UAEに薬を持ち込む手順|MOHAP規制とコデイン・トラマドール厳禁を薬剤師が解説

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  1. 0:19なぜUAEは薬に厳しいのか
  2. 0:57持ち込みNGな成分を知る
  3. 1:40必要書類と準備の手順
  4. 2:34市販薬と空港での対応

UAE渡航時の医薬品持ち込み規制の概要

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アラブ首長国連邦(以下UAE)は、医薬品に対する規制が比較的厳しい国です。特に精神神経用医薬品や特定の成分を含む医薬品は全面禁止または厳格に制限されています。渡航前の準備不足は、空港での没収、入国拒否、場合によっては現地法に基づく罰則の対象となる可能性があります。本記事では、薬剤師(博士(薬学))の視点から実践的な持ち込みルールを解説します。

薬剤師メモ UAE(ドバイ、アブダビなど)への医薬品持ち込みに関する法律は、UAE連邦レベルでは Ministry of Health and Prevention(MOHAP) が統括し、首長国ごとに Health Authority Abu Dhabi(HAAD) および Dubai Health Authority(DHA) が管轄しています。定期的に規制が更新されるため、渡航3週間前の確認が推奨されます。

なぜUAEの医薬品規制は厳しいのか——背景と法的根拠

UAEの医薬品規制が厳しい理由は、主に以下の三点に集約されます。

① 麻薬・向精神薬の流通管理 UAEは1990年代以降、麻薬対策を国家安全保障の一環と位置付けており、連邦法「Federal Law No. 14 of 1995 on Narcotics and Psychotropic Substances」(およびその改正)に基づき、規制薬物の所持・輸入に対して厳格な罰則を設けています。同法は、医療目的であっても適切な許可なしに規制薬物を所持することを禁じており、外国人旅行者も適用対象です。

② イスラム法との整合性 UAEはイスラム法(シャリーア)の影響を受けた法体系を持ちます。アルコール成分を含む医薬品(一部の液剤・シロップ剤)や、意識変容をもたらす向精神薬は、宗教的・文化的理由からも特別視されます。

③ 首長国ごとの管轄の複雑さ ドバイ・アブダビ・シャルジャなど7つの首長国は、連邦規制を基盤としながら独自の保健行政を持ちます。このため、同一の医薬品でも首長国によって運用が微妙に異なる場合があります。渡航先の首長国(ドバイならDHA、アブダビならHAAD)の公式サイトを個別に確認することが重要です。

薬剤師として強調したい点: 「日本のOTC医薬品だから安全」「処方薬を少量しか持ち込まないから問題ない」という思い込みは危険です。成分ベースで規制が適用されるため、パッケージの外観や販売形態ではなく、含有成分(一般名)を必ず確認してください


処方薬を持ち込む際の必須書類

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1. 医師の処方箋・診断書

処方薬を持ち込む場合、以下の書類が必須です:

書類名 内容 言語 入手先
英文処方箋 薬剤名、用量、用法、処方日 英語 日本の医師に依頼
英文診断書 患者氏名、診断名、処方理由 英語 日本の医師に依頼
医師の署名・押印 処方箋の医師サイン 英語 医師から
クリニック連絡先 医療機関の住所・電話番号 英語 クリニックに記載

取得のコツ

  • 「UAE渡航用の英文処方箋・診断書が必要」と医師に事前に通知(3〜5営業日前を目安に)
  • A4用紙で、医師の直筆署名と医療機関のスタンプが必須
  • 複数の医薬品を持参する場合は、薬剤ごとではなく一枚の診断書にまとめてもらうと携行しやすい
  • 処方箋の「INN(国際一般名)」での記載を医師に依頼すると、UAE側が成分を認識しやすくなります

薬剤師メモ UAE税関では、英文処方箋の日付が渡航日から3ヶ月以内であることを確認します。3ヶ月以上前の処方箋では受け入れられないことがあります。長期療養中の方は、渡航直前の受診で最新の処方箋を取得してください。

英文診断書・処方箋に盛り込むべき記載事項

UAEの税関・保健当局が求める記載レベルを満たすため、以下の項目が含まれているか確認してください。

記載項目 推奨表現(英語例) 重要度
患者氏名(パスポートと一致) Full name as per passport ◎必須
生年月日 Date of birth ◎必須
診断名(ICD準拠が望ましい) Diagnosis / Medical condition ◎必須
薬剤の一般名(INN) Generic name / INN ◎必須
1日用量・用法 Dosage and frequency ◎必須
渡航期間分の必要量 Quantity required for travel period ○推奨
医師氏名・資格・連絡先 Prescribing physician's name, license no., contact ◎必須
医療機関名・住所 Medical institution name and address ◎必須
処方日・有効期限 Date of prescription / Valid until ◎必須

2. 医薬品輸入許可書(オプション・推奨)

より確実な持ち込みのため、事前にUAE側で医薬品輸入許可書を取得できます:

  • HAAD(アブダビ): haad.ae で申請(現在はDOH:Department of Health Abu Dhabiに統合移行中)
  • Dubai Health Authority: dha.gov.ae で申請
  • MOHAP(連邦): mohap.gov.ae でも規制物質の許可申請が可能
  • 申請期間: 渡航2〜3週間前が目安(余裕をもって4週間前推奨)
  • 費用: 無料〜数百AED程度(地域・薬剤の種類による。詳細は各当局に確認)

どのような場合に許可書が必要か

単純な持病(高血圧・糖尿病など)の一般的な処方薬であれば、英文処方箋・診断書のみで入国できるケースが多いです。一方、以下に該当する場合は輸入許可書の事前取得を強く推奨します。

  • 規制物質(向精神薬・麻薬指定成分)を含む処方薬
  • 注射剤・麻酔薬
  • 30日分を超える量を持参したい場合
  • 主治医がUAE当局に直接連絡しての証明が必要なケース

市販薬の持ち込みルール

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OTC医薬品でも注意が必要

医薬品カテゴリ UAE持ち込み可否 備考
風邪薬(アセトアミノフェン系) ○ 可 3本程度まで問題なし
総合感冒薬(複合製剤) △ 要確認 含有成分に注意
胃腸薬(ロペラミドなど) △ 要医師診断書 一部成分が制限される
鎮痛・解熱薬(イブプロフェン) ○ 可 常用量のみ
ビタミン・栄養補助食品 ○ 可 医療用でなければ問題なし
ステロイド軟膏 △ 要診断書 含量により異なる
抗生物質 △ 要処方箋 医師処方箋が必須

薬剤師メモ 市販薬であっても、医療用医薬品と判定される場合があります。特に複合製剤(複数成分の組み合わせ)や医療用から転用された成分は、持ち込みの判断が難しいため、購入時に薬局でUAE持ち込み可否を相談することをお勧めします。

市販薬の成分確認——薬学的観点からのポイント

日本のOTC医薬品は複数の有効成分を組み合わせた配合剤が多く、パッケージ表面だけでは全成分を把握しづらい場合があります。以下の確認ステップを実践してください。

Step 1: 添付文書または外箱の成分表を確認 日本の医薬品は「成分・分量」の記載が義務付けられています。外箱の裏面または添付文書の「成分・分量または本質」の欄を確認します。

Step 2: 一般名(INN)に変換して確認 製品名ではなく、成分の一般名でUAEの禁止リストと照合します。例えば「アセトアミノフェン」「イブプロフェン」は問題ないことが多いですが、「ジヒドロコデインリン酸塩」「エフェドリン塩酸塩」「プソイドエフェドリン塩酸塩」が含まれる場合は要注意です。

Step 3: 不明な成分はかかりつけ薬剤師に相談 薬局・ドラッグストアの薬剤師に「UAE(ドバイ・アブダビ)に持ち込んでも問題ない成分か」と尋ねてください。薬剤師はPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)の添付文書データベースを活用して成分を特定できます。

市販薬の持ち込み数量の目安

  • **1種類につき1〜3本(箱)**が安全な目安
  • 「個人使用の合理的範囲」を超える量(同一薬剤を10本以上など)は商業目的とみなされる可能性があり、没収のリスクが高まります
  • サプリメント・栄養補助食品も1種類につき1〜2本程度に抑える
  • 滞在日数分+予備数日分を目安に数量を算出し、処方箋・診断書にもその旨を記載してもらうと説明しやすくなります

UAE禁止医薬品リスト(重要)

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完全禁止成分

成分・医薬品分類 禁止区分 代表的な一般名 日本での主な使用例
ベンゾジアゼピン系 規制物質 ジアゼパム、ロラゼパム、アルプラゾラム 抗不安薬、睡眠薬
バルビツール酸系 規制物質 フェノバルビタール 抗てんかん薬
抗てんかん薬(一部) 規制物質 フェニトイン 抗てんかん薬
オピオイド系鎮痛薬 麻薬指定 トラマドール、コデインリン酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩 鎮痛薬、咳止め
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI) 不許可 パロキセチン、フルボキサミン 抗うつ薬
トリアゾロ系抗不安薬(一部) 規制物質 トリアゾラム 睡眠薬
多環系抗うつ薬(一部) 不許可 トラゾドン 抗うつ薬

薬剤師メモ 精神疾患の治療中で処方薬が禁止成分の場合、UAE到着後に現地医師の診察を受け、UAE認可の代替医薬品に変更することが通例です。渡航3ヶ月前から主治医と相談し、渡航期間分の持ち込み許可書取得を検討してください。

禁止成分の薬学的解説——なぜ規制されるのか

コデインリン酸塩・ジヒドロコデインリン酸塩(オピオイド系) コデインはモルヒネの前駆体(プロドラッグ)であり、体内でCYP2D6(チトクロームP450 2D6)により約10%がモルヒネに代謝されます。鎮咳・鎮痛作用を持ちますが、依存性・乱用リスクから多くの中東諸国で麻薬指定物質として管理されています。日本では「ジヒドロコデインリン酸塩配合のOTC咳止め」が一般用医薬品として販売されていますが、UAE持ち込みは原則禁止です。

トラマドール塩酸塩(オピオイド系) トラマドールはμオピオイド受容体への弱い親和性とノルアドレナリン・セロトニン再取り込み阻害作用を合わせ持つ中枢性鎮痛薬です。日本では「トラムセット配合錠」(トラマドール塩酸塩・アセトアミノフェン配合)などが処方されますが、UAEでは麻薬と同等の規制物質として扱われます。

ベンゾジアゼピン系薬(ジアゼパム・ロラゼパムなど) ベンゾジアゼピン系はGABA-A受容体のベンゾジアゼピン結合部位に作用し、鎮静・抗不安・筋弛緩・抗けいれん作用を示します。精神依存・身体依存を形成しやすく、乱用リスクが高いことから、UAEでは向精神薬として厳格に規制されています。抗不安薬・睡眠薬として日本では広く処方されていますが、事前の輸入許可なしにUAEへ持ち込むことは規制に抵触する可能性があります。

フェノバルビタール(バルビツール酸系) バルビツール酸系はGABA-A受容体に直接作用し、Cl⁻チャネル開口時間を延長させることで中枢抑制作用を示します。フェノバルビタールは抗てんかん薬として有用ですが、依存性・乱用ポテンシャルが高く、UAEでは規制対象です。代替の抗てんかん薬(バルプロ酸、レベチラセタムなど)への変更が可能か、渡航前に主治医と相談することが重要です。

持ち込み時に要注意な成分

成分(一般名) 規制内容 主な用途 対策
エフェドリン塩酸塩 医師診断書必須 漢方製剤(麻黄配合)、気管支拡張 漢方薬・感冒薬での含有確認が必要
プソイドエフェドリン塩酸塩 医師診断書必須 鼻粘膜充血除去薬 鼻炎薬・総合感冒薬に含有例あり
ジクロフェナクナトリウム 医師診断書必須 NSAIDs系鎮痛薬 外用剤・内服剤とも要確認
ブロムヘキシン塩酸塩 医師診断書必須 去痰薬 咳止め・去痰薬に含有例あり
メチルフェニデート塩酸塩 完全禁止 ADHD治療薬 代替措置を主治医と相談
モダフィニル 完全禁止 ナルコレプシー治療薬 渡航前に代替を主治医と相談

日本の市販薬でありがちな「落とし穴」成分

日本のOTC医薬品に含まれていてUAEで問題になりやすい成分の組み合わせをまとめます。

  • 総合感冒薬: エフェドリン類(エフェドリン塩酸塩・メチルエフェドリン塩酸塩)やジヒドロコデインリン酸塩を含む製品が存在します。購入前に必ず成分表を確認してください。
  • 咳止め製剤: ジヒドロコデインリン酸塩配合のOTC咳止めは日本では広く販売されていますが、UAEでは持ち込み禁止の対象です。コデイン・ジヒドロコデインを含まないデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物配合の製品を選ぶとよいでしょう。
  • 鼻炎薬: プソイドエフェドリン塩酸塩配合の製品は要診断書です。
  • シップ薬(外用鎮痛薬): ジクロフェナクナトリウム配合の貼付剤は診断書が必要です。イブプロフェン配合やフェルビナク配合の外用剤を選択肢として検討できます(ただし、これらについても渡航前に最新規制を確認してください)。

UAE渡航時の医薬品持ち込み手続きフロー

出国前(日本国内)

  1. 渡航4週間: 服用中の処方薬・常備薬の成分一般名を全て書き出す
  2. 渡航3週間: 処方薬がある場合、医師に英文処方箋・診断書を依頼。規制物質を含む場合はMOHAP/DHA/HAAADへの許可申請も開始
  3. 渡航2週間: UAE側の医薬品許可書が必要か判断。必要であれば申請完了を確認
  4. 渡航1週間: すべての医薬品を元のパッケージのまま(瓶・シート・外箱)ケースに収める。ラベルが剥がれている場合は注意
  5. 渡航前日: 税関申告書への記入準備、書類一式(処方箋・診断書・許可書のコピーを含む)をクリアファイルに整理。原本とコピーを分けて携行する

ドバイ・アブダビ空港での手続き

タイミング 手続き内容 提出・準備書類
入国審査前 医薬品を手荷物からアクセスしやすい位置に 英文処方箋・診断書・許可書
税関申告カウンター 医薬品を申告(申告が必要な量・種類の場合) 申告書、処方箋、医薬品本体
検査 医薬品の成分・ラベル確認 医薬品本体とラベル(一般名が読める状態)
承認 スタンプ押下・確認票受領 申告書控えを滞在中保管

空港での英語コミュニケーション例

税関で確認が入った場合、以下のフレーズが役立ちます:

  • I have prescription medicines for my medical condition.(アイ ハヴ プレスクリプション メディシンズ フォー マイ メディカル コンディション)
  • Here is my doctor's prescription and medical certificate.(ヒア イズ マイ ドクターズ プレスクリプション アンド メディカル サーティフィケート)
  • This medicine is for personal use only.(ディス メディシン イズ フォー パーソナル ユース オンリー)
  • Do I need to declare this medicine?(ドゥ アイ ニード トゥ ディクレア ディス メディシン?)

薬剤師メモ UAE空港の税関では、医薬品を詰め替えたり、ジップロック袋にまとめたりすることは避けてください。元のパッケージのまま、医薬品ラベル(成分名・製造業者名)が読める状態で提出することが重要です。ラベルが判読不能な場合、検査官が成分を確認できず没収や追加審査の対象になる可能性があります。


よくある質問への回答

Q: 日本で購入したドラッグストアの医薬品は大丈夫? A: 成分次第です。特に複合感冒薬や総合風邪薬は含有成分をチェックしてください。コデイン類・エフェドリン類・プソイドエフェドリン塩酸塩が含まれる場合は要注意です。不明な場合は薬局薬剤師に相談するか、医師に診断書を取得してもらうことを推奨します。

Q: 処方箋がない医薬品を持ち込みたい場合は? A: 市販薬の場合、医療機関を受診して処方薬として発行し直してもらうか、医師に市販薬の成分を説明した上で英文の「持参薬確認書」のような形の書状を作成してもらう方法があります。いずれにせよ、書類なしで成分不明の薬剤を持ち込もうとすることは避けてください。

Q: UAE到着後に医薬品が問題となった場合は? A: 在ドバイ日本国総領事館または在アブダビ日本国大使館に連絡してください。領事が現地当局との連絡を支援するほか、現地医療機関の紹介も受けられます。渡航前に大使館・総領事館の緊急連絡先を控えておくことを強く推奨します。

Q: 帰国時の医薬品持ち込みルールは? A: 日本への持ち込みも規制があります。UAEで購入した一般医薬品の大半は問題ありませんが、麻薬・向精神薬に分類される成分を含む医薬品は、日本の麻薬及び向精神薬取締法の規制対象となる場合があります。詳細は財務省関税局・厚生労働省の最新情報を確認してください。

Q: インスリンなどの注射剤は持ち込めるか? A: インスリンをはじめとする注射剤は持ち込み可能ですが、英文処方箋・診断書に加え、注射針(シリンジ)については別途医師の証明書が推奨されます。液体制限(機内持ち込みは100ml以内/容器)の適用除外となるよう、事前に航空会社にも確認することをお勧めします。

Q: 精神科・心療内科の薬を服用中だが、どうすればよいか? A: 服用中の薬剤が禁止成分(ベンゾジアゼピン系・SSRI等)に該当する場合、①主治医に代替薬への切り替えが可能か相談する、②渡航期間を短縮してUAE滞在中は投薬を一時中断できるか医師と検討する、③MOHAP/DHA/HAAADへの事前許可申請を行う——の三つの選択肢があります。いずれも渡航2〜3ヶ月前から主治医に相談することが必須です。


UAE渡航前の医薬品準備チェックリスト

  • 服用中の全医薬品の成分名(一般名・INN)を書き出した
  • 処方薬の医師処方箋・診断書(英文、署名・押印あり)を取得した
  • 市販薬の成分をラベルで確認し、禁止成分がないことを確認した
  • UAE保健当局の許可書が必要か判断し、必要であれば申請・取得した
  • すべての医薬品を元のパッケージのまま保管している
  • 医薬品の用量・用法を英語でメモした(口頭説明できる状態)
  • 処方箋・診断書の原本とコピーを別々に携行する準備ができている
  • 税関申告書の記入方法を事前に確認した
  • 渡航先(ドバイ/アブダビ)の日本大使館・総領事館の緊急連絡先を控えた
  • 海外旅行保険の補償内容を確認した(医薬品トラブルや医療費が含まれるか)
  • 航空会社に注射剤・液剤の機内持ち込みルールを確認した(該当者のみ)
  • 渡航3週間前に外務省・日本大使館の最新情報を確認した

薬剤師メモ UAE渡航中に医薬品が必要になった場合、ドバイ・アブダビには処方薬・OTC医薬品を取り扱う薬局が多く存在します。ただし、取り扱い品目・規格・価格は日本と異なります。特に慢性疾患の治療薬や精神科系薬剤は現地での入手が困難なケースもあるため、常用薬は日本から十分な量を(合法的な手続きを経て)持参することを強く推奨します


特殊ケース別の対応指針

小児と乳幼児の医薬品

乳幼児・小児の場合、体重あたりの用量が成人と大きく異なります。英文処方箋には「体重○kg、○歳」と明記し、用量計算の根拠を記載してもらうと税関での説明がスムーズです。小児用シロップ剤は液体制限の対象となることがあるため、医薬品であることを証明する書類を手荷物と一緒に携行してください。

妊婦・授乳婦の医薬品

妊娠中の方は、服用中の薬剤(葉酸サプリ・鉄剤・降圧薬など)について英文の処方箋または産科医の診断書を準備してください。また、UAE渡航中の緊急時に備え、母子手帳の英訳サマリーや妊娠週数・血液型・既往歴などを記載した英文サマリーシートの携行も推奨します。

糖尿病患者のインスリン・血糖測定器

インスリン製剤は持ち込み可能ですが、注射針(インスリン用注射針、ペン型注射器のニードル)については医師の証明書が推奨されます。血糖測定器本体と試験紙は問題ありませんが、ランセット(穿刺針)も同様に医療証明書を準備してください。機内では冷蔵保管が必要な製剤について、航空会社の規定(保冷ケースの持ち込み可否)を事前に確認してください。

長期滞在・在UAE勤務の場合

観光・出張(数週間以内)と異なり、長期滞在(数ヶ月以上)や在UAE勤務の場合は、現地の保険制度・医療体制に組み込まれることが前提となります。長期滞在者は現地の医師に処方を引き継ぐことが求められる場合があり、日本から処方薬を大量に持ち込む形での対処には限界があります。渡航前に、勤務先・現地の健康保険組合・在UAE日本人コミュニティの医療ネットワーク等を通じて現地医師とのコネクションを確保しておくことを推奨します。


参考:最新情報の確認先

機関・サービス 確認内容 URL
外務省 海外安全情報 UAE渡航情報・医療情報 https://www.anzen.mofa.go.jp/
在ドバイ日本国総領事館 医療・健康・領事情報 https://www.dubai.ur.emb-japan.go.jp/
在アブダビ日本国大使館 医療・健康・領事情報 https://www.uae.emb-japan.go.jp/
Ministry of Health and Prevention UAE (MOHAP) UAE連邦の医薬品規制 https://www.mohap.gov.ae/
Dubai Health Authority (DHA) ドバイの医薬品・入国許可情報 https://www.dha.gov.ae/
PMDA(医薬品医療機器総合機構) 日本の医薬品添付文書・成分確認 https://www.pmda.go.jp/
厚生労働省 海外渡航時の医薬品携行 向精神薬・麻薬輸出入の許可申請 https://www.mhlw.go.jp/

最新情報は大使館・外務省で必ず確認してください。本記事の情報は執筆時点(2025年7月)のものであり、規制は予告なく変更される可能性があります。


参考文献

  1. Ministry of Health and Prevention UAE (MOHAP). "Carrying Medications into the UAE." https://www.mohap.gov.ae/en/services/334(参照:2025年7月)
  2. Dubai Health Authority (DHA). "Medical Fitness and Import of Medicines." https://www.dha.gov.ae/(参照:2025年7月)
  3. 外務省. 「アラブ首長国連邦(UAE)感染症危険情報・医療情報」. https://www.anzen.mofa.go.jp/(参照:2025年7月)
  4. 厚生労働省. 「麻薬・向精神薬の輸出入について(携帯輸出入の手続き)」. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/index.html(参照:2025年7月)
  5. PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構). 「医療用医薬品添付文書情報」. https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/(参照:2025年7月)
  6. WHO. "WHO Model List of Essential Medicines, 23rd List (2023)." https://www.who.int/publications/i/item/WHO-MHP-HPS-EML-2023.02(参照:2025年7月)

まとめ

  • 処方薬持ち込みの必須書類: 英文処方箋・診断書(医師署名・押印必須)。記載項目(INN成分名・用量・渡航期間分の必要量)を確認
  • 主管機関: 連邦レベルはMOHAP、ドバイはDHA、アブダビはHAAD/DOH。それぞれ独立した規制がある
  • 禁止成分: ベンゾジアゼピン系・バルビツール酸系・オピオイド系(コデイン・トラマドールなど)・一部SSRI・メチルフェニデート等は禁止または厳格規制
  • 要注意成分: エフェドリン類・プソイドエフェドリン塩酸塩・ジクロフェナクナトリウム・ブロムヘキシン塩酸塩は診断書が必要
  • 市販薬の数量: 1種類につき1〜3本が安全な目安。個人使用の合理的範囲内に留める
  • 医薬品の持ち込み形態: 元のパッケージのまま、成分名が読める状態で提出
  • 準備期間: 渡航4週間前から医師・薬剤師と相談を開始。許可申請が必要な場合は3〜4週間前に申請
  • UAE到着時: 規制対象・申告が必要な医薬品は税関に申告。英語でのコミュニケーション準備も忘れずに
  • 特殊ケース対応: 小児・妊婦・糖尿病患者・長期滞在者はそれぞれ追加の準備が必要
  • 最終確認: 渡航3週間前に外務省・日本大使館・MOHAP公式サイトで最新規制を必ず確認

監修: 薬剤師(博士(薬学))

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