ベトナムの風邪薬「アスピリン」は実は日本と全く違う成分だった

ベトナムの薬局で見つけたら要注意「Aspirin」の正体

なぜ成分表記が曖昧なのか

ベトナムなど東南アジアのOTC医薬品は、古い処方が流通し続けているケースが多くあります。特に「Aspirinアスピリン」というジェネリック表記は、必ずしもサリチル酸を意味しない—これが渡航者を混乱させる最大の理由です。

現地の薬局店員も「Aspirinアスピリン = 風邪・頭痛の薬」という認識が主で、厳密な成分の説明を求めても期待できません。

項目 日本のアスピリン(例:バファリン A) ベトナムの「Aspirin」製品
主成分 アセチルサリチル酸300mg アセトアミノフェン250–300mg
添加成分 ダイアルミネート水和物 カフェイン50mg + フェナセチン150mg
用量 1回1–2錠、1日3–4回 不明確・倍用量販売例あり
肝障害リスク サリチル酸による過剰摂取は稀 フェナセチン+アセトアミノフェン併用で急速に肝障害化

渡航者が陥る「倍用量の罠」

薬局で「頭痛がひどい」と伝えると、「これは強い」と言われて1回3–4錠の用量を勧められることが多いです。ベトナムの製品は1錠あたりの成分含量が日本より低いことが多いため、相対的に用量が増える傾向があります。

しかし、フェナセチンを含む製品で200mg以上/回を超える摂取は、肝臓毒性が急速に増加します。WHO は1970年代にフェナセチンの肝腎毒性を警告し、多くの先進国で規制・撤廃されました。しかしベトナムやカンボジアではいまだにOTC販売されています。

現地で安全に購入するコツ

成分表記を必ず確認する—パッケージの裏面に印刷された成分一覧(通常はベトナム語+英語表記)を撮影してから購入。

Paracetamolパラセタモール」(アセトアミノフェン単剤)と書かれた製品を選ぶ方が、複合剤より予測可能です。パラセタモール500mgなら、1回1錠に限定し、1日3回までに自己制限すること。

英語で聞く場合:Does it contain acetaminophen only, or paracetamol mixed with other ingredients?(これはアセトアミノフェン単独ですか、それとも他成分混合ですか?)(ダズ イット コンテイン アセトアミノフェン オンリー、オア パラセタモール ミックスド ウィズ アザー インングリーディエンツ?)

薬剤師メモ

ベトナム・タイ・インドネシアの薬局では、個人名義の処方箋がなくとも抗生物質やNSAID(ロキソニンに相当する医薬品)が購入できます。これは利便性の一方で、成分誤認と過剰摂取のリスクが激増する背景になっています。渡航前に現地で購入する予定の医薬品は、品目名ではなく「主成分名」を事前にメモしておき、薬局で突合させるプロセスをお勧めします。

帰国後の相談も忘れずに

「ベトナムでアスピリンを1週間、毎日3–4錠飲んだ」という渡航者は、帰国後に日本の薬剤師または医師に申告してください。肝機能検査(AST / ALT)を受け、フェナセチン由来の腎盂腎炎や肝炎の初期徴候がないか確認することをお勧めします。

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