スペインで発熱になったら|現地で買える薬と薬局での買い方を薬剤師が解説

スペインで発熱になったら|現地で買える薬と薬局での買い方を薬剤師が解説

スペイン旅行中に突然の発熱に見舞われると、言語の壁や医療システムの違いに戸惑うことが多いものです。しかしスペインは「pharmacyAccess: easy」、つまり薬局へのアクセスが非常に良好な国であり、日本と同等水準の解熱鎮痛薬をほぼ全国どこでも入手できます。本記事では博士(薬学)を持つ薬剤師の立場から、原因の解説から薬の選び方、薬局での会話フレーズ、そして帰国後の注意点まで体系的にまとめました。


スペインで発熱が起きやすい原因

気候・環境要因

スペインは大きく分けて地中海性気候(東部・南部沿岸)、内陸性半乾燥気候(メセタ高原)、海洋性気候(北部ガリシア・バスク地方)の3タイプに分かれます。特に夏季(6〜9月)のマドリードやセビリアでは日中の最高気温が35〜42℃に達することも珍しくなく、熱中症(golpe de calor)や脱水による体温上昇は旅行者に頻発する問題です。

観光でよく歩き回る旅行者は1日あたり2〜3Lの発汗が起こることもあります。水分補給が不十分なまま屋外での活動が続くと、体温調節機構が破綻し38℃を超える体温上昇が生じます。これは感染症由来の「真の発熱」とは機序が異なりますが、現場での区別は容易ではありません。

ウイルス感染

スペインを含む南欧では秋〜冬にかけてインフルエンザ(gripe)が流行し、春〜秋にかけては各種ライノウイルス・アデノウイルスによる感冒(resfriado común)が多く見られます。観光地では多くの国籍の旅行者と密接に接触するため、日本で流行していないウイルス株への感染リスクが高まります。

空港・地下鉄・バス・博物館など密閉空間での飛沫感染が主な経路です。発熱に加えて鼻汁、咽頭痛、筋肉痛を伴う場合はウイルス性感冒の可能性が高く、多くは1〜3日で自然軽快します。

食事由来の細菌感染・食中毒

スペイン料理はパエリア(海鮮・鶏肉)、生ハム(jamón)、タパスと多彩ですが、旅行者にとって問題になりやすいのがカンピロバクター(Campylobacter jejuni)やサルモネラ(Salmonella spp.)による食中毒です。特に鶏肉や卵を使った料理で加熱が不十分な場合、発熱+腹痛+下痢という組み合わせで発症します。

バルセロナやマドリードの観光エリアにある屋台・小規模バルで食事をする際は、食材の鮮度管理に注意が必要です。飲料水はスペイン全土で水道水の水質は基本的に問題ありませんが、カルキ濃度が高い地域では胃腸への刺激になることがあります。ミネラルウォーター(agua mineral sin gas:ガスなし、con gas:炭酸)の購入を推奨します。

旅行疲労・免疫低下

日本からスペインへは直行便で約14〜15時間のフライトとなり、時差は日本との差がおよそ7〜8時間(夏時間適用期間は8時間)。時差ボケ(jet lag)による睡眠障害、機内での乾燥環境(湿度20%以下)、長距離移動の疲労が重なり、渡航後2〜3日は免疫機能が低下しやすい状態にあります。この時期に感染性疾患にかかると重症化しやすいため注意が必要です。

蚊媒介感染症(まれだが留意)

スペイン本土での熱帯感染症リスクは低いものの、南部アンダルシア州やカナリア諸島では**ウエストナイルウイルス(West Nile virus)**の報告が近年増加しています。また、カナリア諸島やマデイラ島(ポルトガル領)を経由した帰国者でデング熱が報告されたケースもあります。38.5℃以上の高熱+激しい頭痛+関節痛+発疹という組み合わせがある場合は、これらの感染症を念頭に置いて医療機関を受診することが重要です。


重症度判定チェックリスト

発熱時に「市販薬で対処できる状態か」「すぐに受診すべきか」を判断するための3段階チェックリストです。

🟢 経過観察レベル(市販薬で対処可能)

以下の条件をすべて満たす場合は、OTC薬で経過観察が可能です。

  • 体温が38.5℃未満
  • 発症から24時間以内
  • 全身状態が比較的良好(会話・歩行が可能)
  • 嘔吐・下痢がない、または軽度で水分補給可能
  • 皮疹・意識障害・強い頭痛がない
  • 既往症(心臓病・腎臓病・肝臓病・免疫抑制状態)がない
  • 乳幼児・妊婦・高齢者ではない(これらは下記レベルへ)

対応:十分な水分補給(スポーツドリンクまたはORS:経口補水液)、安静、アセトアミノフェンまたはイブプロフェンによる対症療法


🟡 準緊急レベル(翌日以内に医療機関受診)

以下のいずれかに該当する場合は、翌日以内に診察を受けることを推奨します。

  • 体温が38.5〜39.0℃で12時間以上継続
  • 市販薬を服用しても熱が下がらない、または一時的に下がってすぐ再上昇
  • 咽頭痛が強く飲食が困難
  • 耳痛・耳鳴り・顔面痛(副鼻腔炎の疑い)
  • 尿量が著しく減少(脱水の疑い)
  • 下痢が1日5回以上で血便を伴う
  • 旅行前に抗マラリア薬を服用しなかった地域(カナリア諸島等)への渡航後の発熱
  • 乳幼児(3歳未満)の38℃以上の発熱

対応:スペインのプライマリケアセンター(Centro de Salud)またはプライベートクリニックを受診


🔴 緊急レベル(直ちに救急受診・112番通報)

以下のいずれかに該当する場合は、ただちに救急外来(Urgencias)受診または112番(救急・警察・消防共通番号)に電話してください。

  • 体温が39.5℃以上
  • 意識障害・混乱・呼びかけへの反応低下
  • 首の硬直(前に曲げると痛みがある)+発熱(髄膜炎の疑い)
  • 体幹・四肢に赤紫色の消えない発疹(出血斑)+発熱
  • 呼吸困難・呼吸数増加・胸痛
  • けいれん(初回・再発問わず)
  • 激しい腹痛(腹膜炎・虫垂炎の疑い)
  • 熱性けいれんの既往がある小児での発熱

緊急連絡先:スペイン全国共通救急番号 112(日本語通訳サービスは原則なし。英語対応は可能なケースが多い)


現地薬局で買えるOTC薬(表形式)

スペインの薬局(Farmacia)は国家資格を持つ薬剤師(Farmacéutico/a)が常駐しており、OTC薬の購入はカウンター越しに薬剤師と相談しながら行うシステムです。日本のように棚から自分で取るセルフサービス形式ではなく、症状を伝えると薬剤師が適切な製品を提案してくれます。

解熱鎮痛薬一覧

ブランド名 有効成分(一般名) 1回用量の目安 1日最大用量 価格目安 主な取扱い
Panadolパナドル(パナドール) パラセタモール500mg 1〜2錠、6時間 4000mg 概ね€3〜5 薬局全般
Gelocatil(ヘロカティル) パラセタモール650mg 1錠、6〜8時間 3900mg 概ね€3〜5 薬局全般
Dalsy(ダルシー)小児用シロップ イブプロフェン20mg/mL 体重依存(要薬剤師確認) 体重依存 概ね€5〜7 薬局全般
Neobrufen(ネオブルフェン) イブプロフェン400mg/600mg 400mg:1錠、8時間 1200mg(OTC) 概ね€4〜6 薬局全般
Espidifen(エスピジフェン) イブプロフェンアルギニン400mg 1袋(顆粒・水に溶かす)、8時間 1200mg 概ね€5〜7 薬局全般
Aspirina(アスピリナ) アセチルサリチル酸500mg 1錠、4〜8時間毎(発熱目的には不推奨) 3000mg 概ね€2〜4 薬局全般
Frenadol Complex(フレナドールコンプレックス) パラセタモール650mg+フェニレフリン等 1包、8時間 3包/日 概ね€5〜8 薬局全般

注意事項

  • Gelocatilはスペインのパラセタモール系OTCとして非常に広く普及しているブランドです。1錠650mgと日本のカロナール錠500mgより含量が高いため、日本のOTCに慣れている方は薬剤師に確認のうえ服用してください。
  • NeobrufenおよびEspidifenはイブプロフェン系。空腹時服用で胃粘膜刺激が起きることがあります。食後または食事とともに服用してください。
  • Frenadol Complexはパラセタモールのほかにフェニレフリン(鼻充血除去薬)とその他成分を含む複合薬です。成分が多い分、相互作用リスクも増えます。単純な発熱であれば単成分のパラセタモール製品を選ぶほうが安全です。
  • Aspirina(アセチルサリチル酸)は消化器出血リスクがあり、脱水状態、空腹時、ロキソプロフェン・イブプロフェン等のNSAIDs服用中は使用しないでください。18歳未満には使用禁忌(ライ症候群のリスク)。

現地語での症状表現・薬局での買い方フレーズ

スペインの薬局では英語がある程度通じますが、スペイン語で伝えると対応が格段にスムーズになります。以下の表を参考にしてください。

基本症状の伝え方

日本語 スペイン語 発音の目安
熱があります Tengo fiebre テンゴ フィエブレ
38度の熱があります Tengo fiebre de 38 grados テンゴ フィエブレ デ トレインタ イ オチョ グラドス
頭が痛いです Me duele la cabeza メ ドゥエレ ラ カベサ
喉が痛いです Me duele la garganta メ ドゥエレ ラ ガルガンタ
胃が痛いです Me duele el estómago メ ドゥエレ エル エストマゴ
咳が出ます Tengo tos テンゴ トス
鼻水が出ます Tengo mocos テンゴ モコス
悪寒がします Tengo escalofríos テンゴ エスカロフリオス
解熱剤をください Necesito un antitérmico ネセシト ウン アンティテルミコ
パラセタモールはありますか ¿Tiene paracetamolパラセタモール? ティエネ パラセタモール?
イブプロフェンはありますか ¿Tiene ibuprofeno? ティエネ イブプロフェノ?

薬局での購入フレーズ(英語版・カナ付き)

英語での対応を希望する場合は、以下のフレーズが役立ちます。

  • I have a fever of 38 degrees.(アイ ハヴ ア フィーバー オブ サーティ エイト ディグリーズ)
  • Do you have paracetamol or ibuprofen?(ドゥ ユー ハヴ パラセタモール オア アイビュープロフェン?)
  • Which is safer for an empty stomach?(ウィッチ イズ セイファー フォー アン エンプティ ストマック?)
  • I am pregnant. Is this safe?(アイ アム プレグナント。 イズ ディス セイフ?)
  • I take blood pressure medication.(アイ テイク ブラッド プレッシャー メディケイション)
  • How many tablets should I take?(ハウ メニー タブレッツ シュッド アイ テイク?)
  • Is a prescription required?(イズ ア プレスクリプション リクワイアード?)

薬局での会話例

薬剤師:「¿Tienes otros síntomas?(ティエネス オトロス シントマス?)」(他に症状はありますか?)

あなた(発熱のみ):「No, solo fiebre.(ノー ソロ フィエブレ)」(いいえ、発熱だけです)→ パラセタモール単成分製品を推奨

あなた(発熱+頭痛):「Sí, también me duele la cabeza.(シー タンビエン メ ドゥエレ ラ カベサ)」(はい、頭痛もあります)→ パラセタモールまたはイブプロフェン

あなた(発熱+胃痛):「Sí, me duele el estómago.(シー メ ドゥエレ エル エストマゴ)」(はい、胃が痛いです)→ イブプロフェン系は避け、パラセタモール一択


スペインの医療事情

公的医療システム

スペインはNHS(国民保健システム:Sistema Nacional de Salud、SNS)を採用しており、スペイン国民は無料または低コストで医療を受けられます。しかし旅行者(観光ビザ滞在者)は原則として公的医療の無料適用外となります。

EUおよびEEA加盟国の国民は欧州健康保険カード(EHIC)があれば公的医療を利用できますが、日本国籍保持者はこれに該当しません。日本人旅行者は私立クリニックまたは私立病院を受診するか、海外旅行傷害保険のキャッシュレス受診(直接請求)を利用することになります。

医療機関の種類と使い分け

施設種別 スペイン語名 特徴 旅行者の利用
救急外来 Urgencias 総合病院に併設・24時間対応 重症時に利用(費用発生する場合あり)
プライマリケアセンター Centro de Salud かかりつけ医的機能、予約制 軽症〜中等症(保険適用外の場合あり)
私立クリニック Clínica Privada 予約なしで受診可・英語対応も多い 旅行者に最も現実的な選択肢
薬局 Farmacia OTC薬購入・軽い相談 軽症時の第一選択
緊急電話 112 警察・救急・消防共通 生命危機時に使用

主要都市の日本語・英語対応医療機関(目安)

マドリードやバルセロナにはインターナショナルクリニックが複数存在し、英語対応が可能な施設が多くあります。日本語診療については、在スペイン日本国大使館(マドリード)または在バルセロナ日本国総領事館が医療機関リストを提供しているため、渡航前に最新情報を確認することを強く推奨します。

在スペイン日本国大使館https://www.es.emb-japan.go.jp/

海外旅行傷害保険に加入している場合は、保険会社の24時間日本語対応ホットラインに連絡すると、英語・スペイン語対応の医療機関を紹介してもらえます。渡航前に保険証券と緊急連絡先を必ずスマートフォンに保存してください。

診察費の目安

スペインの私立クリニックでの初診料は概ね€50〜150程度(目安)です。処方薬が必要な場合は処方箋を持って薬局(Farmacia)で購入します。海外旅行傷害保険のキャッシュレス対応でない場合は立替払いとなりますが、領収書(Factura)を必ず受け取り、帰国後に保険会社へ請求してください。


薬剤師の視点:渡航前準備と現地入手のリスク

渡航前に持参すべきOTC薬リスト

製品名(日本) 有効成分(一般名) 持参の理由
カロナール錠500(※要薬剤師相談) アセトアミノフェン500mg 最も安全性が高い解熱鎮痛薬。妊婦・授乳婦・小児にも対応
イブA錠 イブプロフェン200mg 解熱・鎮痛・抗炎症。成人の頭痛・筋肉痛にも有効
ロキソニンS ロキソプロフェンナトリウム水和物60mg 強力な解熱鎮痛。ただし空腹時服用避ける
OS-1ゼリー(または粉末タイプのORS) 経口補水塩 発熱・下痢・嘔吐時の脱水予防に必須

持参量の目安1週間の旅行であれば各製品14〜21錠程度。元の容器のまま、またはラベルを付けた清潔な容器に移して持参してください。機内持ち込み・受託手荷物どちらも問題ありませんが、液体・ゲル状のORS製品は機内持ち込み規制(100mL以内)に注意してください。

現地入手のメリットと注意点

メリット

  • 日本から持参し忘れた場合でも、マドリードやバルセロナの薬局は密度が高く(500m圏内に複数存在することも多い)、容易に入手可能
  • 現地の薬剤師から直接、食事との兼ね合いや服用間隔のアドバイスを受けられる
  • Farmaciasは緑色の十字マーク(cruz verde)で識別しやすい

注意点

  • スペインのパラセタモール製品(Gelocatil等)は1錠650mgと含量が高いため、「1錠飲んだ」という感覚で2錠服用すると過剰になりやすい
  • 旅行先でいきなり見知らぬブランドを選ぶよりも、渡航前に慣れた日本製品を持参するほうが用量管理の面で安全
  • スペイン語が通じない環境での薬選びは、翻訳アプリ(DeepL等)を併用することを推奨

飲み合わせ(相互作用)への注意

高血圧治療薬(ARB・ACE阻害薬)を服用中の方がイブプロフェン等のNSAIDsを使用すると、腎機能への影響や降圧効果の減弱が起きる可能性があります。抗凝固薬(ワルファリン)服用中の場合は、アスピリン・イブプロフェン・ロキソプロフェンとの併用で出血リスクが増大します。このような慢性疾患で定期薬を服用している旅行者は、渡航前にかかりつけ医または薬剤師から「旅行先での解熱鎮痛薬として何を選ぶべきか」を必ず確認してから出発してください。


日本から持参するOTC薬の比較表

製品名 有効成分 1回用量 特徴 注意点
カロナール錠500 アセトアミノフェン500mg 1〜2錠 最安全・妊婦可 1日4錠(2000mg)以内
イブA錠 イブプロフェン200mg 2錠 抗炎症作用あり 空腹時・胃弱者は注意
ロキソニンS ロキソプロフェンナトリウム水和物60mg 1錠 強力・速効 空腹時服用不可
バファリンA アセチルサリチル酸330mg+ダイアルミネート165mg 2錠 鎮痛・解熱 15歳未満禁忌・抗凝固薬と相互作用

避けるべき成分・購入時の注意点

旅行者が避けるべき成分

アスピリン(アセチルサリチル酸)高用量製剤:消化管出血リスクがあり、高温環境下での脱水状態では特にリスクが上昇します。18歳未満へのウイルス感染時投与はライ症候群(脳症・肝不全)のリスクがあるため、厳禁です。

コデインリン酸塩含有製剤:スペインでは一部の複合感冒薬・鎮咳薬にコデインが含まれています。便秘、眠気、依存性リスクがあるほか、CYP2D6超高速代謝型の方では血中コデイン濃度が過剰になる危険があります。処方箋なしで入手できる場合でも、旅行中は避けることを推奨します。

成分不明のハーブ・自然派製品:Mercadona(スペインのスーパーマーケットチェーン)などで売られる「ハーブティー・自然派熱冷まし」は、有効成分の含量が保証されていないものもあります。医薬品(Medicamento)と明記されていない製品での解熱を期待するのは避けてください。

偽造品・不正流通品への注意

信頼できる購入先は国家資格薬剤師が常駐する薬局(Farmacia、緑の十字マークが目印)に限定してください。観光地の土産物店、露店、ホテルロビーの無許可販売場所での医薬品購入はリスクがあります。

正規品の確認ポイント:

  • 箱・ブリスターのプリントが鮮明で、スペルミスがない
  • 製造国・製造元・成分・用法用量の記載がある
  • 価格が極端に安すぎない(目安として€1未満のOTC解熱鎮痛薬は要注意)

帰国後の観察ポイント:輸入感染症を見逃さないために

スペイン渡航後、帰国してから発熱・体調不良が出た場合は、通常の感冒と自己判断せずに以下の点を確認してください。

輸入感染症として考慮すべき疾患

疾患名 主な症状 潜伏期間 スペインでの感染リスク
デング熱 高熱・激しい頭痛・関節痛・発疹 4〜14日 カナリア諸島周辺・低〜中
ウエストナイル熱 発熱・頭痛・倦怠感・まれに脳炎 2〜14日 南部スペイン・低〜中
レジオネラ症 高熱・肺炎・咳 2〜10日 ホテルのジャグジー・空調
サルモネラ症 発熱・腹痛・下痢 6〜72時間 食品由来・中程度
カンピロバクター腸炎 発熱・腹痛・水様〜血性下痢 1〜10日 鶏肉由来・中程度

帰国後に受診すべき症状チェック

帰国後2〜3週間以内に以下の症状が出た場合は、渡航歴を医師に伝えたうえで受診してください。

  • 38℃以上の発熱が2日以上続く
  • 全身の発疹(特に熱が出てから2〜4日後に出現した場合)
  • 激しい頭痛・関節痛・筋肉痛が同時に起きている
  • 黄疸(皮膚・白目が黄色くなる)
  • 下痢・腹痛が1週間以上続く

受診する際には「スペインに渡航した」という情報に加え、「滞在地域(マドリード・バルセロナ・カナリア諸島等)」「渡航期間」「現地での食事内容・蚊に刺された可能性の有無」を医師に伝えると診断に役立ちます。

帰国後の受診先

輸入感染症が疑われる場合は、感染症指定医療機関または旅行医学外来の受診を推奨します。かかりつけ医を受診する場合も、渡航歴を必ず最初に伝えてください。厚生労働省の検疫所(FORTH)サイトでも渡航先別の感染症情報が確認できます。


参考文献

  1. World Health Organization (WHO). "Spain: Country health profile." WHO Regional Office for Europe. https://www.who.int/europe/countries/spain(最終確認:本記事執筆時点)

  2. Centers for Disease Control and Prevention (CDC). "Spain – Traveler's Health." https://wwwnc.cdc.gov/travel/destinations/traveler/none/spain(最終確認:本記事執筆時点)

  3. 外務省海外安全情報. 「スペイン(危険・スポット感染症情報)」. https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_109.html(最終確認:本記事執筆時点)

  4. 厚生労働省検疫所 FORTH. 「スペインの感染症・衛生情報」. https://www.forth.go.jp/(最終確認:本記事執筆時点)

  5. European Centre for Disease Prevention and Control (ECDC). "West Nile virus in Europe in 2023 – human cases compared to previous seasons." https://www.ecdc.europa.eu/(最終確認:本記事執筆時点)

  6. Agencia Española de Medicamentos y Productos Sanitarios (AEMPS). 「スペイン医薬品・医療製品庁 – 一般市民向け医薬品情報」. https://www.aemps.gob.es/(最終確認:本記事執筆時点)

  7. 在スペイン日本国大使館. 「医療・感染症情報」. https://www.es.emb-japan.go.jp/(最終確認:本記事執筆時点)


まとめ:スペインでの発熱対処フローチャート

発熱を確認
  ↓
38.5℃未満・全身状態良好・既往症なし
  ↓ Yes               ↓ No(38.5℃以上・意識障害・皮疹等)
市販薬で経過観察          → 緊急:112番通報または救急外来(Urgencias)へ
  ↓
アセトアミノフェン系(Gelocatil/Panadol等)を第一選択
胃が痛い・妊婦・腎機能不安 → パラセタモール一択
頭痛・筋肉痛も強い・食後  → イブプロフェン系も選択肢
  ↓
24〜48時間で改善しない・39℃超が続く
  ↓
プライベートクリニックまたはCentro de Saludを受診
  ↓
帰国後も発熱・発疹・下痢が続く場合
  ↓
旅行歴を医師に伝え、感染症指定医療機関・旅行医学外来を受診

免責事項

本記事は薬学的な一般情報の提供を目的としており、個別の診断・治療方針の決定を行うものではありません。発熱の原因・重症度・適切な治療法は個人の健康状態・渡航先・滞在状況により大きく異なります。症状が重い場合・不安な場合は必ず現地の医療機関を受診してください。薬の服用に際しては、添付文書の記載事項および現地薬剤師の指導に従ってください。本記事の情報は執筆時点のものであり、医薬品の承認状況・価格・取扱い状況は変更される場合があります。

監修:薬剤師(博士(薬学))

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