ジフェンヒドラミンはシンガポールに持って行ける?
ジフェンヒドラミンは多くの国で市販されていますが、抗アレルギー薬の棚か睡眠補助薬の棚かは国によって異なります。シンガポールについても同じ前提で準備してください。
実務注意
- 1錠あたりの含量と1日上限は国によって違うため、現地で買う場合は表示を確認する
なぜジフェンヒドラミンは国によって扱いが変わるのか
多くの国で市販されているが、「抗アレルギー薬」として売られる国と「睡眠補助薬」として売られる国があり、同じ成分が別カテゴリの棚に並ぶ。禁止よりも、どの棚を探すかが実務的な問題になる成分。
条約の附表に載っている成分は、治療目的の携帯であっても入国時に「規制物質を持ち込む行為」として 扱われます。自国での販売区分(OTCか処方薬か)は、渡航先での判断とは別物だと考えてください。
ジフェンヒドラミンについて
成分(INN): diphenhydramine
日本ブランド: レスタミンコーワ・ドリエル・ネオデイ
海外ブランド: Benadryl・ZzzQuil・Nytol・Sominex
抗ヒスタミン薬で米国ではアレルギーOTC、日本では睡眠補助・蕁麻疹用。英国はBenadrylブランドが別成分(cetirizine等)の点に注意。
作用機序
第一世代H1受容体拮抗薬。血液脳関門を通過して中枢のH1受容体も遮断するため眠気が出る。抗コリン作用も併せ持つ。
薬物動態(渡航中の服用間隔を考えるうえで)
主にCYP2D6で代謝される。半減期は4〜9時間で、高齢者ではさらに延長し翌日まで眠気が残ることがある。
渡航中に問題になりやすい相互作用
- アルコール・睡眠薬・オピオイド: 中枢抑制の相加
- 他の抗コリン薬(胃腸薬・過活動膀胱治療薬): 口渇・尿閉・せん妄の増強
- MAO阻害薬: 作用増強
旅行中は普段飲まない薬(時差対策の睡眠薬、乗り物酔い止め、現地で買った鎮痛薬)が加わりやすく、 相互作用は自宅にいるときより起きやすくなります。お薬手帳の英訳またはスマートフォンの写真を 持っておくと、現地の薬剤師・医師に確認してもらえます。
副作用・使用上の注意
- 眠気・集中力低下。運転や現地でのレンタカーは避ける
- 口渇・尿閉。前立腺肥大では特に注意
- 閉塞隅角緑内障では禁忌
- 高齢者ではせん妄・転倒のリスクがあり、睡眠補助としての使用は推奨されない
シンガポールで入手しやすい代替成分
- セチリジン・ロラタジン(Zyrtec/Claritin): 眠気の少ない第二世代。アレルギー目的ならこちら
- メラトニン: 時差ボケ目的ならH1拮抗薬より合理的
海外の薬局では商品名ではなく成分名(diphenhydramine)で伝えるのが確実です。 同じ成分でも国によって商品名が変わるため、商品名だけを頼りにすると別の成分を渡されることがあります。
シンガポールの規制を確認する窓口
医薬品規制当局: 保健科学庁
正式名称: Health Sciences Authority(HSA)
規制薬物の携帯には事前の輸入許可申請が必要になる場合があります。
当サイトの判定は薬剤師が整理した参考情報です。次のいずれかで最新の一次情報を確認してください。
- 保健科学庁(HSA)の公表情報
- シンガポールの在日大使館・総領事館(日本語で問い合わせられる場合があります)
- シンガポールの税関当局が公表する旅行者向けの持ち込みルール
- 長期滞在・処方薬の大量携帯であれば、渡航前に主治医と薬剤師に相談
英文の処方箋・診断書に入れておく項目
OTCで購入可の成分でも、量が多い場合や乗り継ぎ国の規制が厳しい場合は書類を求められることがあります。次の項目を用意しておくと確実です。
- 患者本人の氏名(パスポートの綴りと一致させる)と生年月日
- 診断名または治療目的
- 一般名(diphenhydramine)での成分名。商品名だけでは各国の担当者が判断できません
- 1日量・1回量・用法と、携帯する総量(滞在日数に見合う量であること)
- 処方医の署名・連絡先・医療機関名
- 処方ラベルの付いた元の容器のまま携帯すること(詰め替えない)
シンガポールでジフェンヒドラミンを飲むときの水
水道水の飲用: おおむね飲用可
硬度: 30 mg/L(軟水/0-60 mg/L)
カルシウム: 10 mg/L / マグネシウム: 2 mg/L
シンガポールの水道水は先進国並みの品質で世界最高水準。軟水で服薬にも問題なし。
現地でよく見るボトル水: NEWater(15 mg/L・軟水)、Ice Mountain(20 mg/L・軟水)、Evian(輸入)(304 mg/L・硬水)
硬水のカルシウム・マグネシウムは、テトラサイクリン系やニューキノロン系の抗菌薬、 ビスホスホネート、レボチロキシンなど一部の薬とキレートを作って吸収を落とします。ジフェンヒドラミン自体はその影響を受ける成分ではありませんが、これらを併用しているなら軟水のボトル水で服用してください。
シンガポールで症状が出たときに現地で買えるもの
ジフェンヒドラミンを持ち込めるかどうかとは別に、現地で症状が出たときに何を買えるかを知っておくと 計画が崩れにくくなります。シンガポールの症状別ガイドに、現地で入手できる成分と商品名をまとめています。
シンガポールの他の渡航準備情報
ジフェンヒドラミンの扱いが特に分かれる国
※ 規制は予告なく変更されます。最終確認はシンガポールの大使館・税関・公的医薬品規制機関の最新情報を必ずご確認ください。 本判定は薬剤師監修の参考情報であり、法的助言ではありません。診断・治療方針の決定は医師の領域です。