メラトニンはスイスに持って行ける?
メラトニンは米国ではサプリメント、日本・EU・豪州では医薬品と分類が国によって根本的に異なるため、渡航先での区分を個別に確認する必要があります。スイスについても同じ前提で準備してください。
なぜメラトニンは国によって扱いが変わるのか
同じ物質が国によって「サプリメント」と「医療用医薬品」に分類されているため。米国では栄養補助食品として自由に買えるが、日本・EU・豪州では医薬品扱いで処方が必要な国がある。分類が違うだけで危険性の評価が違うわけではない。
条約の附表に載っている成分は、治療目的の携帯であっても入国時に「規制物質を持ち込む行為」として 扱われます。自国での販売区分(OTCか処方薬か)は、渡航先での判断とは別物だと考えてください。
メラトニンについて
成分(INN): melatonin
日本ブランド: (処方薬メラトベル)
海外ブランド: Now Foods Melatonin・Natrol Melatonin
時差ぼけ対策で米国・カナダではサプリOTCだが、日本・EU・英国・豪州では医薬品扱いで処方薬。海外サプリの個人輸入は法的にグレー。
作用機序
視交叉上核のMT1・MT2受容体に作用し、概日リズムの位相を前進または後退させる。「眠らせる薬」ではなく「体内時計の針を動かす薬」で、効果は服用量より服用タイミングで決まる。
薬物動態(渡航中の服用間隔を考えるうえで)
主にCYP1A2で代謝される。即放性製剤の半減期は30分〜1時間と非常に短い。喫煙はCYP1A2を誘導して効果を弱め、フルボキサミンは強力に阻害して血中濃度を大幅に上げる。
渡航中に問題になりやすい相互作用
- フルボキサミン: CYP1A2阻害により血中濃度が数倍に上昇
- カフェイン: CYP1A2を競合し作用が変動
- ワルファリン: 出血傾向の報告
- 降圧薬・血糖降下薬: 作用への影響が報告されている
旅行中は普段飲まない薬(時差対策の睡眠薬、乗り物酔い止め、現地で買った鎮痛薬)が加わりやすく、 相互作用は自宅にいるときより起きやすくなります。お薬手帳の英訳またはスマートフォンの写真を 持っておくと、現地の薬剤師・医師に確認してもらえます。
副作用・使用上の注意
- 翌朝の眠気(高用量・徐放製剤で起きやすい。時差調整では0.5〜3mgの低用量で足りる)
- 頭痛・悪心
- 服用タイミングを誤ると体内時計を意図と逆方向に動かしてしまう
スイスで入手しやすい代替成分
- 光の浴び方の調整: 時差調整では薬より優先度が高い
- 抗ヒスタミン薬(ジフェンヒドラミン): 眠気は出るが体内時計は動かさない
- ラメルテオン(ロゼレム): 同じMT受容体作動薬で日本では処方薬
海外の薬局では商品名ではなく成分名(melatonin)で伝えるのが確実です。 同じ成分でも国によって商品名が変わるため、商品名だけを頼りにすると別の成分を渡されることがあります。
スイスの規制を確認する窓口
医薬品規制当局: スイス医薬品庁
正式名称: Swissmedic(Swissmedic)
EU非加盟のため、EUの承認がそのまま適用されるわけではありません。
当サイトの判定は薬剤師が整理した参考情報です。次のいずれかで最新の一次情報を確認してください。
- スイス医薬品庁(Swissmedic)の公表情報
- スイスの在日大使館・総領事館(日本語で問い合わせられる場合があります)
- スイスの税関当局が公表する旅行者向けの持ち込みルール
- 長期滞在・処方薬の大量携帯であれば、渡航前に主治医と薬剤師に相談
英文の処方箋・診断書に入れておく項目
要確認の成分でも、量が多い場合や乗り継ぎ国の規制が厳しい場合は書類を求められることがあります。次の項目を用意しておくと確実です。
- 患者本人の氏名(パスポートの綴りと一致させる)と生年月日
- 診断名または治療目的
- 一般名(melatonin)での成分名。商品名だけでは各国の担当者が判断できません
- 1日量・1回量・用法と、携帯する総量(滞在日数に見合う量であること)
- 処方医の署名・連絡先・医療機関名
- 処方ラベルの付いた元の容器のまま携帯すること(詰め替えない)
スイスでメラトニンを飲むときの水
水道水の飲用: おおむね飲用可
硬度: 200 mg/L(超硬水/180 mg/L 以上)
カルシウム: 55 mg/L / マグネシウム: 15 mg/L
スイスの水道水は世界有数の安全性。アルプス由来で中~硬水。地方によって軟水のところも。
現地でよく見るボトル水: Valser(700 mg/L・硬水)、Evian(輸入)(304 mg/L・硬水)、Henniez(375 mg/L・硬水)
硬水のカルシウム・マグネシウムは、テトラサイクリン系やニューキノロン系の抗菌薬、 ビスホスホネート、レボチロキシンなど一部の薬とキレートを作って吸収を落とします。メラトニン自体はその影響を受ける成分ではありませんが、これらを併用しているなら軟水のボトル水で服用してください。
スイスで症状が出たときに現地で買えるもの
メラトニンを持ち込めるかどうかとは別に、現地で症状が出たときに何を買えるかを知っておくと 計画が崩れにくくなります。スイスの症状別ガイドに、現地で入手できる成分と商品名をまとめています。
スイスの他の渡航準備情報
メラトニンの扱いが特に分かれる国
※ 規制は予告なく変更されます。最終確認はスイスの大使館・税関・公的医薬品規制機関の最新情報を必ずご確認ください。 本判定は薬剤師監修の参考情報であり、法的助言ではありません。診断・治療方針の決定は医師の領域です。