スウェーデンへの医薬品持ち込みルール|日本人渡航者向けガイド
スウェーデンは北欧の先進国ですが、日本と医薬品規制が大きく異なります。特に、EU加盟国として欧州医薬品庁(EMA)の規制体系に準拠しながら、スウェーデン独自の医薬品行政機関である医薬品庁(Läkemedelsverket/MPA:Medical Products Agency) が国内規制を担っている点が重要です。日本の処方薬の一部がスウェーデンでは管理薬物に相当したり、逆に日本でOTCとして流通している成分がスウェーデンでは販売禁止になっているケースもあります。
本記事では薬剤師が確認した最新情報をもとに、処方薬・市販薬の持ち込みルール、禁止成分、必要書類、シェンゲン医療証明書の活用方法を詳しく解説します。渡航前にこの記事を一通り確認し、不安な点は主治医・かかりつけ薬剤師に相談してください。
スウェーデンの医薬品持ち込み基本ルール
個人用医薬品の持ち込みは原則可能
スウェーデン税関(Swedish Customs / Tullverket)とMPAの規定では、個人の治療目的であれば、処方薬・市販薬の持ち込みは基本的に認められています。ただし「個人用量の範囲」という制限があり、これを超えると医薬品の販売目的と判断される可能性があります。
スウェーデンはEU加盟国であるため、EU域内からの医薬品持ち込みはEU法が適用され比較的緩やかです。一方、日本(EU域外)からの持ち込みは「第三国からの輸入」として扱われ、通関規制がより厳格になります。EU域外からの個人使用医薬品の持ち込みについては、スウェーデン国内規制(LVFS/HSLF-FS)に基づきMPAが管轄します。
| 医薬品の種類 | 持ち込み可能量 | 備考 |
|---|---|---|
| 処方薬 | 通常3ヵ月分 | 医師の処方箋原本または英文証明書が必須 |
| 市販医薬品 | 個人が使用する常識的な量 | 過剰な数量は販売目的と判断されるリスクあり |
| 医療用麻薬 | 事前許可制 | MPAへの事前申請が必須 |
| 向精神薬(benzodiazepine系等) | 事前許可制 | 処方薬でも英文証明書+事前申請 |
| ビタミン剤・サプリメント | 個人使用の通常量 | 処方箋不要だが、植物由来成分は注意 |
| 漢方薬・生薬製剤 | 原則持ち込み困難 | 重金属・規制成分の含有リスクあり |
薬剤師メモ スウェーデンの「個人用量」は日本より保守的に解釈される傾向があります。市販のアレルギー薬を多量に持ち込もうとすると、税関で販売目的の疑いをかけられる可能性があります。目安として、旅行期間+1〜2週間分に留めましょう。留学・長期滞在の場合でも、処方薬は3ヵ月分を上限として、残りは現地で医師を受診して補充する計画を立てることが現実的です。
スウェーデンとEUの医薬品法体系について
スウェーデンは1995年のEU加盟以来、EU医薬品規制の枠組みに完全に組み込まれています。EU指令2001/83/ECおよびEU規則(EC) No 726/2004に基づき、EU域内での医薬品承認・流通が管理されています。日本の薬機法(旧薬事法)とは承認制度・分類基準・販売チャンネルの考え方が根本的に異なるため、「日本で承認された薬=スウェーデンで合法」とは限りません。
特に、日本でOTC(一般用医薬品)として販売されている成分が、スウェーデン・EUでは処方箋医薬品あるいは規制物質として扱われているケースがあります。代表例が後述するエフェドリン(麻黄由来)やプソイドエフェドリンです。
処方薬持ち込みに必須の英文証明書
英文証明書の役割と法的意義
スウェーデン入国時に処方薬を持ち込む場合、英文の医師による処方証明書(英文版お薬手帳など) が極めて重要です。これは単なる「説明書類」ではなく、税関での審査において「治療目的の個人使用であることを証明する公的文書」として機能します。日本語の処方箋のみでは、スウェーデン税関官が内容を確認できないため、医薬品が没収されるリスクがあります。
日本の保健医療機関で以下の形式の英文証明書を取得してください。
英文証明書に記載すべき項目:
- 患者の氏名(パスポート表記と一致させる)・生年月日
- 医師の署名・医療機関名・連絡先(電話番号・住所)
- 医薬品の一般名(例:amoxicillin)および商品名
- 処方用量(例:250mg × 3回/日)
- 治療期間・処方日
- 診断名または使用目的(例:For the treatment of hypothyroidism)
- 「For personal use only」の明記
シェンゲン医療証明書(Schengen Medical Certificate)の活用
スウェーデンはシェンゲン協定加盟国です。麻薬・向精神薬を含む管理薬物を持ち込む場合、シェンゲン医療証明書(Schengen Medical Certificate) を利用することが各国で推奨されています。この証明書は、シェンゲン圏26か国に共通して使える統一書式で、複数国をまたいで移動する旅行者にとって利便性が高いです。
ただし、シェンゲン医療証明書はスウェーデン独自のimport permit(輸入許可)を代替するものではありません。MPAが求めるimport permitは別途取得が必要です(詳細は後述)。シェンゲン医療証明書は「医師が治療上必要であることを証明する文書」として機能しますが、麻薬・向精神薬については各国の個別許可が必要であることを覚えておいてください。
シェンゲン医療証明書に記載される情報(参考):
- 患者情報(氏名、生年月日、国籍、パスポート番号)
- 医師情報(署名、医療機関名、連絡先)
- 薬物情報(国際一般名INN、1日用量、処方日、旅行期間)
- 「Schengen Member States」向けの記載
薬剤師メモ 英文証明書は日本の医師に依頼して作成してもらう必要があります。通常、医療機関の医事課で依頼可能で、作成に3〜7日要します。出国前に余裕を持って準備しましょう。また、複数の処方薬がある場合は、薬剤ごとに記載するか、1枚の証明書にすべての薬剤を列挙してもらってください。
スウェーデンで禁止・規制される医薬品成分
絶対に持ち込んではいけない医薬品
スウェーデン(EU)では、日本の医薬品・サプリメントに含まれる以下の成分が規制対象となっています。税関での没収対象となる可能性があるため、持ち込みは避けてください。
| 医薬品名/成分 | 理由 | 対応 |
|---|---|---|
| 麻黄エキス・エフェドリン(ephedrine) | EU規制物質(前駆物質) | 日本の風邪薬・喘息薬の一部が該当。持ち込み禁止 |
| プソイドエフェドリン(pseudoephedrine) | EU規制物質(前駆物質)、覚醒剤原料 | 日本の鼻炎薬・総合感冒薬の一部が該当 |
| 医療用麻薬(morphine・fentanyl・oxycodone等) | 麻薬及び向精神薬に関するUN条約 | 医師処方でも事前import permit必須 |
| ベンゾジアゼピン系薬(diazepam・triazolam等) | 向精神薬規制 | 処方薬でも英文証明書+import permit推奨 |
| バルビツール酸系薬(phenobarbital等) | 向精神薬規制 | 処方薬でも事前申請 |
| 一部の同化ステロイド | スポーツドーピング規制との関連 | スポーツ用途が疑われる可能性あり |
| アルテミシニン系マラリア薬(一部) | EU未承認製剤 | 日本の認可品でも確認要 |
エフェドリン・プソイドエフェドリンの薬学的背景
エフェドリン(ephedrine)およびプソイドエフェドリン(pseudoephedrine)は、植物性アミン(フェニルエチルアミン系)に分類される交感神経刺激薬です。気管支拡張・鼻粘膜血管収縮の目的で配合されていますが、EU・日本ともに覚醒剤・メタンフェタミンの製造前駆物質(precursor) として厳重に管理されています。
EU規則(EC) No 273/2004は、エフェドリン・プソイドエフェドリンを「Category 1 precursor substances」として規制しており、スウェーデンはこれを国内法で実施しています。そのため、含有医薬品のスウェーデンへの持ち込みは、処方目的であっても極めて困難です。
日本の市販薬で特に注意が必要な成分:
- エフェドリン塩酸塩:一部の総合感冒薬・鼻炎薬に含有
- dl-メチルエフェドリン塩酸塩:一部の鎮咳・気管支拡張OTC製剤に含有(特に市販の咳止め薬に多い)
- マオウ(麻黄)エキス:漢方処方( 葛根湯 🛒・麻黄湯など)に含有
- プソイドエフェドリン塩酸塩:一部の鼻炎薬・総合感冒薬に含有
薬剤師メモ 日本の市販風邪薬・咳止め薬の多くにdl-メチルエフェドリン塩酸塩やマオウエキスが含まれています。スウェーデン・EUではこれらを強く規制しており、少量でも没収・返送のリスクがあります。持ち込まず、現地薬局でアセトアミノフェン(paracetamol)やイブプロフェン(ibuprofen)製剤を購入することを推奨します。パッケージの成分表示を必ず確認しましょう。
注意が必要な日本製市販薬
スウェーデンで問題になりやすい日本のOTC医薬品カテゴリ:
風邪薬・総合感冒薬
- dl-メチルエフェドリン塩酸塩、マオウエキスを含む製品が多数存在
- 代替案:アセトアミノフェン(paracetamol)系製剤を現地購入
鼻炎薬・点鼻薬
- プソイドエフェドリン塩酸塩配合の経口鼻炎薬
- 代替案:キシロメタゾリン(xylometazoline)配合の点鼻薬(現地購入)
胃腸薬
- 多くは問題なし。ロートエキス(抗コリン薬)含有品は念のため確認
- 参考:炭酸水素ナトリウム配合の制酸薬やビスマス製剤は概ね問題なし
痛み止め(NSAIDs・アセトアミノフェン)
- アスピリン(aspirin)・ロキソプロフェン(loxoprofen)・アセトアミノフェン(acetaminophen)配合品は個人使用量であれば概ね持ち込み可能
- ロキソプロフェンはEUでは承認されていない成分だが、個人使用目的での持ち込み自体は通常問題ないとされる。ただし大量持参は避ける
睡眠薬・安定剤
- ジフェンヒドラミン(diphenhydramine)配合の睡眠補助薬は市販OTC品として概ね問題なし
- ベンゾジアゼピン系薬(処方薬)は英文証明書+import permit推奨
医療用麻薬・向精神薬の持ち込み手続き
事前許可取得が絶対要件
フェンタニル貼付薬(fentanyl transdermal patch)、モルヒネ製剤(morphine)、オキシコドン(oxycodone)などの医療用麻薬、または睡眠薬・抗不安薬として使用されるベンゾジアゼピン系薬(diazepam、alprazolam、triazolam等)、Z薬(zolpidem、zopiclone等)を持ち込む場合、スウェーデン保健医療庁(Läkemedelsverket)への事前許可申請が必須です。
無許可での持ち込みは、スウェーデン麻薬法(Narkotikastrafflagen 1968:64)に抵触する可能性があります。
申請手順:
- 日本の医師から英文処方証明書を取得(処方内容、1日用量、治療期間を明記)
- Läkemedelsverket公式サイトから申請フォーム「Individual import of medicinal products」をダウンロード
- 英文で記入し、処方証明書とともに提出(詳細は公式サイトで確認)
- 承認書(import permit)を取得(処理期間は目安として数週間かかる場合あり)
- 承認書を印刷して持参し、税関申告時に提示
申請先:
- Swedish Medical Products Agency (Läkemedelsverket / MPA)
- Website: https://www.lakemedelsverket.se/en/
- 申請フォームはサイト内の「Individual import」セクションで確認
向精神薬の薬学的分類と規制背景
向精神薬は1971年の「向精神薬に関する条約(Convention on Psychotropic Substances)」に基づき、国際的にSchedule I〜IVの4段階で管理されています。スウェーデンはこの条約締結国として、ベンゾジアゼピン系・バルビツール酸系・Z薬を国内法で管理薬物(narkotika)に位置づけています。
代表的な向精神薬の分類(スウェーデン規制):
| 薬物名(一般名) | 日本での用途 | スウェーデンでの分類 |
|---|---|---|
| diazepam(ジアゼパム) | 抗不安薬・筋弛緩薬 | 向精神薬(要許可) |
| alprazolam(アルプラゾラム) | 抗不安薬 | 向精神薬(要許可) |
| triazolam(トリアゾラム) | 睡眠薬 | 向精神薬(要許可) |
| zolpidem(ゾルピデム) | 睡眠薬(Z薬) | 向精神薬(要許可) |
| zopiclone(ゾピクロン) | 睡眠薬(Z薬) | 向精神薬(要許可) |
| phenobarbital(フェノバルビタール) | 抗てんかん薬 | 向精神薬(要許可) |
| methylphenidate(メチルフェニデート) | ADHD治療薬 | 向精神薬(要許可) |
薬剤師メモ 向精神薬の場合、税関での事前申告も重要です。書類一式(処方証明書、import permit)をパスポートとともに常時携行してください。税関申告を怠ると、治療目的であっても手続きが複雑になる可能性があります。飛行機の乗り継ぎがある場合は、経由地の規制も別途確認が必要です。
スウェーデンで一般的に入手可能な医薬品
薬局で処方箋なしに購入可能な医薬品
スウェーデンの薬局(Apotek)では、以下が処方箋なしで購入できます。日本から持参せず、現地調達を検討してください。スウェーデンでは薬局以外にも、スーパーマーケットやコンビニエンスストアで一部OTC医薬品を購入できるようになっています(2009年の規制緩和以降)。
| 用途 | 成分名(一般名) | 薬理作用 |
|---|---|---|
| 解熱鎮痛 | paracetamol(アセトアミノフェン) | COX非選択的な中枢性解熱・鎮痛。胃腸への刺激が少ない |
| 消炎鎮痛 | ibuprofen | COX-1/COX-2非選択的阻害。抗炎症・解熱・鎮痛 |
| 消炎鎮痛 | naproxen | COX非選択的阻害。作用時間が長め |
| 下痢止め | loperamide | μオピオイド受容体作動薬(腸管限局)。腸蠕動抑制 |
| 便秘 | bisacodyl | 大腸刺激性下剤。腸粘膜への刺激で蠕動促進 |
| 制酸・胃炎 | omeprazole | プロトンポンプ阻害薬(PPI)。胃酸分泌を強力に抑制 |
| アレルギー | cetirizine | 第2世代抗ヒスタミン薬。H1受容体拮抗。眠気少ない |
| アレルギー | loratadine | 第2世代抗ヒスタミン薬。非鎮静性 |
| 鼻炎(点鼻) | xylometazoline | α1・α2アドレナリン受容体作動薬。鼻粘膜血管収縮 |
| 目薬(アレルギー) | sodium cromoglicate(クロモグリク酸ナトリウム) | マスト細胞安定化薬。ヒスタミン遊離抑制 |
| 口腔・咽頭炎 | chlorhexidine、lidocaine含有トローチ | 消毒・局所麻酔 |
各薬剤の薬学的補足
loperamide(ロペラミド)の注意点 ロペラミドはμオピオイド受容体を作動させますが、通常用量では血液脳関門をほとんど通過しないため、中枢性の麻薬作用を示しません。ただし過剰摂取や他の薬剤との相互作用(P糖タンパク阻害薬との併用等)で中枢移行が増加する可能性があります。細菌性腸炎(高熱・血便を伴う場合)への使用は原則避けてください。
paracetamolの用量について スウェーデンを含むEUでは、パラセタモール(アセトアミノフェン)の最大1回用量・最大1日用量が日本の添付文書と異なる場合があります。現地製品の用法・用量に従ってください。特に飲酒習慣のある方では肝毒性リスクが上昇します。
ibuprofenの相互作用注意 NSAIDsであるイブプロフェンは、ワルファリン・アスピリン・メトトレキサートとの相互作用があります。抗凝固薬・免疫抑制薬を服用中の方は薬剤師に相談してください。また腎機能低下・消化性潰瘍の既往がある場合も注意が必要です。
薬剤師メモ スウェーデンの薬局は国家管理の元で運営されており、薬剤師が常駐しています。英語で症状や成分名を伝えれば(
I need something for a headache.(アイ ニード サムシング フォー ア ヘッドエイク)など)対応可能なことがほとんどです。ただし薬局の営業時間は店舗によって異なるため(特に週末・祝祭日)、到着後なるべく早めに訪問しておくことをお勧めします。
税関申告の実務ポイント
申告要否の判断基準
スウェーデン(EU)への入国時、以下のいずれかに該当する場合は税関での申告が必要です:
- 麻薬・向精神薬を含む医薬品を所持している
- 医薬品の総量が「個人使用量」を超えると判断され得る場合
- 注射剤・インスリン等の注射製剤を持参している場合
申告ラインは「Nothing to Declare(申告なし)」と「Goods to Declare(申告あり)」に分かれています。疑わしい場合は申告ありのラインを選択することで、後から問題になるリスクを低減できます。
申告時の英語フレーズ
税関官に声をかけられた場合、以下のフレーズが役立ちます。
-
I have prescription medications for personal use.(アイ ハヴ プリスクリプション メディケーションズ フォー パーソナル ユース)「個人使用のための処方薬があります」 -
Here is my doctor's certificate.(ヒア イズ マイ ドクターズ サーティフィケット)「こちらが医師の証明書です」 -
I have a medical import permit from Läkemedelsverket.(アイ ハヴ ア メディカル インポート パーミット フロム ラーケメデルスヴェルケット)「MPAからの輸入許可証を持っています」
保管方法
- 処方箋原本と英文証明書は常にパスポートとともに携行
- 医薬品は原則として個別包装のまま持参(バラ出しは避ける)
- チェックイン荷物に入れるか、機内持ち込みか:液体以外は機内持ち込み推奨(紛失防止・温度管理)
- インスリン・生物製剤など冷蔵保管が必要な薬剤は、医師指示のもと適切な保冷容器を使用
薬剤師メモ 液体系医薬品(シロップ剤、点眼薬で100mLを超えるもの)は、航空会社の規定により機内持ち込みが制限される場合があります。ただし医師の証明書があれば例外として認められることも多いため、航空会社に事前確認してください。チェックイン荷物に入れる場合、気温変化・圧力変化に注意し、断熱性の保冷バッグに入れることをお勧めします。
滞在中の医療相談・緊急対応
スウェーデン到着後、医薬品が必要になった場合
処方薬が不足した場合や体調変化があった場合は、下記の手順で対応してください。
医師の診察を受ける流れ:
- 電話医療相談:1177(スウェーデン全国共通番号)→ 英語対応あり。症状に応じてかかりつけ医(vårdcentral)や緊急外来を案内してもらえます
- 処方箋(recept)をもらい、最寄りの薬局(Apotek)で医薬品を購入
- 薬剤師が英語で用法を説明
処方薬が不足した場合の対応:
- スウェーデンの医師の診察を受けて処方を受ける(緊急の場合はhälsocentral・sjukhusets akutmottagning)
- 在スウェーデン日本大使館への連絡:日本語での医師紹介サービスを利用できる場合があります。渡航前に大使館のウェブサイト(外務省「たびレジ」にも掲載)で最新情報を確認してください
インスリン・透析など特殊な治療が必要な場合: スウェーデンの医療水準は世界的に高く、インスリン投与・腎透析・抗てんかん薬の処方など、ほとんどの医療行為が現地で可能です。ただし予約が必要な場合も多いため、出国前に現地の医療機関情報を収集しておくことをお勧めします。
在スウェーデン日本大使館の連絡先
- 所在地:Gardesgatan 10, 115 27 Stockholm
- 公式ウェブサイト:外務省「在スウェーデン日本国大使館」で最新情報を確認
- 緊急連絡先・医師紹介サービスは大使館公式ページ参照
薬剤師メモ スウェーデンは医療水準が高く、薬局員(apotekare)も専門知識が豊富です。成分名を英語で伝えれば対応可能な場合がほとんどです。また、スウェーデンの薬剤師は薬物相互作用・副作用に関する説明を丁寧に行う文化があります。言語の不安がある方は
Do you speak English?(ドゥ ユー スピーク イングリッシュ?)と確認してから相談しましょう。
渡航前チェックリスト|薬剤師が推奨する準備手順
渡航前に以下の項目を確認・準備してください。処方薬を複数服用している場合は、薬剤ごとにチェックすることをお勧めします。
渡航前90〜60日前
- 服用中の薬剤リストを作成し、成分名(一般名)を確認する
- エフェドリン・プソイドエフェドリン・dl-メチルエフェドリン含有成分が含まれていないか確認
- 麻薬・向精神薬が含まれる場合、Läkemedelsverketへのimport permit申請を開始
- シェンゲン医療証明書の書式を確認(主治医と相談)
渡航前30〜14日前
- 主治医に英文処方証明書の作成を依頼(医事課経由で3〜7日)
- 処方薬の残量を確認し、旅行期間+1〜2週間分の量を確保
- import permit(麻薬・向精神薬)の承認書が届いたか確認
渡航前7〜3日前
- 英文証明書のコピーを複数部作成(紛失対策)
- 医薬品を元の個別包装のまままとめる
- 液体・冷蔵保管薬の保管方法を確認
- 外務省「海外安全情報」・在スウェーデン日本大使館のウェブサイトで最新規制を確認
よくある質問(Q&A)
Q: ビタミンサプリメントはどの程度まで持ち込める? A: 個人使用の常識的な量であれば持ち込めます。英語で成分名を記載したラベルがあると、税関での説明がスムーズです。ただし大量持参は避けましょう。また、植物由来成分(ハーブエキス等)を含む製品は、EUの医薬品・食品安全規制の対象となる場合があるため、成分を確認してください。
Q: 漢方薬は持ち込める? A: 原則として避けることを推奨します。スウェーデン・EUは植物由来医薬品に対する規制が日本より厳しく、重金属(ヒ素・鉛・水銀等)の含有が問題になる場合があります。マオウ(麻黄)を含む漢方薬(葛根湯・麻黄湯・麻杏甘石湯など)は特に注意が必要で、含有するエフェドリン・メチルエフェドリンがEU規制物質に該当します。
Q: トリアゾラム(ハルシオン)はEUに持ち込める? A: トリアゾラムはEUの多くの国で販売自体が禁止または厳重規制されています(EU指令に基づく措置)。日本では使用されていますが、スウェーデンへの持ち込みには特別な注意が必要です。Läkemedelsverketへの事前問い合わせと、import permitの取得を強く推奨します。代替睡眠薬(zolpidem等)についても同様に事前申請が推奨されます。
Q: 市販のビタミン注射は持ち込める? A: 注射製剤(アンプル剤等)の個人持ち込みは原則として対応が難しいケースが多く、スウェーデン医師の処方・医療機関での使用が前提となる場合があります。具体的な品目については、Läkemedelsverketまたは在スウェーデン日本大使館に事前確認することをお勧めします。
Q: 経由地(例:ヘルシンキやフランクフルト)での規制は? A: 経由地がシェンゲン協定国内であれば、最終目的地(スウェーデン)の入国時にまとめて通関する形が一般的です。ただし航空乗り継ぎでの麻薬・向精神薬の持ち込みは各経由国の規制も確認が必要な場合があります。乗り継ぎ時間が長い場合や入出国を伴う場合は特に注意してください。
Q: EUの薬はスウェーデンの薬局で買えるが、日本語情報は? A: スウェーデンのMPA公式ウェブサイト( www.lakemedelsverket.se)には英語版があります。EU医薬品データベース(EMA公式)でも承認薬の情報が確認できます。日本語の情報は外務省「世界の医療事情(スウェーデン)」が参考になります。
まとめ
- 基本ルール:個人用3ヵ月分までの処方薬・市販薬は持ち込み可能だが、英文証明書が必須
- 禁止成分:エフェドリン・プソイドエフェドリン(麻黄由来を含む)、医療用麻薬は事前許可なしは絶対NG。日本の風邪薬・咳止め薬の多くが該当するため成分確認を
- シェンゲン医療証明書:管理薬物を複数の欧州各国に持ち込む場合に有効だが、スウェーデンのimport permitとは別物
- 英文証明書:処方薬ごとに医師から事前取得。出国2〜4週間前に依頼
- 医療用麻薬・向精神薬:Läkemedelsverketへの事前申請でimport permitを取得することが絶対要件
- 現地調達推奨:解熱鎮痛薬(paracetamol・ibuprofen)・アレルギー薬(cetirizine・loratadine)はスウェーデン薬局で購入可能。わざわざ日本から持参する必要なし
- 税関申告:英文証明書とともに、医薬品を持参している旨を必ず申告。疑わしい場合は「申告あり」レーンを選択
- 最新情報確認:規制は随時変更される可能性あり。外務省HP・在スウェーデン日本大使館・Läkemedelsverket公式サイトで必ず最新情報を確認してください
参考文献・公式情報源
-
Swedish Medical Products Agency (Läkemedelsverket) - "Individual import of medicinal products"
https://www.lakemedelsverket.se/en/ -
European Medicines Agency (EMA) - EU pharmaceutical legislation overview
https://www.ema.europa.eu/en/human-regulatory-overview/eu-pharmaceutical-legislation -
外務省 海外安全情報 - スウェーデン
https://www.anzen.mofa.go.jp/ -
厚生労働省 - 「医薬品を携帯して海外渡航する際の手続き等について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/index.html -
United Nations Office on Drugs and Crime (UNODC) - "Travellers' Regulations for Narcotic Drugs and Psychotropic Substances"
https://www.unodc.org/unodc/en/commissions/CND/conventions.html -
European Commission - Regulation (EC) No 273/2004 on drug precursors
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:32004R0273 -
Tullverket (Swedish Customs) - "Medicines" (個人用医薬品の通関案内)
https://www.tullverket.se/en/
監修:薬剤師(博士(薬学))