ニュージーランド渡航時の医薬品持ち込みルール完全ガイド
ニュージーランドへの渡航を計画されている方で、常用薬や市販薬の持ち込みについて不安をお持ちではないでしょうか。実は、ニュージーランドは医薬品の管理が非常に厳格な国です。日本から持ち込める医薬品には明確なルールが存在し、違反すると没収や罰金、さらには入国拒否につながる可能性もあります。本記事では、薬剤師の立場から、ニュージーランド渡航時の医薬品持ち込みルール、禁止成分、必要書類について詳しく解説します。
なお、他の渡航先の医薬品持ち込みルールについては [[overseas-medicine-rules]] および [[airport-medicine-carry-on]] も合わせてご参照ください。
ニュージーランドの医薬品管理体制の基礎知識
ニュージーランドの医薬品管理を担当するのは、Medsafe(医薬品安全庁) です。この機関は医薬品の安全性を厳格に監視しており、個人の持ち込み医薬品についても例外ではありません。Medsafeは保健省(Ministry of Health)の一部門として位置づけられており、医薬品の承認・製造・流通・市販後安全性まで一括して管轄しています。日本のPMDA(医薬品医療機器総合機構)に相当する機関ですが、規制の細部は異なります。
ニュージーランドの医薬品管理の根拠法は Medicines Act 1981 および Misuse of Drugs Act 1975 です。前者が一般医薬品・処方薬の規制を定め、後者が麻薬・向精神薬の管理を規定しています。渡航者が持ち込む医薬品はこの二つの法律の両方に照らして審査されます。
ニュージーランドの法律では、医薬品を3つのカテゴリーに分類しています:
- Prescription Only Medicines(処方薬のみ)
- Pharmacist Only Medicines(薬剤師販売医薬品)
- General Sales List(一般販売医薬品)
この分類は日本の要指導医薬品・第1類〜第3類OTCとは対応関係が単純ではありません。例えば、日本で第2類医薬品として薬局で購入できるイブプロフェン配合製品の一部は、ニュージーランドでは薬剤師管理のもとでのみ販売される規制がかかる場合があります。また、ニュージーランドは独自の生物多様性保護制度も持っており、動植物由来成分を含む生薬・漢方薬については医薬品規制に加えて生物安全保障法(Biosecurity Act 1993)上の規制も適用される場合があります。
薬剤師メモ
ニュージーランドの医薬品分類は日本と異なります。日本で市販薬でも、ニュージーランドではより規制が厳しいカテゴリーに属することがあります。特に漢方薬・生薬製剤は植物・動物由来成分を含むため、Medsafeの医薬品規制と生物安全保障規制の双方が適用される可能性があります。出発前にMedsafe公式サイト( www.medsafe.govt.nz)で成分ごとの規制状況を確認することを強くお勧めします。
個人使用目的での持ち込み可能な医薬品
基本ルール
ニュージーランド保健省の規定では、個人使用目的に限り、3ヶ月分相当量までの医薬品持ち込みが認められています。「3ヶ月分」は目安として広く引用されますが、正確には「合理的な個人使用量(reasonable personal use)」という基準が採用されており、滞在期間に見合った量であることが重要です。例えば1週間の旅行で3ヶ月分を持参しても問題はありませんが、量が多いほど「転売目的ではないか」という疑念を持たれるリスクがあります。ただし、以下の条件を満たす必要があります:
| 項目 | 要件 |
|---|---|
| 使用目的 | 自分自身の医療のみ(他者への使用禁止) |
| 量 | 原則3ヶ月分相当(滞在期間に見合った量) |
| 包装 | 元の容器・ラベル付き(強く推奨) |
| 書類 | 医師の処方箋または医師の説明状(特定の医薬品) |
| 申告 | 税関申告フォーム(NZeTA/Arrival Card記入時) |
なお、3ヶ月分を超える量を持参する必要がある場合(例: 特定の希少疾患の治療薬で現地入手が困難な場合など)は、出発前にニュージーランド保健省またはMedsafeに個別照会することが推奨されます。
持ち込み可能な医薬品の具体例
日本から持ち込みやすい一般的な市販薬および処方薬の目安を以下に示します。ただし、規制は随時改定されるため、最終確認は必ず出発前に行ってください。
| 医薬品名(商品例) | 主な有効成分 | 持ち込み可否 | 備考 |
|---|---|---|---|
| ロキソニンS 🛒 | ロキソプロフェンナトリウム水和物 | ⭕ | 3ヶ月分まで可能 |
| アセトアミノフェン配合製剤(タイレノール等) | アセトアミノフェン | ⭕ | 一般的な解熱鎮痛薬 |
| ファモチジン配合胃薬( ガスター10 🛒等) | ファモチジン | ⭕ | 胃薬、処方箋不要 |
| ジクロフェナクナトリウム配合外用薬 | ジクロフェナクナトリウム | ⭕ | 外用薬、3ヶ月分まで |
| ステロイド含有軟膏 | ベタメタゾン等 | ⚠️ | 医師の説明状が必要 |
| 抗生物質 | アモキシシリン等 | ⚠️ | 医師の処方箋が必須 |
| 抗ウイルス薬 | アシクロビル等 | ⚠️ | 医師の説明状が必須 |
| インスリン製剤 | インスリン各種 | ⚠️ | 医師の説明状+処方箋必須、注射針も申告 |
薬剤師メモ
日本の風邪薬・総合感冒薬には複数の有効成分が含まれることが多く、後述するプソイドエフェドリン(偽麻黄鹸アルカロイド)など、ニュージーランドで特別管理される成分が含まれている場合があります。複合成分製剤より、単一成分の医薬品の方が持ち込み手続きが簡便です。成分表示を必ず確認してください。
持ち込み禁止・要注意の成分リスト
プソイドエフェドリン(偽麻黄鹸アルカロイド)規制の詳細
ニュージーランド渡航において最も注意が必要な成分の一つが プソイドエフェドリン(pseudoephedrine) です。プソイドエフェドリンは鼻粘膜の血管を収縮させる交感神経刺激薬で、鼻詰まりを解消する目的で多くの風邪薬・鼻炎薬に配合されています。日本では市販の鼻炎薬に含まれることがありますが、ニュージーランドでは覚せい剤(メタンフェタミン)の前駆物質として悪用されるリスクから、Misuse of Drugs Act 1975の規制対象となっています。
薬理的には、プソイドエフェドリンはアドレナリン受容体(主にα受容体)を刺激し、鼻粘膜の血管収縮を引き起こします。血管収縮により鼻粘膜の浮腫が軽減され、鼻閉が改善されます。一方で、中枢神経刺激作用・心拍数増加・血圧上昇などの全身性副作用もあり、高血圧・甲状腺疾患・緑内障の患者には禁忌または慎重投与とされています。
ニュージーランドでは、プソイドエフェドリンを含む医薬品は処方箋なしに入手することができず、一般旅行者が薬局で手軽に購入することはできません。日本から持ち込む場合は「処方薬」として医師の説明状を必ず取得してください。
絶対持ち込み禁止
ニュージーランドでは以下の成分を含む医薬品の持ち込みは禁止または厳格に制限されています:
| 禁止・規制成分 | 含まれる製品カテゴリー例 | 規制理由 |
|---|---|---|
| フェニルプロパノールアミン(PPA) | 一部の鼻炎薬・咳止め(日本でも使用禁止) | 出血性脳卒中リスク、日本でも2000年代に使用中止 |
| エフェドリン(ephedrine) | 一部の気管支拡張薬、漢方薬(麻黄) | 覚せい剤前駆物質、ドーピング規制物質 |
| プソイドエフェドリン(pseudoephedrine) | 鼻炎薬、総合感冒薬の一部 | メタンフェタミン前駆物質 |
| ジヒドロコデイン・コデイン高濃度製剤 | 一部の咳止め(処方薬) | 麻薬性鎮咳薬、Misuse of Drugs Act規制対象 |
フェニルプロパノールアミン(PPA)は日本でもすでに医薬品への配合が禁止されているため、現在流通している日本製品には基本的に含まれていませんが、古い在庫を海外から取り寄せた場合などは注意が必要です。
エフェドリンは漢方薬の「麻黄(まおう)」に含まれる成分です。 葛根湯 🛒・小青竜湯・麻黄湯など、日本で広く使われる漢方薬に麻黄が配合されていますが、これらをニュージーランドに持ち込む場合はエフェドリン含有を申告し、医師の説明状を用意することが強く推奨されます。
要注意:持ち込み制限がある医薬品
以下の医薬品は持ち込み可能ですが、医師の説明状やカバーレターが必須です:
| 医薬品カテゴリー | 具体例(有効成分) | 必要書類 |
|---|---|---|
| 処方薬全般 | アテノロール(高血圧)、メトホルミン(糖尿病)、アルプラゾラム(抗不安) | 医師の処方箋+英語説明状 |
| ステロイド剤 | プレドニゾロン(内服)、ブデソニド(吸入)、ベタメタゾン(外用) | 医師の英語説明状 |
| 精神作用薬 | ゾルピデム(睡眠薬)、フルボキサミン(抗うつ)、バルプロ酸(抗てんかん) | 医師の英語説明状 |
| インスリン・注射製剤 | インスリングラルギン等各種インスリン | 医師の説明状+処方箋+注射針申告 |
| 麻薬性鎮痛薬 | オキシコドン、フェンタニル貼付剤 | 事前にMedsafe/保健省へ個別照会必須 |
| プソイドエフェドリン含有製剤 | 鼻炎薬・総合感冒薬の一部 | 医師の処方箋+英語説明状 |
麻薬性鎮痛薬(モルヒネ、オキシコドン、フェンタニルなど)については、Misuse of Drugs Act 1975の規定により、通常の「医師の説明状」だけでは不十分な場合があります。ニュージーランド保健省への事前申請と許可書取得が必要なケースがあるため、出発の少なくとも8週間前には手続きを開始することをお勧めします。
必要な書類と準備方法
医師の説明状(Doctor's Letter)の取得
処方薬や医療用医薬品を持ち込む場合、英語の医師の説明状が極めて重要です。日本語のみの書類ではニュージーランドの税関・検疫で正確に内容が伝わらないため、必ず英語で作成してもらってください。
説明状に記載すべき情報:
- 患者の氏名(パスポート表記と一致させる)・生年月日・パスポート番号
- 医師の署名・押印・診療科名・医療機関名・連絡先(電話・メール)
- 医薬品の商品名と一般名(INN: 国際一般名)の両方
- 用量・用法(1回量・1日回数・投与経路)
- 1錠・1包当たりの成分量(mg)
- 持参する総量(例: 90錠)とその根拠(3ヶ月分)
- 医学的使用理由(疾患名または症状)
- 英文コメント例: "This medication is for personal use only and is medically necessary for [patient name] during their stay in New Zealand."
薬剤師メモ
医師の説明状は英語で作成し、できれば医師自身が英文で署名したものを用意してください。翻訳会社を利用する場合は医療翻訳の専門業者を選び、翻訳者の資格証明を添付すると信頼性が高まります。主治医が英文作成に不慣れな場合は、薬剤師や病院の国際患者担当窓口に相談してみましょう。
処方箋のコピー
- 日本語原本のコピーを保管(原本は日本に置いておく)
- 可能であれば医師による英語翻訳を添付
- 薬局で調剤された際の「薬剤情報提供文書」(お薬手帳に貼るシート)も英訳して持参すると有用
医薬品のラベル・パッケージ管理
- 医薬品は必ず元の容器・ラベル付きで持参してください
- PTPシート(錠剤の個別包装)はできる限り外袋ごと持参
- ピルケースへの移し替えは「識別不能」として問題になる場合があり、避けることを推奨
- 元の容器に記載されている内容:
- 患者名(処方薬の場合)
- 医薬品名(商品名・一般名)
- 用法・用量
- 調剤薬局名・調剤日(処方薬の場合)
- 製造販売会社名(市販薬の場合)
英文お薬手帳の活用
近年、スマートフォンアプリや薬局サービスで「英文お薬手帳」を発行できるサービスが増えています。服用薬の一覧を英語で整理したものを薬剤師に確認してもらってから持参すると、税関での説明がスムーズになります。かかりつけ薬局に相談してみてください。
持ち込み手続きと入国時の注意点
出国前の準備チェックリスト
ニュージーランド到着の2〜4週間前までに以下を確認してください。麻薬性鎮痛薬など特別申請が必要な薬は8週間前から準備を始めてください。
□ 服用中の薬の成分をすべてリストアップし、禁止成分が含まれていないか確認 □ 医師の英語説明状を取得(処方薬・要注意薬すべて) □ 持参する医薬品が3ヶ月分以内であることを確認 □ すべての医薬品が元の容器・ラベル付きであることを確認 □ パスポートの有効期限確認(帰国日から6ヶ月以上) □ ニュージーランドeビザ(NZeTA)申請時に薬を持参することを念頭に正確に入力 □ 医師の説明状・処方箋コピーを医薬品とセットで分かりやすくまとめる □ 海外旅行保険に加入(医療費補償付き) □ 英文お薬手帳を薬局で発行してもらう
入国時の申告手続き
ニュージーランド入国時には、必ず到着カード(Arrival Card)で医薬品について申告してください。申告は法的義務であり、虚偽申告は没収だけでなく法的処罰の対象となります。
申告の流れ:
-
機内配布の到着カードへの記入
- 「Do you have any medicines?(ドゥ ユー ハヴ エニー メディシンズ?)」の項目に「YES」をマーク
- 医薬品の種類・数量を簡潔に記載
-
空港チェックイン・保安検査の注意点
- 液体・ジェル状・クリーム状の医薬品は、個人医療用であれば100ml超でも持ち込み可能(航空会社・保安検査の規則は別途確認)
- 注射剤(インスリン等)・注射針・血糖測定器は医師の説明状とともに手荷物で管理
-
入国検査(Customs)での対応
- 申告ゲートで医薬品を申告
- 検査官から質問を受けた際は医師の説明状を提示
- 英語での基本フレーズ: "I have prescription medications with a doctor's letter.(アイ ハヴ プリスクリプション メディケーションズ ウィズ ア ドクターズ レター)"
- 落ち着いて、書類を整理した状態で提示する
-
生物安全保障検査(Biosecurity)
- 漢方薬・生薬製剤は生物安全保障の検査対象になる場合があります
- X線検査や外観検査が行われる場合があります
- 成分を英語で説明できるようにしておく
薬剤師メモ
ニュージーランドの入国検査は世界的に見ても厳格です。「医薬品あり」と申告した後に詳細確認が行われることは珍しくありませんが、正規の処方薬を適切な書類とともに持参していれば問題になることはほぼありません。申告漏れのリスクを避けるためにも、疑わしいものはすべて申告することが最善策です。
薬学的解説:ニュージーランドで注意が必要な成分の薬理・薬物動態
プソイドエフェドリンの薬理と規制背景
プソイドエフェドリン(分子式: C₁₀H₁₅NO)はエフェドリンの立体異性体であり、主にα₁アドレナリン受容体を刺激して血管収縮を引き起こします。鼻粘膜では血管収縮により粘膜浮腫が軽減し、鼻閉が改善されます。経口投与後の血中半減期は約5〜8時間で、肝初回通過効果を受けにくく、尿中への未変化体排泄割合が高いのが特徴です。
ニュージーランドで厳重に管理される理由は、化学的にメタンフェタミン(覚せい剤)に変換が容易なためです。プソイドエフェドリンの化学構造からメチル基を付加する還元アルキル化反応によりメタンフェタミンが合成されます。このため世界各国で購入量制限・本人確認義務化・処方箋義務化の措置が取られており、ニュージーランドでは処方箋なしの入手が不可能です。
日本の市販の鼻炎薬・総合感冒薬にプソイドエフェドリンが配合されているか否かは、外箱の「成分・分量」欄を確認してください。「塩酸プソイドエフェドリン」または「プソイドエフェドリン塩酸塩」と記載があるものは対象です。
ステロイド製剤の持ち込みと注意点
ステロイド製剤(副腎皮質ホルモン薬)は処方箋なしでは販売できない医薬品ですが、ニュージーランドに持ち込む際は医師の英語説明状があれば3ヶ月分まで認められます。
薬学的に注意すべき点として、ステロイド吸入薬(フルチカゾン、ブデソニド等)は喘息管理に欠かせない薬剤です。これらは急に中断すると喘息発作のリスクが高まります。ニュージーランドの薬局(Pharmacy)では処方箋なしでは調剤できないため、万が一紛失した際は必ず現地の医師(GP: General Practitioner)を受診してください。
また、ステロイド経口薬(プレドニゾロン等)を長期服用している患者が急に中断すると、副腎不全(adrenal insufficiency) のリスクがあります。これはステロイドの長期服用により内因性コルチゾール産生が抑制(視床下部・下垂体フィードバック抑制)されるためです。旅行中に医薬品の紛失や入手困難が生じないよう、十分な量を用意することが医学的にも重要です。
睡眠薬・向精神薬の持ち込み
ゾルピデム(非ベンゾジアゼピン系睡眠薬)やベンゾジアゼピン系薬(トリアゾラム、ニトラゼパム等)は、ニュージーランドでは処方薬として管理されており、持ち込みには医師の英語説明状が必須です。これらは依存性・乱用リスクがあることから国際的に規制が強化されています。
薬物動態的には、ゾルピデムは肝臓のCYP3A4で代謝され半減期が約2〜3時間と短いため、長距離フライト後の時差ボケ対策に使用する方も多いです。しかし乗り継ぎ待機中の服用や知らない環境での服用はふらつき・健忘のリスクがあるため注意が必要です。
漢方薬・生薬製剤の持ち込み
日本の旅行者が見落としやすいのが漢方薬の規制です。以下の点を理解しておいてください。
| 漢方薬の種類 | 含まれる可能性のある規制成分 | 対応策 |
|---|---|---|
| 葛根湯・麻黄湯・小青竜湯 | エフェドリン(麻黄由来) | 医師の英語説明状+成分英訳 |
| 芍薬甘草湯・補中益気湯 | 特別規制成分なし(目安) | 元の包装・説明書を保持 |
| 八味地黄丸・六味丸 | 特別規制成分なし(目安) | 元の包装・説明書を保持 |
| 半夏厚朴湯 | 特別規制成分なし(目安) | 元の包装・説明書を保持 |
麻黄を含む漢方薬は、「エフェドリン含有植物由来製品」として生物安全保障の観点からも検査を受ける場合があります。各成分の英語名(例: 麻黄=Ephedra herb / Ma-huang、甘草=Licorice root / Glycyrrhiza)を記した成分一覧表を日英両語で作成して持参することを推奨します。
ニュージーランド現地での医薬品入手方法
現地で医薬品が必要になった場合
万が一、持ち込んだ医薬品を紛失したり、追加で医薬品が必要になった場合の対処法:
| 施設 | 対応 | 利用条件 |
|---|---|---|
| Pharmacy(薬局) | 市販薬販売・処方箋調剤 | 処方箋が必要なものは医師の診察後 |
| GP(一般医) | 処方箋発行 | 初診料が別途かかる場合あり(海外旅行保険で補償対象となることが多い) |
| Urgent Care(救急外来・緊急診療所) | 当日診察・処方 | GP予約が取れない緊急時に利用 |
| Hospital Emergency(病院救急外来) | 重症・緊急対応 | 生命に関わる緊急時 |
ニュージーランドの医療費は永住者・市民権者には公費で賄われますが、短期旅行者(日本人観光客・ワーキングホリデー者等)は原則として自費払いとなります。GPの初診費用は目安としてNZD50〜150程度とされていますが、クリニックにより異なります。海外旅行保険の事前加入が強く推奨されます。
よく使われるニュージーランドの一般用医薬品(成分名で案内)
現地薬局(Pharmacy / Chemist)で入手できる代表的な一般用医薬品の成分名:
- パラセタモール(アセトアミノフェン)配合製剤:解熱・鎮痛
- イブプロフェン配合製剤:消炎・鎮痛・解熱
- ロラタジン・セチリジン等の抗ヒスタミン薬:花粉症・アレルギー性鼻炎・蕁麻疹
- ロペラミド配合製剤:下痢止め
- 制酸薬(炭酸水素ナトリウム・炭酸カルシウム等配合):胸焼け・胃酸過多
- 生理食塩水点鼻スプレー(プソイドエフェドリン不含):鼻洗浄・鼻閉緩和
現地でプソイドエフェドリン不含の鼻閉改善薬を探す際は、薬剤師に "Do you have a decongestant without pseudoephedrine?(ドゥ ユー ハヴ ア ディコンジェスタント ウィズアウト スードエフェドリン?)" と尋ねてみてください。オキシメタゾリン等の点鼻薬が代替として提案されることがあります。
トラブル発生時の相談先
持ち込み医薬品が没収された場合
- 没収理由の確認:検査官から没収理由の説明を受け、可能であれば書面での交付を求める
- 日本大使館・総領事館に連絡:領事館は法的アドバイスや日本語対応医師の紹介などを支援
- 海外旅行保険会社の緊急ラインに連絡:医療費や薬剤費の補償・現地医師の手配サポート
- 現地GP受診と代替薬処方依頼:持参した日本語の処方箋と医師の説明状を提示して相談
渡航者に役立つ英語フレーズ集
| 場面 | 英語フレーズ | カタカナ読み |
|---|---|---|
| 税関申告 | I have prescription medications to declare. | アイ ハヴ プリスクリプション メディケーションズ トゥ ディクレア |
| 医師の説明状提示 | Here is my doctor's letter for these medicines. | ヒア イズ マイ ドクターズ レター フォー ジーズ メディシンズ |
| 薬局での相談 | Can I speak with the pharmacist? | キャン アイ スピーク ウィズ ザ ファーマシスト? |
| 症状説明(鼻詰まり) | I have a stuffy nose and need a decongestant. | アイ ハヴ ア スタフィー ノーズ アンド ニード ア ディコンジェスタント |
| アレルギー確認 | I am allergic to [成分名]. | アイ アム アラジック トゥ ○○ |
| GP受診時 | I am visiting from Japan. I need a prescription for my regular medication. | アイ アム ビジティング フロム ジャパン。アイ ニード ア プリスクリプション フォー マイ レギュラー メディケーション |
連絡先情報
| 組織 | 役割 | 連絡先 |
|---|---|---|
| 在ニュージーランド日本国大使館 | 領事支援・緊急時相談 | +64-4-473-6070 |
| Medsafe | 医薬品安全庁(規制情報照会) | www.medsafe.govt.nz |
| NZ Customs Service | 税関(申告・規制確認) | 0800 428 786 |
| NZ Ministry of Health | 保健省(入国医薬品規制情報) | www.health.govt.nz |
薬剤師メモ
ニュージーランド滞在中に医療が必要になった場合、日本の健康保険は基本的に海外では使えません(帰国後に海外療養費として一部還付申請は可能ですが手続きが複雑)。海外旅行保険は必ず出発前に加入し、保険証券と緊急連絡先を印刷して携帯してください。薬剤費・通院費・入院費いずれも補償対象となる保険を選ぶことをお勧めします。
よくある質問(FAQ)
Q: サプリメント・ビタミン剤は持ち込めますか?
A: 基本的に持ち込み可能ですが、ニュージーランドは健康食品の成分表示基準が厳格です。医療効果をうたうサプリメントは医薬品として分類される場合があります。また、動植物由来成分(例: 鹿の角エキス、プロポリス、海産動物由来のコラーゲン等)は生物安全保障上の申告対象となる場合があります。元の容器・ラベル付きで、3ヶ月分を目安に持参し、到着カードで「食品・薬品あり」として申告することを推奨します。成分のわからないサプリメントは持ち込みを控えるか、Medsafeに事前照会してください。
Q: 医師の説明状を日本語で作成してもらい、翻訳サービスで英語化できますか?
A: 翻訳自体は可能ですが、医療専門翻訳業者を利用し、翻訳証明書を添付することを強く推奨します。最初から医師に英語で直接作成してもらう方が信頼性は高く、翻訳ミスによるトラブルを回避できます。大学病院や国際診療科を持つ病院では英文診断書・説明状の作成に慣れた医師が多いため、必要な場合は受診先を検討してみてください。
Q: 液体の医薬品(目薬・点鼻薬など)の持ち込みに制限はありますか?
A: 個人医療用の医薬品であれば、航空会社の「液体物100ml制限」の適用除外となる場合が多く、処方薬・OTC医薬品問わず必要量を持ち込めます。ただし、保安検査では申告が必要で、医師の説明状を提示することで検査官の確認がスムーズになります。目薬は開封後の雑菌混入リスクを考慮し、1本ずつ適切に保管してください。なお航空会社によって手荷物規定が異なる場合があるため、利用航空会社のウェブサイトで事前確認することをお勧めします。
Q: ワーキングホリデーで1年間滞在する場合はどうすればよいですか?
A: 3ヶ月分を超える量の持ち込みを希望する場合は、Medsafeまたはニュージーランド保健省に事前照会してください。長期滞在の場合は、入国後に現地のGPに登録して定期的に処方を受け取る方法が現実的です。事前に日本の主治医から英文の紹介状(referral letter)を取得しておくと、現地GPでのスムーズな診療につながります。慢性疾患(高血圧・糖尿病・喘息等)を持つ方は特に、出発前に現地での医療機関を調べておきましょう。
関連情報リンク
他の渡航先の医薬品規制については以下の記事もご参照ください。
- [[overseas-medicine-rules]]
- [[airport-medicine-carry-on]]
- [[prescription-medicine-travel]]
参考文献・公式情報源
-
Medsafe (New Zealand Medicines and Medical Devices Safety Authority). "Controlled Drugs." Medsafe Official Website. https://www.medsafe.govt.nz/regulatory/controlledDrugs.asp
-
New Zealand Ministry of Health. "Travelling with medicines." Health.govt.nz. https://www.health.govt.nz/your-health/healthy-living/drugs-and-addictions/medicines-and-health/travelling-medicines
-
New Zealand Customs Service. "Controlled and prohibited imports." Customs.govt.nz. https://www.customs.govt.nz/personal/prohibited-controlled-imports-exports/
-
厚生労働省. 「海外旅行・海外在留邦人のための医薬品に関する情報」mhlw.go.jp. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/index.html
-
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA). 「海外への医薬品の持ち出しについて」pmda.go.jp. https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/0001.html
-
World Health Organization (WHO). "Model List of Essential Medicines." WHO Official Website. https://www.who.int/groups/expert-committee-on-selection-and-use-of-essential-medicines/essential-medicines-lists
監修: 薬剤師(博士(薬学))