アセトアミノフェン(パラセタモール)はカンボジアに持って行ける?
アセトアミノフェン(パラセタモール)は世界中で市販されている成分ですが、米国では acetaminophen、その他の多くの国では paracetamol と呼ばれるため名称の違いに注意が必要です。カンボジアについても同じ前提で準備してください。
実務注意
- 1錠あたりの含量と1日上限は国によって違うため、現地で買う場合は表示を確認する
なぜアセトアミノフェン(パラセタモール)は国によって扱いが変わるのか
規制よりも「名称と含量の違い」が渡航時のリスク。米国では acetaminophen、他の多くの国では paracetamol と呼ばれ、同じ成分だと気づかずに総合感冒薬と併用して過量になる事故が多い。一部の国では過量自殺対策として1回販売量に上限がある。
条約の附表に載っている成分は、治療目的の携帯であっても入国時に「規制物質を持ち込む行為」として 扱われます。自国での販売区分(OTCか処方薬か)は、渡航先での判断とは別物だと考えてください。
アセトアミノフェン(パラセタモール)について
成分(INN): acetaminophen / paracetamol
日本ブランド: タイレノールA・ノーシン・バファリンルナJ
海外ブランド: Tylenol・Panadol・Doliprane・Dafalgan・Efferalgan
世界中で最も普及している解熱鎮痛薬。多くの国でOTCだが、英国・アイルランドは自殺予防のため1回購入数を制限。
作用機序
中枢神経系でのCOX阻害と下行性抑制系への作用により解熱・鎮痛を示す。末梢での抗炎症作用はほとんどないため、炎症性の痛みにはNSAIDsが優る。
薬物動態(渡航中の服用間隔を考えるうえで)
大部分はグルクロン酸抱合・硫酸抱合で無毒化されるが、一部がCYP2E1により反応性代謝物NAPQIになり、グルタチオンで解毒される。半減期は約2〜3時間。飲酒・低栄養・絶食でグルタチオンが枯渇すると常用量でも肝障害が起こりうる。
渡航中に問題になりやすい相互作用
- アルコール: CYP2E1誘導とグルタチオン枯渇で肝毒性が増す
- ワルファリン: 高用量を継続するとINR上昇
- 複数の総合感冒薬の併用: 同一成分の重複で容易に1日上限を超える
旅行中は普段飲まない薬(時差対策の睡眠薬、乗り物酔い止め、現地で買った鎮痛薬)が加わりやすく、 相互作用は自宅にいるときより起きやすくなります。お薬手帳の英訳またはスマートフォンの写真を 持っておくと、現地の薬剤師・医師に確認してもらえます。
副作用・使用上の注意
- 常用量では安全域が広いが、過量では用量依存的な肝障害
- 海外製品は1錠500mg、Extra Strengthで650mgもあり、日本の200〜300mg錠の感覚で飲むと1日上限に達しやすい
カンボジアで入手しやすい代替成分
- イブプロフェン(Advil/Nurofen): 炎症を伴う痛みには優る
- アスピリン: 小児・10代のウイルス感染時は避ける
海外の薬局では商品名ではなく成分名(acetaminophen / paracetamol)で伝えるのが確実です。 同じ成分でも国によって商品名が変わるため、商品名だけを頼りにすると別の成分を渡されることがあります。
カンボジアの規制を確認する窓口
医薬品規制当局: 保健省医薬品・食品局
正式名称: Department of Drugs and Food, Ministry of Health(DDF)
当サイトの判定は薬剤師が整理した参考情報です。次のいずれかで最新の一次情報を確認してください。
- 保健省医薬品・食品局(DDF)の公表情報
- カンボジアの在日大使館・総領事館(日本語で問い合わせられる場合があります)
- カンボジアの税関当局が公表する旅行者向けの持ち込みルール
- 長期滞在・処方薬の大量携帯であれば、渡航前に主治医と薬剤師に相談
英文の処方箋・診断書に入れておく項目
OTCで購入可の成分でも、量が多い場合や乗り継ぎ国の規制が厳しい場合は書類を求められることがあります。次の項目を用意しておくと確実です。
- 患者本人の氏名(パスポートの綴りと一致させる)と生年月日
- 診断名または治療目的
- 一般名(acetaminophen / paracetamol)での成分名。商品名だけでは各国の担当者が判断できません
- 1日量・1回量・用法と、携帯する総量(滞在日数に見合う量であること)
- 処方医の署名・連絡先・医療機関名
- 処方ラベルの付いた元の容器のまま携帯すること(詰め替えない)
カンボジアでアセトアミノフェン(パラセタモール)を飲むときの水
水道水の飲用: 飲用は避ける
硬度: 110 mg/L(中程度/60-120 mg/L)
カルシウム: 30 mg/L / マグネシウム: 8 mg/L
水道水は飲用不可。ホテルでもボトル水必携。氷は避ける。
カンボジアでは水道水をそのまま飲まない前提で、服薬にもボトル水を使ってください。薬は正しく飲めていても、飲み水由来の感染で下痢・脱水になれば吸収も体調も崩れます。
現地でよく見るボトル水: Kulen(50 mg/L・軟水)、Eurotech(40 mg/L・軟水)
硬水のカルシウム・マグネシウムは、テトラサイクリン系やニューキノロン系の抗菌薬、 ビスホスホネート、レボチロキシンなど一部の薬とキレートを作って吸収を落とします。アセトアミノフェン(パラセタモール)自体はその影響を受ける成分ではありませんが、これらを併用しているなら軟水のボトル水で服用してください。
カンボジアで症状が出たときに現地で買えるもの
アセトアミノフェン(パラセタモール)を持ち込めるかどうかとは別に、現地で症状が出たときに何を買えるかを知っておくと 計画が崩れにくくなります。カンボジアの症状別ガイドに、現地で入手できる成分と商品名をまとめています。
カンボジアの他の渡航準備情報
アセトアミノフェン(パラセタモール)の扱いが特に分かれる国
※ 規制は予告なく変更されます。最終確認はカンボジアの大使館・税関・公的医薬品規制機関の最新情報を必ずご確認ください。 本判定は薬剤師監修の参考情報であり、法的助言ではありません。診断・治療方針の決定は医師の領域です。