インドネシアに薬を持ち込む手順|BPOM規制と麻向法厳格・最大30日分を薬剤師が解説

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  1. 0:18なぜ規制が厳しいのか
  2. 0:52注意が必要な薬の成分
  3. 1:45持ち込みやすい薬
  4. 2:30必要な書類と空港の流れ
  5. 3:27現地で困った時の選択肢

インドネシア渡航時の医薬品持ち込みルール:薬剤師が解説する必須知識

インドネシアへの渡航を計画されている方の多くが「持ってきた薬は持ち込めるのか」と不安に思われています。実は、インドネシアの医薬品規制は日本よりも厳しく、うっかり禁止医薬品を持ち込むと空港で没収されるだけでなく、法的トラブルに発展する可能性もあります。本記事では、薬剤師の視点から、インドネシアへの安全な医薬品持ち込み方法と注意点を詳しく解説します。


インドネシアの医薬品持ち込み規制の基礎知識

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インドネシアが医薬品規制に厳しい背景

インドネシアは東南アジアの中でも医薬品規制が厳格な国です。この背景には、薬物乱用防止と医薬品の品質管理という公衆衛生上の重要な課題があります。特に精神神経系の医薬品や麻薬性鎮痛薬に対する規制は国際的にも注視されています。

インドネシアでは、医薬品の製造・流通・品質管理を担う規制機関として**BPOM(Badan Pengawas Obat dan Makanan:インドネシア食品医薬品監督庁)**が機能しています。BPOMは日本のPMDA(医薬品医療機器総合機構)および厚生労働省医薬局に相当する組織で、インドネシア国内での医薬品承認・登録・輸入許可のすべてを管轄します。入国者が持参する医薬品についても、BPOMの規制枠組みが適用されます。

また、インドネシアは1997年の**Narcotics Law(麻薬法、Law No. 35/2009)およびPsychotropics Law(向精神薬法、Law No. 5/1997)**に基づき、麻薬・向精神薬の所持・輸入を厳しく規制しています。これらの法律は外国人旅行者にも適用されるため、「処方薬だから大丈夫」という認識は非常に危険です。

さらに、2026年現在、インドネシア保健省(Kementerian Kesehatan Republik Indonesia)の指導下で、入国者の医薬品持ち込みについてはより厳密な確認が行われるようになっています。スカルノ・ハッタ国際空港(CGK)やングラ・ライ国際空港(DPS、バリ)では、X線検査と必要に応じた薬物反応検査が組み合わされて実施されることがあります。

持ち込み可能な医薬品の基本ルール

個人的使用目的であれば、以下の条件下で持ち込み可能です:

  • 本人が現地滞在中に使用する医薬品であること
  • 処方箋の写し、または医師による英文の処方内容説明書が添付されていること
  • 1種類につき1ヶ月分相当量(医療用医薬品の場合)
  • 医薬品の容器に患者名と用法用量が記載されていること

なお、「1ヶ月分相当量」の目安はBPOMの運用基準によるもので、これを超える量を持参する場合は税関申告が必要となり、場合によっては別途輸入許可(Special Access Scheme)が求められることがあります。長期滞在(30日超)が予定される場合は、後述する事前許可申請を検討してください。

薬剤師メモ インドネシアの税関(Bea Cukai)では、英語での医薬品説明が必須です。日本語の処方箋のみでは不十分です。出国前に医師または薬局に英文の用法用量証明書の発行を依頼しましょう。英文処方箋には医師の署名・医療機関スタンプが入っているものが理想です。


インドネシアで絶対に持ち込めない医薬品

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禁止医薬品一覧と薬学的解説

以下の医薬品成分はインドネシアへの持ち込みが法律で禁止されています。カテゴリ別に薬学的背景も含めて解説します。

禁止カテゴリ 具体的な成分(一般名) 薬学的分類・用途
ベンゾジアゼピン系 ジアゼパム、ロラゼパム、アルプラゾラム、トリアゾラム GABA-A受容体正アロステリック調節薬。抗不安・睡眠薬
バルビツール酸系 フェノバルビタール、ペントバルビタール GABA-A受容体増強薬。抗けいれん・鎮静薬
精神刺激薬 アンフェタミン、メチルフェニデート、リスデキサンフェタミン カテコールアミン遊離促進薬。ADHD治療薬
麻薬性鎮痛薬 モルヒネ、オキシコドン、フェンタニル μオピオイド受容体作動薬。強オピオイド鎮痛薬
弱オピオイド コデイン含有製剤、トラマドール含有製剤 μ受容体作動(コデイン:プロドラッグ)。咳止め・鎮痛薬
一部SSRI・SNRI パロキセチン、フルオキセチン(事前許可が必要な場合) セロトニン再取り込み阻害薬。うつ病・不安症治療薬
エフェドリン系 エフェドリン、プソイドエフェドリン、メチルエフェドリン含有製剤 アドレナリン受容体刺激薬。風邪薬・気管支拡張薬
催眠鎮静薬(非BZD系含む) ゾルピデム、エスゾピクロン GABA-A受容体正アロステリック調節薬。不眠症治療薬

ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系睡眠薬について

ジアゼパムやアルプラゾラムに代表されるベンゾジアゼピン(BZD)系薬は、GABA-A受容体のベンゾジアゼピン結合部位に作用し、Cl⁻チャネル開口頻度を増加させることで中枢抑制作用を示します。依存形成性が高く、インドネシアの向精神薬法(Law No. 5/1997)において規制物質に指定されています。医療目的の処方薬であっても、個人による持ち込みは許可されておらず、インドネシア国内の医療機関で改めて処方を受ける必要があります。

ゾルピデムやエスゾピクロンなどの非BZD系睡眠薬(Z薬と呼ばれることもある)も同様にGABA-A受容体に作用し、同様の規制を受けます。「非ベンゾジアゼピンだから大丈夫」という誤解は禁物です。

コデイン・トラマドールについて

コデインはモルヒネの3位にメチル基が結合したプロドラッグで、体内でCYP2D6により脱メチル化されてモルヒネに変換されます。日本では鎮咳薬として市販薬にも配合されている成分ですが、インドネシアでは麻薬法の規制対象です。トラマドールもμ受容体作動とセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害の二重作用を持つ弱オピオイドとして、同様に規制されています。

エフェドリン・プソイドエフェドリン含有製剤について

エフェドリンおよびプソイドエフェドリン(偽エフェドリン)はαおよびβアドレナリン受容体を刺激し、気管支拡張・血管収縮作用を示します。日本の風邪薬(OTC総合感冒薬)の一部にはメチルエフェドリン塩酸塩が配合されており、成分表示の確認が必須です。これらはメタンフェタミンの前駆物質としても知られており、インドネシアの税関では特に厳しく審査されます。

薬剤師メモ インドネシアでは「医療用医薬品=持ち込める」という誤解が非常に危険です。医療用であっても精神神経用薬は原則持ち込み不可です。特にうつ病や不安症の治療薬を日本で処方されている方は、出国前に必ず担当医に相談し、インドネシアで代替治療が可能かどうかを確認してください。

よくある誤解:実は持ち込みに注意が必要な市販薬

確認が必要な市販薬・OTC製品:

  • 総合感冒薬(例:パブロン、コルゲンコーワ等):成分表示にメチルエフェドリン塩酸塩、プソイドエフェドリン塩酸塩が含まれる製品は持ち込み不可。成分名で確認を。
  • 鎮咳薬:ジヒドロコデインリン酸塩を含む製品(OTC咳止め)は規制対象。成分名を確認すること。
  • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs):イブプロフェン、アスピリン、ロキソプロフェン配合製品は少量なら一般的に問題ないが、複数箱の持ち込みは転売と誤認されるリスクあり。
  • 栄養補助食品・ダイエット製品:エフェドリン様成分(マオウ、エフェドラ)を含む場合は要注意。
  • 正露丸(木クレオソート含有製品):少量(1瓶程度)であれば一般的に問題ないが、大量持ち込みは避ける。
  • 漢方製剤全般:マオウ(麻黄)含有製品はエフェドリン規制に抵触する可能性があるため、事前確認が必要。

インドネシアに持ち込める医薬品

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持ち込み許可される常備薬

以下の医薬品は一般的に問題なく持ち込めますが、必ず医師の処方箋または薬局の調剤説明書を英文で用意してください。

医薬品カテゴリ 一般名の例 持ち込み上限目安
抗生物質 アモキシシリン、アジスロマイシン、セフジニル 30日分相当
消化器薬 オメプラゾール、ランソプラゾール、ファモチジン 30日分相当
抗ヒスタミン薬(第2世代) ロラタジン、フェキソフェナジン、セチリジン 30日分相当
降圧薬 アムロジピン、リシノプリル、メトプロロール 30日分相当
糖尿病治療薬 メトホルミン、グリメピリド、インスリン製剤 医療必需品として申告
甲状腺薬 レボチロキシンナトリウム 30日分相当
ステロイド外用薬(弱〜中程度) ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン(外用) 通常量(容器単位)
眼科用製剤 ヒアルロン酸ナトリウム点眼、ロートエキス点眼 通常量
外用鎮痛薬 インドメタシン含有外用薬、ケトプロフェン貼付薬 通常量
抗マラリア薬(予防) メフロキン、ドキシサイクリン 渡航期間相当量
下痢止め薬 ロペラミド塩酸塩 少量(規定用量分)

インスリン製剤の薬学的補足

インスリンは生物学的製剤(タンパク質製剤)であり、温度管理が非常に重要です。インスリン製剤の一般的な保存条件は冷蔵(2〜8℃)ですが、開封後は室温(25℃以下)で一定期間保存可能なものもあります。製品により異なるため、使用中の製品の添付文書を必ず確認してください。機内での温度変化や長時間の移動を考慮すると、医療用断熱ケース(保冷剤内蔵タイプ)の使用を強く推奨します。なお、インスリン注射器・ペン型デバイス・注射針については、医師の使用証明書(英文)と合わせて申告することで持ち込みが認められます。

抗マラリア薬について

インドネシアの一部の地域(カリマンタン、パプア、ヌサトゥンガラ東部など)ではマラリアのリスクがあります。渡航前にトラベルクリニックで予防薬の処方を受けることが推奨されます。メフロキンやドキシサイクリンなどは処方薬ですが、マラリア予防目的での持ち込みは英文の処方箋があれば認められます。ドキシサイクリンは光線過敏症に注意が必要で、日焼け対策も合わせて行うことを患者に伝えることが重要です。


必要書類と持ち込み時の手続き

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出国前に用意すべき書類

絶対に必要な書類:

  1. 英文の処方箋または医師の説明書

    • 医師名、発行日、医療機関名(所在地を含む)が明記されたもの
    • 患者氏名、生年月日、パスポート番号(可能であれば)が明記されたもの
    • 医薬品名(一般名および商品名)、用法用量、治療目的が英語で記載されたもの
    • 医師の署名・医療機関の公印が入ったもの
  2. 医薬品の容器ラベル(調剤ラベル)

    • 患者名、用法用量が印字されたもの
    • 医薬品名と成分名が明記されたもの
    • 調剤薬局名・所在地・調剤年月日が印字されたもの
  3. 英文のSummary of Prescriptions(薬剤師による薬歴英文要約)

    • 複数の医薬品を持参する場合、薬局で作成してもらうと便利
    • 成分名・用量・用法・処方目的が一覧できる形式が望ましい
  4. インドネシア大使館への事前相談記録(推奨)

    • 複数の処方薬または管理薬を持参する場合は特に有効

薬剤師メモ 日本の薬局で調剤した場合、薬袋および調剤ラベルには自動的に患者名と用法用量が印字されます。これが税関検査において非常に重要な証明となります。容器ラベルが剥がれたり、白い無地のピルケースに詰め替えたりするのは絶対に避けてください。また、医薬品を食品の容器に入れ替えるなど偽装的な行為は、規制物質の不法持ち込みとみなされるリスクがあります。

書類作成依頼時の英語フレーズ例

日本の医療機関や薬局で書類作成を依頼する際には、以下のフレーズを参考にしてください:

  • 医師への依頼: Could you provide me with an English medical certificate stating my medication?(クッド ユー プロヴァイド ミー ウィズ アン イングリッシュ メディカル サーティフィケート ステイティング マイ メディケーション?)
  • 薬剤師への依頼: Could you prepare a medication summary in English for customs?(クッド ユー プレペア ア メディケーション サマリー イン イングリッシュ フォー カスタムズ?)

インドネシア空港での申告手続き

スカルノ・ハッタ国際空港(ジャカルタ)での流れ:

  1. 入国申告書(Customs Declaration Form)の医薬品欄に記入

    • 「Are you carrying medicines / medical supplies?」に「Yes」を選択
    • 持参する医薬品名・数量を記載
  2. 税関(Bea Cukai)検査時の提示

    • 英文処方箋と医薬品容器をセットで提示
    • 医薬品は手荷物から取り出しやすい状態にしておく(袋・ポーチにまとめる)
  3. 検査官への対応

    • 英語での簡潔な説明を準備: These are my prescription medicines for personal use.(ジーズ アー マイ プレスクリプション メディスンズ フォー パーソナル ユース)
    • 処方内容・用途を落ち着いて説明する
  4. 検査官の判断

    • 許可(通関)、没収、または追加書類要求のいずれかが通知される
    • 禁止医薬品が発見された場合は即没収の対象となり、場合によっては所持規制違反として罰則の対象となる可能性があります

より安全な手段:事前許可申請

特に複数の処方薬を持参する場合や、管理が厳しい成分を含む医薬品の場合は、以下の方法で事前に確認・許可を得ることを強く推奨します:

  • 在日インドネシア大使館への相談(東京都目黒区)
  • BPOMへの英文問い合わせ(公式ウェブサイトから問い合わせフォームを利用)
  • 在インドネシア日本大使館への情報確認(ジャカルタ)
  • 出発空港の検疫部門への事前通知

インドネシアでの医薬品入手方法

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持ち込みが難しい場合の代替手段

万が一、禁止医薬品に該当する薬を常用している場合や、出国期間が1ヶ月以上の場合は、以下の方法を検討してください。

1. インドネシア国内での医療機関受診

  • ジャカルタ、バリ(デンパサール)、スラバヤの大都市:国際水準の医療機関が複数存在
  • 言語対応:英語対応の医師が多く、日本語対応が可能な病院も一部あり
  • 受診には海外旅行保険の適用確認が事前に必要
  • インドネシアの医師から処方を受けた医薬品であれば、現地薬局で合法的に入手可能

2. 現地の薬局(Apotek)での医薬品購入

インドネシアの薬局ではアポテク(Apotek)と呼ばれる調剤薬局が広く普及しています。BPOMに登録された一般用医薬品(OTC)は処方箋なしで購入可能なものもありますが、品質管理への注意が必要です。

  • 購入時の確認事項:有効期限、パッケージの未開封状態・完全性、BPOMの登録番号(パッケージ上に印字)
  • BPOMの登録番号確認方法:BPOMの公式ウェブサイト(cekbpom.pom.go.id)でオンライン検索が可能
  • 値段が極めて安い場合は注意偽造医薬品(counterfeit medicines)の可能性があります
  • オンライン購入は避ける:インドネシアでも無許可のオンライン薬局経由での医薬品購入は品質保証がされていません

薬剤師メモ WHO(世界保健機関)の報告によれば、東南アジア地域の一部における偽造・粗悪医薬品の流通は引き続き公衆衛生上の課題とされています。購入する際はBPOM登録番号の確認を必ず行い、パッケージの損傷・改ざんの痕跡がないかを目視確認してください。特に抗マラリア薬・抗生物質において偽造品が問題となっているため、これらは信頼性の高いルートから入手することが重要です。


よくある質問と回答

Q1:イブプロフェンやロキソプロフェン配合の鎮痛薬は持ち込める?

A: イブプロフェン、ロキソプロフェン、アスピリンなどのNSAIDsは個人使用目的かつ少量(1〜2箱程度)であれば持ち込み可能とされています。ただし、複数箱を大量に持ち込む場合は転売目的と誤認されるリスクがあります。処方医から処方された製品であれば、処方箋形式(調剤ラベル付き容器)で持ち込む方が安心です。

Q2:サプリメント(ビタミン剤など)は持ち込める?

A: 一般的なマルチビタミン、ビタミンC(アスコルビン酸)、カルシウム、マグネシウムなどは問題ありません。ただし、エネルギードリンク配合サプリメントや、「体重管理」「スポーツパフォーマンス」を謳うサプリメントの中には、エフェドリン様成分(マオウエキス、エフェドラエキス)が含まれている場合があります。成分表示を必ず確認し、不明な場合は薬剤師に相談してください。

Q3:コンタクトレンズ用目薬や洗眼液は?

A: ヒアルロン酸ナトリウムやポリビニルアルコール(PVA)を主成分とするコンタクトレンズ用点眼薬・洗眼液は持ち込み可能です。液体の機内持ち込み制限(100ml以下・ジッパー袋収納)の規則も忘れずに確認してください。防腐剤不使用タイプの単回使用製品は適切な温度管理と遮光保存を心がけてください。

Q4:インスリンを持ち込む場合の特別な手続きは?

A: インスリン製剤は医療必需品(medical necessity)として税関で認識されており、適切な書類があれば比較的スムーズに通関できます。以下の対策を推奨します:

  • 担当医からの英文使用証明書(病名・製剤名・用量・使用期間を記載)
  • 医療用断熱ケース(保冷機能付き)に収納して持参
  • 注射針・注射器・ペン型デバイスも書類と合わせて申告
  • 長時間フライトでは機内の乗務員に預けず自己管理が基本(航空会社ポリシーを事前確認)

Q5:うつ病・不安症の治療中でSSRIを服用しています。どうすればよいですか?

A: セルトラリン、エスシタロプラム、フルボキサミンなどのSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)については、インドネシアでの持ち込み可否が薬剤によって異なる場合があります。渡航前に在日インドネシア大使館またはBPOM公式窓口に成分名で確認することを強く推奨します。また、精神科主治医に渡航事実を報告し、インドネシアで代替処方が可能かどうかを相談することが最善策です。突然の服薬中断は症状再燃や離脱症状(特にパロキセチンでは顕著)を引き起こすリスクがあるため、医師の管理のもとで対応方針を決めてください。


インドネシア渡航時の医薬品管理ベストプラクティス

パッキングのコツ

  1. 医薬品は機内持ち込み手荷物に

    • 預託荷物(スーツケース)に入れると、X線検査で発見された場合に持ち主が不在のまま没収・廃棄される可能性がある
    • インスリンや温度感受性のある生物学的製剤は機内持ち込みが必須
  2. 容器はそのまま持参

    • 調剤ラベル付きの容器(薬袋・ボトル)をそのまま持参する
    • 白い無地のピルケースへの詰め替えは避ける
    • PTPシート(押し出し式包装)は切り離さずシートのまま持参する
  3. 書類はコピーを複数枚持参

    • 英文処方箋:3部(1部は手荷物、1部は預託荷物、1部はメール等デジタル保存)
    • 医師からの英文説明書:2部
    • スマートフォンのクラウドストレージにPDFで保存しておくと、紛失時のバックアップになる
  4. 医薬品リスト(Medication List)を作成

    • 持参する全医薬品の一覧(一般名・用量・用法・治療目的)を英文で作成
    • 機内や現地での緊急時にも役立つ

渡航先でのヒヤリハット防止チェックリスト

チェック項目 出国前 現地滞在中
英文処方箋の準備
容器ラベルの確認 定期確認
医薬品の保管方法の確認 毎日確認
旅行保険の薬剤補償確認
在インドネシア日本大使館の連絡先保存
現地の救急病院(英語対応)の確認
医薬品の残量確認 定期確認

現地での医療保険確認

  • 海外旅行保険の加入:医療費請求時に処方薬代・医師の診察料が補償対象かを出発前に確認
  • クレジットカード付帯保険:補償上限・対象医療行為の確認(医薬品費が別途実費となる場合あり)
  • 企業駐在の場合:現地の法定医療保険(BPJS Kesehatan)または法人契約の民間保険の適用範囲を人事部門に確認
  • 緊急時の連絡先:在インドネシア日本国大使館(ジャカルタ)、在デンパサール日本国総領事館(バリ)の電話番号を必ず控えておく

渡航タイプ別・持ち込み対応フローチャート

渡航の目的・期間・服用薬の種類に応じて、以下を参考に準備してください。

渡航タイプ 推奨対応
1週間以内の観光、市販薬のみ 英文薬剤情報を印刷・携行、申告書に記載
1ヶ月以内の滞在、処方薬あり(非管理薬) 英文処方箋を医師・薬局から取得、調剤ラベル容器で持参
1ヶ月以内の滞在、インスリン等医療必需品あり 英文使用証明書・医療用ケース・空港申告を事前準備
長期滞在(1ヶ月超)、処方薬あり BPOMへの事前問い合わせ、現地医療機関での再処方を検討
精神神経系薬(BZD・睡眠薬等)を服用中 主治医と相談のうえ代替薬の検討、大使館への確認が必須

まとめ

インドネシア渡航時の医薬品持ち込みで最優先すべき5つのポイント:

精神神経用薬(睡眠薬、抗不安薬、一部の抗うつ薬)および麻薬性・弱オピオイド鎮痛薬は個人持ち込み禁止—医療用であっても例外なし。インドネシアの麻薬法・向精神薬法(Law No. 35/2009、Law No. 5/1997)が外国人旅行者にも適用される

英文の処方箋または医師・薬剤師の説明書は必須—日本語処方箋のみでは税関対応不可。医師の署名・医療機関の公印入り英文書類を準備する

医薬品の調剤ラベル付き容器は絶対に変更しない—患者名・用法用量が印字された調剤容器のまま持参。無地ケースへの詰め替えや包装の除去は避ける

1種類につき30日分相当量が目安—これを超える量は事前にBPOMまたはインドネシア大使館に許可確認が必要

エフェドリン・プソイドエフェドリン含有の市販風邪薬・漢方薬は成分確認が必須—総合感冒薬のOTC製品でも成分によっては持ち込み不可となる

インドネシアは医療インフラが整った大都市が複数あり、万が一の際も現地医療機関での受診・処方取得が可能です。渡航前に主治医・かかりつけ薬剤師と十分に相談し、安全で快適な滞在のための準備を進めてください。


参考文献

  1. BPOM(インドネシア食品医薬品監督庁)公式サイト — 医薬品登録・規制情報 https://www.pom.go.id/

  2. 在インドネシア日本国大使館 — 医療・感染症情報 https://www.id.emb-japan.go.jp/sos_iryo.html

  3. 外務省 海外安全情報 インドネシア(医療・衛生事情) https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_115.html

  4. WHO — Substandard and falsified medical products(粗悪・偽造医薬品) https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/substandard-and-falsified-medical-products

  5. 厚生労働省 — 医薬品を海外へ持ち出す・海外から持ち込む際の手続き https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/index.html

  6. PMDA(医薬品医療機器総合機構)— 医薬品情報データベース https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/

  7. CDC(米国疾病予防管理センター)— Travelers' Health: Indonesia https://wwwnc.cdc.gov/travel/destinations/traveler/none/indonesia


監修: 薬剤師(博士(薬学))

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