イスラエルで病院・薬局を使うには|救急101・Magen David AdomとBeit Mirkachatの使い方を薬剤師が解説

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イスラエルの医療制度と特徴

イスラエルは中東地域でも医療水準が高く、主要都市(テルアビブ、エルサレム)には国際基準の医療機関が整備されています。しかし、渡航者にとって言語や制度の違いは大きな課題となります。

医療制度の基本構造

イスラエルは国民皆保険制度(National Health Insurance Law, 1995年制定)を採用しており、市民は4つの医療基金(Kupat Holim)に加入しています。この4基金は Clalit Health Services・Maccabi Healthcare Services・Meuhedet・Leumit Health Services で、それぞれ独自のクリニックネットワークを持ちます。観光客は通常この保険の対象外となるため、事前に旅行保険への加入が必須です。

医療制度の特徴として、イスラエルの病院は公立・民間が混在しており、緊急搬送先は主に公立病院(政府が管轄するイクリット・ハダッサなど)となります。民間病院は選択的入院や専門的検査に強く、待ち時間が短い傾向があります。旅行者が救急外来(ER)を受診する場合は、まず公立病院のERに搬送されることが多いため、その後の精算手続きについて旅行保険会社と事前に確認しておくことが重要です。

イスラエルの医療費は欧米基準に近く、ER受診だけで500〜1,500シェケル(目安:約20,000〜60,000円)かかることもあります。入院が必要になると1日あたりの費用はさらに高額になるため、補償限度額の高い旅行保険が不可欠です。

薬剤師メモ:イスラエルの医療機関では英語対応が進んでいますが、特に小規模施設や薬局では日本語対応は期待できません。ヘブライ語・英語の基本表現の準備をお勧めします。また、医師・薬剤師ともに概して英語能力が高く、欧米の医学教育を受けた専門家も多いため、英語による症状説明で対応できるケースがほとんどです。


救急時の最重要知識:Magen David Adom(マゲン・ダビド・アドム)と101番

Magen David Adom(MDA)とは

**Magen David Adom(マゲン・ダビド・アドム、略称 MDA)**は、イスラエルの国家救急・血液バンク機関で、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)に正式加盟しています。日本の救急車に相当するサービスを提供しており、イスラエル全土をカバーする搬送ネットワークを持ちます。ヘブライ語で「מגן דוד אדום(赤いダビデの星)」を意味し、救急車には赤い六芒星のマークが描かれています。

緊急時には 101番 に電話します。英語対応オペレーターにつながることが多いですが、ヘブライ語で状況を説明できない場合は「English, please(イングリッシュ プリーズ)」と最初に伝えましょう。

緊急時の101番への電話手順

電話が繋がったら以下の順で情報を伝えることが推奨されます。

  1. 現在地の住所または目印(ホテル名・交差点名など)
  2. 患者の人数と年齢
  3. 主な症状(意識があるか、出血しているかなど)
  4. 折り返し可能な電話番号

緊急通報フレーズ(英語):

  • I need an ambulance.(アイ ニード アン アンビュランス)
  • My location is [hotel name / address].(マイ ロケーション イズ __)
  • The patient is unconscious.(ザ ペイシェント イズ アンコンシャス)
  • There is heavy bleeding.(ゼア イズ ヘビー ブリーディング)
  • I need English-speaking assistance.(アイ ニード イングリッシュ スピーキング アシスタンス)

MDAの救急搬送は原則として費用が発生します(旅行保険でカバー可能)。搬送後、病院での治療費は別途請求されるため、必ず領収書を受け取ってください。


体調不良時の受診フロー

症状の程度 対応方法 予想対応時間 目安費用
軽微(軽い頭痛・風邪症状) 薬局での相談・OTC医薬品購入 15〜30分 50〜150シェケル
中程度(高熱・強い腹痛) クリニック(Urgent Care / プライベートクリニック)受診 1〜2時間 300〜600シェケル
緊急性あり(胸痛・呼吸困難・意識障害) 救急車(101番)→ ER受診 即時対応 500〜1,500シェケル以上

※費用はいずれも目安であり、施設・処置内容・時間帯によって変動します。

どの段階でどこに行くかの判断基準

渡航者が迷いやすい「薬局か、クリニックか」の判断基準を以下にまとめます。

薬局(Beit Mirkachat)で対応できる目安:

  • 体温 37.5°C 未満の微熱・鼻水・のどの軽い痛み
  • 軽度の下痢(血便・高熱・激しい腹痛なし)
  • 軽い頭痛・筋肉痛(既往症なし)
  • 小さな擦り傷・虫刺されの軽度炎症

クリニックまたは病院受診が必要な目安:

  • 38.5°C 以上の発熱が12時間以上続く
  • 嘔吐・下痢を繰り返し、水分が摂取できない
  • 発疹・蕁麻疹が広範囲に出現している
  • 尿路感染症が疑われる症状(頻尿・排尿時痛)

即時 101番 / 救急搬送の目安:

  • 胸痛・呼吸困難
  • 意識の消失・錯乱
  • 大量出血・骨折の疑い
  • アナフィラキシー(急激な全身アレルギー反応)

軽症の場合:薬局(Beit Mirkachat)の利用

薬局の基本情報

イスラエルの薬局はヘブライ語で 「בֵּית מִרְקַחַת(Beit Mirkachat)」 と表記され、英語では Pharmacy と表示されています。主要都市では多数の薬局が点在しており、Google マップで「Pharmacy near me」と検索するか、「בית מרקחת」と入力することで最寄りの薬局を探せます。

主な薬局チェーン(実在する代表的なチェーン):

  • Super-Pharm:イスラエル最大の薬局チェーン。テルアビブ・エルサレムを中心に多店舗展開。OTC医薬品・化粧品・医療用品の品揃えが豊富で、英語対応スタッフが在籍している店舗も多い。
  • Newpharm:ショッピングモール内を中心に展開する薬局チェーン。
  • 個人経営の地域薬局:観光地周辺では小規模の独立系薬局も多い。

営業時間の目安:

  • 日曜〜木曜:8:00〜21:00(店舗により異なる)
  • 金曜:8:00〜16:00(シャバット前に早く閉まる)
  • 土曜:多くの店舗が休業(ユダヤ教のシャバット)。ただし一部の薬局は時間短縮で営業

シャバット(土曜日)は宗教上の安息日であり、薬局のみならず多くの商店が閉まります。金曜の夕方までに必要な医薬品を確保しておくことを強くお勧めします。

薬局での相談方法:

  1. 症状を英語で説明(可能ならメモに記載)
  2. 薬剤師が症状に応じてOTC医薬品を提案
  3. 処方箋不要で購入可能な医薬品が豊富
  4. クレジットカード利用可(一部現金のみ)

薬局で使える英語フレーズ:

  • Do you have something for a headache?(ドゥ ユー ハヴ サムシング フォー ア ヘッドエイク?)
  • I have diarrhea. What do you recommend?(アイ ハヴ ダイアリーア ワット ドゥ ユー レコメンド?)
  • I am allergic to aspirin.(アイ アム アラージック トゥ アスピリン)
  • Is this safe to take with [medication name]?(イズ ディス セーフ トゥ テイク ウィズ __?)

薬剤師メモ:イスラエルの薬局で販売されるOTC医薬品は欧米基準に準拠しています。パラセタモール(Paracetamolパラセタモール、一般名:アセトアミノフェン)やイブプロフェン(Ibuprofenイブプロフェン)は広く入手可能です。日本の一般用医薬品との有効成分は類似していますが、用量・用法・1回量が異なる場合があるため、必ず薬剤師に相談し、添付文書(Package Leaflet)を確認してください。特に高齢者・腎機能低下者・消化性潰瘍の既往がある方はイブプロフェンの使用に注意が必要です。


処方箋が必要な場合のクリニック受診

テルアビブの代表的なクリニック

施設名 所在地 特徴 電話
Assuta Medical Center(総合病院) Rabin Boulevard, Tel Aviv 高度医療・24時間対応 +972-3-764-2222
Terem Urgent Care Multiple locations 予約不要・迅速対応 +972-3-575-2000
Ichilov Hospital (Tel Aviv Sourasky Medical Center) Weizmann St. 6, Tel Aviv 公立・最大級・ER24時間対応 +972-3-697-4444

エルサレムの医療機関

施設名 特徴
Hadassah Medical Center(ハダッサ医療センター) 中東最大級の総合病院・高度医療・ER24時間対応
Shaare Zedek Medical Center(シャアレ・ツェデク) 24時間救急対応・観光客対応経験豊富・ヘブライ語・英語対応

Terem Urgent Care(テレム緊急外来)について

Terem はイスラエル全土に展開するウォークイン型の緊急外来クリニックで、旅行者が最も利用しやすい施設の一つです。予約不要で受診でき、英語対応スタッフが在籍しています。発熱・外傷・軽度の内科疾患・処方箋発行など、ERほどではないが薬局では対応できない症状に適しています。主要ショッピングモール内や市街地に立地しており、夜間・休日も対応している拠点があります(事前に営業時間の確認を推奨)。

クリニック受診の流れ

  1. 事前予約(可能な場合):ホテルコンシェルジュへ相談・電話予約
  2. 持参物:パスポート、旅行保険証券、常用薬の一覧(Medication List)
  3. 診察:医師の診察(通常15〜30分)、処方箋発行
  4. 処方箋の受け取り:施設内の薬局で調剤(15〜30分待機)、代金支払い
  5. 領収書・診断書の受け取り:保険請求に必要な書類を必ず受領

薬剤師メモ:イスラエルの医師は処方箋に医薬品名をヘブライ語で記載することがあります。処方箋を薬局へ提示する際は、必ず薬剤師に用量・用法を英語で確認してください。また、処方薬の中には日本で馴染みのない成分名(INN:国際一般名)が使われていることがありますが、WHOのINN(International Nonproprietary Names)データベースで確認することで成分を特定できます。


常用薬・持参医薬品の注意点

イスラエル入国時の医薬品持ち込み

イスラエルの税関(Ben Gurion International Airport等)では医薬品に関する審査が比較的厳格に行われることがあります。特に麻薬指定成分(オピオイド系鎮痛薬・ベンゾジアゼピン系など)を含む薬剤の持ち込みには書類が必要です。

  • 処方薬:医学的に必要な分(90日分程度)は持ち込み可(量によっては申告が必要)
  • 英文処方箋・医学証明書:担当医から事前入手が望ましい。英文記載推奨
  • 注意すべき成分:一部の催眠薬(トリアゾラム等)・麻薬性鎮痛薬(オキシコドン等)・向精神薬は事前にイスラエル大使館または厚生労働省麻薬取締部に相談のこと
  • インスリン・注射薬:液体規制の対象外だが、医師の証明書と英文処方箋の携帯が推奨される

持参すべき医薬品リスト(推奨):

用途 医薬品(成分名) 目安量 備考
頭痛・発熱 アセトアミノフェン(パラセタモール) 500mg規格×10〜20錠 現地OTCでも入手可
解熱鎮痛(NSAIDs系) イブプロフェン 規格は製品により異なる(薬剤師に確認) 胃への負担があるため食後服用
下痢止め ロペラミド塩酸塩 1mg2mg規格×5〜10包 現地薬局でも購入可
胃酸過多・胸やけ ファモチジン・炭酸水素ナトリウム系制酸薬 薬剤師指示量 現地でも入手可能
アレルギー・花粉症 セチリジン塩酸塩・フェキソフェナジン塩酸塩 薬剤師指示量 眠気の少ない第二世代抗ヒスタミン薬
皮膚炎・虫刺され ヒドロコルチゾン外用薬(弱ステロイド) 薄く塗布 顔・粘膜部位への使用注意
傷の消毒・保護 ポビドンヨード液・滅菌ガーゼ・絆創膏 少量 現地薬局でも購入可
経口補水 電解質配合の経口補水パウダー(ORS) 5〜10包 砂漠地域での脱水対策
目のかゆみ・充血 ケトチフェンフマル酸塩点眼薬(OTC) 1本 コンタクトレンズ使用時は成分確認を
常用薬 各自の処方薬 旅行日数+余裕分 英文処方箋・薬歴リスト必携

薬剤師メモ:持参医薬品は「自分用(Personal use)」と表示した元のパッケージまたは薬局の袋に入れ、処方箋のコピーを携帯してください。イスラエル入国時の税関では医薬品に関して申告を求められることがあります。英文で These are personal medications for my own medical use.(ジーズ アー パーソナル メディケーションズ フォー マイ オウン メディカル ユース) と説明できるよう準備しておきましょう。なお、注射薬(インスリン等)は「注射針と一緒に安全なケースに収納し、医師の証明書と一緒に手荷物に入れる」ことで通関がスムーズになります。


主な医薬品の薬学的解説

旅行中に最も使用頻度が高いOTC医薬品について、薬剤師の観点から薬理・注意点を解説します。

アセトアミノフェン(パラセタモール)

作用機序:中枢性の解熱・鎮痛作用を持ち、COX-3(脊髄に発現するCOX-1スプライス変異体)の阻害を介した解熱作用が主体と考えられています。末梢でのプロスタグランジン合成阻害はほぼないため、胃粘膜への刺激が少ないのが特徴です。

用量の目安:成人では1回500〜1000mg、4〜6時間ごと、1日最大4000mg(ただし飲酒習慣のある方・肝機能低下者は1日2000mg以下を推奨)。

注意すべき相互作用:ワルファリン(抗凝固薬)との併用で INR 上昇リスクがあるため、抗凝固療法中の方は服用前に医師・薬剤師に相談してください。アルコールとの同時摂取は肝毒性を増強します。

副作用:通常用量の使用では副作用は少ないですが、過剰摂取(10g以上)で重篤な肝障害を引き起こします。他の総合感冒薬や市販の鎮痛薬との重複摂取に注意してください(多くの製品にアセトアミノフェンが配合されています)。

イブプロフェン(NSAIDs)

作用機序:シクロオキシゲナーゼ(COX-1およびCOX-2)を非選択的に阻害し、プロスタグランジン合成を抑制することで解熱・鎮痛・抗炎症作用を発揮します。

用量の目安:成人では1回200〜400mg、4〜6時間ごと、1日最大1200mg(OTC使用の場合)。必ず食後に服用。

禁忌・注意:消化性潰瘍・腎機能障害・重篤な心疾患・アスピリン過敏症がある方は原則禁忌または慎重投与。NSAIDsアレルギーがある場合はアセトアミノフェンへの切り替えを検討してください。

薬物動態:経口投与後、約1〜2時間で最高血中濃度に達します。半減期は約1.8〜2時間と短く、効果が切れやすいため、次回服用までの間隔を守ることが重要です。

ロペラミド塩酸塩(下痢止め)

作用機序:腸管のオピオイドμ受容体を選択的に刺激し、腸管蠕動運動を抑制するとともに腸管内の電解質・水分分泌を低下させます。血液脳関門をほとんど通過しないため、中枢神経系への作用(眠気・依存性)は最小限です。

注意点:細菌性腸炎(血便・高熱を伴う下痢)には使用しないことが原則です。腸管内の病原菌・毒素を排出する自然な生理反応を止めてしまう可能性があるためです。高熱・血便・粘液便を伴う場合は速やかに医療機関を受診してください。

相互作用:P-糖タンパク質(P-gp)の基質であるため、P-gp阻害薬(一部のHIV薬・キニジンなど)と併用すると血中濃度が上昇し、副作用リスクが高まる可能性があります。

第二世代抗ヒスタミン薬(セチリジン・フェキソフェナジン等)

作用機序:末梢組織のヒスタミンH1受容体を選択的に競合阻害し、アレルギー反応を抑制します。第一世代(クロルフェニラミン等)と異なり、血液脳関門透過性が低いため眠気が少ないのが特徴です。

注意:セチリジンは腎排泄型であり、腎機能低下者では用量調整が必要です。フェキソフェナジンはほぼ代謝を受けず原形のまま排泄されます。いずれも使用開始時は眠気の出現に注意し、車の運転には慎重を期してください(添付文書に従う)。


旅行保険の活用方法

加入時の確認ポイント

必ず確認すべき補償内容:

  • 治療費補償限度額:500万円以上推奨(入院・手術が必要な場合は1,000万円以上が安心)
  • 医療職者への電話相談サービス:24時間対応の日本語ホットライン
  • キャッシュレス対応:現地での立て替え支払い不要の施設数
  • 歯科・眼科治療:別枠での補償有無
  • 航空機搭乗遅延・緊急帰国費用:別枠での補償確認
  • 危険地域(紛争地域隣接)への適用可否:事前に保険会社に確認必須

保険請求の流れ

診察直後にすべき行動:

  1. 領収書の確保:診察代、処方医薬品代の領収書(英文またはヘブライ語)
  2. 医師の診断書取得:保険会社が要求する場合がある(英文推奨。施設によっては有料)
  3. 保険会社への報告:帰国前に日本の保険会社に連絡(24時間ホットラインを活用)
  4. 書類提出:以下を準備して保険会社に郵送またはアプリ提出
    • 保険金請求書(保険会社様式)
    • 診察領収書と医学証明書のコピー
    • 処方箋のコピー(薬代請求の場合)
    • パスポートのコピー(渡航期間確認用)

薬剤師メモ:多くの旅行保険会社は診察から保険金請求まで一定期間内(通常2〜3年以内)の申請を求めます。帰国後、紛失防止のため直ちに書類をスマートフォン等でスキャンしデジタル保存することをお勧めします。また、薬局でOTC医薬品を購入した場合、原則として保険対象外となる保険商品が多いため、事前に約款を確認してください。

イスラエルでキャッシュレス対応可能な病院

  • Assuta Medical Center(複数の日本の保険会社と提携実績あり)
  • Terem Urgent Care(一部クリニックで対応可能。事前確認を推奨)

事前に保険会社に確認すべき情報:

  • 提携医療機関リスト(日本語版があれば入手)
  • キャッシュレス対応の手続き方法(保険会社への事前連絡が必要な場合が多い)
  • 24時間日本語サポートのホットライン番号

言語サポートと翻訳ツール

薬歴・症状説明時の実用表現

英語基本表現(すぐ使えるフレーズ):

  • I have a high fever and cough.(アイ ハヴ ア ハイ フィーバー アンド コフ)
  • I need pain relief medication.(アイ ニード ペイン リリーフ メディケーション)
  • I am allergic to penicillin.(アイ アム アラージック トゥ ペニシリン)
  • I take [medication name] every day for my heart.(アイ テイク __ エブリデイ フォー マイ ハート)
  • This is my prescription from Japan.(ディス イズ マイ プレスクリプション フロム ジャパン)
  • Can I take this with my regular medication?(キャン アイ テイク ディス ウィズ マイ レギュラー メディケーション?)

事前に準備すべき「医療情報カード」

渡航前に以下の情報を英語・ヘブライ語(可能であれば)で記載したカードを作成し、パスポートケースに入れておくことを推奨します。

項目 記載内容の例
氏名 Full name
生年月日 Date of birth
血液型 Blood type: A, Rh+ など
アレルギー(薬物) Drug allergy: Penicillin, NSAIDs など
アレルギー(食物) Food allergy: Peanuts など
常用薬 Medications: [一般名・用量・頻度]
既往症 Medical history: Diabetes / Hypertension など
緊急連絡先 Emergency contact: 日本の家族・保険会社
保険情報 Insurance company & policy number

翻訳アプリ活用

  • Google Translate:オフライン翻訳機能あり、ヘブライ語対応可
  • DeepL Translator:医学用語を含む複雑な文章の翻訳精度が高い
  • iTranslate:音声翻訳機能が充実しており、実際の会話で活用しやすい

薬剤師メモ:アレルギー情報は特に重要で、誤解が重篤な医療事故につながる可能性があります。英文のアレルギーカードを事前作成し、常時携帯することを強く推奨します。翻訳アプリは参考ツールとして活用しながら、重要事項は医療者に口頭で改めて確認してください。


特殊な地域・シーン別対応

ネゲヴ砂漠地域での医療

ネゲヴ砂漠はイスラエル南部に広がる乾燥地帯で、気温が夏季に40°Cを超えることもあります。観光地(マクテシュ・ラモンやムルプラムなど)は最寄りの医療機関が遠い場合があるため、特別な準備が必要です。

  • 事前に水分補給剤(経口補水塩 ORS: Oral Rehydration Salts)を持参:Na・K・グルコースがバランスよく配合されたORS製剤は、熱中症・脱水の初期対応に有効。市販の水だけを大量に飲むと低ナトリウム血症のリスクがあるため注意。
  • 日焼け止め(SPF50以上・PA+++以上):中東の紫外線は強烈で、短時間でも日焼けによる皮膚ダメージが起きます
  • 応急処置キット:絆創膏・消毒薬・弾性包帯を持参
  • ホテル・ツアーオペレーターに緊急時の連絡方法を確認:MDA(101番)の搬送に時間がかかる場所では、ヘリコプター搬送が行われることもあります

宗教行事・祝祭日の影響

イスラエルでは ユダヤ教の祭日(ペサハ・ロシュ・ハシャナ・ヨム・キプール等) に多くの施設が閉まります。ヨム・キプール(贖罪の日)は年に一度、公共交通・ほとんどの商業施設・薬局が1日中閉鎖されます。旅行日程が宗教行事と重なる場合は、事前に十分な医薬品を確保してください。イスラエルの祝祭日カレンダーは外務省海外安全情報ページや現地の観光局サイトで確認できます。

紛争地域の近辺での行動

  • 最新情報は外務省 海外安全情報https://www.anzen.mofa.go.jp)で必ず渡航前に確認
  • ガザ地区周辺・北部国境付近は危険情報のレベルが高い場合があります。最新のレベルを確認の上、渡航判断を行ってください
  • 渡航前に保険会社に危険地域への対応・適用可否を確認する
  • ロケットサイレン(Red Alert)が鳴った場合は、最寄りのシェルター(Mamad)に速やかに避難する。多くのホテル・商業施設にはシェルターが設置されています

まとめ

  • 軽症時は薬局相談を優先:英語で症状を説明し、OTC医薬品の購入が効率的です。シャバット(土曜日)の前日までに医薬品を確保しておくことを忘れずに。
  • 救急はMDA・101番:Magen David Adomはイスラエルの国家救急機関。英語での対応も可能。胸痛・意識障害・大量出血は迷わず101番へ。
  • 中等症以上はクリニック受診:Terem Urgent Careは予約不要・英語対応で旅行者に利用しやすい。事前に保険会社のキャッシュレス対応施設を確認してください。
  • 旅行保険は必須:補償限度額500万円以上(入院リスクを考慮するなら1,000万円以上)、24時間日本語サポート付きを選択してください。
  • 常用薬・英文処方箋を持参:入国時の申告と緊急時対応をスムーズにします。特に向精神薬・麻薬系成分を含む薬剤は事前に大使館・厚労省に確認。
  • 医療情報カードを準備:アレルギー・常用薬・血液型・保険情報を英語で記載し、常時携帯。
  • 最新情報は大使館・外務省で確認:政治情勢・感染症流行・医療制度の変更に対応してください。

参考文献

  1. World Health Organization (WHO). "International Travel and Health." https://www.who.int/ith/en/(2024年確認)
  2. U.S. Centers for Disease Control and Prevention (CDC). "Israel - Traveler view." https://wwwnc.cdc.gov/travel/destinations/traveler/none/israel(2024年確認)
  3. 厚生労働省. 「海外への医薬品の持ち出しについて」. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubutsuranyou_taisaku/overseas.html(2024年確認)
  4. 外務省. 「海外安全情報 イスラエル」. https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_006.html(2024年確認)
  5. Magen David Adom (MDA). Official Website. https://www.mdais.org/en(2024年確認)
  6. U.S. Food and Drug Administration (FDA). "Safe Use of Pain Medicines." https://www.fda.gov/drugs/information-drug-class/safe-use-pain-medicines(2024年確認)
  7. 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 (PMDA). 「一般用医薬品に関する情報」. https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/iyaku-OTC/0001.html(2024年確認)

監修:薬剤師(博士(薬学))

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