ラニチジンはブラジルに持って行ける?
ラニチジンは2019〜2020年のNDMA(ニトロソアミン)混入問題を受けて世界各国で販売中止・回収されており、渡航先で購入できる見込みはありません。ブラジルについても同じ前提で準備してください。
実務注意
- 現地で買い足せないため、滞在日数分を持参する計画にしてください
なぜラニチジンは国によって扱いが変わるのか
2019〜2020年にNDMA混入問題を受けて米国FDAが市場からの回収を要請し、EU・日本を含む多くの国で販売が中止された。つまりこの成分は「規制が厳しい国/緩い国」という軸ではなく、世界的に流通していないと考えるべき成分。渡航先の薬局で探しても見つからない前提で、ファモチジンを代替として準備しておく。
条約の附表に載っている成分は、治療目的の携帯であっても入国時に「規制物質を持ち込む行為」として 扱われます。自国での販売区分(OTCか処方薬か)は、渡航先での判断とは別物だと考えてください。
ラニチジンについて
成分(INN): ranitidine
日本ブランド: (販売終了)
海外ブランド: (旧Zantac、各国で販売終了)
2019年にNDMA混入が発覚し、米国FDA・EMA・厚労省が市場撤去。現在は購入不可。Zantacブランドはファモチジンに置き換わっている。
作用機序
ヒスタミンH2受容体拮抗薬。作用機序自体はファモチジンと同じで、胃酸分泌を抑える。
薬物動態(渡航中の服用間隔を考えるうえで)
半減期は約2〜3時間。腎排泄が主。
渡航中に問題になりやすい相互作用
- 胃内pH上昇による他剤の吸収変化
- ファモチジンよりCYPへの影響がややある
旅行中は普段飲まない薬(時差対策の睡眠薬、乗り物酔い止め、現地で買った鎮痛薬)が加わりやすく、 相互作用は自宅にいるときより起きやすくなります。お薬手帳の英訳またはスマートフォンの写真を 持っておくと、現地の薬剤師・医師に確認してもらえます。
副作用・使用上の注意
- 薬理作用そのものの問題ではなく、製剤中に発がん性が疑われるニトロソアミン(NDMA)が生成・混入することが2019年に判明した
ブラジルで入手しやすい代替成分
- ファモチジン(Pepcid): 同じH2拮抗薬で、ラニチジン撤退後の実質的な標準
- オメプラゾール等のPPI: より強い酸分泌抑制
海外の薬局では商品名ではなく成分名(ranitidine)で伝えるのが確実です。 同じ成分でも国によって商品名が変わるため、商品名だけを頼りにすると別の成分を渡されることがあります。
ブラジルの規制を確認する窓口
医薬品規制当局: 国家衛生監督庁
正式名称: Agência Nacional de Vigilância Sanitária(ANVISA)
当サイトの判定は薬剤師が整理した参考情報です。次のいずれかで最新の一次情報を確認してください。
- 国家衛生監督庁(ANVISA)の公表情報
- ブラジルの在日大使館・総領事館(日本語で問い合わせられる場合があります)
- ブラジルの税関当局が公表する旅行者向けの持ち込みルール
- 長期滞在・処方薬の大量携帯であれば、渡航前に主治医と薬剤師に相談
英文の処方箋・診断書に入れておく項目
ラニチジンのように書類を求められる可能性がある成分では、内容が不足していると空港で止まります。次の項目が入っているか出発前に確認してください。
- 患者本人の氏名(パスポートの綴りと一致させる)と生年月日
- 診断名または治療目的
- 一般名(ranitidine)での成分名。商品名だけでは各国の担当者が判断できません
- 1日量・1回量・用法と、携帯する総量(滞在日数に見合う量であること)
- 処方医の署名・連絡先・医療機関名
- 処方ラベルの付いた元の容器のまま携帯すること(詰め替えない)
ブラジルでラニチジンを飲むときの水
水道水の飲用: 地域・季節によって注意が必要
硬度: 90 mg/L(中程度/60-120 mg/L)
カルシウム: 25 mg/L / マグネシウム: 7 mg/L
サンパウロ・リオの水道水はWHO基準を満たすがボトル水が一般的。
ブラジルでは水道水をそのまま飲まない前提で、服薬にもボトル水を使ってください。薬は正しく飲めていても、飲み水由来の感染で下痢・脱水になれば吸収も体調も崩れます。
現地でよく見るボトル水: Minalba(40 mg/L・軟水)、Crystal(50 mg/L・軟水)
硬水のカルシウム・マグネシウムは、テトラサイクリン系やニューキノロン系の抗菌薬、 ビスホスホネート、レボチロキシンなど一部の薬とキレートを作って吸収を落とします。ラニチジン自体はその影響を受ける成分ではありませんが、これらを併用しているなら軟水のボトル水で服用してください。
ブラジルで症状が出たときに現地で買えるもの
ラニチジンを持ち込めるかどうかとは別に、現地で症状が出たときに何を買えるかを知っておくと 計画が崩れにくくなります。ブラジルの症状別ガイドに、現地で入手できる成分と商品名をまとめています。
ブラジルの他の渡航準備情報
※ 規制は予告なく変更されます。最終確認はブラジルの大使館・税関・公的医薬品規制機関の最新情報を必ずご確認ください。 本判定は薬剤師監修の参考情報であり、法的助言ではありません。診断・治療方針の決定は医師の領域です。