WHO調査:93%の国でメンタルヘルス医療が中断──渡航者が備えるべきこと

WHOの発表内容(2020年10月5日)

WHOは2020年6〜8月に6地域130カ国を対象に行った調査結果を公表し、93%の国でメンタルヘルス・神経・物質使用関連のサービスが中断または停止したと報告しました。一方で需要は増加しており、死別、孤立、収入減、感染への不安が新たな不調や既存疾患の悪化を招いていると指摘しています。

報告された主な中断(原文より):

  • 子ども・青少年向けサービス 72%、高齢者向け 70%、妊産婦向け 61%
  • カウンセリング・心理療法 67%、ハームリダクション 65%、オピオイド依存の維持療法 45%
  • 緊急対応(長時間の発作、重度の離脱症候群、せん妄など)35%
  • 精神・神経・物質使用障害の医薬品へのアクセス 30%
  • 学校 78%・職場 75%のメンタルヘルスサービス(部分的中断を含む)

遠隔診療・遠隔療法を導入した国は70%ですが、高所得国では80%超、低所得国では50%未満と差が大きいとされています。またWHOは、COVID-19自体がせん妄や興奮、脳卒中などの神経・精神的合併症につながりうること、既存の精神・神経・物質使用障害のある人は重症化リスクが高い可能性にも触れています。

渡航・滞在時に確認しておきたい点

  • 滞在先の受診体制:精神科・心療内科の外来やカウンセリングが通常どおり運用されているか、オンライン診療が使えるか(居住国外からの利用は不可の場合あり)。
  • 処方の継続性:現地で同一成分が入手できるとは限らず、調査では医薬品アクセスの中断も報告されています。
  • 緊急時の連絡先:現地の救急番号、日本語対応可能な医療機関、加入保険のアシスタンスデスク、在外公館の連絡先を出発前に記録。

薬剤師メモ 向精神薬・睡眠薬は国ごとに持ち込み規制が異なり、国によっては少量でも処方の証明がないと持ち込めません。渡航前に①英文の診断書・処方内容証明、②PTP包装のまま携帯(手荷物に分散)、③滞在日数+予備分の確保、④渡航先大使館への持ち込み可否の照会、の4点を主治医・かかりつけ薬局と相談してください。オピオイド作動薬による維持療法などは中断が健康被害につながりうるため、自己判断での減量・中止は避け、必ず事前に治療計画を主治医と共有しましょう。治療内容の変更は医師の判断が必要です。

出典:WHO「COVID-19 disrupting mental health services in most countries, WHO survey」(2020年10月5日)。本記事は公的情報の要約であり、個別の診断・治療方針を示すものではありません。

出典(一次情報)

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