の薬学的背景、必要書類の準備手順をわかりやすく解説します。

韓国は日本から最も近い外国のひとつであり、観光・ビジネス・留学を合わせると年間数百万人規模の日本人が訪れる国です。渡航先として身近なぶん、「少しくらい大丈夫だろう」という油断が生じやすい側面もあります。しかし韓国の税関当局(Korea Customs Service)は医薬品に関する検査体制を年々強化しており、規制成分を申告なしに持ち込もうとした場合、没収・罰則の対象となる可能性があります。旅行や出張を安全に楽しむためにも、正しい知識を身につけておきましょう。


韓国への薬の持ち込み基本ルール

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持ち込み可能な数量と日数

韓国への医薬品持ち込みで最初に押さえるべき基準は「個人使用に限定される分量」です。韓国のMFDSおよび関税法(관세법)の運用において、個人が自己使用する目的で海外から持ち込む医薬品は、一定量まで輸入許可なしに認められています。この「個人使用の範囲」を超えると、商業目的の輸入とみなされ、輸入許可が必要になるか、最悪の場合は没収処分となります。

薬のカテゴリ 持ち込み可否 数量の目安 備考
処方薬(医師から処方) ◎ 可能 30日分程度 英文処方箋があると望ましい
市販薬(風邪薬など) ◎ 可能 1ヶ月分 家庭用常備薬は1種類1個程度
医療用医薬品 △ 要確認 制限あり 事前に韓国大使館に相談
医薬部外品・サプリメント ◎ 可能 2ヶ月分程度 配合成分に注意が必要

重要ポイント: 韓国税関は「個人が通常使用する範囲」を厳格に判定します。複数種類を大量に持ち込むことは販売目的と判断される恐れがあり、没収や入国拒否の可能性があります。

30日分」という目安は単独では成立せず、あくまでも滞在日数・疾患の重症度・薬剤の種類によって総合判断されます。たとえば長期出張で45日間滞在するのであれば、45日分程度は個人使用として合理的と判断される可能性があります。一方、3泊4日の旅行に30日分の処方薬を持参するのは不釣り合いと判断されうるため、滞在日数+数日分の余裕を基本にするとよいでしょう。

また「1種類1個」という市販薬の目安は、まったく同じ製品を複数個持ち込まないという意味です。たとえば解熱鎮痛薬・胃腸薬・目薬・花粉症薬をそれぞれ1パックずつ持参することは通常問題になりません。しかし同一製品を5箱・10本など複数個持ち込む場合は、転売目的と疑われるリスクがあります。

薬剤師メモ

韓国のMFDSによると、個人使用量の基準は滞在日数が目安です。例えば1週間の滞在なら7日分が合理的範囲。10日以上持ち込む場合は医師の診断証明書があるとスムーズです。渡航期間が長い場合や、複数の慢性疾患治療薬を持参する場合は、書類を丁寧に揃えることで現場での裁量判断をスムーズにすることができます。


韓国で禁止・規制されている医薬品成分

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処方箋医薬品と禁止成分

韓国では日本で一般的に使われている成分でも禁止・規制されているものが複数あります。これは韓国の薬事法(약사법)、麻薬類管理に関する法律(마약류 관리에 관한 법률)によって規定されており、違反した場合は関税法違反・薬事法違反のいずれかまたは両方が問われる可能性があります。

成分名 含まれる一般的な薬 韓国での状況 対応
スマトリプタン 片頭痛治療薬(成分名で確認) 医療用医薬品(処方限定) 医師診断証明書必須
トラマドール 鎮痛薬(成分名: トラマドール塩酸塩) 向精神薬リスト対象 持ち込み禁止
フェノバルビタール 睡眠薬・抗けいれん薬 規制物質 持ち込み禁止
リスペリドン 抗精神病薬 処方限定 医師診断証明書+量制限
フルニトラゼパム 睡眠薬(成分名で確認) 違法薬物扱い 絶対に持ち込み禁止
エフェドリン 総合感冒薬・気管支喘息薬の一部 制限物質 医師証明書があれば可(目安15日分程度)
ジアゼパム 抗不安薬・睡眠補助薬 向精神薬(規制対象) 処方箋+量制限の上で要申告
コデインリン酸塩 鎮咳薬・鎮痛補助薬 少量は認可内、高用量は制限 処方箋+申告が必要

各禁止・規制成分の薬学的背景

薬剤師として重要なのは、「なぜその成分が規制されているか」という薬学的根拠を理解することです。規制の理由を知っておくと、代替薬の選択や税関でのコミュニケーションにも役立ちます。

トラマドール塩酸塩は中枢性の鎮痛薬で、μ(ミュー)オピオイド受容体への部分作動作用とノルエピネフリン・セロトニン再取り込み阻害作用を併せ持ちます。依存形成リスクがあることから、韓国では「마약류」(麻薬類)として厳格に管理されています。日本でも麻薬及び向精神薬取締法の規制対象(向精神薬)に指定されており、持ち出しに際しても日本側の手続きが必要です。

フルニトラゼパムはベンゾジアゼピン系の超強力な催眠薬で、通常の睡眠薬の約10倍の力価を持ちます。欧米では乱用薬物(「デートレイプドラッグ」)として悪名が高く、韓国でも事実上の禁止物質として扱われています。日本国内でも処方が厳しく制限されていますが、少数の患者が今も処方されているため、渡航前には必ず担当医に相談してください。代替薬として、より安全プロファイルを持つ他のベンゾジアゼピン系薬(トリアゾラム、ニトラゼパムなど)への変更を検討する価値があります。

エフェドリン・プソイドエフェドリンはアドレナリン作動薬で、鼻づまりや気管支喘息に使われてきた成分です。しかし覚醒剤(メタンフェタミン)の前駆物質として利用できることから、国連の1988年麻薬・向精神薬の不正取引防止条約(ウィーン条約)の附表でも前駆化学物質として管理されています。韓国では輸入時の制限量が非常に厳しく、総合感冒薬に微量含まれている場合でも要申告と覚えておきましょう。

コデインリン酸塩はモルヒネの前駆体(プロドラッグ)であり、体内でCYP2D6酵素により一部がモルヒネに代謝されます。日本では鎮咳薬として広く使われていますが、韓国では含有量に応じた規制があります。少量(OTC製剤程度)であれば携帯申告のうえ持ち込める場合が多いですが、高用量の鎮痛目的処方では制限されます。

ジアゼパムはベンゾジアゼピン系抗不安薬の代表格で、GABA-A受容体のベンゾジアゼピン結合部位に作用します。依存性・乱用可能性から韓国では向精神薬として規制されており、医師の診断証明書と処方箋があれば一定量(目安として短期渡航分)の携帯が認められますが、必ず申告が必要です。

要注意:一般用医薬品の中の危険な成分

以下の成分は市販薬に含まれていることがあり、気づかずに持ち込むと問題になるケースが多いです。商品名だけでなく、必ず成分名(一般名)で確認してください。

  • 麻黄(マオウ)エキス・エフェドリン類: 漢方成分含有の感冒薬や防風通聖散などの漢方製剤に含まれることがある。韓国ではダイエット薬の原料として違法使用された歴史があり、規制が厳しい。
  • ジヒドロコデインリン酸塩: 鎮咳薬に含まれるオピオイド系成分。日本のOTC鎮咳薬に含まれる製剤は少量のため多くの場合は申告のうえ持ち込めるが、高用量処方薬は別扱い。
  • 塩酸ジフェンヒドラミン(睡眠補助目的高用量): 第一世代抗ヒスタミン薬で、OTCの一部製品では睡眠補助目的で使用される。通常量の抗ヒスタミン薬(花粉症薬など)は問題になりにくいが、高用量で睡眠薬的に使われる製剤は確認が必要。
  • ブロムワレリル尿素(ブロムバレリル尿素): 鎮静成分として古くから日本の市販鎮痛補助薬に配合されてきたが、依存性・乱用可能性から規制が強まっている。含有製品は渡航前に成分確認を。

薬剤師メモ

特に注意したいのが「漢方・生薬系製品」です。麻黄配合製剤( 葛根湯 🛒・防風通聖散など)は見た目は安全そうでも、韓国ではエフェドリン類の規制に抵触する可能性があります。また、中医学系のサプリメントや健康食品にも麻黄エキスが含まれている場合があるため、成分表示を英訳して事前確認することを強くお勧めします。「天然由来だから安全」という思い込みは危険です。


韓国に持ち込む際に必要な書類

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英文処方箋・医師診断証明書の準備

処方薬を持ち込む場合、以下の書類があると税関検査がスムーズです。渡航の1〜2週間前に医師に相談してください。 特に定期処方を受けている慢性疾患患者(高血圧・糖尿病・精神疾患・てんかんなど)は、書類準備が必須と考えてください。

書類種類 必要性 入手方法 有効期間の目安
英文処方箋 △ 推奨 かかりつけ医に依頼(費用は医療機関による) 発行から3ヶ月程度
英文診断証明書 ○ 強く推奨 医師に依頼(費用は医療機関による) 発行から6ヶ月程度
お薬手帳(英訳版) △ 補助的 薬局で翻訳依頼可 常に最新版
医薬品の成分表示(英文) ◎ ほぼ必須 薬局から入手またはPMDAサイトで確認 常に有効
海外渡航用携帯証明書(麻薬類) ◎ 麻薬類は必須 都道府県の薬務主管課に申請 渡航期間中のみ有効

麻薬・向精神薬の特別手続き:海外渡航用携帯証明書

コデインリン酸塩・ジアゼパム・ブロマゼパム・アルプラゾラムなど、麻薬及び向精神薬取締法の規制対象成分を含む薬を携帯して出国する場合、日本側で「海外渡航用携帯証明書」を取得する義務があります。

手続きの流れ:

  1. 担当医に英文処方箋・英文診断証明書を発行してもらう
  2. 在住都道府県の薬務主管課(麻薬担当窓口)に申請書と処方箋を提出
  3. 審査後、証明書が発行される(通常1〜2週間程度)
  4. 出国時・入国時に税関で提示

渡航直前の申請では間に合わない場合があります。 余裕をもって2〜3週間前には手続きを開始してください。この証明書は韓国入国時にも税関職員に見せることで、申告手続きがスムーズになります。

英文処方箋に含めるべき情報

医師から取得する英文書類には、以下の情報を必ず含めてもらいましょう。

Prescription / Medical Certificate

Patient Name: [氏名のローマ字]
Date of Birth: [生年月日]
Diagnosis: [病名(英語)]
Medication: [薬品の一般名(英語)] [規格]
Dosage and Administration: [1回量] [投与回路/日]
Treatment Duration: [日数]
Purpose of Travel: Travel to Republic of Korea
Prescribing Physician: [医師氏名], MD
Medical License No.: [医籍番号]
Hospital/Clinic: [医療機関名・住所]
Date of Issue: [発行日]
Signature and Stamp: [署名・印]

病院によっては「海外旅行用処方箋証明書」という定型書式を用意していることもありますので、受付窓口で確認してみてください。

持ち込み前のチェックリスト

渡航1週間前に以下を確認してください:

  • 持ち込む全医薬品を紙にリストアップ(成分名・規格・数量)
  • 各薬の成分名を英文で把握(薬局またはPMDAの添付文書で確認)
  • 禁止成分リストとの照合(韓国MFDS・外務省サイトを参照)
  • 滞在日数に合わせた数量に調整(目安:滞在日数+数日分の余裕)
  • 処方薬は英文処方箋・英文診断証明書を取得
  • 麻薬・向精神薬は海外渡航用携帯証明書を取得
  • 医薬品を必ず原容器・原箱に入れたまま持参
  • パッケージ(外箱)・添付文書は捨てない
  • 漢方・サプリメントの成分表示を英訳して確認済み
  • 医薬品リストの写真をスマートフォンに保存しておく

薬剤師メモ

最大の落とし穴は「原容器から出して持ち込む」ことです。ジップロック袋に入れ替えたり、ピルケースにまとめる行為は、密輸を疑われる原因になります。必ず薬局から受け取った状態のまま税関申告に臨んでください。複数の薬を同じポーチにまとめる場合も、それぞれの箱・袋・添付文書を一緒に保管するのがベストです。スーツケースの奥に隠す必要はなく、機内持ち込み手荷物の取り出しやすい場所に入れておくとスムーズです。


税関での申告手続きと実際の流れ

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仁川空港での医薬品申告方法

韓国への入国時、以下の流れで医薬品を申告します。仁川国際空港(인천국제공항)は第1・第2ターミナルともに税関検査レーンが整備されており、医薬品専担窓口が設けられています。

ステップ1:入国申告書の記入

  • 医薬品を持参している場合、入国申告書の「申告品目あり」の欄にチェックを入れます。
  • 申告書には医薬品名(英語成分名)と数量を簡潔に記載します。
  • 日本語の薬品名しか分からない場合でも、まず申告書に記載しておくことが重要です。

ステップ2:税関検査レーンの選択

  • 「申告あり(有申告)」レーンを通過します。
  • 医薬品のみであれば、通常の申告レーンで対応してもらえます。

ステップ3:検査官への説明

税関職員に対して以下の英語表現が役立ちます:

I have prescription medications to declare.(アイ ハヴ プリスクリプション メディケーションズ トゥ ディクレア) → 「申告する処方薬があります。」

Here is my prescription from my doctor in Japan.(ヒア イズ マイ プリスクリプション フロム マイ ドクター イン ジャパン) → 「日本の医師からの処方箋がこちらです。」

These are all for personal use only.(ジーズ アー オール フォー パーソナル ユース オンリー) → 「これらはすべて個人使用のためのものです。」

ステップ4:検査の結果

判定 内容 対応
許可(통과) 問題なし。スタンプが押され持ち込み可 そのまま入国
保留(보류) 成分確認中。出国時に返却される場合がある 受取証を必ず保管
没収(압수) 規制成分と判定。返却なし 帰国後に処方医へ報告

仁川国際空港以外の入国経路

釜山の金海国際空港(김해국제공항)や済州国際空港(제주국제공항)でも医薬品の申告手続きは同様です。ただし地方空港では英語対応の検査官が少ない場合があります。英文書類の準備がより重要になりますので、書類を整えて入国することを強く推奨します。

フェリー(下関〜釜山など)で入国する場合も、船内の税関申告書に同様の記載が必要です。

よくある質問と回答

Q A
申告しなかったらバレますか? X線検査で医薬品は容易に検出されます。申告しないと没収・罰則の対象となる可能性があります。
申告すれば必ず通れますか? 申告は義務であり通過を保証するものではありません。ただし申告した上での検査は誠実な手続きとして扱われます。
帰国時は? 日本への帰国時も申告が必要です。日本も医薬品持ち込みルールがあります。
オンライン事前申告できる? 韓国入国時の医薬品申告は現状、現地申告が基本です。最新情報はMFDS公式サイトで確認してください。
没収された薬の代替品は現地で買えますか? 一般的な医薬品は韓国の薬局・病院で入手できます。ただし規制品の代替が難しい場合もあります。

薬物相互作用と副作用:渡航中に気をつける薬学的ポイント

薬の持ち込み可否だけでなく、渡航中の服薬管理も重要です。日常と異なる環境(気温・食事・時差・活動量)が薬の効果や副作用に影響することがあります。

時差と服薬タイミング

韓国と日本の時差は約0〜1時間(夏時間の有無による)と非常に小さいため、多くの薬では服薬タイミングの調整は不要です。ただし**血糖降下薬(インスリン・スルホニル尿素系など)や抗凝固薬(ワルファリンなど)**は食事内容や活動量の変化に敏感です。渡航中の食事が大きく変わる場合(韓国料理は塩分・脂質が豊富)は、主治医に事前相談をしておくと安心です。

ワルファリンを服用中の方は特に注意が必要です。韓国料理にはビタミンKを豊富に含む葉物野菜や発酵食品(キムチなど)が多く使われます。ビタミンKはワルファリンの効果を減弱させる可能性があるため、食事内容が大幅に変わる渡航ではINR(国際標準比)の変動に注意してください。

暑さ・脱水と薬の相互作用

韓国の夏季(6〜8月)は高温多湿で、脱水リスクがあります。以下の薬を服用中の方は特に注意してください:

  • 利尿薬(フロセミド・ヒドロクロロチアジドなど): 脱水時に低ナトリウム血症・低カリウム血症を引き起こしやすくなります。
  • ACE阻害薬・ARB(レニン・アンジオテンシン系阻害薬): 脱水状態では腎機能への影響が出やすくなります。
  • NSAIDs(イブプロフェン・ロキソプロフェンなど): 脱水+NSAIDs併用は急性腎障害のリスク因子となります。長時間の観光や野外活動の際は、こまめな水分補給が重要です。

食物・飲料との相互作用

韓国での食事で注意すべき代表的な相互作用:

薬剤(成分名) 注意すべき食品・飲料 相互作用の概要
ワルファリン キムチ・ほうれん草・海苔 ビタミンKによる効果減弱
スタチン系(シンバスタチン等一部) グレープフルーツジュース CYP3A4阻害による血中濃度上昇
シルデナフィル(勃起不全治療薬) アルコール 血圧低下作用の増強
メトロニダゾール・ジスルフィラム アルコール全般 ジスルフィラム様反応(嘔吐・動悸)のリスク
テトラサイクリン系抗菌薬 乳製品(カルシウム) キレート形成による吸収阻害
ビスホスホネート系(アレンドロン酸等) 食事全般(食後服用禁止) 吸収率の著しい低下

特にグレープフルーツ(ポメロ)ジュースはCYP3A4を強く阻害し、スタチン系(シンバスタチン・アトルバスタチンの一部)・カルシウム拮抗薬・免疫抑制薬などの血中濃度を上昇させます。韓国でもグレープフルーツ系のジュースや果実は入手でき、渡航中に意識せず摂取する可能性があります。服用薬の説明書を事前に確認しておきましょう。

薬剤師メモ

薬と食事・飲料の相互作用は「渡航先」に限らず注意が必要ですが、旅行中は普段と異なる食事をとる機会が多いため相互作用のリスクが高まりやすいです。特にアルコールを伴う会食が多い出張の場合は、抗菌薬・抗不安薬・睡眠薬・糖尿病治療薬を服用中の方は担当薬剤師に確認を取っておくと安心です。


韓国で医薬品が必要な場合の対応

現地での医薬品入手方法

万が一、持ち込んだ薬が没収されたり、不足した場合の対応:

施設 入手可能な医薬品 言語対応 費用の目安
薬局(약국) 一般用医薬品・処方薬(処方箋で) 英語表記あり 日本の1〜2倍程度
病院(병원) 診察+処方薬 大病院は英語可 診察料+薬代
ドラッグストア・マート 栄養剤・ビタミン剤など(医薬品は薬局限定) 限定的 比較的安い

薬剤師メモ

韓国は「의약분업(医薬分業制度)」を採用しており、医師が処方した薬は院外薬局で調剤されます。病院近くには必ず薬局があります。OTC(一般用医薬品)は薬局(약국)でのみ販売が認められており、コンビニやスーパーでは医薬品の販売は原則行われていません。英語対応薬剤師がいる薬局はソウル市内の明洞・江南・弘大エリアに比較的多い傾向がありますが、薬局によって対応が異なります。

韓国で一般的に入手できる主なOTC成分

以下は韓国の薬局でOTCとして入手できる代表的な有効成分です(製品名ではなく成分名で記載):

  • アセトアミノフェン(타이레놀などの成分名として): 解熱鎮痛薬
  • イブプロフェン: 解熱鎮痛・抗炎症薬
  • ロラタジン: 抗ヒスタミン薬(花粉症・じんましん)
  • セチリジン塩酸塩: 抗ヒスタミン薬
  • オメプラゾール: プロトンポンプ阻害薬(胃酸抑制)
  • ビサコジル・酸化マグネシウム: 便秘薬
  • ロペラミド塩酸塩: 止瀉薬

ただし、韓国語表記の製品がほとんどであるため、薬剤師に**成分名(英語の一般名)**を伝えて探してもらうのが確実です。

現地薬局で使える英語表現

I need a painkiller for headache.(アイ ニード ア ペインキラー フォー ヘッドエイク) → 「頭痛に効く鎮痛薬が欲しいです。」

I'm looking for antihistamine tablets.(アイム ルッキング フォー アンタイヒスタミン タブレッツ) → 「抗ヒスタミン薬の錠剤を探しています。」

Do you have anything for an upset stomach?(ドゥ ユー ハヴ エニシング フォー アン アプセット ストマック?) → 「胃の不調に効く薬はありますか?」

I'm allergic to aspirin. Can you suggest an alternative?(アイム アラジック トゥ アスピリン。キャン ユー サジェスト アン オルタネイティブ?) → 「アスピリンアレルギーがあります。代替品を提案してもらえますか?」

観光客向けサポート情報

  • Korea Tourism Organization (KTO) 観光ホットライン: 1330番(日本語対応あり)→ 医療施設案内・通訳手配
  • 在韓日本国大使館: ソウル(02-2170-5200)→ 緊急時の邦人支援
  • ソウル医療センター 外国人患者センター: 多言語対応
  • 医療通訳サービス: 大病院(三星ソウル病院・セブランス病院・ソウル大学病院など)は国際診療センターで通訳対応

日本帰国時の注意点

韓国から日本へ帰国する際にも、医薬品の持ち込みルールがあります。渡航中に韓国の薬局で購入した医薬品を日本に持ち帰る際は、以下を確認してください。

日本への持ち込み制限

日本へ個人輸入の範囲で医薬品を持ち込む場合の目安:

品目 持ち込み可能量(目安) 備考
一般用医薬品(外用薬含む) 2ヶ月分以内 個人使用分として
処方薬 1ヶ月分以内 医師の処方がある場合
毒薬・劇薬指定品 要確認 厚生労働省への事前確認が必要
麻薬・向精神薬 原則持ち込み禁止 例外的に携帯証明書が必要

韓国で人気の美容・健康系サプリメントには、日本で承認されていない成分が含まれている場合があります。胎盤エキス(プラセンタ)注射液・未承認成長ホルモン製剤などは、日本への持ち込みが薬機法上問題となる場合があるため、購入前に確認してください。


最新情報の確認先

ルールは変更される可能性があるため、渡航前に以下で最新情報を確認してください:

機関 確認内容 URL/連絡先
韓国MFDS(식품의약품안전처) 禁止成分・医薬品規定 www.mfds.go.kr(英語版あり)
外務省ホームページ 韓国の法令・注意事項 www.mofa.go.jp
在韓日本国大使館 医療・生活情報 kr.emb-japan.go.jp
厚生労働省 日本の持ち出しルール・海外渡航用携帯証明書 www.mhlw.go.jp
PMDA(医薬品医療機器総合機構) 添付文書・成分情報検索 www.pmda.go.jp

まとめ

韓国への医薬品持ち込みで押さえるべき要点:

持ち込み可能数量

  • 個人使用分として「滞在日数分+数日の余裕」が合理的範囲
  • 複数種類・大量持ち込みは販売目的と判定されるリスクがある

禁止・規制成分に注意

  • トラマドール・フェノバルビタール・フルニトラゼパムは絶対NG
  • 麻黄・エフェドリン含有製品も要確認
  • コデイン・ジアゼパムは申告のうえ少量なら可能な場合があるが要確認
  • 市販薬・漢方薬・サプリメントにも規制成分が含まれていることがある

必須書類

  • 処方薬は英文処方箋または医師診断証明書を用意
  • 麻薬・向精神薬は海外渡航用携帯証明書を都道府県窓口で取得(渡航2〜3週間前に申請開始)
  • 成分名(一般名)を英語で確認してリスト化する
  • 原容器・原箱のまま持参し、添付文書も保管

税関での申告

  • 隠さず必ず「申告あり」レーンを通過
  • 医薬品専門検査官に英文書類を提示
  • 英語で簡潔に説明できる準備を

薬学的注意点

  • 食事・飲料との相互作用(ワルファリン×ビタミンK食品、スタチン×グレープフルーツなど)
  • 夏季渡航時の脱水リスクと服薬への影響
  • 時差は小さいが食事内容の変化が薬効に影響することがある

渡航前の最終チェック

  • 外務省・韓国MFDS公式サイトで最新情報を確認
  • 不安な成分は在韓日本国大使館に事前相談
  • 主治医・薬剤師に渡航を伝え、書類作成と服薬指導を依頼

韓国は医薬品に関して税関検査が厳格な国です。 一方で、医療水準は高く、現地での医薬品入手や医療機関受診も十分可能な環境が整っています。事前準備を万全にして、安心して渡航をお楽しみください。


参考文献・情報源

  1. 韓国食品医薬品安全処(MFDS)公式サイト - 医薬品規制情報
    https://www.mfds.go.kr/eng/index.do

  2. 外務省 - 韓国(大韓民国)基本情報・薬物規制関連
    https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/korea/index.html

  3. 厚生労働省 - 海外渡航者の向精神薬等携帯について
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/index.html

  4. PMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)- 医療用医薬品添付文書検索
    https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/

  5. 在大韓民国日本国大使館 - 在韓邦人向け医療・生活情報
    https://www.kr.emb-japan.go.jp/itpr_ja/consular_life_medical.html

  6. 国連薬物犯罪事務所(UNODC)- 麻薬・向精神薬の国際管理条約
    https://www.unodc.org/unodc/en/commissions/CND/conventions.html

  7. WHO - Model List of Essential Medicines(基本医薬品リスト)
    https://www.who.int/publications/i/item/WHO-MHP-HPS-EML-2023.04


監修: 薬剤師(博士(薬学))

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