2025年の世界小児予防接種状況に関するWHO・UNICEF報告
現状
WHO-UNICEF推計によると、2025年の世界の乳幼児のうち:
- DTP1接種率(初回): 90%(約1億1600万人)
- DTP完全接種率(3回目): 85%(約1100万人)
- 麻疹1回目接種率:84%
- 麻疹2回目接種率:77%
2024年比で1ポイント上昇しましたが、2019年のパンデミック前水準より1ポイント下回ったままです。
懸念される課題
麻疹の脅威
麻疹ウイルスの感染拡大を防ぐには95%以上のカバー率が必要とされていますが、現在84%(1回目)・77%(2回目)に留まっています。この結果として2025年に57カ国で大規模な麻疹発生が報告されました。
予防接種を完了しない子どもたち
約730万人の乳幼児が初回DTP接種を受けたものの、麻疹接種を受ける前にドロップアウトしており、この傾向が麻疹の低いカバー率に直結しています。
地域格差
南米とアジア南東部は完全に回復しましたが、アフリカ、東地中海地域、ヨーロッパはパンデミック前を下回ったままです。特に西太平洋地域は2019年比でさらに低下しています。
紛争・低開発国の脆弱性
ゼロ回接種児童の50%以上が紛争・脆弱地域に集中しており、シリアではDTP1カバー率が年間6ポイント、麻疹が12ポイント低下しました。
中所得国での接種躊躇
ワクチンアクセスが十分な国でも、政治的コミットメント減弱や根拠なき情報により接種率が低下しています。南アフリカでは2019年比でDTP1が20ポイント低下、ボスニア・ヘルツェゴビナは前年比23ポイント急落しました。
薬剤師メモ 渡航者は出発前に母子健康手帳で予防接種歴を確認し、麻疹抗体価が低い場合は渡航前の追加接種を検討してください。特に麻疹発生報告国への渡航では、成人でも2回接種の完了が推奨されます。現地での追加接種が必要な場合は、渡航先の医療機関に相談し、ワクチンの冷蔵管理状況を確認することが重要です。