デキストロメトルファンはカンボジアに持って行ける?
デキストロメトルファンは多くの国で市販の鎮咳薬として入手できますが、乱用対策として購入年齢制限を設けている国があります。カンボジアについても同じ前提で準備してください。
実務注意
- 1錠あたりの含量と1日上限は国によって違うため、現地で買う場合は表示を確認する
なぜデキストロメトルファンは国によって扱いが変わるのか
治療用量では安全域が広い一方、高用量での解離作用を目的とした乱用が問題化したため、購入年齢制限や販売記録という形の規制が増えている。禁止というより「買い方」の規制になりやすい。
条約の附表に載っている成分は、治療目的の携帯であっても入国時に「規制物質を持ち込む行為」として 扱われます。自国での販売区分(OTCか処方薬か)は、渡航先での判断とは別物だと考えてください。
デキストロメトルファンについて
成分(INN): dextromethorphan
日本ブランド: メジコン・新ルル・改源
海外ブランド: Robitussin DM・Delsym・Mucinex DM・NyQuil
咳止めの代表的非麻薬成分。UAEでは規制対象、米国の一部州では18歳未満購入制限。多くの国でOTC。
作用機序
中枢性の非麻薬性鎮咳薬。σ1受容体への作動作用とNMDA受容体拮抗作用により咳中枢の閾値を上げる。オピオイド受容体には作用しないため便秘や依存が起きにくい。
薬物動態(渡航中の服用間隔を考えるうえで)
CYP2D6によりデキストロルファンへ代謝される。半減期は2〜4時間だが、CYP2D6低活性型(日本人の数%)では大幅に延長し効果・副作用が強く出る。
渡航中に問題になりやすい相互作用
- SSRI・SNRI・MAO阻害薬: セロトニン症候群のリスク
- キニジン・パロキセチン(CYP2D6阻害): 血中濃度上昇
- アルコール: 中枢抑制の相加
旅行中は普段飲まない薬(時差対策の睡眠薬、乗り物酔い止め、現地で買った鎮痛薬)が加わりやすく、 相互作用は自宅にいるときより起きやすくなります。お薬手帳の英訳またはスマートフォンの写真を 持っておくと、現地の薬剤師・医師に確認してもらえます。
副作用・使用上の注意
- 傾眠・めまい
- 高用量で解離症状・幻覚(乱用の対象になっており、年齢制限の根拠)
- 痰を出したい湿性咳嗽では咳を止めすぎない方がよい
カンボジアで入手しやすい代替成分
- グアイフェネシン(Mucinex): 去痰薬。痰がからむ咳ではこちらが合う
- 生理食塩水吸入・加湿: 乾燥した機内・高地での咳には物理的対処が有効
海外の薬局では商品名ではなく成分名(dextromethorphan)で伝えるのが確実です。 同じ成分でも国によって商品名が変わるため、商品名だけを頼りにすると別の成分を渡されることがあります。
カンボジアの規制を確認する窓口
医薬品規制当局: 保健省医薬品・食品局
正式名称: Department of Drugs and Food, Ministry of Health(DDF)
当サイトの判定は薬剤師が整理した参考情報です。次のいずれかで最新の一次情報を確認してください。
- 保健省医薬品・食品局(DDF)の公表情報
- カンボジアの在日大使館・総領事館(日本語で問い合わせられる場合があります)
- カンボジアの税関当局が公表する旅行者向けの持ち込みルール
- 長期滞在・処方薬の大量携帯であれば、渡航前に主治医と薬剤師に相談
英文の処方箋・診断書に入れておく項目
OTCで購入可の成分でも、量が多い場合や乗り継ぎ国の規制が厳しい場合は書類を求められることがあります。次の項目を用意しておくと確実です。
- 患者本人の氏名(パスポートの綴りと一致させる)と生年月日
- 診断名または治療目的
- 一般名(dextromethorphan)での成分名。商品名だけでは各国の担当者が判断できません
- 1日量・1回量・用法と、携帯する総量(滞在日数に見合う量であること)
- 処方医の署名・連絡先・医療機関名
- 処方ラベルの付いた元の容器のまま携帯すること(詰め替えない)
カンボジアでデキストロメトルファンを飲むときの水
水道水の飲用: 飲用は避ける
硬度: 110 mg/L(中程度/60-120 mg/L)
カルシウム: 30 mg/L / マグネシウム: 8 mg/L
水道水は飲用不可。ホテルでもボトル水必携。氷は避ける。
カンボジアでは水道水をそのまま飲まない前提で、服薬にもボトル水を使ってください。薬は正しく飲めていても、飲み水由来の感染で下痢・脱水になれば吸収も体調も崩れます。
現地でよく見るボトル水: Kulen(50 mg/L・軟水)、Eurotech(40 mg/L・軟水)
硬水のカルシウム・マグネシウムは、テトラサイクリン系やニューキノロン系の抗菌薬、 ビスホスホネート、レボチロキシンなど一部の薬とキレートを作って吸収を落とします。デキストロメトルファン自体はその影響を受ける成分ではありませんが、これらを併用しているなら軟水のボトル水で服用してください。
カンボジアで症状が出たときに現地で買えるもの
デキストロメトルファンを持ち込めるかどうかとは別に、現地で症状が出たときに何を買えるかを知っておくと 計画が崩れにくくなります。カンボジアの症状別ガイドに、現地で入手できる成分と商品名をまとめています。
カンボジアの他の渡航準備情報
デキストロメトルファンの扱いが特に分かれる国
※ 規制は予告なく変更されます。最終確認はカンボジアの大使館・税関・公的医薬品規制機関の最新情報を必ずご確認ください。 本判定は薬剤師監修の参考情報であり、法的助言ではありません。診断・治療方針の決定は医師の領域です。